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精神疾患がある方の転職の進め方のポイントを解説

目次
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この記事は 2 分で読めます。

精神疾患があると診断され、「転職を考えたほうがいいのか」「どう進めればいいのか分からない」と悩む方は少なくありません。

体調に波がある中での転職活動は不安が大きくなりやすいものです。

この記事では、精神疾患がある方の転職の具体的な進め方や押さえておきたいポイント、利用できる支援について解説します。

加藤 美遥
監修 加藤 美遥 (社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士)
この記事は、福祉系専門学校で学び、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士として、精神科病院でうつ病や発達障害などの支援に携わっている専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • 精神疾患があっても転職自体は可能
    実際に診断を受けながら転職し、新しい職場で働いている方も少なくありません。ただし「転職できるか」と「今すぐ始めるべきか」は別問題であり、体調によっては準備期間が必要です。
  • 転職を考える前に、まず体調とこれまでの職場環境を整理することが大切
    生活リズムや辛かった経験を振り返ると、次の職場に求める条件が見えやすくなります。
  • 転職活動中の経済的な不安は、公的な支援制度である程度カバーできる
    傷病手当金や自立支援医療、失業給付など、早めに窓口へ相談しておくと安心です。
  • 働き方には一般雇用と障害者雇用の2つの選択肢がある
    それぞれメリット・デメリットがあり、体調や希望するキャリアに応じて選ぶことが重要です。
  • 一人で抱え込まず、支援機関を積極的に活用することが無理のない転職につながる
    ハローワークや障害者専門の転職支援サービス、就労移行支援などを状況に応じて利用しましょう。
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就労移行支援manabyの実績

利用者数 3,106 ※2024年2月時点
職場定着率 85.7% ※6ヶ月定着の実績
在宅就労率 20.4% ※就職者に対する割合
どんなことを相談できるの?
  • 「自分に合った仕事や働き方を見つけたい」
  • 「体調やメンタルに波があり、長く働けるか不安」
  • 「障害への理解がある職場に就職・転職したい」
  • 「まずは生活リズムを整えるところから始めたい」

精神疾患があっても転職はできる?

この章のポイント
  • 精神疾患があっても転職自体は可能です。実際に診断を受けながら新しい職場で働いている方も少なくありません。
  • 重要なのは「転職できるか」ではなく「今すぐ始めるべきか」という点。体調によっては準備期間が必要な場合もあります。
  • 精神疾患のある方の雇用者数は年々増加しており、働く機会は少しずつ広がっています。

精神疾患があっても、転職すること自体は可能です。実際にうつ病や適応障害、不安障害などの診断を受けながら転職し、新しい職場で働いている方も少なくありません。

ただし重要なのは、「転職できるか」と「今すぐ転職活動を始めるべきか」は別の問題だという点です。体調の状態によっては準備を整える期間が必要になる場合もあります。

例えば、夜眠れず朝起きられない状態や、外出するだけで強く疲れてしまう状態では、求人探しや面接そのものが大きな負担になる可能性があります。

反対に、症状が落ち着き、決まった時間に起きて外出もできている場合は、転職活動を進めることも選択肢の一つです。

そのため、転職するかどうかを決める前に、まずは現在の体調を確認しておくことが大切です。

なお、厚生労働省の調査によると、令和7年の民間企業における精神疾患のある方の雇用者数は16万8,542人で、前年より11.8%増加しました。

このことからも、精神疾患がある方が働く機会は少しずつ広がっていることがわかります。

精神疾患がある方が転職を考える主なきっかけ

この章のポイント
  • 長時間労働や不規則な勤務による負担が、転職を考えるきっかけになりやすいです。
  • 人間関係や業務量のプレッシャーで体調を崩し、環境を見直したくなるケースもあります。
  • 休職や離職の経験をきっかけに、より無理なく続けられる働き方を求める方も少なくありません。

精神疾患を抱えながら働いていると、「このまま今の職場で働き続けて大丈夫だろうか」と不安になることがあります。

最初は無理をしながら働けていても、疲労やストレスなどが積み重なるうちに働き方そのものを見直したくなることも少なくありません。

ここでは、精神疾患がある方が転職を考える主なきっかけを4つ紹介します。

今の職場の働き方が負担に感じる

長時間労働や不規則な勤務が続くと、睡眠や休息の時間を十分に確保しにくくなります。残業が多い職場やシフトが不規則な職場では、生活リズムが乱れやすく、心身への負担も大きくなりがちです。

また、休日でも仕事の連絡が入る環境では気持ちを切り替えにくく、十分に休んだつもりでも疲労感が残ることがあります。

その影響から、寝つきが悪くなる、朝になっても疲れが抜けない、通勤だけで強く消耗するといった状態につながることも少なくありません。

こうした状況が続くことで「今の働き方を続けるのは難しいかもしれない」と感じ、転職を意識するきっかけになります。

人間関係や業務負担で体調が悪化している

職場の人間関係や業務上のプレッシャーが大きな負担になり、体調を崩してしまうケースもあります。

例えば、上司や同僚に相談しづらい、ミスを強く責められる、常に高い成果を求められるといった環境では、精神的な緊張状態が続きやすくなります。

また、業務量が多く、一人で抱えきれない状況が続くと、不安やストレスも大きくなります。

こうした負担が積み重なった結果、「今の職場を離れた方がよいのではないか」と考え始める方も少なくありません。

休職や離職をきっかけに、働き方を見直したくなった

実際に体調を崩し、休職や離職を経験したことがきっかけになる場合もあります。一度仕事を離れると、「同じ働き方を続けても大丈夫だろうか」と立ち止まって考える時間が生まれます。

その時間の中で働き方や職場環境を見直したくなり、「今より負担の少ない環境で働きたい」と転職を考えるケースも少なくありません。

この先も長く続けられる職場に変えたいと感じている

「無理なく長く働ける職場へ移りたい」という思いが、きっかけになることもあります。「今すぐ辞めたい」という切迫した気持ちとは少し異なり、体調を保ちながら続けられる職場を求めて転職を検討する方もいます。

精神疾患がある方が転職前に整理したいこと

この章のポイント
  • 転職活動を始める前に、まず今の体調で無理なく動けるかを確認しておきましょう。
  • これまでつらかった職場環境を振り返ると、次に避けたい条件が具体的に見えてきます。
  • 症状が悪化した場面を整理しておくと、面接で必要な配慮を具体的に伝えやすくなります。

勢いだけで転職活動を進めてしまうと、途中で負担が大きくなり、かえって体調を崩してしまうケースも少なくありません。そのため、「今の自分がどのくらい動ける状態なのか」「次の職場にどのような働き方を求めるのか」を、事前に整理しておくことが大切です。

ここでは、事前に整理しておきたいポイントを3つ紹介します。

まずは、今の体調で転職を進められる状態かを確認する

転職活動を始める前に確認したいのが、「日常生活をどの程度安定して送れているか」です。

今の状態を整理するときは、以下のような点が目安になります。

転職活動を始められる目安
毎朝ある程度決まった時間に起きられている
通院や買い物などの外出が無理なくできている
数時間ほど集中できる時間帯がある
人と話したあとに強い疲労感が残りにくい
休日に少し転職準備を進める余裕がある

複数の項目で難しさを感じる場合は、転職活動を急ぐより、まず休養や治療を優先したほうがよい時期かもしれません。

反対に、「以前より動ける日が増えてきた」「生活リズムが安定してきた」と感じられるなら、無理のない範囲で求人情報を見るところから始める選択肢もあります。

ただし、転職活動を始めたあとの負担にも注意が必要です。面接日程が重なったり、結果待ちの日が続いたり、書類の修正を繰り返したりするだけでも疲れがたまって気分が落ち込みやすくなる方は少なくありません。そのため、一度に多くの企業へ応募しすぎないことも大切です。

判断に迷うときは、主治医に「転職活動を始められる状態か」を相談してみると、自分の状態を客観的に整理しやすくなります。

これまでつらくなりやすかった仕事・職場環境を振り返る

体調の状態を確認できたら、次は過去の職場を振り返ります。体調を崩した時期や「仕事がつらい」と感じていた場面を思い返すと、次の職場で避けたい条件が見えやすくなります。

まずは、これまでの職場の状況を以下のような項目で書き出してみることがおすすめです。

振り返りのポイント
一日の労働時間や残業の頻度
毎日21時まで残業、休日出勤が月2回ある など
通勤時間と移動手段
片道1時間半の満員電車、乗り換え3回 など
業務内容の特徴
電話対応が多い、クレーム処理がある、締め切りに追われる など
職場の雰囲気
相談しにくい、ミスを強く責められる、休憩が取りづらい など
人間関係の状況
上司との相性、孤立感、チーム内の空気感 など

こうして書き出すと、「電話対応が少ない仕事」「繁忙期と閑散期の差が小さい業務」「穏やかな社風の会社」など、転職先に求める条件が具体的に見えてきます。

症状が悪化した場面や引き金を整理する

職場の条件を振り返ったら、次は「自分の心身がどんな場面で反応しやすいか」に目を向けます。同じ職場で働いていても、調子を崩すきっかけは方によって違うためです。

例えば、次のような「場面」と「その時起きやすい反応」をセットで思い返すと、自分の引き金が見えてきます。

場面 その時起きやすい反応
急に会議へ呼ばれる 頭が真っ白になり、その後しばらく集中できない
複数の仕事を同時に任される 優先順位がつけられず、不安が一気に強まる
締め切りが近づく 前夜だけ眠れなくなる
上司から強い口調で指摘される 翌日から出勤がつらくなる
休日に仕事の連絡が来る 休んだ気がせず、月曜の朝に強い不調が出る

こうして自分の引き金が分かっていれば、面接で「どのような配慮があると働きやすいか」を具体的に伝えられ、同じ場面が起きにくい職場を選びやすくなります。

転職活動中の生活を支える経済的な支援制度

この章のポイント
  • 転職活動が長引くと収入への不安が大きくなりやすいため、公的な支援制度を事前に知っておくことが大切です。
  • 傷病手当金・自立支援医療・失業給付など、状況に応じて利用できる制度が複数あります。
  • 制度は申請から利用開始まで時間がかかるため、行き詰まる前に早めに窓口へ相談しておくと安心です。

精神疾患があると転職活動が長引きすると、「収入が途絶えるのではないか」という不安を抱えやすくなります。特に一人暮らしの場合、収入への不安から無理な条件で就職を急いでしまい、再び体調を崩してしまうケースも少なくありません。

そうした不安を抑えるためにも、利用できる公的な支援制度について事前に把握しておくことが非常に重要です。主な支援制度には、次の3つがあります。

転職活動中の生活を支える経済的な支援
病気やケガで働けない期間の生活を支える給付金です。概ね給与の3分の2程度の金額が最長1年6ヶ月間支給されます。
心療内科・精神科の通院医療費の自己負担が、原則「1割」に軽減される制度です。継続的な通院が必要な方の負担を減らせます。
失業給付(雇用保険)
※退職した場合
休職ではなく退職を選んだ際、働く意欲と能力がありながら仕事に就けない場合に、条件を満たせば支給対象となります。

これらの制度に共通するのは、申請してから実際に利用できるまでに、数週間から数か月の期間がかかる場合があるという点です。

そのため、「行き詰まってから」ではなく、「活動を始める前」や「休職に入った直後」など、早めに主治医や市区町村の窓口へ相談しておくことがおすすめです。

精神疾患がある方の転職で考えたい働き方

この章のポイント
  • 一般雇用は選択肢の幅が広く、障害者雇用は体調への配慮を受けやすいという特徴があります。
  • どちらが合うかは、現在の体調や「キャリア重視か、安定重視か」という優先順位によって変わります。
  • 一般雇用と障害者雇用は一度選んだら終わりではなく、状況に応じて後から切り替えることも可能です。

精神疾患がある場合の転職では、「どの会社に行くか」だけではなく、「どのような働き方を選ぶか」も重要な判断材料になります。

働き方によって負担の大きさや安心感は大きく変わります。そのため、それぞれの特徴を整理しながら比較することが大切です。

一般雇用(クローズ就労)で働く

一般雇用は、精神疾患があることを企業へ伝えず、一般求人へ応募して働く方法です。履歴書や面接で病名や通院歴を伝える必要はなく、他の求職者と同じ条件で選考を受けます。

一般雇用のメリット

一般雇用の大きな特徴は、求人の選択肢が幅広いことです。職種、業界、勤務地、給与など、希望条件に合わせて求人を探しやすくなります。給与水準も障害者雇用より高めに設定されている傾向があり、正社員の求人が多い点も特徴です。

例えば、「これまでの経験を活かして転職したい」「専門スキルを活かせる仕事を続けたい」と考える場合は、一般雇用の方が選択肢を広げやすくなります。

一般雇用のデメリット

精神疾患について伝えないため、企業側は障害の状況を把握できません。そのため、体調への配慮を受けられるかどうかは職場の理解や判断によって大きく変わります。

通院や体調不良による休みについても他の社員と同じ基準で判断されることが一般的なため、症状が悪化しても上司に相談しづらく、無理を重ねてしまうことがあります。

障害者雇用(オープン就労)で働く

障害者雇用は、精神障害者保健福祉手帳を取得し、精神疾患があることを企業へ伝えた上で働く方法です。

障害者雇用のメリット

障害者雇用の大きなメリットは、職場で体調への配慮を受けやすいことです。通院のための定期的な早退、勤務時間を短くする調整、担当業務の内容への配慮などを入社前に相談できます。

電話対応がない、ノルマがない、一人で集中して進められる業務など症状に合わせた働き方を選びやすい点も特徴です。

障害者雇用のデメリット

障害者雇用は、一般雇用と比べると求人数が限られます。希望する職種や勤務地の求人が見つかりにくく、条件によっては選べる仕事の幅が狭く感じられることもあります。

そのため、「専門スキルを活かしたい」「キャリアアップを目指したい」と考える方は、希望に合う求人が見つかりにくいと感じる場合もあります。

自分に合う働き方の考え方

一般雇用と障害者雇用のどちらが合うかは、現在の体調や働き方の希望によって異なります。

例えば、配慮がなくても安定して勤務できる状態であれば、一般雇用の選択肢を検討しやすくなります。一方で、通院への配慮や勤務時間の調整が必要な場合は、障害者雇用の方が働きやすい可能性があります。

また、「キャリアアップを優先したいのか」「まずは安定して働き続けることを優先したいのか」といった点も重要な判断材料です。

迷ったときの判断材料

  • 主治医へ「配慮なしで働ける状態か」を相談する
  • 一般雇用の勤務条件が現在の体調で対応できるか確認する
  • 精神障害者保健福祉手帳の取得を検討する
  • 働く上で必要な配慮を整理する
  • 仕事に求めるものが「キャリア」なのか「安定」なのかを考える

※精神保健福祉手帳の取得には一定の要件があります。取得を検討されている方は主治医にご相談ください。

ここで覚えておきたいのは、一般雇用と障害者雇用は、一度選択したら変更できないものではないということです。

最初は障害者雇用で働きながら体調の安定を優先し、その後、一般雇用へ切り替えるケースもあります。

その時の体調や生活の状況に合わせて働き方を見直していけるため、「今の自分に合う方法」を基準に考えることが大切です。

就労移行支援manaby(マナビー)では、精神疾患・転職をはじめとした特性や背景を持ちながら、働くことに不安を感じている方の相談を受け付けています。

体験談:環境を変えて働き方を見直した方の声

実際に、働き方や職場環境を見直すことで再就職につながった方もいます。

うつ病を経験したRさんは、介護職や営業職として働いていました。しかし、夜勤の多い勤務や営業ノルマによる負担が重なり、体調を崩して離職。その後、約5年間の療養期間を過ごしました。

「働きたい」という気持ちはあったものの、体調への不安から一歩を踏み出せずにいたそうです。

その後、就労移行支援を利用しながら、自分に合う働き方について考える機会を持ちました。訓練や自己分析を通じて、自身は営業のように人と関わり続ける仕事よりも、データ整理や事務作業のように落ち着いて取り組める業務の方が向いていることに気づいたといいます。

また、支援員との面談を重ねる中で、「自宅にいるよりも外に出て活動した方が生活リズムを整えやすい」「自宅から無理なく通える職場の方が働きやすい」といった自分に合う条件も整理できました。

その結果、障害への理解や配慮のある職場への就職が決定。現在は、自分の特性や体調に合った環境で新たなスタートを迎えています。

このように、転職では仕事内容だけでなく、勤務形態や職場環境との相性を見直すことも大切です。過去に体調を崩した経験がある場合は、「どのような環境なら無理なく働けるのか」という視点で仕事を選ぶことが再発防止にもつながります。

精神疾患の方に向いている仕事・職場の特徴

この章のポイント
  • 業務手順が明確で、静かな環境で集中しやすい職場は比較的働きやすい傾向があります。
  • ノルマやプレッシャーが少なく、勤務時間が安定している点も大切なポイントです。
  • 困ったときに相談しやすい体制があるかどうかも、長く働き続けるための重要な判断材料になります。

精神疾患がある方の仕事選びは、仕事内容だけではなく、職場環境や働き方の安定性も重要になります。

負担の少ない環境を選ぶことで体調の波があっても働き続けやすくなります。一方で、ストレスが強い職場では、症状悪化につながる場合もあります。

比較的働きやすい傾向がある職場には、次のような特徴があります。

  • 業務手順が決まっており、仕事を覚えやすい
  • 静かな環境で作業に集中しやすい
  • ノルマや強いプレッシャーが少ない
  • 勤務時間や休憩時間が安定している
  • 困ったときに相談しやすい体制がある

詳しくは「精神疾患がある方におすすめの仕事は?」の記事で、具体的な職種例に加えて、避けたほうがよい仕事や職場環境の特徴についても解説しています。

精神疾患がある方の転職の進め方・ポイント

この章のポイント
  • 通院や服薬のタイミングを整理し、負担が大きくなりやすい場面を把握しておくことが大切です。
  • 転職活動は一人で抱え込まず、主治医や支援機関に相談しながら進めましょう。
  • 「働けるか」ではなく「続けられるか」を基準に、職場環境まで含めて確認することが重要です。

精神疾患を抱えながらの転職活動では、体調管理と両立しながら進める必要があります。

無理に転職を急いでしまうと症状悪化につながる場合もあるため、「今働けるか」だけではなく、「無理なく続けられるか」という視点で進めることが大切です。

ここでは、精神疾患がある方が転職活動を進める際に整理しておきたいポイントを4つ解説します。

服薬・通院・体調の波への対処法を整理しておく

転職後は環境が変わることで疲れや緊張が強くなり、症状が不安定になることもあります。

特に確認しておきたいのが、通院頻度や服薬のタイミングです。

例えば、平日に定期通院が必要であれば、休みや早退を取りやすい働き方の方が通院を継続しやすくなります。また、決まった時間に服薬が必要な場合は休憩時間を確保しやすい環境かどうかも重要なポイントです。

加えて、「どのようなときに体調を崩しやすいか」を整理しておくことも欠かせません。

例えば、「残業が続くと眠れなくなる」「人と関わる時間が長いと疲れやすい」「忙しい時期に不安感が強くなる」といった傾向が分かると自分に合う働き方を考えやすくなります。

1人で抱え込まず、主治医や支援機関に相談しながら進める

転職活動では、「今の職場を辞めるべきか」「本当に働ける状態なのか」と悩み続けることも少なくありません。

さらに、求人探しや応募書類の作成、面接結果を待つ期間などが重なることで、精神的な負担が大きくなる場合もあります。

そのため、主治医や支援機関に相談しながら進めることが大切です。

主治医へ相談することで、「今の体調で転職活動を始めても問題ないか」「どのような働き方なら負担を減らしやすいか」といった点を客観的に整理しやすくなります。

また、ハローワークの専門窓口や就労移行支援事業所では、求人探しだけでなく、働き方の相談や応募書類の作成支援、面接対策などのサポートも受けられます。

転職活動を1人で抱え込まないことが、結果として体調悪化の予防にもつながります。

「働けるか」ではなく「続けられるか」を基準に職場を選ぶ

転職活動では、「今の体調でも働けそうか」を基準に考えてしまいがちです。

しかし、精神疾患がある場合は、「長く働き続けられるか」という視点で職場を選ぶことが重要です。

例えば、転職直後は頑張れても、長時間労働や強いプレッシャーが続くことで、数か月後に再び体調を崩してしまうケースもあります。

そのため、一時的に働けるかどうかではなく、再発しにくい働き方ができるかを確認しておきたいところです。

例えば、残業が少ない、休暇を取得しやすい、業務量が安定しているといった環境であれば、心身への負担を抑えやすくなります。

また、通勤時間や勤務時間、急な対応の多さなども継続して働けるかを左右する要素です。求人票だけで判断せず、自分の体調と照らし合わせながら検討することが大切です。

給与や休日だけでなく、職場環境も確認する

精神疾患がある方の転職では、給与や休日数だけでなく、職場環境や配慮体制も確認しておきたいポイントです。

同じ仕事内容であっても、相談しやすさや周囲の理解によって働きやすさは大きく変わります。

例えば、困ったときに相談できる雰囲気がある職場や、通院・体調不良への理解がある職場であれば、安心感を持ちながら働きやすくなります。

一方で、ミスを強く責められる、質問しづらい、常に緊張感がある環境では、精神的な負担が大きくなりやすい傾向があります。

条件面だけで判断するのではなく、「この環境で無理なく働き続けられそうか」という視点を持つことが大切です。

精神疾患を転職先に伝えるべき?

この章のポイント
  • 一般雇用では精神疾患を必ず申告する必要はありませんが、配慮が必要な場合は事前相談が安心です。
  • 障害者雇用は症状や配慮事項を共有したうえで働くことが前提になります。
  • 迷ったときは「配慮がなくても働き続けられるか」を基準に考えると判断しやすくなります。

転職活動を進める中で、「精神疾患のことを応募先に伝えるべきか」と悩む方は少なくありません。

「伝えたことで不利になるのではないか」反対に「隠したまま働いて後から困るのではないか」実際にこうした悩みを抱えながら転職活動を進める方もいます。

ただし、「必ず伝えるべき」「絶対に伝えない方がよい」と一概には言い切れません。現在の体調や、働く上でどの程度の配慮が必要かによって合う選択は変わってきます。

必ずしも無理に伝える必要はない

一般雇用で応募する場合、精神疾患があることを必ず申告しなければならないわけではありません。

例えば、次のような状態であれば、伝えずに転職活動を進める選択肢もあります。

  • 体調が安定している
  • 通院や服薬を自分で管理できている
  • 特別な配慮がなくても働ける

一方で、通院のために定期的な休みが必要な場合や、残業時間への配慮が必要な場合は注意が必要です。

入社時に何も伝えていないと、配慮を求めにくくなったり、無理を続けた結果として体調を崩したりする可能性があります。

また、障害者雇用では精神疾患があることを企業へ伝えたうえで働くため、通院や勤務時間、業務内容などについて事前に相談しやすい傾向があります。

体調への配慮を受けながら長く働くことを優先したい場合は、障害者雇用も選択肢の一つです。

迷ったときは「配慮の必要性」を基準に考える

伝えるかどうかで迷った場合は、「配慮がなくても働き続けられるか」を基準に考えてみましょう。

配慮がなくても安定して勤務できるのであれば、一般雇用という選択肢があります。一方で、通院や勤務時間の調整などが必要であれば、事前に相談できる環境の方が安心して働きやすくなります。

精神疾患がある方の転職で使える主な支援

精神疾患がある方の転職で使える主な支援

この章のポイント
  • ハローワークは無料で利用でき、履歴書作成から面接対策まで相談できます。
  • 障害者専門の転職支援サービスは、配慮内容を確認しながら求人を比較できる点が特徴です。
  • すぐに働くことへ不安がある場合は、就労移行支援で生活リズムや働き方を整えることから始められます。

精神疾患がある状態で転職活動を進めると、求人探しだけでも負担を感じることがあります。

「応募書類の作成が進まない」「面接が続くと気疲れしてしまう」と悩む方も少なくありません。

そのため、1人だけで進めようとせず、支援機関を活用することも大切です。ここでは、精神疾患がある方が利用しやすい代表的な支援を3つ紹介します。

求人を探しながら相談もしたい:ハローワーク

ハローワークは、全国に設置されている公共職業安定所で精神疾患を含む様々な障害がある方向けの専門窓口が用意されています。無料で利用できるうえ、地域の求人を幅広く扱っている点が特徴です。

専門の相談員が履歴書の書き方から面接対策まで丁寧にサポートしてくれます。

こんな人におすすめ

  • 転職活動の進め方から相談したい
  • 地元で働ける職場を探したい
  • 無料で支援を受けたい
  • 履歴書や面接対策を手伝ってほしい

転職先を比較しながら選びたい:障害者専門の転職支援サービス

障害者専門の転職支援サービスは、キャリアアドバイザーが担当につき、求人紹介から応募準備まで支援してくれます。

勤務時間や配慮内容を確認しながら求人を比較できるため、「無理なく働ける環境か」を整理しやすい点が特徴です。

また、求人票だけでは分かりにくい職場の雰囲気や働き方について情報を得られる場合もあります。入社後のフォローを行うサービスもあり、転職後のミスマッチを防ぎやすい点もメリットです。

多くのサービスでは利用に障害者手帳が必要になるケースもあるため、利用条件は事前に確認しておくと安心です。

こんな人に利用がおすすめ

  • 障害者手帳を持っている
  • 複数の求人を比較したい
  • 配慮内容を確認しながら転職したい
  • 入社後のフォローも受けたい

すぐに働くのが不安で、就職準備から始めたい:就労移行支援

就労移行支援は、障害のある方の就職をサポートする福祉サービスです。

パソコンの基本操作、ビジネスメールの書き方、電話応対など、仕事で必要になるスキルを段階的に学べます。

また、就職活動のサポートだけでなく、自分に合った働き方を整理したり、職場で必要なコミュニケーションを練習したりできる点も特徴です。

こんな人に利用がおすすめ

  • すぐに働くことへ不安がある
  • 生活リズムから整えたい
  • ブランクが長く自信が持てない
  • 働く準備を段階的に進めたい

就労移行支援manaby(マナビー)の特徴

就労移行支援manaby(マナビー)は、精神疾患を含む様々な障害を抱える方が自分に合った働き方を見つけるためのサポートを行う就労移行支援です。

すぐに転職を考えるのではなく、まずは体調や生活リズムを整えながら「どんな働き方なら続けやすいか」を一緒に考えていきます。

在宅(※)・通所を組み合わせながら利用できる

就労移行支援manaby(マナビー)では、体調に合わせて通所と在宅を組み合わせながら訓練を進めることができます。

「朝のだるさが強くて毎日通うのが難しい」「外出だけで疲れてしまう」という方でも、自分のペースで取り組みやすい環境です。

※自治体に申請し認められた場合のみ、在宅訓練が可能です。

働き方を考えながらスキルを学べる

eラーニングを活用することで、パソコンの基本操作からデザイン・Web制作・プログラミングなどのITスキルまで幅広く学ぶことができます。

単にスキル習得を目指すだけではなく、「自分にはどのような仕事が向いているのか」「どのような働き方なら続けやすいのか」を考えながら進められる点も特徴です。

一人で抱え込まずに相談しながら進められる

就労移行支援manaby(マナビー)では、支援員と相談しながら自分の状態や働き方を整理できます。

無理に転職を急がせるのではなく、「まずは体調を整える」「働けそうな環境を整理する」といった段階から進められる点も特徴の一つです。

転職するか迷っている段階でも利用しやすく、将来の働き方を考えるきっかけにもなります。

精神疾患がある方の転職に関するよくある質問

精神疾患がある状態で転職を考えると、働き方や企業への伝え方など、様々な疑問を感じることがあります。ここでは、転職活動を進める際によくある質問をまとめました。

病気のことは面接でどこまで伝えるべきですか?

一般雇用の場合、精神疾患があることを必ず伝えなければならないわけではありません。

ただし、通院のための休みや残業制限など、働くうえで配慮が必要な場合は事前に相談しておいた方が安心です。伝える際は病名そのものよりも、「どのような配慮が必要か」を具体的に伝えると企業側も状況を理解しやすくなります。

一方、障害者雇用では、症状や必要な配慮について共有したうえで働くことが前提です。

転職活動を進めるポイントやコツは何ですか?

無理なペースで進めすぎないことが大切です。

体調の良い日に応募書類の作成や企業研究を進め、調子が優れない日はしっかり休むなど、メリハリをつけながら取り組むと負担を減らしやすくなります。

また、「働けるか」だけでなく、「無理なく続けられるか」という視点で職場を選ぶことも重要です。

精神疾患を隠して入社したらどうなりますか?

体調が安定しており、特別な配慮が必要ない場合は問題なく働けるケースもあります。

しかし、入社後に通院や勤務時間の調整が必要になった際、企業との認識にズレが生じる可能性があります。

そのため、働くうえで配慮が必要になりそうな場合は、事前に相談しておく方が働きやすい環境を整えやすくなります。

1人での転職活動が不安な場合は、どこに相談できますか?

まずは主治医に相談し、現在の体調で転職活動を進められる状態か確認しておくことが大切です。

そのうえで、ハローワークや障害者専門の転職支援サービスを活用すると、求人探しや応募書類の作成、面接対策などのサポートを受けられます。

「すぐに働くのは不安」「生活リズムから整えたい」という場合は、就労移行支援を利用しながら就職準備を進める方法もあります。

精神疾患がある方の転職は「自分に合う働き方」を見極めることが大切

精神疾患があっても転職は可能ですが、「今の職場がつらいから早く辞めたい」という気持ちだけで転職を進めると、転職後も同じような悩みを抱えてしまうことがあります。

大切なのは、「働けるか」ではなく、「無理なく続けられるか」という視点で仕事や職場を選ぶことです。

例えば、残業の多さや人間関係、通勤負担など、これまで体調を崩しやすかった要因を振り返ることで、自分に合う環境が見えやすくなります。

また、転職活動は想像以上に気力や体力を使います。一人で抱え込まず、主治医や支援機関に相談しながら進めることも大切です。

ハローワークや障害者専門の転職支援サービス、就労移行支援などを活用すれば、体調や希望に合った働き方を考えながら就職活動を進めやすくなります。

「今の会社を続けるべきか」「転職した方がよいのか」と迷っている段階でも大丈夫です。焦って結論を出そうとせず、まずは現在の体調や働き方を見つめ直すことから始めてみましょう。

仕事が続かない…体調が不安… お気軽にご相談ください!

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加藤 美遥

社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士
福祉系専門学校を卒業後、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士を取得。現在は北海道の精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務し、うつ病や発達障害、依存症などの支援に従事。医療と福祉の両面から得た経験を活かし、メンタルヘルスや福祉制度に関する情報発信・監修を行っている。

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