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対人恐怖で仕事がつらい…向いている仕事・職場・対処法を解説

目次
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「人と話す場面になると強く緊張する」「上司への報告や電話対応の前に身構えてしまう」「相手の表情や反応を気にしすぎて疲れてしまう」と仕事で人と関わる場面に強い不安を感じていませんか?

そのような状態が続いている場合、対人恐怖症のような不安が関係している可能性があります。

この記事では、対人恐怖症の方が仕事で感じやすい困りごとや、しんどくなりやすい仕事・職場の特徴、働きやすい仕事・職場の選び方、仕事中にできる対処法について分かりやすく解説します。

のぐちみどり
監修 狩野 淳 (臨床心理士・公認心理師)
この記事は、大学院で発達心理学・臨床心理学を学び、臨床心理士・公認心理師として、子どもや保護者への心理支援に携わっている専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • 対人恐怖症とは、人と関わる場面で強い不安や緊張を感じやすい状態のこと
    医学的には社交不安障害(SAD)と呼ばれ、報告・電話対応・会議など仕事上の多くの場面で困りごとが生じやすい
  • 働きやすい仕事・職場には共通する特徴がある
    1人で進める時間が多い、やり取りの相手が固定されている、チャット・メール中心、在宅・時短など働き方を調整しやすい環境が向いている
  • 今の職場でもできる工夫と、一人で抱え込まない相談先がある
    メモ活用・声かけタイミングの固定・言い回しのパターン化などの対処法のほか、上司・人事・産業医・就労移行支援・医療機関への相談も選択肢になる
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対人恐怖症とは?

この章のポイント
  • 対人恐怖症とは、人と関わる場面で強い不安や緊張を感じやすい状態を指す言葉です。
  • 会話や報告、電話対応、人前で話す場面などがつらく感じられることがあります。
  • 現在の医学的な診断名としては、社交不安障害(SAD)と呼ばれることが一般的です。

対人恐怖症とは、人と関わる場面で「変に思われたらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」「相手に不快感を与えてしまうかもしれない」といった不安や緊張が強くなり、会話や報告、電話対応、人前で話す場面などをつらく感じやすい状態を指す言葉です。

対人恐怖症と社交不安障害(SAD)の関係

現在の医学的な診断名としては、社交不安障害(SAD)と呼ばれることが一般的で、人前で恥をかくことや否定的に評価されることへの強い不安が続き、日常生活や仕事に支障が出る状態とされています。

社交不安障害(SAD)について詳しく知りたい方は、社会不安障害(社交不安症/SAD)とは?症状・原因・支援制度までを解説をご覧ください。

対人恐怖症の方が仕事で感じる困りごと

対人恐怖症の方が仕事で感じる困りごと
この章のポイント
  • 対人恐怖症の方は、上司への報告・質問・相談に強い不安を感じやすく、確認や相談を後回しにしてしまうことがあります。
  • 電話対応や来客対応、会議、雑談など、その場で受け答えを求められる場面では緊張が高まり、仕事以上に疲れを感じやすくなります。
  • 相手の表情や反応を気にしすぎることで、やり取りのあとも不安が続き、ミスそのものより「どう思われたか」で落ち込みやすくなります。

対人恐怖症の方は、仕事そのものよりも、人と関わる場面で強い不安や緊張を感じやすいことがあります。ここでは、対人恐怖症の方が仕事で感じやすい困りごとについて解説します。

上司への報告・質問・相談がしづらい

対人恐怖症の方は、上司への報告・質問・相談に強いハードルを感じることがあります。

「忙しそうだから、今話しかけたら迷惑かもしれない」「うまく説明できず、変に思われたらどうしよう」「こんなことを聞いたら呆れられるかもしれない」と不安が強くなり、声をかけるまでに時間がかかってしまうためです。

その結果、確認したいことがあっても一人で抱え込みやすくなり、報告が遅れたり、分からないまま仕事を進めてしまったりすることもあります。

本来なら早めに相談したほうがスムーズに進む場面でも、不安や緊張が先に立つことで、相談等を後回しにしてしまいます。

電話対応や来客対応で強く緊張する

対人恐怖症の方は、電話対応や来客対応のように、その場で受け答えを求められる場面で強い緊張を感じることがあります。

電話では相手の表情が見えないまま話す必要があり、来客対応ではその場に合わせた振る舞いや言葉遣いが求められます。

そのため、「うまく対応できなかったらどうしよう」「失礼な印象を与えてしまうかもしれない」「相手を不快にさせたらどうしよう」と不安が高まりやすくなります。

電話が鳴るだけで身構えたり、来客対応の予定があるだけで朝から気が重くなったりすることも珍しくありません。

その結果、業務そのものよりも電話や来客対応に強い負担を感じ、仕事が終わるころには必要以上に疲れてしまうことがあります。

会議や雑談で「何を話せばいいか」分からなくなる

対人恐怖症の方は、会議や雑談のように、その場に合わせた発言を求められる場面で言葉に詰まりやすいことがあります。

「変なことを言ったらどうしよう」「場違いな発言だと思われたくない」「つまらない人だと思われたくない」と不安が強くなると、頭の中が真っ白になり、言いたいことがまとまらなくなるためです。

特に会議では、急に意見を求められたり、周囲の視線を感じたりすることで、緊張が高まりやすくなります。

また、雑談でも「何を話せば自然なのか分からない」「会話が続かなかったら気まずい」と感じやすく、何気ないやり取りにも大きな負担を感じることがあります。

その結果、発言を避けるようになったり、自分の受け答えを必要以上に反省したりして、仕事そのものよりも人と話す場面に強い疲れを感じやすくなってしまいます。

相手の表情や反応を気にしすぎて疲れる

対人恐怖症の方は、相手の表情や反応を気にしすぎて疲れてしまうことがあります。

話している最中や話し終わったあとに、「今の言い方でよかったのかな」「嫌な気持ちにさせていないかな」「変に思われたかもしれない」と考え続け、気を張り続けてしまうためです。

特に、相手が少し無表情だったり、返事がそっけなく感じられたりすると、「怒らせたかもしれない」「嫌われたかもしれない」と受け止めてしまいます。

そのため、ひとつひとつのやり取りで大きく消耗しやすく、仕事そのものよりも人と接することに疲れを感じやすくなります。

ミスそのものより「どう思われたか」で落ち込みやすい

ミスそのものよりも、「相手にどう思われたか」で強く落ち込みやすいことも、対人恐怖症の方が仕事で感じやすい困りごとのひとつです。

例えば、小さなミスをした時でも、「仕事ができない人だと思われたかもしれない」「呆れられたのではないか」「もう信頼されないかもしれない」と考えてしまい、必要以上に引きずってしまうことがあります。

本来であれば、ミスは原因を確認して対応すれば済む場面でも、対人恐怖症の方はその後の相手の表情や言い方、態度が気になりやすい傾向があります。

そのため、ミスそのものへの反省以上に、「どう見られたか」「嫌われていないか」といった不安が大きくなり、気持ちの切り替えが難しくなることがあります。

対人恐怖症の方がしんどくなりやすい仕事・職場の特徴

対人恐怖症の方がしんどくなりやすい仕事・職場の特徴
この章のポイント
  • 営業や接客など初対面対応が多い仕事では、相手の反応が分かりにくく、その場に合わせた対応が求められるため、緊張や疲れが強くなりやすいです。
  • 電話対応やクレーム対応、対面交渉のように即答や冷静な対応を求められる場面では、不安やプレッシャーが高まりやすくなります。
  • 雑談や対面コミュニケーション、異動・転勤など人間関係の変化が多い職場では、常に気を張り続けることで消耗しやすくなります。

ここでは、対人恐怖症の方がしんどさを感じやすい仕事や職場の特徴について解説します。

営業や接客など、初対面対応が多い

営業や接客など、初対面の相手と関わる機会が多い仕事は、対人恐怖症の方にとって負担が大きくなることがあります。

初対面の相手に対しては、相手の反応や受け取られ方が分かりにくいため、「変に思われたらどうしよう」「感じが悪いと思われないかな」と不安や緊張が高まりやすくなるためです。

また、営業や接客では、その場での受け答えや表情、振る舞いが求められる場面も少なくありません。

相手に合わせて臨機応変に対応する必要があるため、人と関わること自体に強い不安がある方にとっては、気を張る時間が長くなりやすく、疲れやすさに繋がります。

電話が多く、即答を求められる

電話が多く、その場で即答を求められる仕事や職場は、対人恐怖症の方にとって負担が大きくなりやすいです。

電話では相手の表情が見えないまま受け答えをしなければならず、考える時間も限られるため、「言い方を間違えたらどうしよう」「失礼に思われたらどうしよう」と不安や緊張が強まりやすくなるためです。

また、電話対応では、その場で質問に答えたり、状況を判断したりする場面も少なくありません。

落ち着いて考える前に返答を求められることで、焦りやプレッシャーを感じやすくなり、電話が鳴ること自体が大きなストレスになることもあります。

雑談や対面コミュニケーションが多い

雑談や対面でのコミュニケーションが多い職場では、業務上のやり取りだけでなく、ちょっとした会話やその場の空気を読む場面が増えやすくなります。

そのため、対人恐怖症の方は「何を話せばいいのか分からない」「変に思われたくない」「気まずい雰囲気にしたくない」と不安や緊張が高まりやすくなることがあります。

特に、雑談が多い職場では、仕事に直接関係のない会話にも自然に入ることを求められる場合があります。

そのたびに相手の表情や反応を気にしてしまい、何気ないやり取りでも気を張り続けることで、人と関わること自体に疲れを感じやすくなります。

クレーム対応や対面交渉が多い

クレーム対応や対面での交渉では、相手の不満や要望を受け止めながら、その場で冷静に対応することが求められます。

対人恐怖症の方は、「うまく対応できなかったらどうしよう」「さらに相手を不快にさせてしまうかもしれない」と不安や緊張が強まりやすく、相手の表情や口調から強い圧力を感じてしまうこともあります。

その結果、一度のやり取りでも大きく消耗し、仕事そのものよりも、人と向き合う場面に強いストレスを感じやすくなります。

異動・転勤・人間関係の変化が多い

異動や転勤、担当業務の変更が多い職場では、そのたびに新しい環境や人間関係に慣れる必要があります。

新しい環境に慣れるまでのあいだは、関わる相手の雰囲気や距離感が分からず、「どう接すればいいのか」「変に思われないだろうか」と不安や緊張が高まりやすくなります。

また、職場や担当業務が変わるたびに、一から人間関係を築いたり、新しい相手に報告・相談したりする必要が出てくるため、そのたびに気を張り、ストレスを感じやすいです。

対人恐怖症の方が働きやすい仕事・職場の特徴

対人恐怖症の方が働きやすい仕事・職場の特徴
この章のポイント
  • 対人恐怖症の方が仕事を選ぶ時は、職種名だけでなく、人との関わり方や職場環境まで確認することが大切です。
  • 1人で作業する時間が多く、やり取りの相手や内容がある程度決まっている仕事は、不安を抑えながら働きやすい傾向があります。
  • 電話や接客が少なく、チャット・メール中心で働き方を調整しやすい職場では、対人場面の負担を減らしやすくなります。

対人恐怖症の方が仕事を選ぶ時は、職種名だけで判断するのではなく、人との関わり方や職場環境にも目を向けることが大切です。

ここでは、対人恐怖症の方が働きやすい仕事・職場の特徴について解説します。

1人で仕事を進める時間が多い

常に誰かと会話をしたり、その場で受け答えをしたりする場面が少ないため、1人で作業に集中できる時間がある仕事が働きやすいといえます。

自分のペースで作業に集中しやすいため、相手の表情や反応を気にしたり、プレッシャーも少なく、落ち着いて仕事に取り組みやすいです。

やり取りの相手や内容がある程度決まっている

対人恐怖症の方は、関わる相手や会話の内容にある程度パターンがある仕事のほうが、働きやすいと感じる傾向があります。

関わる相手が頻繁に変わらない職場では、「どのように話せばよいか」「どのようなやり取りが必要か」を事前にイメージしやすくなります。

そのため、「何を話せばいいのか分からない」「変に思われたらどうしよう」といった不安を抑えやすくなるでしょう。

また、毎回まったく違う対応を求められることが少ないため、必要以上に身構えずにやり取りしやすくなる点も、対人恐怖症の方にとって働きやすい環境といえます。

電話や接客が少なく、チャットやメール中心

電話や接客よりもチャットやメールでのやり取りが中心の職場では、その場で返答を求められる場面が少なく、話す前に内容を整理しやすいため、対人恐怖症の方でも落ち着いて対応しやすいです。

また、チャットやメールであれば、どんな内容を伝えるかを言葉を選びながら文面を作成できるため、「うまく答えられなかったらどうしよう」「失礼な言い方になったらどうしよう」といった不安を減らすことができます。

働き方を調整しやすい

対人恐怖症の方は、勤務時間や業務量、働く場所を調整しやすい職場のほうが、対人場面での緊張や、気を張り続けることによる疲れを抑えながら働きやすい傾向があります。

例えば、在宅勤務ができれば、対面でのやり取りを減らしやすくなります。

また、時短勤務の場合は、勤務時間を短くすることで、対人場面での緊張や疲れが限界まで積み重なる前に休みやすくなるでしょう。

さらに、業務量を調整できる職場であれば、不安や緊張が強い日にも無理を重ねにくくなります。

なお、対人恐怖症のような不安が仕事や生活に大きく影響しており、医療機関で社交不安障害などの診断を受けている場合は、状態によって精神障害者保健福祉手帳の取得対象となる場合があります。

精神障害者保健福祉手帳を取得している場合は、障害者雇用という働き方を選び、勤務時間や業務内容、コミュニケーション方法などについて配慮を相談できる可能性があります。

精神障害者保健福祉手帳について、詳しく知りたい方は、「精神障害者保健福祉手帳とは?取得の条件・支援内容・申請手続きまで解説」をご覧ください。

対人不安が強い方でも取り組みやすい仕事例

対人恐怖症の方に向いている仕事は、単に「人と関わらない仕事」ではなく、人前で話す機会が少ないこと、急な対応が少ないこと、自分のペースで進めやすいことなどを基準に考えることが大切です。

例えば、以下のような仕事は、対人場面の負担を抑えながら働きやすい場合があります。

  • データ入力:決められた情報を入力する作業が中心で、1人で集中しやすい
  • 事務補助:書類作成や整理など、手順が決まった業務に取り組みやすい
  • Webライティング・Web制作補助:文章作成や更新作業など、パソコンを使って進めやすい
  • 軽作業・清掃:作業内容が比較的明確で、職場によっては人との会話が少ない場合がある
  • IT系のテスト・チェック業務:確認作業や不具合のチェックなど、コツコツ進めやすい

ただし、同じ職種でも、職場によって電話対応の有無やチームでのやり取りの多さは異なります。仕事を選ぶときは、職種名だけで判断せず、実際の業務内容やコミュニケーションの頻度も確認しましょう。

また、不安を避け続けることだけを目標にするのではなく、自分に合った環境の中で少しずつ対人場面に慣れていくことも大切です。

対人恐怖症と関連の深い社会不安障害のある方に向いている仕事や職場環境については、社会不安障害(社交不安障害/SAD)の方に向いている仕事とは?特徴・おすすめ職種を解説でも詳しく解説しています。

今の職場でできる工夫・対策

この章のポイント
  • 報告や質問の前に、伝えたい内容を「結論・状況・確認したいこと」に分けてメモしておくと、落ち着いて話しやすくなります。
  • 声をかけるタイミングやよく使う言い回しをあらかじめ決めておくことで、毎回迷う負担を減らしやすくなります。
  • 相手の反応が気になりすぎる時は、感じた不安と実際に起きた事実を分けて見直すことで、考えを整理しやすくなります。

すぐに転職や退職を考える前に、今の職場で負担を減らす工夫を試してみることも大切です。ここでは、対人恐怖症の方が今の職場で試しやすい工夫や対策について解説します。

話す内容を頭の中だけで考えず、伝えたいことをメモする

話す内容を頭の中だけで考えず、伝えたいことをメモしておくこともおすすめです。

頭の中だけで整理しようとすると、不安や緊張が強くなった時に、言いたいことがまとまらなくなったり、大事なことが抜けてしまったりしやすくなります。

あらかじめ、報告したい内容や質問したいことを短く書き出しておけば、何を伝えるべきかを整理しやすくなり、落ち着いて話しやすくなるでしょう。

メモは、「結論・状況・確認したいこと」の3つに分けて書くと、伝える内容を整理しやすくなります。

項目 書く内容
結論 まず伝えたいこと 〇〇の作業は完了しました
状況 今どうなっているか △△の確認待ちです
確認したいこと 相手に聞きたいこと このまま進めてよいでしょうか

報告や質問は、声をかけるタイミングを固定する

報告や質問は、声をかけるタイミングをある程度決めておくのもいいでしょう。

毎回「今話しかけていいのかな」「忙しそうだから後にしたほうがいいかもしれない」と考えすぎてしまうと、不安が強くなり、なかなか声をかけられなくなることがあります。

そのため、あらかじめ「どのタイミングで声をかけるか」を決めておくと、迷う時間を減らしやすくなります。

場面 タイミングの例
進捗を報告したいとき 午前中に1回、または退勤前に1回報告する
分からないことを質問したいとき 10分考えても分からなければ質問する
作業の方向性を確認したいとき 作業に入る前、または途中で一度確認する
急ぎではない相談をしたいとき チャットで「お時間のあるときに確認したいです」と送る
声をかけるのが不安なとき まずメモを作ってから、相手が落ち着いているタイミングで話しかける

例えば、「午前中に一度報告する」「10分考えて分からなければ質問する」「作業が一区切りついたら確認する」など、自分の中でルールを決めておくと、必要以上に迷いにくくなります。

よく使う言い回しを自分の中でパターン化する

報告・質問・相談などでよく使う言い回しを、自分の中である程度パターン化しておくのもおすすめです。毎回一から言葉を考えなくてすむため、気持ちの負担を減らしやすくなります。

対人恐怖症の方は、「どう言えばいいのか分からない」「変な言い方になったらどうしよう」と不安になりやすく、言葉を選ぶだけで強い緊張を感じることがあります。

例えば、「◯◯について確認したいです」「ここまで進みました」「この点で迷っています」など、自分が使いやすい言い回しをいくつか持っておくだけでも、落ち着いて声をかけやすくなるでしょう。

分類 具体的なフレーズ例
報告の例
「〇〇の作業は、ここまで進んでいます。」
「〇〇については、予定していたところまで完了しました。」
「現時点では、〇〇まで対応できています。」
「進捗をご報告すると、〇〇の段階まで進んでいます。」
質問の例
「〇〇について1点確認したいです。」
「この部分の進め方について、確認してもよろしいでしょうか。」
「〇〇の場合は、この対応で合っていますか。」
「判断に迷っているため、〇〇について教えていただけますか。」
相談の例
「〇〇の進め方で迷っているため、ご相談したいです。」
「この対応で問題ないか、ご意見をいただきたいです。」
「一度状況を共有したうえで、相談させてください。」
「自分では〇〇と考えていますが、ご確認いただけますか。」
困ったときに使いやすい短い例
「少し確認させてください。」
「1点ご相談があります。」
「〇〇についてお時間よろしいでしょうか。」
「迷っている点があるので、確認したいです。」

相手の反応を考えすぎた時は、事実だけを見直す

相手の表情や返事が少し気になっただけで、「嫌われたかもしれない」「変に思われたかもしれない」と考えが広がってしまうことがあります。

ですが、そのとき頭に浮かんだ不安は、あくまで「そう感じた」ことであって、事実そのものとは限りません。まずは、相手の反応について自分が感じたことと、実際に起きた事実を分けて考えることが大切です。

こうしたときに役立つのが、認知行動療法で使われるコラム法です。

コラム法とは「状況」「気分」「自動思考」「根拠」「反証」「バランス思考・プラン」などを書き出し、頭の中の考えを整理する方法です。

例えば、「上司の返事が短かった」というのは事実ですが、「嫌われたかもしれない」「怒っているのかもしれない」というのは、その出来事に対する自分の考えです。

さらに、「今日は忙しかったのかもしれない」「返事は短くても、内容自体は否定されていない」といった別の見方も加えることで、不安を少し客観的に見直しやすくなります。

転職を考えるなら、仕事内容より「職場環境」を見る

この章のポイント
  • 転職先を選ぶ時は、仕事内容だけでなく、人との関わり方や職場環境まで確認し、自分にとって負担になりやすい条件を整理することが大切です。
  • 電話対応や初対面対応、雑談、クレーム対応など、避けたい条件を明確にしておくことで、自分に合わない職場を選びにくくなります。
  • 最初から正社員だけに絞らず、契約社員やパート、在宅勤務、短時間勤務なども含めて考えると、無理なく続けやすい働き方を見つけやすくなります。

転職先を選ぶときは、「どんな仕事をするか」だけでなく、どのような環境で、どのように人と関わるかまで確認することが大切です。

ここでは、対人恐怖症の方が転職を考えるときに意識したいポイントを紹介します。

「向いている仕事」より「避けたい条件」を明確にする

仕事を探す時は、「自分に向いている仕事は何か」を考えるだけでなく、「どのような条件だとつらくなりやすいか」を整理することも大切です。

対人恐怖症の方は、人と関わることそのものよりも、初対面対応が多い、電話が多い、雑談が多い、その場で即答を求められるといった条件で、負担が大きくなりやすいことがあります。

避けたい条件の例 負担になりやすい理由
電話対応が多い その場で返答を求められ、焦りやすい
初対面の人と接する機会が多い 相手の反応が読みにくく、緊張しやすい
雑談や飲み会などの交流が多い 何を話せばよいか分からず、気を遣いやすい
クレーム対応がある 相手の怒りや不満を受け止める負担が大きい
毎回ちがう相手とやり取りする 関係性を一から作る必要があり、疲れやすい
急な依頼や即答を求められる 落ち着いて考える時間が取りにくい

最初から理想の仕事を絞り込もうとするよりも、まずは「避けたい条件」を明確にしておくほうが、自分に合わない仕事を選びにくくなります。

求人を見るときも、仕事内容だけでなく、コミュニケーションの多さや働き方、職場の雰囲気などを確認しながら、自分が無理なく続けやすい環境かどうかを考えることが大切です。

いきなり正社員に絞らず、働き方を広く考える

仕事を考える時は、最初から正社員だけに絞らず、自分に合う働き方を広く知ることも大事になります。

対人恐怖症の方は、仕事内容だけでなく、勤務時間や働く場所、人との関わり方によって負担の大きさが変わりやすいためです。

働き方 特徴 向いているケース
正社員 安定した雇用が期待できる一方で、勤務時間や業務範囲が固定されやすい 体調や対人面の不安がある程度落ち着いており、長く働く見通しを立てたい場合
契約社員 期間を区切って働く形で、仕事内容や勤務条件が決まっていることが多い まずは決まった範囲の業務から働きたい場合
アルバイト・パート 勤務日数や時間を調整しやすい場合がある 短時間から働き始めたい場合や、体力面・対人面の負担を抑えたい場合
在宅勤務 自宅などで働けるため、通勤や対面でのやり取りを減らしやすい 対面コミュニケーションや通勤の負担を減らしたい場合
短時間勤務 1日の勤務時間を短くして働く形 長時間気を張り続けることが負担になりやすい場合
まずは心身への負担を抑えながら働ける形を見つけ、そのうえで少しずつ働き方を広げていくほうが、結果として長く続けやすくなることがあります。

一人で抱え込まないための相談先

この章のポイント
  • 仕事で人と関わることがつらい時は、家族や身近な人など話せそうな相手に、伝えやすい部分だけ少し話してみることも大切です。
  • 社内で相談する時は、上司・人事・産業医など相手の役割に合わせて、業務の進め方や働き方、体調面の不安を分けて伝えると相談しやすくなります。
  • 今の働き方がしんどい場合は、就労移行支援を活用しながら、自分に合う仕事や職場環境を整理していく方法もあります。

ここでは、対人恐怖症の方が仕事の悩みを抱え込まないために知っておきたい相談先について紹介します。

話せそうな相手がいるなら、少しだけ状況を伝えてみる

対人恐怖症の方の中には、家族や身近な人に対しても、自分のつらさを話しにくいと感じる方がいます。

ただ、もし話せそうな相手がいるなら、「仕事で人と関わるとすごく疲れる」「報告や電話で緊張しやすい」など、伝えやすい部分だけを少し話すのもいいかもしれません。

状況 伝え方の例
仕事で人と関わることがつらい 「仕事で人と話す場面が続くと、すごく疲れてしまうことがある」
報告や電話対応が苦手 「報告や電話の前にかなり緊張して、終わったあとも疲れが残りやすい」
まだ詳しく話すのが難しい 「うまく説明できないけど、最近仕事の人間関係でしんどさを感じている」
解決策より話を聞いてほしい 「今すぐ答えがほしいわけではなくて、少し話を聞いてもらえると助かる」

社内に相談する

社内に相談する時は、相手の役割に合わせて、仕事の進め方の相談なのか、働き方の相談なのか、体調面の相談なのかを分けて考えると、必要な相談につながりやすくなります。

例えば、上司には仕事の進め方や業務の負担について、人事には働き方や配置、利用できる制度について相談しやすい場合があります。

また、会社に産業医や産業保健スタッフがいる場合は、体調面や就業上の不安について相談できることもあります。

ただし、産業医や産業保健スタッフの有無、相談できる内容は会社によって異なります。

社内に相談窓口があるか分からない場合は、就業規則や社内ポータルを確認したり、人事に問い合わせたりするとよいでしょう。

相談相手 相談しやすい内容
上司 業務の進め方、報告のしづらさ、電話対応の負担、優先順位
人事 配置、勤務時間、働き方、制度利用、異動
産業保健スタッフ・産業医 体調面、不安や緊張、就業上の配慮、受診の相談

次の3点だけでも伝えられると、相手に伝わりやすくなります。

  • どの場面で困るか:例)電話、報告、会議、雑談
  • どう困るか:例)緊張して言葉が出ない、後回しにしてしまう、疲れ切ってしまう
  • どうしたいか:例)進め方を相談したい、働き方を見直したい、配慮の余地があるか知りたい

就労移行支援で自分に合った働き方を見つける

「今の働き方がしんどいけれど、自分に合う仕事や職場が分からない」と感じている方は、就労移行支援を活用しながら、自分に合った働き方を整理していくこともひとつの方法です。

就労移行支援では、生活リズムを整えることや、体調に合わせた通所・在宅での訓練、自己理解、仕事選び、応募書類の作成、面接練習など、就職に向けた準備を段階的に進められます。

実際の対人場面でどのようなことに不安を感じやすいのか、どのような環境なら働きやすいのかを整理しながら、自分に合う仕事や職場を考えやすくなるのが特徴です。

狩野淳
監修者からのメッセージ

狩野淳 (臨床心理士・公認心理師)

臨床心理の世界では、「話すことは、離すこと」と表現されることがあります。自分の気持ちや悩みを言葉にして誰かに話すことで、頭の中で絡まっていた不安や緊張が整理され、少し距離を取って考えやすくなることがあるためです。

もちろん、「こんな話をして迷惑ではないかな」「うまく説明できない」「話しても困らせてしまうかもしれない」と感じる方も少なくありません。ですが、悩みを抱え込んでいるときほど、自分だけで考え続けてしまい、不安が大きくなってしまうことがあります。

話すことで気持ちを整理するポイント
  • 「話すことは、離すこと」言葉にすると不安や緊張と距離を置ける
  • 一人で抱え込んで考え続けるときほど、不安が大きくなりやすい
  • 家族・身近な人・職場の相談先・医療機関など、安心できる相手を選ぶ

就労移行支援manabyでも自分らしい働き方サポート

対人恐怖症のような不安があり、「人と関わる場面がつらい」「自分に合う仕事や働き方が分からない」と感じている場合は、一人で抱え込まず、支援を受けながら整理していくことも大切です。

就労移行支援manaby(マナビー)では、一人ひとりの体調や特性、希望に合わせて、就職に向けた準備をサポートしています。

例えば、生活リズムを整えることや、自己理解、仕事選び、応募書類の作成、面接練習などを通して、自分に合った働き方を考えていくことができます。

体調管理・ストレス対処のサポート
毎日を少しずつ安定させるために、生活リズムやメンタル面の整え方を一緒に考えます。
自分のペースで学べるeラーニング「マナe
PCスキル・ITスキルを、外出が難しい時も自宅でゆっくり習得できます。
在宅支援で安心して訓練できる(自治体により利用可否あり)
外出が不安な方でも、自宅から通所と同じ支援を受けられます。
就職活動のサポート(履歴書・面接・求人探し)
苦手になりやすい書類作成や面接練習も、支援員が伴走します。
就職後の「定着サポート」が充実
働き始めてからの悩みや不安も相談でき、長く働き続けるためのフォローがあります。

通所だけでなく、在宅での訓練に対応しているため、「人と関わる場面に強い緊張がある」「まずは落ち着いた環境で準備を始めたい」という方もぜひお問い合わせください。

対人恐怖が生活・仕事に影響がある場合は医療機関やカウンセリングも

この章のポイント
  • 対人恐怖が生活や仕事に影響している場合は、「病院に行くほどではない」と決めつけず、医療機関やカウンセリングに相談することが大切です。
  • 精神科では不安や緊張、不眠、動悸などこころの症状全般を相談でき、仕事や日常生活に支障が出ている場合の相談先になります。
  • 心療内科やカウンセリングでは、ストレスによる体の不調や気持ちの整理について相談できるため、対応範囲を事前に確認しておくと安心です。

「病院に行くほどではないかもしれない」と感じていても、報告や電話対応の前に強く身構えてしまう、人と関わる場面を避けるようになっている、動悸や息苦しさなどの症状が出る、といった状態が続く場合は、一度相談してみることが大切です。

相談先としては、精神科や心療内科、カウンセリングなどがあります。症状や困りごとに合った支援を受けるためにも、事前にどのような相談に対応しているか確認しておくと安心です。

相談先 こんなときに合いやすい 主に相談できること
精神科(精神神経科) 不安や緊張が強く、仕事や日常生活に支障が出ているとき 対人不安や気分の落ち込み、不眠、動悸などを含めたこころの症状全般の相談・診療
心療内科 ストレスで体の不調も出ていて、心と体の両方を相談したいとき ストレスが関係する身体症状の相談。実際には不安障害などのこころの病気を診る医療機関も多いが、対応範囲は医療機関ごとに異なる
カウンセリング(公認心理師など) すぐに受診するか迷っている、気持ちや考えを整理したいとき 心理状態の整理、相談、助言、心理的な支援。必要に応じて医師などと連携して支援されることもある

対人恐怖症×仕事に関するよくある質問

ここでは、対人恐怖症と仕事に関してよくある質問をまとめました。

対人恐怖症には、どのような仕事が向いていますか?

対人恐怖症の方には、1人で進める時間が長い仕事、やり取りの相手や内容がある程度決まっている仕事、電話や接客が少なくチャットやメール中心で進めやすい仕事などが向いている傾向があります。

人前で話す機会や初対面とのやり取り、急な対応が多い環境では不安が強まりやすいため、静かで落ち着いた環境や、自分のペースで進めやすい仕事かどうかも大切なポイントです。

対人恐怖症と関連の深い社会不安障害(社交不安障害/SAD)に向いている仕事とは?特徴・おすすめ職種を解説の記事もご覧ください。

職場の人間関係がつらい時は、誰に相談すればよいですか?

まずは、困っている内容に合わせて相談先を選びましょう。

例えば、日々の仕事の進め方や業務上のやり取りに悩んでいる場合は、まず上司に相談しやすいでしょう。勤務時間や配置、社内制度について確認したい場合は、人事が相談先になります。

また、不安や緊張、体調面も含めて相談したい場合は、産業医や保健師などの産業保健スタッフに相談できることもあります。

ただし、産業医や産業保健スタッフの有無、相談できる内容は会社によって異なるため、社内窓口や人事に確認してみると安心です。

対人恐怖症かもしれないと感じたら、病院に行ったほうがよいですか?

「病院に行くほどではないかもしれない」と感じていても、人と関わる場面で強い不安や緊張が続き、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、一度相談を考えてみることが大切です。

報告や電話対応の前に強く身構える、人と関わる場面を避けるようになっている、動悸や息苦しさが出る、といった状態が続く場合は、早めに専門家へ相談することで、気持ちや状況を整理しやすくなる、症状が強くなる前に対処しやすくなることがあります。

「人と関わるのが苦手」でも、働きやすい形は探せる

人と関わることに苦手意識があると、「自分には働くのは難しいのではないか」と感じてしまうこともあるかもしれません。

ですが、仕事のしづらさは性格だけで決まるものではなく、仕事内容や職場環境、働き方との相性によって大きく変わります。

例えば、1人で進める時間が長い仕事や、電話・接客が少ない仕事、やり取りの相手や内容がある程度決まっている仕事であれば、対人場面での負担を抑えやすくなります。

また、在宅勤務や短時間勤務など、自分に合った働き方を選べることで、無理をしすぎずに働きやすくなることもあります。

大切なのは、「苦手だから無理」と決めつけるのではなく、自分がしんどくなりやすい条件や、続けやすい環境を少しずつ整理していくことです。

一人で考えるのが難しい場合は、社内の相談先や医療機関、カウンセリング、就労移行支援などを活用しながら、自分に合った働き方を探していきましょう。

狩野淳
監修者からのメッセージ

狩野淳 (臨床心理士・公認心理師)

「人と関わることがつらい」と感じると、自分の性格や努力不足の問題のように思えてしまう方もいます。しかし実際には、対人不安の感じやすさには個人差があり、仕事内容や職場環境との相性も大きく影響します。

大切なのは、「無理に頑張り続けること」だけではなく、自分がどのような場面で負担を感じやすいのかを整理し、働き方や相談先を含めて調整していくことです。

自分に合った働きやすさを見つける視点
  • 対人不安の感じやすさは「個人差や環境との相性」が影響する
  • 自分が「どのような場面で負担を感じやすいか」を整理する
  • 不安を完全になくそうとせず「周囲のサポート」を受けながら進める

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狩野 淳

臨床心理士/公認心理師
2013年に心理学部を卒業後、大学院で発達・臨床心理学を学び、臨床心理士・公認心理師を取得。福祉事業所に勤務し、子どもと保護者を対象に心理支援を行っている。ABAやCBT、ブリーフセラピーを用いた実践的な支援を提供している。

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