統合失調症の仕事選びのポイント|向いている仕事・続けるコツ・支援制度
- 統合失調症とは?どんな症状がある?
- 統合失調症の方が仕事で直面しやすい困りごと4選
- 注意がそれやすく、作業が中断しやすい
- エネルギー消耗が激しく、疲れやすい
- コミュニケーションの負担が大きく、対人関係のストレスを感じやすい
- 計画が崩れると混乱しやすく、柔軟な対応が難しい
- 統合失調症のある方に向いている仕事や職場環境とは?
- 柔軟な働き方ができる職場
- 騒音が少なく、集中しやすい環境
- 決まった流れで進められる仕事
- 無理にコミュニケーションを求められない職場
- 避けたほうがよい環境
- 統合失調症のある方が自分に向いている働き方をするためには?
- 障害者雇用制度
- 病気を職場に伝えるか(オープン就労・クローズド就労)
- 特例子会社
- 就労継続支援
- 『働く』をサポートする支援サービスの紹介
- 就労移行支援
- 就労継続支援と就労移行支援の主な違い
- 障害者就業・生活支援センター
- 地域障害者職業センター
- サポートステーション(地域若者サポートステーション)
- ハローワークの障害者専門窓口
- 障害者雇用専門の転職エージェント
- 統合失調症のある方が働き始めるまで
- 1.働いてもよいと医師から許可をもらう
- 2.就活の準備をする
- 3.支援機関を利用し就活準備を進める
- 4.求人を探し応募する
- 5.就職
- 統合失調症の方が仕事を長く続けるためのポイント
- 服薬と通院を続ける
- 調子が崩れ始めるサインを把握する
- 睡眠や趣味の時間を確保して休む
- 相談できる人・場所を持つ
- 統合失調症で休職したあとの復職・再就職の進め方
- 統合失調症の方が職場に疾患の特性を伝えて復職した事例
- よくある質問
- 統合失調症の方に向いている仕事は?
- 統合失調症があることは職場に伝えたほうがよいですか?
- 仕事中に症状が強くなったときはどうすればよいですか?
- 就職活動が不安なときは、どこに相談できますか?
- 統合失調症と向き合いながら、自分らしく働く
- あわせて読みたい
統合失調症は、気分や行動、人間関係など日常生活への影響が大きい病気です。統合失調症を抱えながら働くとなると、不安が大きいかもしれません。
「どうすれば、統合失調症があっても自信を持って仕事に取り組めるだろう?」
「体調に不安がありながら、どうやって働くんだろう?」
こうした悩みもあるかもしれません。
しかしながら実際に、統合失調症とうまく付き合いながら働いている方は多くいらっしゃいます。
本記事では、統合失調症を抱えた方が仕事で直面しやすい問題から、向いている仕事や職場・働き方の解説、働き始めるまでの手順に加えて、仕事を続けるポイントや復職の進め方も紹介しています。ぜひ本記事を読んで、仕事探しの参考にしてみてくださいね。
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統合失調症とは?どんな症状がある?
- 統合失調症は、考えや気持ちがまとまりにくくなる精神疾患で、100人に1人くらいがかかるとされています。
- 症状は、幻覚や妄想などの「陽性症状」、意欲や感情の動きが減る「陰性症状」、考えがまとまりにくくなる「認知や行動の障害」に整理できます。
- 症状の現れ方は人によって異なるため、どのような症状がどのように仕事へ影響するのかを整理しておくと、働き方を考えやすくなります。
統合失調症は、気持ちや考えがまとまらなくなり、日常生活に様々な影響が起きてしまう精神疾患です。
厚生労働省によると、およそ100人に1人ぐらいがかかるとされ、特別珍しい病気ではありません。発症の正確な原因は明らかになっていませんが、統合失調症は回復を目指せる病気で、長い経過で見ると過半数の方が回復するといわれています。
主な症状は、大きく次の3つに整理できます。
症状の現れ方や程度は一人ひとり異なりますが、こうした症状は、集中力や疲れやすさ、人との関わり方といった仕事の場面にもそのまま影響しやすくなります。
治療は薬物療法が基本で、主治医と相談しながら通院を続けることが大切です。仕事を続けるうえでの服薬や通院のポイントは、後半の章であらためて紹介します。
参考:厚生労働省「統合失調症(こころもメンテしよう)」「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」
統合失調症の方が仕事で直面しやすい困りごと4選
統合失調症は一人ひとりで症状やその程度は違ってきます。その中でも、統合失調症のある方が働く中でよく直面する困りごとは4つあります。
1つひとつ見ていきましょう。
注意がそれやすく、作業が中断しやすい
統合失調症の方は、気が散りやすく集中できないと感じる方が多いです。統合失調症の症状として、ものごとを認知する機能に問題が生じてしまうためです。
1つのことに集中することが難しく、作業中に気が散って手が止まってしまうことがよくあります。
他のことに気をとられてしまい、文章を最後まで読むのも大変なため、指示や仕事をなかなか覚えられない…と困ってしまうことも。
エネルギー消耗が激しく、疲れやすい
ものごとを認知する機能に問題が生じ、集中がしにくくなっていると、作業を終わらせるために頑張る必要があるため、疲れてしまいやすいです。
周囲の音や光に過敏に反応してしまって、日常生活を送るだけでも非常に疲れてしまうという人もいます。
このような疲れが積み重なり欠勤や遅刻をしてしまい、職場や評価に影響が出てしまうこともあるかもしれません。
疲れに適切に対処できなければ、幻聴などの症状が再発してしまう原因にもなります。
コミュニケーションの負担が大きく、対人関係のストレスを感じやすい
統合失調症は精神疾患であるため、見た目では分かりにくく、状況を理解してもらうことが難しいことがよくあります。
周囲からは「変わり者だ」「やる気のない人だ」と誤解され、職場になじめず孤立してしまった…という人もいます。
そうした対人ストレスから悪口などの幻聴や妄想が起きてしまい、ますます人と関わることが怖くなってしまう可能性もあります。
計画が崩れると混乱しやすく、柔軟な対応が難しい
統合失調症のある方は、一度に多くの情報を処理することが難しいと感じるため、突発的な状況変化への対応が苦手になりやすいです。
何かいつもと違うことが起きた時は、状況を理解して優先順位をつけ、落ち着いて対応していく必要があります。ですが、統合失調症のある方はそうした状況で混乱しやすく、どうすればよいか分からなくなってしまい、強いストレスを感じてしまいます。
突発的な状況変化に適切に対応ができなかったことで、周囲の人から「しっかりしてほしい」と言われてしまうなど、さらにストレスを感じることにもなりかねません。

統合失調症のある方に向いている仕事や職場環境とは?
- 勤務時間や残業を体調に合わせて調整できる柔軟な職場は、疲れやすさのある方が働き続けるうえで役立ちます。
- 静かで集中しやすい環境や、決まった流れで進められる仕事、無理にコミュニケーションを求められない職場は、負担を減らしやすい条件です。
- 夜勤や変則シフト、マルチタスク、頻繁なクレーム対応、強いノルマがある仕事は負担が大きくなりやすいため、事前に確認しておくと安心です。
統合失調症のある方が、困りごとに無理なく対応しながら働ける、向いている仕事や職場環境について紹介します。自分に合ったお仕事を探す参考にしてみてください。
柔軟な働き方ができる職場
長時間の労働や残業は負担が大きく、体調に影響が出てしまうことが考えられます。休職期間を経て再び働こうと思っても、いきなりフルタイムでの勤務は不安に感じてしまうかもしれません。
そのような場合でも、「時短勤務」や「フレックスタイム制」を導入している企業であれば、体調に合わせて無理なく働けます。
「時短勤務」とは、その名の通り「1日の労働時間を短縮して勤務すること」です。
実際の勤務時間は企業や働く方自身の体調などにより、それぞれ変わってきますが、「1日4~6時間×5日間=週20~30時間」の短時間勤務を基本として設けている企業が多いです。
「フレックスタイム制」とは、「決められた合計勤務時間を守れば、毎日の勤務時間は自分で自由に決められる」という制度のことです。
例えば、
「朝は少し遅く出勤して、その分夕方に長く働く」
「毎週水曜日は通院があるので、半日だけ出勤する」
「今日は無理せず3時間だけ働く」
など、柔軟な働き方をすることが可能です。
なお、「13時~15時は必ず出勤」といった「コアタイム」が設けられている場合もあります。
残業については、そもそも「無し」としていたり、「本人が希望しない限り無し」「その時の体調によって調整可能」など、働きやすさを優先している企業もあります。
このように勤務時間や残業について柔軟に決められる職場であれば、負担が少なく働くことができますね。
騒音が少なく、集中しやすい環境
気が散ってしまったり、情報が多すぎて負担が増えてしまうことを避けるためにも、できるだけ静かで集中しやすい環境を選ぶことも大切です。不特定多数の人と関わることが少ない環境であることも、ストレス軽減には重要です。
例えば
「データ入力・ライティング作業」
「検品・ピッキング作業」
などの仕事は、基本的に個人での作業となるため自分のペースで黙々と進めることができ、集中しやすいと言えます。
事務職などオフィス勤務の場合でも、電話があまり鳴らない、話し声も少ない環境を用意している企業や、職種に関わらず、1人で静かにリラックスできる休憩スペースを設けている職場もあります。
また、在宅での仕事であれば、自分で作業環境をコントロールでき、快適で集中しやすい環境を作ることが可能です。
どれぐらいの騒音や人との関わりなら負担が少ないのか、ご自身でもしっかり把握しておくことも、自分に合った仕事探しの基準になります。
決まった流れで進められる仕事
ルーティンワークが中心の仕事は、マニュアルがしっかりしていることも多く、流れが予測しやすいため負担が少なくて済みます。
例えば
「データ入力」
「製造ラインでの作業」
「倉庫での在庫管理」
「清掃作業」
などがあります。
作業の手順や割り振りだけでなく、道具の管理についても細かく決められていたりと、考える負担を減らして効率を上げられるように、工夫をしている職場もあります。
このように仕事の流れが決まっていると、日々の安定したリズム作りにつながり、安定した体調の維持にも役立ちますね。
無理にコミュニケーションを求められない職場
「休憩や食事は1人でとりたい」
「社内イベントなどもあまり参加したくない・できない」
といった業務外でのコミュニケーションについて、個々の都合を重視してもらえる職場の方が、より安定して働けます。
しかし業務中では、何らかの形で人とコミュニケーションをとることは必要になります。作業の指示が無ければ動けませんし、業務が終わったことも報告しなければいけません。そうしたコミュニケーションについても、できるだけ負担の少ない形でとれるようになれば、ストレスを感じずに済みます。
例えば
「口頭だけではなく、メモやチャットでのやり取りを主にしてもらう」
「業務指示・報告は決まった人、決まった時間に行ってもらう」
などの配慮を受けることができれば、負担が減って働きやすくなりますね。
こうした適切な配慮を受けながら仕事をするためには、どのようなコミュニケーションであれば負担が少なくて済むのか、ご自身で把握しておくことも大切です。
避けたほうがよい環境
ここまで向いている仕事や職場環境を紹介しましたが、反対に、統合失調症のある方にとって負担が大きくなりやすい環境もあります。
統合失調症の方は、一度に多くの情報が入ると混乱しやすく、ストレスや環境の変化にも弱い傾向があります。そのため、次のような条件が重なる仕事は、体調を崩すきっかけになってしまう場合があります。
勤務時間が日によって変わると、睡眠や食事のリズムが乱れやすく、体調の管理が難しくなることがあります。
シフトが固定されているか、希望を出せるか、勤務の間隔が十分に空くかを確認しましょう。
複数の指示や作業を同時に進める場面が多いと、優先順位をつけにくくなり、混乱しやすくなります。
指示を出す人が決まっているか、優先順位を示してもらえるかを確認しましょう。
強い言葉を向けられる場面が続くと、気持ちの負担が大きくなり、対人ストレスが積み重なりやすくなります。
電話や窓口の対応が業務に含まれるか、困ったときに相談できる人がいるかを確認しましょう。
成果や期限へのプレッシャーが強いと、緊張や疲れが積み重なり、体調に影響が出やすくなります。
ノルマの有無や期限の決め方、忙しい時期の残業の目安を確認しましょう。
ただし、仕事の負担になる程度は一人ひとり異なります。求人票や職場見学、面接の場で、シフトや仕事の進め方、ノルマの有無を具体的に確認し、主治医や支援員とも相談しながら判断していきましょう。
参考:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」
統合失調症のある方が自分に向いている働き方をするためには?
- 障害者雇用制度や特例子会社、就労継続支援などを活用すると、体調や特性に合わせた環境で働きやすくなります。
- 障害者雇用制度を利用して働くには、障害者手帳の提示が必要です。
- 病気を職場に伝えるかどうかは、オープン就労かクローズド就労かの選択になります。伝え方や範囲は、主治医や支援員と相談しながら決めましょう。
統合失調症の方に向いている仕事の種類や職場環境を紹介しましたが、実際にこうした仕事や職場環境を見つけるのは大変かもしれません。ですが、以下の制度やサービスを利用することで、自分に合った仕事や職場を見つけやすくすることができます。
それぞれを具体的に紹介していきます。
障害者雇用制度
「障害者雇用」とは、障害があっても安心して働けるように企業がサポートする制度のことです。
統合失調症などの病気や障害があっても、それぞれの体調や特性に合わせた働きやすい環境が整っていたり、必要なサポートを受けることができれば、少ない負担で安心して働くことができるようになります。
そのため企業は一般雇用とは別枠で「障害者雇用」を設け、配慮やサポートを行いやすいようにしています。障害者雇用制度を利用して働くためには、障害者手帳の提示が必要です。
病気を職場に伝えるか(オープン就労・クローズド就労)
就職活動を進めるうえで悩みやすいのが、「統合失調症があることを職場に伝えたほうがいいのだろうか」という点です。
病気や障害を職場に伝えて働くことを「オープン就労」、伝えずに働くことを「クローズド就労」といいます。
障害者雇用で働く場合は、障害者手帳の提示を通じて病気や障害を企業に伝えることになり、業務量の調整や短時間勤務、通院への配慮といった「合理的配慮」を受けやすくなります。合理的配慮とは、障害のある方が働きやすいように、企業が個々の状況に応じて行う調整や工夫のことです。
一方で、オープンにすると職場に病気を知られることへの不安を感じる方もいます。「変わり者だと思われないだろうか」「配属や評価に影響しないだろうか」と気になるのは、自然なことです。
統合失調症の特性を職場に具体的に分かりやすく伝えたことが、働きやすい環境づくりにつながった事例もあります。詳しくは、このあとの事例の章で紹介します。
伝えるかどうか、どこまで伝えるかは、一人で決めずに、主治医や支援機関の支援員に相談しながら整理すると安心です。伝える場合は、症状の説明だけでなく、「疲れやすいので時短勤務を希望したい」のように、働くうえで必要な配慮を具体的に添えると、職場も対応を考えやすくなります。
特例子会社
また、障害者雇用を促進するために「特例子会社」を設立している企業もあります。
「特例子会社」とは、「病気や障害のある方でも安心して働ける環境やサポートを、一般的な会社よりもさらに整えている会社」のことです。
特例子会社は障害のある方を雇用することに慣れているため、体調や困りごとについての理解も得られやすくなります。支援を専門とする支援員が配置されていることも多く、より気軽に相談できる体制が整っています。
就労継続支援
「就労継続支援」とは一般企業で働くことが難しい方を対象とした福祉サービスで、支援を受けながら働くことができます。
就労継続支援では「A型」と「B型」があります。
『働く』をサポートする支援サービスの紹介
- 就職活動や体調の維持を一人で進める自信がないときは、就労移行支援や障害者就業・生活支援センターなどの支援機関を活用できます。
- 地域障害者職業センターでは、職業相談や職業評価、職業準備支援など、専門的な職業リハビリテーションサービスを受けられます。
- 支援機関にはそれぞれ役割があるため、どこに相談すればよいか迷ったときは、お住まいの地域の障害者就業・生活支援センターに相談しましょう。
これから就職を目指そうと思っても、統合失調症を抱えている場合、そもそも就職活動自体が大きな負担となり、体調に影響してしまうことも考えられます。
求人探しや書類作成、面接対策だけではなく、実際に働く時と同じような生活リズムへ体調を整えていく必要もあります。こうした就職活動は、休職期間が長い方ほど難易度が高いと感じるかもしれません。
また、無事就職が決まった後も、働きながら体調の維持を続け、職場へ定着できるようにしなければいけません。
「自分一人での就職活動は自信が無い」
「体調について相談しながら自分に合った働き方を見つけたい」
このようなときは、以下の6つの支援機関や窓口の利用がおすすめです。
それぞれを具体的に見ていきましょう。
就労移行支援
「就労移行支援」では、病気や障害を持つ方がスムーズに就職できるように、一人ひとりに合わせた様々なサポートを提供しています。
学べる内容や強みは事業所によって少しずつ異なりますが、共通して以下のようなサポートを受けることができます。
就労継続支援と就労移行支援の主な違い
継続・移行どちらも、基本的には無料で利用ができます。世帯の収入によっては利用料が生じる場合もありますので、支援事業所へ確認しましょう。
障害者就業・生活支援センター
病気や障害のある方の就業と生活の相談・支援を目的とした福祉サービスです。
地域の雇用と福祉をつなぐ役割を担い、就労移行支援・継続支援などの各福祉サービス事業所、医療機関、ハローワークなど、様々な機関への紹介も行っています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、障害のある方に対して専門的な職業リハビリテーションサービスを行っている機関です。就職に向けた職業相談や職業評価、作業や講習を通じて働く準備を整える職業準備支援などを受けられます。
手帳の有無を問わず利用できるとされていますが、就職の際に使われる支援制度の多くは手帳を必要とするため、利用の条件は、お住まいの地域のセンターに確認しておくと安心です。
なお、職業評価は適職や就労の可否を判定するものではなく、職業紹介も行っていないため、求人探しはハローワークと組み合わせて進めます。
統合失調症のある方の場合は、体調や疲れやすさをふまえて、どのような作業なら無理なく進められそうか、客観的に整理するきっかけにもなります。
参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」「北海道障害者職業センター よくある質問」
サポートステーション(地域若者サポートステーション)
15~49歳までの現在働いていない、学校に行っていない方を対象にした、厚生労働省委任の支援機関です。基本的に都市部に開設されており、病気や障害の有無に関わらず利用することができます。
「働く」への第一歩を踏み出すサポートから、「就職した職場に定着する」ところまでのサポートを提供しています。
参考:厚生労働省「地域若者サポートステーション」
ハローワークの障害者専門窓口
厚生労働省が運営する職業紹介所、ハローワークには障害者専門窓口が設置されており、障害者向け求人の紹介の他、仕事の探し方や履歴書の書き方などの相談が可能です。
地域の様々な企業が参加する合同面接会も開催しているため、効率的な就職活動を行うこともできます。
生活リズムや働くスキルに不安がある場合でも、他専門機関などへの紹介を受けられます。
障害者雇用専門の転職エージェント
転職エージェントサービスは様々ありますが、障害者雇用求人を専門に扱う転職エージェントサービスもあります。現在働いていない方でも転職エージェントを利用することは可能です。
希望する職種や働き方について詳しくヒアリングしてもらい、向いている求人の紹介を受けることができます。応募書類の作成支援や面接対策、就職後の継続サポートを行っているところもあります。ハローワークと転職エージェントを併用している方も多いです。
統合失調症のある方が働き始めるまで

「働きたいな」と思っている統合失調症のある方が、これからどのように就職を目指したらよいか、5段階の手順に分けて解説します。
1.働いてもよいと医師から許可をもらう
まずは働きたいと思っていることを主治医に伝えましょう。そして、「症状が落ち着いており、安定した就労を目指せる状態である」と判断してもらいます。
自己判断で就職活動を行ってしまうと急な体調変化や再発の可能性が高くなってしまうため、きちんと主治医から判断してもらいましょう。
ハローワークにて求人紹介を受ける際や、企業へ応募する条件として「医師の許可」が求められる場合もあります。
2.就活の準備をする
就労を目指してよいと医師から許可をもらったら、就職活動の準備に入ります。この時点で主に取り組む内容は次の4つです。
もしこれらについて、1人で取り組むのが難しい、不安があるという場合でも、『働く』をサポートする支援サービスを利用することで、自分に合ったサポートを受けながら準備を進めることができます。次の「3.支援機関を利用し就活準備を進める」へ進みましょう。
自分で問題なく準備ができるという場合は、「4.求人を探し応募する」へ進みましょう。
3.支援機関を利用し就活準備を進める
支援機関を利用したい方は前項で紹介した「障害者就業・生活支援センター」「地域障害者職業センター」「就労移行支援」「サポートステーション(地域若者サポートステーション)」いずれかの利用を検討してみましょう。
どの支援機関を選べばよいか分からないときは、お住まいの地域の「障害者就業・生活支援センター」へ相談してみましょう。体調や希望に合わせた他機関への紹介あっせんも行っているため、自分に合った支援機関を見つけることができます。
支援機関の利用を開始したら、サポートを受けながら就活・就労へ向けて準備を進めていきます。
4.求人を探し応募する
準備が整ったら、いよいよ就職活動本番です。「ハローワーク」や「転職エージェント」などを利用しながら求人を探し、応募します。
支援機関を利用している場合は、その支援機関を通した説明会や求人紹介、職場見学や実習などが受けられることも多いです。応募書類の添削や面接練習はもちろん、場合によっては面接への同行もしてもらえるため、そうしたサポートを存分に活かして就活をしましょう。
「ハローワーク」「転職エージェント」でも、応募書類の添削や面接練習などのサポートを行っていることがあります。ぜひ相談してみましょう。
5.就職
晴れて就職が決まりました。その後も安定して働き続けられるよう、支援機関による定着支援を受けることもできます。自分らしく自信をもって働き続けるために、職場、支援機関、医師、そして自分自身ともしっかり相談を続けて、無理なくやっていきましょう。
統合失調症の方が仕事を長く続けるためのポイント
- 統合失調症のある方は、服薬と通院を自己判断で中断せず、主治医に相談しながら続けることが、再発を防ぎ、仕事を続けるうえでの土台になります。
- 調子が崩れ始めるサインは人によって異なるため、早めに把握し、休む判断ができるように備えておきましょう。
- 通院費の負担を軽くする自立支援医療や、職場・支援機関への相談先は、働き始める前から整えておくと安心です。
統合失調症のある方が働き始めたあとも安定して仕事を続けるには、仕事選びだけでなく、日々の体調を整える工夫を続けることが大切です。ここでは、仕事を長く続けるための4つのポイントを紹介します。
服薬と通院を続ける
統合失調症の治療は薬物療法が基本で、仕事が始まってからも、服薬と定期的な通院を続けることが大切です。
「体調がいいから」「症状がしばらく落ち着いているから」といって、自己判断で薬をやめてしまうと、再発の危険が高くなります。薬の量や種類について気になることがあれば、主治医に相談しましょう。
通院にかかる医療費の負担が気になる場合は、自立支援医療(精神通院医療)という制度があります。精神疾患で通院による精神医療を続ける必要がある方に、通院のための医療費の自己負担を軽減する制度です。利用の条件や手続きは、お住まいの自治体の窓口や主治医に確認してみましょう。
通院の日は半日だけ勤務にするなど、勤務時間を調整できるかどうかも、仕事を選ぶ際に確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省「統合失調症(こころもメンテしよう)」「自立支援医療」
調子が崩れ始めるサインを把握する
統合失調症は、ストレスや環境の変化に弱い面があるため、仕事が忙しくなったり、人間関係で緊張が続いたりすると、症状が強くなる場合があります。
そのため、「眠れない日が続く」「イライラや焦りが強くなる」「周囲の視線や声が気になる」といった、調子が崩れ始めるときの変化を、ご自身で把握しておくことが役に立ちます。
再発のサインは人によって異なるため、主治医や家族と一緒に振り返り、メモなどに書き出しておくと、早めに対処しやすくなります。
サインに気づいたときは、無理をして頑張り続けず、しっかり休養をとったり、早めに主治医に相談したりしましょう。
参考:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」
睡眠や趣味の時間を確保して休む
仕事が始まると忙しくなるかもしれませんが、睡眠時間と趣味の時間は、きちんと確保するようにしましょう。
職場と自宅の往復で日々が終わってしまうと、心のエネルギーがどんどん減っていきます。「毎日少し運動する」「休みの日は出かけてみる」といったリフレッシュの機会を取り入れ、無理のない生活を心がけていきましょう。
相談できる人・場所を持つ
統合失調症のある方が一人で抱え込まずに仕事を続けるには、相談できる先を、働き始める前から複数持っておくと安心です。例えば、次のような相談先があります。
困りごとが大きくなる前に相談できる相手がいるだけでも、気持ちの負担は軽くなります。
統合失調症で休職したあとの復職・再就職の進め方
- 休職からの復職や再就職は、主治医から働いてもよいという判断を受けたうえで、段階的に進めることが基本です。
- 復職では、疾患の特性や必要な配慮を職場に具体的に伝え、業務の内容や量を調整してもらうことが役立ちます。
- 以前の仕事の進め方が合わなかったと感じる場合は、雇用枠や職場、働き方を見直すことも選択肢の一つです。
統合失調症で休職したあとは、「また同じように体調を崩してしまわないだろうか」「職場でどう思われるだろう」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
休職から復職するまでの流れについては、厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に、次の5つのステップが示されています。
主治医が作成した診断書を提出して休業し、療養に専念します。休業中の手続きや、復職の手順についての説明を受けます。
復職の意思を伝え、主治医に職場復帰が可能と判断した診断書を書いてもらいます。診断書は病状の回復の程度をもとにした判断のことが多いため、産業医などが、職場で求められる業務の内容と照らして精査します。
本人の意思や主治医の意見、本人の状態や職場環境をもとに、復職できるかを判断します。復帰日や就業上の配慮などをまとめた「職場復帰支援プラン」を作成します。
本人の状態を最終確認し、就業上の配慮などに関する意見書をもとに、事業者が復職を決定します。
病気の再燃や再発がないか、勤務状況や業務をこなせているか、治療を続けられているかを確認し、必要に応じてプランを見直します。
この手引きは、会社が職場復帰を支援する仕組みを整えることを想定した内容ですが、働く側にとっても、復職までに何が行われるのかを知っておくと見通しを持ちやすくなります。
統合失調症で復職を考えるときは、休職中の様子を振り返り、症状が強くなったきっかけを主治医や職場と共有しておくことが役立ちます。「仕事が忙しくなってから調子を崩した」といった傾向が分かれば、業務量や担当の調整について具体的に相談しやすくなります。
また、統合失調症で同じ職場への復職が難しい場合や、以前の仕事の進め方が体調に合わなかったと感じる場合は、障害者雇用枠への変更や、就労移行支援などを利用した再就職を選ぶ方法もあります。焦って結論を出さず、主治医や支援機関と一緒に、「どのような働き方なら続けやすいか」を整理していきましょう。
参考:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
統合失調症の方が職場に疾患の特性を伝えて復職した事例
ここでは、厚生労働省の「こころの耳」に掲載されている、疾患の特性を職場に伝えて復職につながった事例を紹介します。
職場に病気のことを伝えるか迷っている方や、復職を考えている方の参考になります。
45歳男性・品質保証の技師の事例(こころの耳 事例紹介)
この方は、20代の頃に幻覚や妄想などの症状で入院した経験がありました。職場では口数が少なく、周囲との関わりも少ないまま、「変わり者」として溶け込めない状況が続いていました。
人員削減で一人当たりの作業量が増え、残業も多くなるなかで、無断で早退したり休んだりすることが増え、6回目の休職になりました。3か月の休職後に主治医から復帰の許可が出て、復職面談で振り返ると、仕事が忙しくなって幻聴や幻視の症状が強くなり、休んでいたことが分かりました。
産業医が主治医に職場での配慮を確認したところ、残業が多いと服薬が不規則になったり疲労が強くなったりして症状が悪化する可能性があること、一度に多くの情報を処理するのが苦手なため、突発的な対応がない自分のペースの業務が合いやすいことが示されました。
この意見をもとに、上司へ疾患の特徴が具体的に分かりやすく説明され、短納期ではない製品への担当替えや、残業をさせないといった調整が行われました。あわせて本人にも、黙って休んだり早退したりすると職場の皆が心配することが伝えられ、そのような時は上司に連絡するよう指示されました。
復職から2年が経過した時点では、月に数日の休みや早退はあるものの、長い休みはなくなっています。上司にきちんと連絡できるようになり、上司の支援も受けやすい状況になったとされています。
この事例からは、疾患の特性を具体的に分かりやすく職場に伝えること、そして業務の量や担当を調整してもらうことが、復職後に安定して働くための手がかりになっていたことがうかがえます。
参考:厚生労働省「疾患特性を職場に説明し職場復帰が成功した統合失調症の事例(こころの耳)」
よくある質問
統合失調症の方に向いている仕事は?
統合失調症の方に向いている仕事は、症状の現れ方が一人ひとり異なるため、「この仕事が向いている」と一概には言えません。ただし、勤務時間や残業を体調に合わせて調整でき、静かで集中しやすい環境で、決まった流れで進められる仕事は、負担が少なく働きやすい傾向があります。
例えば、データ入力、検品・ピッキング、清掃、在庫管理などが挙げられます。仕事の種類だけで決めず、職場の環境や配慮を受けられるかも含めて確認すると安心です。
統合失調症があることは職場に伝えたほうがよいですか?
伝えるかどうかに、決まった正解はありません。障害者雇用で働く場合は障害者手帳の提示が必要になり、業務量の調整や通院への配慮など、合理的配慮を受けやすくなります。
どこまで伝えるかも含めて、一人で悩まず、主治医や支援員に相談してみましょう。
仕事中に症状が強くなったときはどうすればよいですか?
仕事中に統合失調症の症状が強くなったと感じたときは、まず休養をとり、早めに主治医へ相談できるようにしておくことが大切です。
体調が悪いときに誰へ、いつ連絡するのかを、あらかじめ上司と決めておくと、休むときも落ち着いて連絡しやすくなります。
就職活動が不安なときは、どこに相談できますか?
仕事探しを一人で進めるのが不安なときは、お住まいの地域の障害者就業・生活支援センターに相談する方法があります。
就労移行支援、ハローワークの障害者専門窓口、地域障害者職業センターなども利用でき、状況や希望に合わせて、他の支援機関への紹介を受けられる場合もあります。
統合失調症と向き合いながら、自分らしく働く
統合失調症があっても、自分らしく自信を持って働けるように、向いている仕事や職場環境、働き方、役立つ制度や支援機関、仕事を続けるためのポイントを紹介してきました。
統合失調症の方に向いているのは、勤務時間や残業を体調に合わせて調整でき、静かで集中しやすく、決まった流れで進められる仕事や職場です。反対に、夜勤や変則シフト、マルチタスク、強いノルマなどが続く環境は負担が大きくなりやすいため、応募前に確認しておくと安心です。
仕事を始めてからは、服薬と通院を続けること、調子が崩れ始めるサインに早めに気づいて休むこと、相談できる先を持っておくことが、安定して働き続けるための土台になります。「体調がいいから」と自己判断で薬をやめてしまうと再発の危険が高くなるため、気になることがあれば主治医に相談しましょう。
病気を職場に伝えるかどうかや、どの支援機関から相談するかで迷ったときは、一人で決めようとせず、主治医や障害者就業・生活支援センター、就労移行支援などの支援員に相談してみましょう。支援を活用しながら、無理のないペースで、自分に合った働き方を一歩ずつ探していくことが大切です。