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睡眠障害で仕事ができない・続かないときは休職できる?判断基準や手順、利用できる制度を解説

目次
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この記事は 約10分以上 で読めます。

「最近よく眠れず、仕事でミスを繰り返してしまう……」と悩んでいませんか?「眠れない」という状態は、休養を求める心身からの大切なサインです。

本記事では、睡眠障害で休むべきか迷っている方へ、休むための目安や手続き、休職中の収入を支える制度を解説します。

久木田 みすづ
監修 久木田 みすづ (精神保健福祉士/社会福祉士/心理カウンセラー)
この記事は、精神保健福祉士・カウンセラーとして、うつ病・統合失調症・発達障害などを抱える方やその家族への相談支援に携わってきた専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • 睡眠不足による仕事のミスや集中力の低下は、甘えではなく睡眠障害のサインの可能性がある。
    努力不足と決めつけて自分を責める前に、まずは日々の睡眠状況を見直すことが大切です。
  • 睡眠障害には、不眠症・過眠症・概日リズム睡眠・覚醒障害・睡眠時無呼吸症候群などの種類がある。
    タイプによって仕事への影響の出方が異なるため、自分がどれに近いかを知ることが解決の第一歩になります。
  • 遅刻や欠勤を繰り返す、仕事中に涙が止まらないといった状態は、休職や受診を検討するサインである。
    休職期間に一律の目安はなく、主治医と相談しながら回復状況に合わせて決めていきます。
  • 休職は、受診から診断書の発行、会社への相談、期間や連絡方法の確認まで5つの手順で進める。
    睡眠状況や仕事への支障を記録して医師に具体的に伝えると、手続きがスムーズに進みやすくなります。
  • 休職中の収入は、健康保険の傷病手当金で支えることができる。
    条件を満たせば最長1年6ヶ月受け取れるほか、自立支援医療で通院費の負担を軽くする方法もあります。
  • 復職は、主治医の判断に加えて、産業医や人事担当者との面談を経て決まる。
    段階的な復職やリワークプログラムの活用、働き方の見直しも選択肢のひとつです。
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「眠れなくて仕事ができない」は甘えではない

この章のポイント
  • 仕事に支障が出るほどの睡眠不足は、甘えや努力不足ではありません。
  • 睡眠が足りない状態が続くと、どれだけ頑張っても本来の力を発揮しにくくなります。
  • 睡眠の問題が仕事にどう影響するかを知ることが、自分を責めすぎないための第一歩です。

仕事に支障が出るほどの睡眠不足は、決して「甘え」や「努力不足」ではありません。睡眠の乱れによって心身に不調が生じている可能性があり、休息や治療が必要になる場合もあります。

体調に不安があっても、「仕事を休むと周囲に迷惑をかける」と考え、休職をためらう方も少なくありません。しかし、睡眠が十分にとれない状態が続くと、心身のエネルギーが消耗し、どれだけ頑張っても本来の力を発揮しにくくなります。

睡眠障害が仕事に与える影響とは?

毎日の睡眠不足が借金のように積み重なる状態を「睡眠負債」と呼びます。この負債がたまると、脳は常に疲労を抱えた状態になり、本来の働きができなくなります。自分では普段通りに仕事をしているつもりでも、気づかないうちに集中力や注意力が低下してしまうのです。

具体的には、パソコンでのデータ入力時に数字を打ち間違えたり、確認したはずの書類で重要な項目を見落としたりといったケアレスミスが増えやすくなります。また、複数の業務を同時に進めるための「優先順位の判断」が難しくなり、仕事のペースが遅れてしまうことも珍しくありません。

睡眠の乱れは、本人のやる気とは無関係に、仕事の能率を大きく下げてしまう要因となります。

「仕事できない」は睡眠障害のサインかもしれない

「最近ミスばかりで周りに迷惑をかけている」「自分は仕事ができない」という落ち込みは、能力不足のせいではなく、睡眠障害による身体からのSOSサインかもしれません。たとえば、デスクに向かっていても文章が頭に入ってこず、資料の同じ行を何度も読み返してしまうことはありませんか?

あるいは、普段なら冷静に受け止められる上司からの些細な指摘に対して、過剰に落ち込んだり、涙が出そうになったりするような「感情の揺れ」も、睡眠不足などによって心身の負担が大きくなっている可能性があります。このような状態は、決して努力が足りないから起こるわけではありません。「もっと頑張らなきゃ」と自分を責めて無理を重ねる前に、まずは日々の睡眠状況を見直してみることが大切です。

睡眠障害を引き起こす主な原因

この章のポイント
  • 睡眠障害の背景には、ストレス、長時間労働、生活リズムの乱れ、心身の不調などが隠れています。
  • 原因が重なると睡眠の質が下がり、脳の疲労が蓄積していきます。
  • 脳の疲労は、日中の仕事に様々な悪影響をもたらします。

睡眠のトラブルを引き起こす要因には、心理的な負担から生活習慣、さらには身体的な不調まで幅広い要素が存在します。具体的には、次のような原因が隠れていることが多いです。

ストレスやプレッシャー
長時間労働・残業・不規則な勤務
生活リズムの乱れ
うつ病や不安障害などの精神的不調
薬の副作用や身体疾患

職場での重圧や長時間の残業といった原因が重なって睡眠の質が低下すると、脳に疲労が蓄積します。脳の疲労が限界を超えると、日中の業務において次のような悪影響が引き起こされるようになります。

睡眠障害が仕事に与える影響とは?

この章のポイント
  • 睡眠障害は、集中力・正確さ・感情・判断力の4つに影響します。
  • こうした影響は、本人のやる気とは関係なく現れます。
  • 悪循環に陥る前に、自分に当てはまるものがないか確認しましょう。

まとまった睡眠がとれない日々が続くと、知らず知らずのうちに心と身体には大きな負担がかかってしまいます。

睡眠の問題が毎日の業務にどのような影響をもたらすのか、代表的な4つのケースを解説します。

集中できない

睡眠不足で脳の疲労が回復しない状態が続くと、日中の集中力が大きく下がってしまいます。

たとえば、パソコンを開いてもメールの文章が全く頭に入ってこない、同じ資料の同じ行を何度も読み返してしまう、といったことが起こります。その結果、いつもなら30分で終わるデータ入力に1時間以上かかってしまうなど、仕事のペースが目に見えて落ちてしまうのです。

ケアレスミスが増える

脳がしっかり休まっていないと、ひとつのことに集中し続けたり、ついさっき見聞きしたことを覚えておいたりするのが難しくなります。

そのため、提出前の書類を何度も確認したはずなのに誤字脱字を見落としてしまったり、メールに重要なファイルを添付し忘れたりといったケアレスミスが増えてしまいます。さらに、そのミスを取り戻そうと焦ることで、また新たなミスを重ねてしまうことも少なくありません。

感情が不安定になる

ずっと睡眠不足が続いていると、心に余裕がなくなり、気持ちのコントロールが難しくなります。普段なら「次から気をつけよう」と受け流せるような上司の軽いアドバイスでも、深く落ち込んで涙がこみ上げてきたり、同僚の何気ない一言にひどくイライラしてしまったりと、感情の波が大きくなりがちです。

このように気持ちが不安定になると、周囲とのコミュニケーションもうまくいかなくなり、さらにストレスを抱え込んでしまう悪循環にも繋がりかねません。

判断力が落ちる

脳に疲れが溜まっていると「頭の中を整理して決断する」という力がどうしても弱くなってしまうものです。

そのため、いくつも仕事を頼まれると「何から手をつければいいのか」が分からなくなり、優先順位がつけられなくなります。「誰かに相談したくても、どう伝えていいか分からない」という状態にもなりやすいため、一人で無理に抱え込み、気づけば完全に仕事が行き詰まってしまうことも少なくありません。

睡眠障害の種類

この章のポイント
  • 睡眠障害には、不眠症・過眠症・概日リズム睡眠・覚醒障害などの種類があります。
  • 夜に眠れないだけでなく、日中の強い眠気や体内時計のズレも睡眠障害のひとつです。
  • 睡眠時無呼吸症候群のように、睡眠の質を下げる病気にも注意が必要です。

「睡眠障害」というと夜眠れない状態を思い浮かべがちですが、実はそれ以外にもいくつか種類があります。もし今、日中の仕事に影響が出ているのなら、まずは「自分がどのタイプに近いのか」を知ることが解決に向けた最初の一歩になります。

ここでは、代表的な4つのタイプについて分かりやすく解説します。

不眠症

不眠症は、夜に十分な睡眠をとることができない状態のことを言います。

具体的には、布団に入っても30分~1時間以上眠りにつけない「入眠障害(困難)」、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまい再び眠れない「早朝覚醒」、熟睡感がない「熟眠障害」といった症状があります。

睡眠時間を十分に確保できないため、日中の仕事中に強い疲労感を感じたり、集中力が途切れて計算ミスや入力ミスが増えたりしやすくなります。真面目に仕事に取り組もうとしても、頭がぼーっとしてしまい、思うように仕事が進まなくなってしまうのです。

過眠症

過眠症は、夜にしっかりと睡眠時間を確保しているにもかかわらず、日中に強い眠気に襲われる症状のことです。

単なる寝不足とは異なり、会議中やパソコンでの作業中など、本来であれば起きていなければならない場面で、自分の意思に反して突然眠り込んでしまうのが特徴です。たとえば、顧客との電話対応中に意識が飛んでしまったり、重要な書類を作成している途中で気づいたら数分間眠ってしまったりといったことが起こります。強い眠気は意志の力だけで抑えることが難しいため、周囲から「怠けている」と誤解されてしまう場合があります。

本人の努力不足ではないにもかかわらず、職場でつらい思いを抱えやすい点も、過眠症の苦しさのひとつです。

概日リズム睡眠・覚醒障害

概日リズム睡眠・覚醒障害は、人間の体内時計と実際の生活時間がズレてしまうことによって起こる状態のことです。人間の身体は本来、朝の光を浴びて目覚め、夜になると眠くなるリズムを持っています。

しかし、夜勤や不規則な勤務体制、あるいは長期間にわたるストレスなどによって体内時計が狂うと、夜寝るべき時間に目が冴えてしまい、反対に昼間の仕事中に強い眠気に襲われてしまいます。出社しなければならない朝の8時になっても、どうしてもベッドから出られず、結果的に遅刻が続いてしまうことも珍しくありません。

睡眠時無呼吸症候群など、睡眠の質を下げる病気にも注意

睡眠時間そのものは確保できているように見えても、睡眠の「質」が下がってしまっているために、仕事に支障が出てしまうこともあります。

その代表的なものが「睡眠時無呼吸症候群」です。睡眠中に何度も呼吸が止まったり、大きないびきをかいたりすることで、脳や体に十分な酸素が行き渡らず、どれだけ寝ても体が休まらない状態になってしまいます。

朝起きた時に頭痛がする、しっかり寝たつもりでもだるさが抜けない、といったことが起こりやすくなります。休む時間を確保していても十分な疲労回復につながっていないため、午前中から強い疲労感が出たり、複数の業務を同時に頼まれた際に頭が働きにくくなったりする恐れもあります。

睡眠障害で仕事がつらいときに今すぐできる対策

この章のポイント
  • 睡眠時間や日中の不調を記録すると、状況を客観的に把握できます。
  • 眠気が強い時間帯を避け、確認作業を仕組み化することで、ミスを防ぎやすくなります。
  • 工夫しても改善しないときは、早めに医療機関へ相談しましょう。

日中の仕事に影響が出ているときは、働き方を少し工夫したり体調を記録したりすることで、日々の負担を少しでも軽くしていくことが大切です。

ここでは、今日から無理なく取り入れられる4つの対策をご紹介します。

まずは睡眠時間・起床時間・日中の不調を記録する

医師の診察や上司へスムーズに相談するために、日々の睡眠状況と体調をメモしておくことが役立ちます。布団に入った時刻、眠りについた時刻、夜中に目が覚めた回数、朝起きた時刻などを、ノートやスマホに記録する習慣をつけるのがおすすめです。

加えて「午前10時の会議中に強い眠気を感じた」「午後3時に集中力が途切れ、データ入力のミスが発生した」といった日中の不調も合わせて記録しておくと、睡眠不足が仕事にどう影響しているかが相手に伝わりやすくなります。

このような客観的な記録は、医師の的確な診断や、職場でサポートをお願いする際、状況を分かってもらいやすくするための大きな助けになります。

重要な仕事は、眠気が強い時間帯を避ける

1日のうちで眠気や疲労感がピークに達する時間帯を把握し、仕事の順番を調整する工夫が有効です。睡眠の記録をつけることで、「昼食後の午後2時から3時頃に最も頭が働かなくなる」といったパターンがわかってきます。

自分の傾向がわかったら、眠気が強い時間帯には書類整理などの単純作業を持ってきて、金額計算や重要なメール作成は午前中に回すなど、時間帯に合わせて仕事の順番を組み替えてみましょう。このように取り組む内容を少し工夫するだけで、ミスを防ぎつつ、無理なく一日を乗り切れるようになります。

ミスを防ぐために、確認作業を仕組み化する

睡眠不足で集中力が低下しているときは、普段なら起こらないような小さなミスをしやすくなります。ミスを未然に防ぐためには、自分の記憶力や注意力に頼らずにすむような工夫を取り入れることが大切です。

たとえば、重要な書類を提出する前には必ずチェックリストを使って一つずつ確認する、計算は電卓と表計算ソフトの両方を使って二重に行う、送信前のメールは一度下書きに保存して5分後に読み直す、など自分なりのルールを決めておきましょう。

こうした工夫をしておくだけで、ミスに対する不安が和らぎ、精神的な負担を減らすことにつながります。

眠れない状態が続く場合は、早めに医療機関を受診する

自分なりに工夫を重ねてみても、どうしても睡眠の問題がよくならず仕事のミスが減らない場合は、一人で抱え込まず専門家に相談するタイミングです。「ただの寝不足だから」と我慢を続けてしまうと、どんどん辛くなり、最終的に会社へ行くことすら難しくなってしまうこともあります。

数週間から数ヶ月にわたって眠れない日々が続いていたり、日中の強い眠気に悩まされていたりするなら、心療内科や精神科、あるいは睡眠外来といった専門のクリニックに相談に行ってみましょう。

医師に診てもらうことで、状況に合ったお薬やアドバイスがもらえるだけでなく、もし休みが必要な場合には「診断書」を書いてもらうこともできます。無理を重ねず、心身の状態に合わせて休養や治療を検討することが大切です。

今すぐ休んでいい?休職を決断するための判断基準

この章のポイント
  • 遅刻や欠勤の繰り返し、突然の涙、身体症状は、休職や受診を検討したいサインです。
  • 休職期間に一律の目安はなく、主治医と相談しながら回復状況に合わせて決めます。
  • 休むことは逃げではなく、長く働き続けるための前向きな選択です。

睡眠の問題で仕事に行きたくないとき、「休んでもいいのだろうか」と迷う方は少なくありません。ここでは、休みを考える目安や一般的な休業期間、そして休むことの大切さについてお伝えします。

休職や受診を検討したいサイン

睡眠不足が続いて心身の限界が近づくと、毎日の生活や仕事の場面でSOSのサインが見られるようになります。

たとえば、朝起き上がれずに遅刻や欠勤を繰り返してしまったり、仕事中に突然涙があふれて止まらなくなったりする状態は、心と身体が非常に強いストレスを感じているサインです。

また、以前は5分で終わっていた簡単なデータ入力に1時間以上かかるようになったり、上司からの指示が頭に入らず同じミスを繰り返したりするなど、仕事に大きな影響が出ている場合も無理が重なっている証拠です。

さらには、通勤電車に乗ろうとすると動悸がする、職場の建物の前に着くと吐き気がするといった身体的な症状が現れている場合は、これ以上無理を重ねず、病院を受診してしっかりと休むことを最優先に考えるタイミングです。

休職の期間はどのくらい?

睡眠障害による休職期間に、一律の目安はありません。症状の程度や回復状況、仕事内容、勤務先の休職制度などによって必要な期間は異なります。そのため、「○か月休めば復職できる」と考えるのではなく、休職中は主治医と定期的に状態を確認しながら、回復状況に合わせて復職の時期を検討することが大切です。

心身の状態が安定してきたら、まずは主治医に現在の体調や生活リズムを伝え、復職を検討できる状態か相談します。診察の際には、起床・就寝時間や日中の眠気、外出した際の疲れ方などを記録しておくと、現在の状態を伝えやすくなります。

主治医から復職可能との判断が出た場合は、その内容を勤務先に伝えます。ただし、主治医の判断だけで復職が決まるわけではありません。勤務先では、産業医や人事担当者などとの面談を行い、業務を行える状態か、どのような配慮が必要かなどを確認したうえで、最終的な復職時期や働き方を決めていきます。

久木田 みすづ
監修者からのメッセージ
久木田 みすづ (精神保健福祉士/社会福祉士/心理カウンセラー)
休職期間はどの程度が適切かという決まりはありませんが、睡眠障害を始めとする精神疾患は、1ヶ月~3ヶ月との診断書を書く医師が多いように思います。中には、なかなか睡眠リズムが戻らずに診断書の更新を続け、1年以上休職をする人もいます。

長い目でみると休職もポジティブな選択

責任感の強い人ほど、周囲への迷惑を考えて「休むこと」に罪悪感を抱いてしまうものです。しかし、ミスを気に病みながら無理を続けるよりも、一度しっかり休養して元気を取り戻した方が、結果的に職場全体にとっても良い形につながります。

会社を休む決断は、決して逃げや挫折ではありません。これから続く長い社会人生活の中で考えれば、数ヶ月の休養は、長く働き続けるために必要な「心と体のメンテナンス期間」です。仕事から少し離れることは、自分自身を大切に守り、再び元気に歩き出すための「前向きな選択」なのだと捉えてみてください。

睡眠障害で休職する手順

この章のポイント
  • 休職までの流れは、受診・診断書・会社への相談など5つの手順です。
  • 診察では、仕事への支障を具体的に伝えることが大切です。
  • 診断書の発行には、3,000〜5,000円程度かかることがあります。

病院への受診から会社との調整まで、休職に至るまでの5つの手順をお伝えします。「手続き」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、一つずつ順番に進めれば大丈夫です。

ステップ1:心療内科・精神科・睡眠専門外来を受診する

睡眠の問題が数週間以上続く場合、まずは専門のクリニックを受診することが大切です。眠れない原因が仕事のプレッシャーや気分の落ち込みにある場合は心療内科や精神科が適しています。

一方、激しいいびきや足のムズムズ感など、身体的な原因が疑われる場合は睡眠専門外来を選ぶとスムーズです。どの病院へ行くべきか迷う場合は、通いやすい内科やかかりつけ医にまずは相談してみるのも一つの手です。

睡眠の悩みを抱え、いざ病院に行こうと思っても、どの医療機関を受診すべきか迷ってしまうケースは非常に多いものです。それぞれの診療科の違いや特徴について、分かりやすく表にまとめました。

医療機関ごとの特徴と選び方の目安

心療内科
どのような状態に適しているか

ストレスの影響が「身体」の不調として表れているケース

主な特徴と対象となる症状

睡眠の問題に加えて、胃痛、頭痛、めまい、吐き気などの身体的な症状がある場合に適しています。

精神科
どのような状態に適しているか

ストレスの影響が「心」の不調として表れているケース

主な特徴と対象となる症状

睡眠の問題に加えて、気分のひどい落ち込み、強い不安感、理由もなく涙が出るといった精神的な症状が強い場合に向いています。

睡眠専門外来
どのような状態に適しているか

「睡眠」に関するトラブルを専門的に調べたいケース

主な特徴と対象となる症状

なかなか寝付けない、途中で目が覚める、日中の強い眠気など、睡眠の悩みが特に深い場合に適しています。必要に応じて、睡眠の質を測る詳しい検査を行うことも可能です。

最近のクリニックでは、「心療内科・精神科」のように両方の診療科を掲げているところも増えています。そのため、「自分の症状はどちらだろう」と厳密に悩みすぎる必要はありません。

ステップ2:医師に仕事への支障を具体的に伝える

診察室では、単に「眠れません」と伝えるだけでなく、睡眠不足によって日中の業務にどのような悪影響が出ているかを具体的に伝えてみましょう。うまく話せるか不安な場合は、メモを見せながらでも全く問題ありません。

たとえば「夜中に3回目が覚めてしまい、会議中に強い眠気に襲われる」「注意力が散漫になり、今までしなかったような小さなミスが明らかに増えている」といった事実を伝えます。

メモアプリなどに日々の睡眠時間や仕事中のミスを記録しておき、診察の際にそれを見せながら話すことで、伝え忘れを防ぎ、落ち着いて話すことができます。

ステップ3:必要に応じて診断書を発行してもらう

診察の結果、仕事から離れて休養する必要があると医師が判断した場合は、会社に休みを伝えるための「診断書」を発行してもらいます。

診断書には「睡眠障害のため、1ヶ月の療養を要する」といった具体的な病名と必要な休職期間が記載されます。発行費用は保険適用外で、3,000〜5,000円程度かかることがあります。

会社に提出する大切な書類となるため、しっかり保管しておきましょう。

久木田 みすづ
監修者からのメッセージ
久木田 みすづ (精神保健福祉士/社会福祉士/心理カウンセラー)
診断書の料金は、病院によってそれぞれ違う料金設定になっている場合があります。なぜなら、診断書料金の法的な決まりがないからです。

ですが、3,000~5,000円の場合が多いように思えます。

ステップ4:会社に報告し、休職について相談する

診断書を受け取ったら、直属の上司に現在の体調と休職したい旨を伝えます。このとき、「医師から休むよう言われていること」と「手元に診断書があること」をしっかり伝えると、上司にも状況が正確に伝わりやすくなります。まずはメールやチャットで面談の時間を取ってもらい、詳しく事情を相談するのがスムーズな流れです。

以下に、メールで上司に面談を依頼する際の文例を紹介します。

上司へ面談を依頼するメール文例
件名 ご相談のお願い(氏名)
本文

〇〇課長
お疲れさまです。〇〇です。
本日は、現在の体調と今後の業務についてご相談したく、ご連絡いたしました。

ここ数週間、不眠の症状が続いており、日中の業務にも支障が出ているため、先日クリニックを受診いたしました。医師からは睡眠障害の傾向があると診断され、一定期間の休職と療養が必要との診断書を受け取っております。

つきましては、診断書を提出のうえ、今後の働き方やお休みについて直接ご相談させていただきたいのですが、本日か明日のご都合の良い時間にお時間をいただけないでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

面談の場では、現在担当している業務の状況や引き継ぎについても可能な範囲で共有しておくと、その後の業務調整がスムーズに進みやすくなります。

ステップ5:休職期間・連絡方法・復職時期の目安を確認する

休職が決まったら、安心して休むために「休む期間」と「休職中の連絡方法」を会社とすり合わせておきましょう。「月に1回、人事の〇〇さんへメールで報告する」など、連絡の頻度や相手を決めておくと、療養中の心理的な負担が大きく減ります。

さらに、休職中の給与や「傷病手当金」といったお金のサポート制度についても、総務や人事の方に確認しておきましょう。お金の不安を取り除いて、療養に集中できる環境を整えることが大切です。

休職中の収入を支える傷病手当金とは?

この章のポイント
  • 傷病手当金は、健康保険から休職中の生活費を補助してもらえる制度です。
  • 4つの条件を満たせば、最長1年6ヶ月受け取れます。
  • 自立支援医療を使うと、通院時の自己負担が3割から1割に軽くなります。

会社を休むことになった際、大きな心配事となるのがお金の問題です。会社員が病気やケガで長期間仕事を休む場合、加入している健康保険から生活費を補助するための「傷病手当金」というお金を受け取れる制度があります。

傷病手当金の支給条件

以下の4つの条件をクリアしていれば、サポートを受けることができます。

会社の健康保険に加入していること(正社員であれば通常は加入しています)。
病気やケガのため、仕事に就くことができない状態であること(仕事ができない状態かどうかは、医師の意見や仕事内容などを踏まえて判断されます。)
連続して3日間仕事を休み、4日目以降も休んでいること。最初の3日間は「待期期間」と呼ばれ支給されません。たとえば、月〜水曜日まで3日間連続で休んだ場合、木曜日から対象となります。
休んでいる期間中、会社から給料が支払われていないこと(給料が一部出ていても、傷病手当金の額より少ない場合は、差額を受け取れます)。

受給できる期間

傷病手当金は、実際に受け取った期間を合計して「最長1年6ヶ月」まで受給できます。

途中で体調が良くなって一時的に会社へ復帰し、その後ふたたび同じ症状で休みになった場合でも、働いていた期間は受給期間のカウントから除外されます。「休み期間の分だけ」しっかりサポートを受けられる仕組みになっているので、焦らずにゆっくりと身体を休めることができます。

傷病手当金以外の支援制度

ほかにも、治療にかかるお金の負担を減らすための制度があります。代表的なものが「自立支援医療(精神通院医療)」です。精神疾患により継続的な精神通院医療が必要で、支給認定を受けた場合、窓口で支払う診察代や薬代の負担が通常の3割から1割に軽くなります。

休職中の過ごし方

この章のポイント
  • 休職中は、睡眠リズムを整えて心身を休めることが最優先です。
  • 通院を続け、回復状況を医師と確認しましょう。
  • 求人探しや資格の勉強で焦らず、休養を優先することが大切です。

休職期間は、心と身体をしっかり休めるための大切な時間です。仕事から少し離れて、無理なく自分のペースで毎日をどう過ごせばいいのか、具体的なヒントをご紹介します。

まずは睡眠リズムを整えることを優先する

心身を回復させるためには、乱れてしまった睡眠リズムを少しずつ整えていくことが大切です。休職に入った直後は、昼夜逆転してしまったり、1日中ベッドで横になって過ごしたりすることもあるかもしれません。

まずは無理に動こうとせず、休むことを優先しましょう。体調が少し落ち着いてきたら、できる範囲で生活リズムを整えていくことが回復への第一歩になります。たとえば、以下のような小さな習慣を少しずつ取り入れてみましょう。

朝は決まった時間にカーテンを開けて、太陽の光を浴びる
日中、近所の公園まで15分ほど歩いてみる
夜寝る前はスマホを控え、部屋を暗くする など

通院を継続し、回復状況を医師と確認する

休職期間中も、心療内科や精神科などの医療機関への通院を定期的に続けることが欠かせません。睡眠の状態は日によって変化するため、自己判断で薬の量を減らしたり通院をやめたりすると、症状が悪化してしまう恐れがあります。

月に1回から2回程度、決められた日時にクリニックへ通い、現在の睡眠状況や気分の変化を医師に報告します。診察の際には「夜の11時に布団に入り、朝の6時に目が覚めた」「日中に3時間ほど昼寝をしてしまった」といった日々の記録をノートに書き留めて持っていくと、今の状態が医師に伝わりやすくなります。

医師のアドバイスを受けながら、焦らずに治療を進めていきましょう。

無理に動こうとしすぎない

真面目で責任感が強い方ほど、仕事を休んでいることに罪悪感を抱き「何かをしなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、休職の最大の目的は、仕事から完全に離れて「脳を休ませること」です。

求人サイトを見たり資格の勉強を始めたりすると、脳に大きな負担がかかり、かえって回復を遅らせてしまいます。そのため、休職直後は、無理に活動量を増やさず、主治医と相談しながら休養を優先することが大切です。

少し体力が戻ってきたと感じても、しばらくは仕事に関する活動は避け、心がリラックスできる時間を優先しましょう。

好きな音楽を聴く
温かいお茶をゆっくり飲む
ペットや植物の世話をする など

復職への流れ

この章のポイント
  • 復職は、主治医の判断に加えて、産業医や人事担当者との面談を経て決まります。
  • リワークプログラムなどを活用して、段階的に慣らしていく方法もあります。
  • 復職が難しいときは、転職や働き方の見直しも選択肢のひとつです。

心身が回復してきたら、いよいよ職場復帰に向けた準備のスタートです。再発を防ぎ、長く働き続けるためには「焦らず、体調を見ながら少しずつ慣らしていくこと」が何よりも大切です。

主治医と復職可能か相談する

まずは、今の体調で無理なく仕事に戻れるかどうか、主治医に確認してもらいましょう。「睡眠リズムが整い、朝決まった時間に起きられる状態」が一定期間続いているかが、ひとつの目安になります。診察の際は、現在の状態を具体的に伝えられるよう、以下のような内容を記録しておくと役立ちます。

起床・就寝の時間
日中の眠気や体調の波 など

主治医から復職を検討できる状態と判断された場合は、勤務先の手続きに応じて診断書などの必要書類を準備します。

ただし、主治医が復職可能と判断しただけで、復職が決定するわけではありません。勤務先では、産業医や人事担当者などと相談しながら、業務を行える状態か、必要な配慮はあるかなどを確認したうえで、復職時期や働き方を決めていきます。

会社・産業医などと復職条件を確認する

主治医の許可が出たら、職場の担当者や産業医などと面談を行います。これは、いきなり元の状態に戻すのではなく、「どうすれば無理なく働き始められるか」を相談するための場です。

「最初の1ヶ月は午前中のみにする」「残業はしない」など、負担を減らす条件を一緒に決めていきましょう。面談前に「不安に思っていること」や「希望する配慮」をメモしておくと、会社側もサポートしやすくなります。

段階的な復職・リワークプログラムの活用もする

いきなりフルタイムで働くのが不安な場合は、無理のないペースで働く感覚を取り戻していく方法もあります。たとえば、医療機関などが提供する「リワークプログラム」では、オフィスに近い環境でパソコン作業をしたり、ストレス対処法を学んだりすることができます。

また、一定の条件を満たす場合は、休職中に就労移行支援を利用して復職に向けた支援を受けることも可能です。休職中に就労移行支援を利用するには、企業や地域の支援機関、医療機関などによる復職支援だけでは十分な支援を受けることが難しいことに加え、本人が復職を希望し、勤務先と主治医が就労移行支援の利用を適切と判断していることなどが条件となります。

さらに、最終的には市区町村が就労移行支援による復職支援が有効と判断する必要があります。そのため、休職中であれば誰でも利用できるわけではありません。利用を検討する場合は、まず勤務先や主治医、住んでいる市区町村などに確認しましょう。

就労移行支援manaby(マナビー)では、体調管理や働くために必要なスキルについて学びながら、復職に向けた準備を進めることができます。通所だけでなく、自治体の判断など一定の条件を満たした場合には在宅で訓練を受けられることもあります。

復職が難しい場合は、転職・働き方の見直しも考える

休みの期間が終わりに近づいても、元の職場に戻ることに強いプレッシャーを感じる場合は、無理に同じ環境に戻る必要はありません。

たとえば、職場環境や働き方が不調に影響していた場合は、残業の少ない職場への転職や、勤務時間を短くするなど、負担を抑えた働き方を考える方法があります。

ただし、体調が十分に回復していない段階で転職活動を始めると、心身の負担が大きくなることもあります。主治医や支援機関などに相談しながら、現在の体調や希望する働き方に合った選択肢を整理していくことが大切です。

在宅勤務・時差出勤・残業配慮などを検討する

元の職場に戻る場合でも、以前とまったく同じ働き方をする必要はありません。睡眠リズムを保ちやすいよう、柔軟な働き方ができないか会社に相談してみましょう。

通勤の負担を減らす「在宅勤務」
朝の混雑を避ける「時差出勤」
夕方以降にしっかり休むための「残業・休日出勤の免除」 など

こうした配慮を求めることも、無理なく働き続けるための大切なポイントです。

睡眠障害の方が仕事について相談できる支援機関

この章のポイント
  • 主な相談先は、医療機関、社内の窓口、外部の相談窓口の3つです。
  • 状況に合わせて、一人で抱え込まずに相談先を選びましょう。
  • 会社に相談しづらいときは、総合労働相談コーナーが頼りになります。

眠れない日々が続いて仕事に支障が出始めたとき、一人で抱え込まずに専門の機関へ相談することが解決への大切な第一歩となります。

医療の専門家や、勤め先の担当者、外部の相談窓口など、状況に合わせて選べるサポートの場所がいくつも用意されています。心療内科や社内の人事担当などの各窓口でどのような相談ができるのか、具体的な内容を紹介します。

心療内科・精神科・睡眠専門外来

眠れない日々や不調が続く場合は、まず医療機関を受診しましょう。

診察では「会議中に眠り込んでしまう」「遅刻が増えた」など、仕事への具体的な影響を伝えてみてください。医師は治療だけでなく、休職が必要かどうかの判断もしてくれます。必要に応じて「診断書」を書いてもらうことで、会社での休職手続きもスムーズに進められます。

会社の産業医・保健師・人事労務担当

勤め先に産業医や人事の窓口がある場合は、仕事と体調のバランスを相談できる身近な味方になります。

面談では「ミスが増えてつらい」「業務量が多くて休まらない」といった悩みを素直に伝えてみましょう。社内事情に詳しいため、業務量の調整や、休職中の給与・保険制度についてなど、今後の働き方の見通しを一緒に立ててくれます。

総合労働相談コーナー

会社に相談しづらい場合や、「診断書を出したのに休職を認めてくれない」「退職を促された」といったトラブルが起きている場合は、外部の窓口を頼りましょう。

各都道府県の労働局などに設置されている無料の相談窓口で、専門の相談員が法律や過去の事例に基づいたアドバイスをしてくれます。電話でも対面でも相談できるので、会社の対応に悩んで行き詰まってしまったときの心強い味方になってくれます。

睡眠障害と仕事に関するよくある質問

睡眠の問題で休むことへの不安や疑問について、よくある質問をまとめました。気がかりな点を一つずつ解消して、安心して休む準備を進めましょう。

睡眠障害だけで休職できますか?

はい、休職できるケースは多くあります。

休職の基準は「病名」ではなく、「今の症状で働き続けるのが難しいかどうか」です。夜眠れずミスが増えたり、遅刻が続いたりして仕事に支障が出ている場合、医師から「療養が必要」という診断書を出してもらった上で、勤務先の休職制度・就業規則を確認する必要があります。

眠れないだけで心療内科に行ってもいいですか?

受診して問題ありません。

仕事のプレッシャーや疲れから「ただ眠れない」と受診される方はたくさんいらっしゃいます。一時的にお薬をもらうだけでなく、専門的な視点で心と体の緊張をほぐすサポートが受けられます。「週に3日以上寝付きが悪い」「何度も目が覚める」といった場合は、我慢せずに早めに専門医を頼ってください。

休職中に傷病手当金はもらえますか?

規定の条件を満たしていれば、受け取ることができます。

会社の健康保険に加入していて「連続して3日以上休み、その間給料が出ない」などの条件をクリアしていれば支給されます。もらえる金額の目安は、普段の給料の「およそ3分の2」程度。治療中の生活を支えてくれる大切な制度です。

会社に詳しい症状を伝える必要はありますか?

プライベートな症状まで、すべて細かく説明する必要はありません。

上司や人事へは「夜眠れない状態が続いており、医師から1ヶ月の休職が必要と診断されました」と簡潔に伝えるだけで十分です。あとは、「いつから休むか」「休職中の連絡手段はどうするか」といった事務的なルールを事前に確認しておくと、安心して休養に入ることができますよ。

睡眠障害で仕事がつらいときは、早めに休職や支援制度を相談しよう

睡眠不足による仕事のミスや集中力の低下は、決して甘えではありません。心と体が限界を迎えているサインなので、まずは健康を最優先にして、休職して一度立ち止まることが大切です。

休むことへの罪悪感やお金の不安があるかもしれませんが、「傷病手当金」などの制度を利用すれば、生活費の心配を減らしながら休養に専念できます。一人で悩まず、専門家のサポートを受けることが解決への近道です。

この記事を読み終えたら、まずは通いやすい心療内科や睡眠外来を探して、診察の予約を入れてみてください。医師や産業医といった第三者を頼ることで、今の状態に合った無理のない解決策がきっと見えてきます。

周りの制度や人をしっかり頼りながら、体調や回復状況に合わせて、無理のない範囲で少しずつ進めていきましょう。

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久木田 みすづ

精神保健福祉士/社会福祉士/心理カウンセラー 福祉系大学を卒業後、カウンセリングセンターや医療機関で精神保健福祉士・カウンセラーとして勤務。うつ病・統合失調症・発達障害などを抱える患者と家族への相談支援に従事してきた。現在は臨床経験を活かし、メンタルヘルスや精神疾患、福祉制度に関するWebライターとして活躍中。

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