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自律神経失調症で仕事がつらい時の対処法は?続ける工夫・相談先を解説

目次
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自律神経失調症による不調で「思うように働けない」「このまま続けられるのか不安」と悩む方は少なくありません。自律神経失調症の症状は外見から分かりづらいため、周囲に理解されにくいことも負担を大きくする要因の一つです。

この記事では、自律神経失調症の基本的な特徴から、仕事で困りやすい場面、辛さを感じたときの具体的な対処法までをわかりやすく解説します。

久木田みすづ
監修 久木田 みすづ (精神保健福祉士・社会福祉士・心理カウンセラー)
この記事は、カウンセリングセンターや医療機関で精神保健福祉士・カウンセラーとしての現場経験を持つ専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • 自律神経失調症は仕事に様々な影響を及ぼすことがある
    動悸・めまい・倦怠感・集中力の低下などにより、安定して働くことが難しくなる場合があります。
  • 仕事がつらい時は体調管理や働き方の見直しが大切
    医療機関への相談や生活リズムの改善、休憩の工夫、勤務時間や業務量の調整などが負担軽減につながります。
  • 制度や支援機関を活用しながら無理のない働き方を考えよう
    傷病手当金や自立支援医療、ハローワークや就労移行支援などを活用することで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。

自律神経失調症とは?

自律神経失調症とは?交感神経(心拍数UP・血管収縮・緊張・集中)と副交感神経(心拍数DOWN・胃腸の活発化・リラックス・休息)のバランスを示す図解
この章のポイント
  • 自律神経失調症は、自律神経のバランスが乱れることで心身に様々な不調が現れる状態
  • 動悸・めまい・倦怠感などの身体症状や、不安感・集中力低下などの精神症状がみられる
  • 過労やストレス、睡眠不足などが背景要因となることがあり、原因を整理することが大切

自律神経失調症とは、身体の様々な機能をコントロールしている「自律神経」のバランスが乱れることで、動悸・めまい・倦怠感・不安感など、身体や心に多様な不調が現れる状態を指します。

自律神経は、心臓の拍動や呼吸、消化などを調整している神経で「交感神経」と「副交感神経」がバランスを取りながら身体の状態を保っています。

自律神経失調症では、次のような症状が現れます。

症状の分類 具体的な症状
身体症状 動悸・息苦しさ・めまい・頭痛・吐き気・倦怠感・手足のしびれ・発汗・微熱 など
消化器症状 胃もたれ・下痢・便秘・食欲不振 など
精神症状 集中力の低下・イライラ・不安感・気分の落ち込み・睡眠障害 など

症状は日によって異なる形で現れることや複数が同時に出る場合もあります。

自律神経失調症は「病名」ではなく「状態名」

自律神経失調症は、はっきりとした一つの病名というよりも「自律神経のバランスが乱れている状態」をまとめて表す言葉です。

そのため、医師によっては「自律神経の乱れ」や「自律神経機能不全」と説明することもあります。

診断を受けた場合は、過労・睡眠不足・ストレス・ホルモンバランスの変化など背景にある要因もあわせて理解することが大切です。

自律神経失調症の方が仕事で困りやすいこと

この章のポイント
  • 体調の波が大きく、日によって働ける状態が大きく変わることがある
  • 疲れやすく、フルタイム勤務や残業が負担になりやすい
  • 症状が見えにくいため、周囲に理解されにくいことがある

自律神経失調症の症状は、職場の環境と合わず、働きにくさにつながることがあります。

「出勤できる日もあれば、身体がまったく動かない日もある」といった不安定な状態が続くと、働く上での様々な場面で負担を感じやすくなります。

ここでは、代表的な困りごとを3つ紹介します。

調子の波が大きく、安定して働けない

自律神経失調症の大きな特徴の一つが、体調の波の大きさです。日によって、また時間帯によっても状態が大きく変わります。

例:
  • 午前中は動悸が強いのに、午後になると落ち着く
  • 先週は普通に出勤できたのに、今週は朝起き上がれない
  • 会議中は問題なかったのに、昼食後から急に頭が重くなる

「昨日できたのに今日はできない」という状況が起こりやすく、安定して働くことが難しく感じられやすいです。

特に納期のある業務や毎日の出勤が前提の働き方では負担になりやすく、体調が良い日に無理をすると翌日に反動が出ることもあります。

また、気温や気圧、睡眠の質、ストレスなどの影響も受けやすいため、「いつ体調が崩れるか分からない」という不安を抱えながら働く方も少なくありません。

疲れやすく、フルタイム勤務や残業のある働き方が負担になりやすい

自律神経のバランスが乱れていると、身体が休まりにくくなり、疲れやすい状態が続くことがあります。そのため、エネルギーを消耗しやすく、長時間の勤務が負担になりがちです。

例:
  • 8時間働いたあと、帰宅して何もできない
  • 電車に乗るだけでぐったりしてしまう
  • 少し長く会話しただけで翌日に響く

このような状態で残業や夜勤、接客などの負担が続くと症状が悪化する可能性があり、フルタイム勤務そのものが負担になるケースも少なくありません。

症状が見えにくく、周囲に理解されにくい

自律神経失調症の症状は外見から分かりにくく、検査でもはっきりした異常が出ないことが多いため、周囲に理解されにくい傾向です。

例えば、「頭痛やめまいがある」と伝えても軽く受け取られてしまったり、前日は普通に働いていたことで体調不良を信じてもらいにくい場面もあります。

また、診断書に分かりやすい異常が書かれない場合、職場で配慮を受けにくいケースも見られます。

こうした経験が重なると体調不良を隠して働くようになりやすく、その結果として負担が増え、症状が長引いてしまうこともあるのです。

自律神経失調症で仕事がつらい時の対処法

自律神経失調症で仕事がつらい時の対処法(医療機関への相談・生活リズム把握・こまめな休憩・リラックス方法の習得)
この章のポイント
  • まずは医療機関に相談し、不調の原因や対処法を整理する
  • 体調の波を把握し、無理をため込まない働き方を意識する
  • 一人で抱え込まず、職場の配慮や支援制度も活用する

自律神経失調症による体調不良を抱えながら仕事を続けるには、症状と向き合いながら対処することが重要です。

ここでは、自律神経失調症で仕事がつらい時の対処法を5つ紹介します。

医療機関に相談し、不調の原因や対処法を整理する

不調が続く時は、医療機関に相談することで、「なぜ体調が崩れているのか」「どう対処すればよいのか」を整理しやすくなります。自分では分からない原因も、医師に診てもらうことで見えてくる場合があります。

例えば、生活リズムの乱れやストレスの影響、ほかの病気の可能性などを確認してもらえます。その結果、「まずは休養を優先するべきか」「働き方を調整するべきか」といった判断もしやすくなります。

受診を有効に活用するためには、事前に次の3点を整理しておくことが大切です。

1
体調の変化

いつ・どんな症状が・どのくらいの頻度で出ているか

2
仕事への影響

作業に時間がかかる、通勤がつらいなど、具体的な困りごと

3
対処の方向性

治療・生活改善・働き方の調整の中で、何を優先したいか

特に、仕事への影響を具体的に伝えることで、働き方も含めた現実的なアドバイスを受けやすくなります。

なお、受診先の目安については、「自律神経失調症で仕事に悩む方が利用できる相談先」の章で解説しています。

体調が悪化しやすい働き方や生活リズムを把握する

自律神経失調症の症状は、生活習慣や環境の影響を受けやすいとされています。まずは記録を取り、自分の体調の「傾向」を知ることから始めてみましょう。

体調に影響しやすい要因の例:
睡 眠 深夜就寝の翌日は頭痛が出やすい
食 事 朝食を抜くと昼頃にめまいが出やすい
業務内容 対人業務の後に疲労感が強い
気 候 気圧低下で倦怠感が増す
休日の過ごし方 予定を詰めると週明けに悪化

手帳やスマートフォンのメモ、日記アプリなどを使い、睡眠時間や仕事の内容を簡単に記録していく方法がおすすめです。続けるうちに、不調が出やすいタイミングやパターンが見えてきます。

傾向が分かってくると、「今日は早めに休もう」といった事前の対策も取りやすくなります。

こまめに休憩を取り、無理をためこまない

自律神経が乱れている状態では、疲れやすく、回復にも時間がかかることがあります。そのため、疲れが溜まりきる前に休憩を取ることが大切です。

取り入れやすい休憩の工夫:
作業時間を区切り、こまめに休む

50分集中したら10分休むなど、時間を区切ることで集中力が途切れにくくなる

目を休める・仮眠・ストレッチ

休憩中は画面を見ずに目を閉じたり、軽く体を動かしたりして、目や身体の緊張を緩めることで疲れが残りにくくなる

数分その場を離れる

トイレに立つタイミングなどを利用して、数分でもスマホやPCから離れると、目や脳の疲れが和らぐ

「余裕があるからもうひと頑張りしよう」と詰め込むのではなく、余力を残しながら働く意識も欠かせません。

自分に合うリラックス方法や休み方を見つける

自律神経のバランスを整えるためには、意識してリラックスする時間を作ることが欠かせません。ただし、合う方法は人それぞれです。いくつか試しながら、自分に合うものを見つけていきましょう。

代表的な方法の例:
  • 深呼吸(4秒吸って8秒吐くなど吐く時間を長くする)
  • ぬるめのお湯で入浴(38〜40℃)
  • 軽いストレッチや散歩
  • 就寝・起床時間を一定にする
  • 寝る前はスマートフォンを控える

なお、「休もうとしても休めない」「何もしていないのに疲れが抜けない」と感じる場合は、無理に工夫を続けるよりも医療機関に相談したほうがよいこともあります。

業務量・残業・勤務時間などの配慮を受ける

体調管理や自分でできる工夫だけでは限界がある場合、職場に働き方の調整を相談することも一つの方法です。

職場で受けられる配慮の例:
時短勤務・フレックスタイムの活用

体調に合わせて始業・終業時間、勤務時間を調整することで、無理のない働き方につながる

在宅勤務(テレワーク)への切り替え

通勤による体力消耗を減らし、負担の軽減につながる

残業の免除・業務量の調整

主治医の判断をもとに、診断書を活用して上司や人事に相談できる

負担の大きい業務から外れる

接客・営業・夜勤など、症状のきっかけとなる業務の見直しを依頼できる

相談する時は、「体調が悪い」と伝えるだけでなく、できるだけ具体的に説明することがポイントです。

「通勤で疲れやすいため、週に数日在宅勤務にしたい」など、理由と希望をセットで伝えると話が進みやすくなります。

さらに、こうした働き方の調整は「個人のお願い」というだけでなく、法律や制度に基づいた対応として行われる場合もあります。

例えば、「合理的配慮」という考え方があり、病気や障害などによって働く上で困りごとがある場合に、業務内容や働き方を調整することが企業に求められています。

この合理的配慮には、以下のような内容が含まれます。

  • 勤務時間の調整(時短勤務・時差出勤など)
  • 業務内容の変更や負担軽減
  • 通勤負担への配慮(在宅勤務など)
  • 体調に応じた休憩の取りやすさの確保

さらに、働き方の調整は「お願い」というより、制度として認められている対応でもあります。

そのひとつが「合理的配慮」という考え方です。体調や特性によって働くうえで支障がある場合に、業務内容や働き方について調整を受けられるものです。

こうした配慮は一般雇用でも相談できる場合がありますが、特に「障害者雇用枠」では、あらかじめ配慮を前提とした働き方になるため、業務量や勤務時間などについて相談しやすい環境が整っている傾向があります。

大切なのは「無理なく働き続けられる状態をつくること」です。一般雇用・障害者雇用のどちらを選ぶかに関わらず、体調や困りごとを早めに共有することが重要になります。

自律神経失調症で仕事に悩んだ方の体験談

自律神経失調症は、仕事の進めづらさや通勤の負担といった形で、働き方に影響が出ることがあります。

ここでは、実際に仕事に支障が出た方のケースを紹介します。

体験談
33歳・男性/IT関係・派遣社員のケース

もともとパソコンが好きでIT系の会社に入ったのですが、入社して半年ほど経った頃から、なぜか「一つの問題にぶつかるとその先へ進めない」という状態に陥ってしまいました。

納期に追われる焦りで動悸やめまいが悪化し、駅のホームで座り込んでしまうことも増えました。夜も眠れず朝起きられないという不規則な生活になり、一度は退職を覚悟しましたが、最終的に数か月の休職を選択することにしたんです。

休職中に自分の体調が崩れるパターンを客観的に整理し、適切な休養をとったことで、現在は無理のない範囲で少しずつ復職を進めています。

一人で抱え込まずに一旦立ち止まるという判断をしたことが、結果として回復につながったと感じています。

このように、無理を続けることで症状が悪化してしまうこともありますが、一度立ち止まって体調を整えることで、働き方を見直せる状態まで回復していくケースもあります。

今つらさを感じている場合は、無理に続けるだけでなく、今の自分の状態に合った選択を考えることが大切です。

今の仕事を続けるか迷った時に見直したいこと

この章のポイント
  • 仕事を辞める前に、働き方や体調の状態を整理してみることが大切
  • 勤務時間や通勤方法、業務内容の調整で負担を軽減できる場合がある
  • 休養しても回復しない場合は、働き方そのものの見直しも検討する

「辞めるべきか、続けるべきか」と迷った時は、すぐに結論を出すのではなく、まず今の働き方や体調の状態を整理することが大切です。状況を客観的に見直すことで、自分に合った選択が見えやすくなります。

ここでは、仕事を続けるかどうかを考えるうえで見直しておきたいポイントを4つ紹介します。

働く時間や勤務日数を調整できないか

「休日は一日中寝て過ごすことが多い」「週の後半になると明らかに調子が落ちる」といった状態が続いている場合、現在の働く時間や勤務日数が体に合っていない可能性があります。

このような時は、無理に現状を維持するのではなく、働き方を調整できないか検討してみましょう。

相談のヒント

「体調が悪いので減らしたい」と伝えるだけでなく、「週4日(あるいは時短勤務)に調整していただければ、安定して業務を続けられそうです」といった形で、見通しをあわせて伝えると話が進みやすくなります。

在宅勤務・時差出勤・時短勤務を相談できないか

通勤ラッシュや朝の時間帯など、特定のタイミングで症状が強く出ていないかも確認しておきたいポイントです。

例えば、「朝は特に動悸やめまいが出やすい」「通勤だけで疲れ切ってしまう」といった場合、働く時間帯や環境が負担になっている可能性があります。

相談のヒント

「満員電車で症状が悪化するため、10時出社にしていただけないでしょうか」など、何が負担になっているのか、どうすれば軽減できるのかをセットで伝えることが大切です。医師の診断書や意見書があると、よりスムーズに話が進みます。

配慮や業務調整で働き続けられそうか

どの業務の時に体調が崩れやすいのか、一度整理してみることが大切です。「特定の業務だけがつらい」のか、それとも「出勤そのものが負担なのか」によって、取るべき対応は変わります。

例えば、接客や電話対応など特定の業務が負担になっている場合は、業務内容を調整することで負担を軽減できる可能性があります。一方で、通勤や長時間勤務そのものがつらい場合は、働き方全体の見直しが必要になるケースもあります。

相談のヒント

業務調整を相談する際は、「どの業務がどのように負担なのか」に加えて、「どのような配慮があれば続けられそうか」まで具体的に伝えることが大切です。

休めばある程度回復する状態か

数日休むと少し楽になる、連休後は動ける、といった状態であれば休養と働き方の調整を組み合わせることで改善する可能性があります。

一方で、十分に休んでも疲れが抜けない日が続く場合は、今の働き方が身体に負担をかけすぎているサインかもしれません。

「休めば回復するかどうか」は、仕事を続けられるかを見極めるうえでのひとつの目安になります。

自律神経失調症で仕事がつらい時の選択肢

この章のポイント
  • 仕事がつらい時は、今の職場で配慮を受けながら働き続ける方法もある
  • 症状が強い場合は、休職して回復を優先することも大切な選択肢
  • 職場環境が合わない場合は、体調に合った働き方への転職も検討する

自律神経失調症で仕事がつらいと感じた時の選択肢は、症状の出方や職場の環境によって変わります。焦って結論を出すのではなく、まずは今の状況を整理したうえで、自分に合った進め方を考えることが大切です。

ここでは、主な選択肢を3つに分けて紹介します。

配慮を受けながら今の職場で働き続ける

まず検討しやすいのが、今の職場で配慮を受けながら働き続ける方法です。

少し休めば回復する場合や、職場に相談できる環境がある場合は、働き方を見直すことで負担を抑えながら働き続けられる可能性があります。

例えば、時短勤務や在宅勤務への切り替え、一時的な残業の免除など負担を軽くする方法はいくつか考えられます。

配慮をお願いする際は「何がつらいか」だけでなく、「どうすれば続けられそうか」まで具体的に伝えることが大切です。

休職して回復を優先する

配慮を受けても出勤が難しい場合や、休んでも疲れが取れない状態が続く場合は、休職して回復を優先することも必要です。

休職は「逃げ」や「甘え」ではなく、再び働くために体調を整えるための準備期間です。無理をして働き続けるよりも、しっかり休養を取った方が回復につながるケースもあります。

休職するかどうか判断に迷うときは、まず主治医に相談してみましょう。

働き方や職場環境を見直して転職する

今の職場環境そのものが負担になっている場合や、配慮を受けることが難しい場合は、転職によって環境を変えることも一つの方法です。

残業が少ない職場や在宅勤務が可能な仕事、人との関わりが比較的少ない業務など、自分の体調に合った環境を選ぶことで、無理のない働き方につながります。

ただし、転職活動には一定のエネルギーが必要です。体調が不安定な時期に無理をすると、かえって負担が大きくなることもあるため、体調がある程度落ち着いてから準備を進めると安心です。

自律神経失調症の方が働きやすい職場環境

この章のポイント
  • 残業が少なく、業務量が適切に管理されている職場は体調を維持しやすい
  • 在宅勤務やフレックスタイムなど、柔軟な働き方ができる環境がおすすめ
  • 上司や相談窓口に体調の変化を共有しやすい職場は安心して働きやすい

自律神経失調症を抱えながら働く場合、職場環境は体調の安定に大きく影響します。無理なく働き続けるためには、自分の状態に合った環境を選ぶことが大切です。

ここでは、働きやすいとされる職場環境の条件を3つ紹介します。

自律神経を整えるうえでは、睡眠や休息のリズムを安定させることが欠かせません。そのため、業務量が適切に管理されており、定時退社がしやすい職場は、体調を維持しやすい傾向があります。

また、急な対応や突発的な業務が少ない環境であれば、心身への負担も抑えやすくなります。

柔軟な働き方ができる

体調に波がある場合、「毎日同じ時間に同じ場所で働く」こと自体が負担になることもあります。そのため、柔軟な働き方に対応しているかどうかは重要なポイントです。

代表的な制度には、次のようなものがあります。

制度 概要 メリット
フレックスタイム制度 一定の範囲内で始業・終業時間を調整できる制度 体調に合わせて働き始める時間を調整でき、無理な出勤を避けやすい
在宅勤務(テレワーク) 出社せず、自宅などで業務を行う働き方 通勤による体力消耗やストレスを減らし、負担を抑えやすい
時短勤務 通常より短い時間で働ける制度 体力的な負担を抑えながら、無理のないペースで働きやすい

制度が整っているだけでなく、実際に利用しやすい雰囲気があるかどうかも重要です。制度があっても使いにくい環境では、十分に活用できない場合があります。

相談しやすい窓口や上司がいる

体調の小さな変化を、深刻になる前に伝えられる環境があるかどうかは、症状の悪化を防ぐうえで重要です。早い段階で周囲に共有できることで、無理を重ねる前に対処しやすくなります。

例えば、「今日は少し調子が悪い」と伝えた段階で業務量を調整してもらえる上司がいる職場や、産業医・保健師・人事担当者などの相談窓口が整っている職場は、安心して働き続けやすい環境といえます。

自律神経失調症の方が負担を感じやすい職場環境

この章のポイント
  • 長時間勤務や残業の多い職場では、十分な休息時間を確保しにくい
  • 夜勤やシフト制の仕事は、自律神経のリズムを乱す要因になり得る
  • マルチタスクや対人対応の多い業務は、心身の疲労を蓄積させやすい
  • 体調への理解が得られない環境では、無理を重ねてしまうことがある

働く環境は、体調の安定に大きく影響します。自律神経失調症の方にとっては、「仕事内容」だけでなく「どんな環境で働くか」も、とても重要なポイントです。

負担を感じやすい職場の特徴を知っておくことで、今の働き方を見直したり、転職先を検討したりする際の判断がしやすくなります。

ここでは、特に注意しておきたい環境の特徴を4つ紹介します。

長時間勤務や残業が前提になっている

残業が常態化している職場では、睡眠時間や休息の時間が不足しやすくなります。

自律神経を整えるには、生活リズムを安定させることが欠かせません。しかし、勤務時間が長い状態が続くと、休む時間が後ろ倒しになり、体調を立て直す余裕がなくなってしまいます。

不規則勤務や生活リズムが乱れやすい

シフト制や夜勤など、日によって起床時間や就寝時間が変わる働き方も負担になりやすい環境です。

人の身体には「体内時計」があり、一定のリズムで生活することで調子を保とうとしています。そのリズムが崩れると、自律神経のバランスも乱れやすくなります。

マルチタスクや対人負担が大きい

複数の業務を同時にこなす必要がある仕事や、人と関わり続ける時間が長い仕事も注意が必要です。

自律神経が乱れている状態では、「考え続けること」や「気を使い続けること」自体が疲労につながりやすくなります。

例えば、次のような状況です。

例:
  • 電話対応・来客対応・データ入力を同時に行う業務
  • クレーム対応が多いコールセンターや接客業
  • 締め切りが重なり、常に優先順位の判断が求められる業務

「体力的には問題ないはずなのに疲れが抜けない」と感じる場合は、こうした“頭や気を使う負担”が影響しているかもしれません。

体調への理解が得にくく、相談しにくい

体調について相談しづらい職場も、大きな負担につながります。

自律神経失調症は外から分かりにくいため、「元気そうに見える」「検査で異常がない」と受け取られ、つらさが理解されにくいことがあります。

その結果、無理をして働き続けてしまい、気づいたときには体調が悪化しているというケースも少なくありません。

「少し調子が悪い」と早めに伝えられるかどうかは、働き続けるうえでとても重要なポイントです。相談しやすい環境かどうかも、職場選びの基準として考えてみましょう。

自律神経失調症で仕事に悩む方が利用できる制度

この章のポイント
  • 傷病手当金は休職中の収入を補う制度で、自律神経失調症による休職も対象になる場合がある
  • 自立支援医療を利用すると、通院や薬代の自己負担を軽減できる
  • 退職後は失業保険や受給期間延長制度を活用できる可能性がある

体調不良で働けない期間が続いたり、通院や薬代の負担が増えたりすると、生活面の不安も大きくなりがちです。

そうしたときに支えになるのが公的な制度です。「知らなかったために利用できなかった」というケースも少なくないため、あらかじめ内容を把握しておくと安心につながります。

ここでは、代表的な制度を3つ紹介します。

傷病手当金

傷病手当金は、病気や怪我で仕事を休んだ期間の収入を補うために支給される給付金です。自律神経失調症で休職している場合も、条件を満たせば給付の対象になります。

主な条件と内容

項目 内容
対象者 健康保険に加入している会社員・公務員など
支給額 給与の約3分の2
支給期間 支給開始日から最長1年6か月
受給の条件 連続して3日以上仕事を休み、4日目以降も休業が続いていること

申請には、医師による「働けない状態である」という証明が必要です。

傷病手当金について詳しく知りたい方は、傷病手当金とは?支給条件・申請方法・受給期間を解説についてもご覧ください。1日あたりの支給額の目安もあわせてチェックできます。

自立支援医療(精神通院医療)

自立支援医療(精神通院医療)は、精神科や心療内科の通院にかかる医療費の自己負担を軽減できる制度です。通常3割の自己負担が原則1割に抑えられます。

例えば、毎月の通院と薬代で8,000円かかっている場合、自己負担はおよそ800円前後まで抑えられます。

継続的に通院している方にとっては、長期的な負担軽減につながる制度です。

申請は自治体の窓口で行います。手続きには医師の診断書が必要になるため、まずは通院中の医療機関で相談してみましょう。

失業保険

失業保険は、退職後に次の仕事が決まるまでの生活を支えるための給付制度です。体調を理由に退職した場合でも、条件を満たせば受給対象になります。

ただし、原則として「働く意思と能力があること」が条件のため、療養中で就労が難しい場合は、すぐに受給できないことがあります。

その場合は「受給期間の延長申請」を行うことで、最大4年間まで受給開始を先延ばしにすることが可能です。体調が回復してから受給を開始できるため、無理なく就職活動に進みやすくなります。

手続きはハローワークで行うため、退職後は早めに相談しておくと安心です。

自律神経失調症で仕事に悩む方が利用できる相談先

この章のポイント
  • 医療機関では症状に応じて内科・心療内科・精神科などを選択できる
  • 職場では上司・人事・産業医などに働き方や体調について相談できる
  • ハローワークは転職相談や失業保険の手続きに活用できる公的機関
  • 就労移行支援では就職準備から職場定着まで幅広いサポートを受けられる

自律神経失調症による体調不良や仕事への影響に悩んでいる時は一人で抱え込まず、相談先を活用することが大切です。誰かに相談することで状況が整理され、今後の選択肢も見えやすくなります。

ここでは、主な相談先を4つ紹介します。

医療機関(心療内科・精神科・内科など)

日常生活や仕事に支障が出ている場合や、症状が長期間続いている場合は、一度受診を検討してみましょう。早めに相談することで、原因や対処の方向性を整理しやすくなります。

とはいえ、「どこを受診すればよいのか分からない」と迷う方も少なくありません。その場合は、症状の出方を目安に考えると判断しやすくなります。

内科

動悸・めまい・頭痛・胃痛などの身体症状が中心。身体的な病気の有無を含めて幅広く確認したい場合に適している

心療内科

ストレスなどの影響で身体症状が出ている場合に適している。身体と心の両面から診察を行うのが特徴

精神科

不安・気分の落ち込み・不眠・イライラなど精神的な症状が中心の場合に適している。精神面の診断や治療を専門的に行う

「病院に行くほどではないかもしれない」と感じる場合でも、身体の不調が仕事に影響している段階であれば、受診する意味は十分にあります。

診断を受けておくことで、自分の状態を客観的に把握できるだけでなく、職場への説明や働き方の調整もしやすくなります。

社内の相談先(上司・人事・産業医など)

職場内にも、体調不良を抱えながら働くための相談先があります。状況に応じて、相談する相手を使い分けることが大切です。

業務量や働き方の調整を相談したい場合

上司

休職や時短勤務など制度について相談したい場合

人事

体調面について専門的な意見を聞きたい場合

産業医(※)

体調について直接伝えにくい場合は、主治医の診断書や意見書を活用すると話が進めやすくなります。

ハローワーク

ハローワークは、転職や再就職を検討している方が利用できる公的機関です。全国に拠点があり、求職活動を行う方であれば無料で相談や求人紹介を受けられます。

また、失業保険の申請窓口でもあるため、退職を検討している段階で一度相談しておくと、その後の手続きや流れを把握しやすくなります。

就労移行支援

就労移行支援とは、病気や障害を抱えながら働くことを目指す方に向けた、国の制度に基づく福祉サービスです。

自律神経失調症などで体調に不安がある場合でも、無理のないペースで「働く準備」から「就職後の定着」まで一貫してサポートを受けることができます。

転職や復職を目指している段階はもちろん、「まずは働ける状態を整えたい」という段階でも利用できます。(※)

主なサポート内容は以下の通りです。

  • ビジネスマナーやパソコンスキルなどの職業訓練
  • 体調管理の方法や、自分に合った働き方の整理
  • 就職活動の支援(書類作成・面接対策など)
  • 就職後の職場定着サポート

※ 自治体等の判断により、休職中でも利用可能な場合があります。

就労移行支援manabyについて

就労移行支援manabyでは自律神経失調症をはじめとする様々な不調をかかえながら働くことに不安がある方の相談を受け付けています。「今の職場でうまくやっていけるか不安」「自分に合った働き方を見つけたい」という段階でも、見学・相談の利用が可能です。

就労移行支援マナビーのサポート
体調管理やストレス対処のサポート
毎日を安定して過ごすためのサポートを行います。
自分のペースで学べる eラーニング「マナe
PC・ITスキルを無理なく習得することができます。
外出が不安なときも安心の在宅支援
※ 在宅訓練の利用可否は、お住まいの自治体によって異なります。
就職支援(履歴書・面接・求人探し)
履歴書の作成・面接練習・求人探しのアドバイスなどを行います。
働き始めた後も定着サポート
職場との連携・フォローがあり、就職後も安心の体制です。
就労移行支援マナビーはこんな方におすすめ
  • 働きたい気持ちはあるが、今すぐ就職するのが不安な方
  • 体調の波があり、いきなりフルタイム勤務が難しい方
  • 自分に合う仕事や働き方を整理したい方

自律神経失調症と仕事に関するよくある質問

自律神経失調症を抱えながら仕事を続けることに関してよくある質問に回答します。

自律神経失調症は何科を受診すればよいですか?

症状の種類によって、受診先の目安は異なります。

動悸・めまい・頭痛・胃痛など、身体の症状が中心の場合

内科

ストレスの影響で身体症状が出ている場合

心療内科

不安・気分の落ち込み・不眠・イライラなど、精神的な症状が中心の場合

精神科

受診先に迷う場合は、身体と心の両面から診てもらえる心療内科を選ぶと安心です。

ただし、予約が取りにくい場合や受診のハードルが高いと感じる場合は、まず内科で相談し、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらう方法もあります。

会社にはどのように相談すればよいですか?

「体調が悪い」とだけ伝えるよりも、症状と希望する配慮を一緒に伝えると職場側も対応を検討しやすくなります。

上司への相談例
ここ数か月、朝に動悸やめまいが出やすく、出勤が難しい日が増えています。心療内科を受診したところ、自律神経の乱れと診断されました。業務を続けたい気持ちはあるのですが、当面の間、残業を控えさせていただくか、可能であれば週に数日在宅勤務をさせていただくことは可能でしょうか。

このように「現状」「診断(または受診状況)」「希望」を順序立てて伝えると話がスムーズに進みます。医師の診断書や意見書がある場合は、あわせて提示すると理解を得やすくなります。上司に直接伝えにくい場合は、人事や産業医へ先に相談するのも一つの方法です。

自律神経失調症でも仕事を続けられますか?

症状の程度や職場環境によって異なりますが、適切な対処と配慮があれば、仕事を続けられるケースは少なくありません。

例えば、次のような状態であれば、働き続けやすい傾向があります。

  • 休めばある程度体調が回復する状態である
  • 勤務時間の短縮や在宅勤務などの配慮を受けられる職場環境がある
  • 医療機関で治療や生活指導を受けながら症状をコントロールできている

一方で、「休んでも回復しない」「症状が徐々に悪化している」といった場合は注意が必要です。無理に働き続けることで、かえって体調を崩す可能性もあります。主治医と相談しながら、休職を含めて働き方を見直すことが大切です。

自律神経失調症で休職はできますか?

休職できるかどうかは、勤務先の就業規則と主治医の判断によって決まります。

基本的には、自律神経失調症そのものが理由で休職できないということは少なく、医師が「就労が難しい」と判断した場合は休職の対象になることが多いです。

自律神経失調症で仕事に悩んだら、働き方を見直してみるのも大切

自律神経失調症による不調は外からは分かりにくく、「まだ働けるはず」と無理を重ねてしまいがちです。ですが、仕事がつらいと感じているのなら、少し立ち止まって働き方を見直してみてもよいタイミングかもしれません。

大切なのは、「辞めるか続けるか」の二択で考えないことです。勤務時間の調整や業務内容の見直し、在宅勤務、必要に応じた休職など、負担を軽減する方法はいくつもあります。

まずは、どんな時に体調を崩しやすいのかを振り返りながら整理し、その内容を医療機関や職場に伝えてみると、具体的な調整もしやすくなります。それでも今の働き方がつらい場合は、しっかり休むことも大切な選択です。

一人で抱え込まず、自分に合った無理のない働き方を少しずつ整えていきましょう。

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久木田 みすづ

精神保健福祉士/社会福祉士/心理カウンセラー
福祉系大学を卒業後、カウンセリングセンターや医療機関で精神保健福祉士・カウンセラーとして勤務。うつ病・統合失調症・発達障害などを抱える患者と家族への相談支援に従事してきた。現在は臨床経験を活かし、メンタルヘルスや精神疾患、福祉制度に関するWebライターとして活躍中。

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