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ADHD(注意欠如・多動症)で休職する方法|手順・診断書・傷病手当金と復職の流れ

目次
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この記事は 2 分で読めます。

ADHD(注意欠如・多動症)の特性による仕事の困りごとが重なり、「このまま働き続けるのは難しい」と感じる方は少なくありません。

「仕事でミスが続く」「納期に間に合わない」などの悩みが続く場合、休職は心身の状態を整え、今後の働き方を見直すための選択肢の一つです。

この記事では、ADHD(注意欠如・多動症)で休職する際の手順や診断書の準備、休職中の生活を支える傷病手当金などの制度、復職やその後の働き方について詳しく解説します。

加藤 美遥
監修 加藤 美遥 (社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士)
この記事は、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の資格を持ち、精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして、うつ病や発達障害、依存症などの支援に携わる専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • ADHD(注意欠如・多動症)で休職することは、甘えではない
    仕事での困りごとは特性が背景にある場合があり、休んで心身を回復させることは大切です。
  • 休職中の生活を、支えてくれる公的な制度がある
    傷病手当金や自立支援医療、障害年金など、収入や医療費を支える制度を利用できる場合があります。
  • 休職後は、復職以外の選択肢もある
    復職だけでなく、転職や就労移行支援の利用など、自分の状況に合った選択肢を検討できます。
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ADHD(注意欠如・多動症)とは?

この章のポイント
  • ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動性・衝動性を主な特性とする発達障害の一つです。
  • 特性の現れ方には個人差があり、大人になってから気づくケースもあります。
  • 仕事での困りごとは努力不足ではなく、ADHD(注意欠如・多動症)の特性が影響している場合があります。

ADHDは「Attention-Deficit Hyperactivity Disorder」の頭文字をとった呼び名で、日本語では「注意欠如・多動症」と訳されます。主な特性として、以下の3つがあります。

  • 不注意:忘れ物やケアレスミスが多い、集中力を維持しにくい
  • 多動性:落ち着いて座っていることが難しい
  • 衝動性:思いついたことをすぐ行動に移してしまう

これらの特性は誰にでもみられることがありますが、その程度が強く、仕事や日常生活に支障が生じている場合には医療機関で問診や検査を受けたうえでADHD(注意欠如・多動症)と診断されます。

特性の程度や環境によっては、子どもの頃には気づかれず、大人になってからADHD(注意欠如・多動症)が判明するケースもあります。

仕事では、優先順位をつけることや締め切りの管理が難しかったり、ケアレスミスが続いたりすることで強いストレスを抱えることも少なくありません。

こうした困りごとによるストレスが積み重なり、心身の不調が続く場合には、休養のために仕事から離れることが必要になるケースもあります。

ADHD(注意欠如・多動症)で休職はできる?

この章のポイント
  • 「ADHD(注意欠如・多動症)の診断がある=休職できる」ではありません。
  • 医師が療養の必要を認め、会社の休職制度に沿って手続きすることで休職できます。
  • ADHD(注意欠如・多動症)によって、二次的に生じたうつ病や適応障害が休職のきっかけになることもあります。

結論から言うと、ADHD(注意欠如・多動症)の診断があるだけで休職できるわけではありません。休職は、医師が療養の必要を認め、会社の休職制度に沿って手続きを進めることで認められます。

ADHD(注意欠如・多動症)の特性によって仕事や日常生活への支障が大きくなり、療養が必要と判断された場合は、休職が認められることがあります。

うつ病・適応障害などの二次障害で休職が必要になることもある

ADHD(注意欠如・多動症)の特性によるミスや叱責が積み重なると、自己否定感やストレスが強くなり、うつ病や適応障害、不安障害などの二次障害につながることがあります。

休職が必要になる方の中には、このような二次障害をきっかけに療養が必要と判断されるケースも少なくありません。

用語の解説

二次障害とは、発達障害の特性そのものではなく、その特性による失敗体験や人間関係のトラブル、強いストレスなどが積み重なることで生じる心身の不調を指します。うつ病や適応障害、不安障害などが代表例です。

ADHD(注意欠如・多動症)で休職するまでの流れ

この章のポイント
  • 休職は「受診→診断書→就業規則の確認→相談→書類提出→休職開始」の流れで進みます。
  • 診断書は休職手続きの土台になる重要な書類です。
  • 上司や人事への相談では、症状の事実を中心に伝えると話が進みやすくなります。

ここでは、休職開始までの流れを6つのステップに分けて紹介します。

精神科・心療内科を受診する

休職を希望する場合は、まず医療機関を受診しましょう。

  • すでに診断を受けている場合:かかりつけの主治医に相談する
  • 初めて受診する場合:精神科や心療内科の予約をとる(※)

※初診は予約が取りにくく、受診まで1ヶ月程度かかることがあるため、早めの受診がおすすめです。

受診の際は、いつ頃からどのような症状があるのか、仕事でどんな困りごとが起きているのかを伝えられるよう、簡単にメモを用意しておくとスムーズです。

メモの例
  • 3ヶ月ほど前から仕事のミスが増えた
  • 締切や予定を忘れることが増えた
  • 上司から注意を受ける機会が増えた
  • 仕事のことを考えると強い不安を感じる
  • 夜眠れない日が続いている
  • 朝起きられず、遅刻しそうになることが増えた

このように、困っていることや体調の変化を具体的に整理しておくと状況が伝わりやすくなります。

医師に診断書を作成してもらう

受診の結果、療養が必要と判断された場合は、休職のための診断書を作成してもらいます。

診断書の発行にかかる費用は医療機関によって異なりますが、4,000~6,000円程度が一般的な目安です。作成に数日かかる場合もあるため、受診時に発行までの期間を確認しておくと安心です。

会社の就業規則で休職制度を確認する

休職制度の内容は会社によって異なるため、事前に就業規則を確認しておきましょう。

確認しておきたい主なポイントは次のとおりです。

  • 休職できる期間の上限
  • 休職中の給与の有無
  • 休職の申請に必要な書類
  • 復職時に必要な手続きや条件

特に休職できる期間の上限は、勤続年数によって変わる会社もあります。療養やその後の見通しが立てやすくなるため、自分がどれくらいの期間休めるのかを前もって把握しておきましょう。

上司・人事へ相談する

診断書が用意できたら、上司または人事へ休職の意向を伝えます。誰にどのように相談するかは会社によって異なりますが、まずは直属の上司へ相談し、その後、人事担当者などと手続きを進める流れが一般的です。

伝える際は、症状の事実を中心に簡潔に伝えるとスムーズに話を進めやすくなります。

例文
仕事のミスが増え、心身の負担も大きくなっていたため受診したところ、医師からしばらく療養が必要との診断を受けました。医師から診断書も発行されていますので、休職について相談したいと考えています。

このとき、直属の上司には、必ずしもADHD(注意欠如・多動症)の診断名や症状の詳細まで伝える必要はありません。

一方で、人事担当者や産業医から手続き上必要な範囲で確認を求められることがあります。

休職に必要な書類を準備・提出する

会社から案内された手続きに沿って、休職に必要な書類を準備して提出します。一般的には、医師の診断書と会社所定の休職願や休職届を提出します。

また、休職中の連絡方法や定期的な状況報告について確認されることもあります。提出する書類や手続きの流れは会社によって異なるため、案内された内容を確認しながら進めましょう。

休職開始

必要な手続きが完了すると休職が始まります。休職期間や復職までの流れは会社によって異なるため、主治医や会社と相談しながら療養を進めることが大切です。

ADHD(注意欠如・多動症)の休職期間はどれくらい?

この章のポイント
  • 休職期間に一律の決まりはなく、症状と会社の規定によって異なります。
  • 医師が判断する療養期間と、会社で認められる休職期間が一致しない場合があります。
  • 期間内に復職が難しいときは、診断書をもとに延長を相談できる場合があります。

ここでは、休職期間の考え方や延長の流れについて解説します。

休職期間は症状や会社の規定によって異なる

ADHD(注意欠如・多動症)だから「○ヶ月休める」という一律の決まりはありません。休職期間は、主治医の判断と会社の規定の両方によって決まります。

まず、主治医が症状や回復状況をもとに、必要な療養期間を判断し、診断書に記載します。会社は、その診断書と就業規則で定められた休職期間の上限を踏まえて実際の休職期間を決定します。

そのため、医師が必要と判断した療養期間と会社で認められる休職期間が一致しないこともあります。

また、休職期間は個人差が大きく、数週間で復職する方もいれば数ヶ月以上の療養が必要になる方もいます。参考として、適応障害やうつ病などのメンタル不調による休職期間は、平均107日(約3.5ヶ月)という研究結果が報告されています。

休職期間を延長したい場合

休職期間の延長を希望する場合は、期間満了前に主治医へ相談しましょう。療養の継続が必要と判断された場合は、診断書を準備し、会社の手続きに沿って延長を申請します。

期間満了の直前になって慌てないよう、余裕をもって主治医や会社と相談しておくことが大切です。

ただし、就業規則で定められた休職期間の上限を超えて延長することは原則としてできません。上限に達した場合の扱いは会社によって異なり、退職や復職可否の判断につながることもあります。

上限が近づいてきた場合は、早めに人事担当者と今後の見通しについて話し合っておきましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)で休職中のお金はどうする?

この章のポイント
  • 休職中は給与が支給されない場合がありますが、生活を支える制度があります。
  • 傷病手当金は、一定の要件を満たした場合に利用できる制度です。
  • 症状が長期化した場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

休職を考えるとき、大きな不安になりやすいのが収入の問題です。「休んだら給料はどうなるのか」「生活していけるのか」という心配から、休職に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。

ここでは、休職中の給与と代表的な支援制度について解説します。

休職中は会社から給与が支給されない場合がある

休職中の給与の扱いは会社の就業規則によって異なりますが、給与は支給されないか、減額されるのが一般的です。

一方で、給与が支給されない場合でも、社会保険料の負担は原則として続きます。収入が止まる一方で支出は残るため、休職前に手元の資金や毎月の支出を確認しておくと、見通しが立てやすくなります。

こうした収入面の不安を支える代表的な制度が、次に紹介する傷病手当金です。

傷病手当金を利用する

傷病手当金は、業務外の病気やけがで仕事を休み、給与の支払いがない、または十分でない期間の収入を補うための制度です。

主な支給要件
  • 業務外の病気やけがで療養している
  • 療養のため、それまで従事していた仕事に就くことができない状態である
  • 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
  • 休業期間中に給与の支払いがない、または減額されている

※支給の可否は、医師の意見や仕事内容、療養状況などを踏まえて保険者が判断します。

なお、連続する3日間の待期期間には、療養のため仕事に就くことができない状態であれば、有給休暇や土日・祝日などの所定休日も含まれます。

支給額は標準報酬月額をもとに計算されますが、目安としては給与のおよそ3分の2程度です。

また、傷病手当金には支給期間の上限があり、支給開始日から通算して1年6ヶ月まで受け取ることができます。

ADHD(注意欠如・多動症)や、その二次障害として生じたうつ病・適応障害なども要件を満たす場合には傷病手当金の対象となる可能性があります。

障害年金という選択肢もある

傷病手当金とは別に、症状が長期化し、生活や仕事への影響が続く場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限される状態になった場合に支給される公的年金です。

ADHD(注意欠如・多動症)を含む発達障害や、うつ病などの精神疾患も対象となる場合があります。ただし、病名だけで受給できるわけではなく、初診日や保険料の納付状況、障害の状態などの要件を満たす必要があります。

また、障害年金は原則として、初診日から1年6か月を経過した日(障害認定日)に、障害の状態が受給要件を満たしているか判断されます。そのため、症状が長期化した場合でも、すぐに障害年金を受給できるとは限りません。

受給できるかどうかは個別の状況によって判断されるため、利用を検討する場合は年金事務所や主治医へ相談しましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)の休職中に使える支援制度

この章のポイント
  • 自立支援医療制度を使うと、通院や薬にかかる医療費の自己負担を軽減できます。
  • 精神障害者保健福祉手帳を取得すると、様々な支援やサービスを受けられます。
  • リワークプログラムや就労移行支援は、復職や再就職に向けた準備を支えます。

休職中は、医療費の負担を軽くしたり、回復や復職を支える支援制度も利用できる可能性があります。ここでは代表的な4つの制度を紹介します。

自立支援医療制度

自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患のために継続的な通院による治療が必要な方を対象とした制度です。

医療費の自己負担は通常3割から原則1割に軽減されるほか、世帯の所得に応じてひと月あたりの自己負担額には上限が設けられています。

ADHD(注意欠如・多動症)の治療や、その二次障害として生じたうつ病・適応障害などで継続的な通院が必要な場合は、利用できる可能性があります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患や発達障害によって長期にわたり日常生活や社会生活に制限がある方を対象とした制度です。

等級は1級から3級に分かれており、税金の控除や公共料金の割引などの支援を受けられるほか、障害者雇用枠での就職を検討できるようになります。

リワークプログラム

リワークプログラムは、生活リズムを整えたり、集中力や体力を回復させたりしながら、職場復帰を目指す支援プログラムです。

具体的な内容は実施機関によって異なりますが、軽作業やグループワークなどを通じて、働く感覚を取り戻していきます。

就労移行支援

就労移行支援は、精神疾患を含む障害や難病のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。

休職中に「復職するか、転職するか」で悩む方も少なくありません。就労移行支援は、働くための準備をしながら今後の働き方を考えたい方にとって、選択肢の一つになります。

なお、休職中の方が利用できるかどうかは、自治体の判断や会社の状況などによって異なります。

就労移行支援manaby(マナビー)では、一人ひとりの特性や希望に合わせた支援を提供しています。在宅訓練(※)にも対応しており、自分のペースで生活リズムを整えながら、PCスキルやビジネススキルを学ぶことが可能です。就職だけでなく、長く働き続けるためのサポートにも力を入れています。

※自治体に申請し認められた場合のみ、在宅訓練が可能です。

ADHD(注意欠如・多動症)の休職中の過ごし方

ADHD(注意欠如・多動症)の休職中の過ごし方
この章のポイント
  • 休職初期は、何もしないことを自分に許可し、心身を休めることが最優先です。
  • 回復期は、生活リズムを少しずつ整えていく時期です。
  • 準備期は、復職や次のステップに向けて無理なく動き始める時期です。

回復の経過は人によって異なりますが、ここでは目安として「初期」「回復期」「準備期」の3つに分け、それぞれの過ごし方を紹介します。

【初期】とにかく休む・何もしないを許可する

休職初期は、無理に活動せず心身を休めることを優先します。

休職直後は、これまで張り詰めていた緊張が一気にゆるみ、強い疲労感や眠気に襲われることもあります。このような状態は、心身が休息を必要としているサインの一つと考えられます。

十分な睡眠をとり、食事や休息を無理のない範囲で整えながら、罪悪感を抱えずに休むことが大切です。

【回復期】生活リズムを少しずつ整える

休息によって少しずつエネルギーが戻ってくると、回復期に入ります。この時期は、乱れがちだった生活リズムを少しずつ整えていきます。

取り組みの例

  • 決まった時間に起きる
  • 朝の光を浴びる
  • 近所を10〜20分ほど散歩する
  • 簡単な家事を行う
  • 決まった時間に食事をとる
  • 趣味や読書など短時間の活動を取り入れる

いきなり完璧を目指す必要はありません。できた日もできない日も自分を責めず、無理のない範囲で生活リズムを整えていきましょう。

【準備期】復職・次のステップに向けて動き始める

生活リズムが整い、活動できる時間が増えてきたら、復職や次のステップに向けて少しずつ準備を始めます。

復職を考えている場合は、主治医と相談しながら、短時間の外出や家事、読書などを通して、仕事に必要な集中力や体力が戻っているか確認していきます。

慣れてきたら、通勤時間帯に外出する、決まった時間に起きる、パソコン作業を行うなど、実際の勤務に近い行動を少しずつ取り入れていきましょう。

また、休職に至った原因やADHD(注意欠如・多動症)の特性による困りごとを振り返り、タスク管理の方法や、仕事の優先順位の付け方、周囲に相談したい配慮について整理しておくことも大切です。

すぐに復職を目指すのではなく、リワークプログラムなどを活用しながら準備を進める方法もあります。

ADHD(注意欠如・多動症)の通院・治療とは?

この章のポイント
  • ADHD(注意欠如・多動症)の治療では、必要に応じて、薬物療法や心理療法などを組み合わせて治療を進めます。
  • 薬物療法は、医師の管理のもとで特性による困りごとの軽減を目指します。
  • カウンセリングや心理療法は、考え方や行動の工夫を身につける助けになります。

休職中は十分な休養に加えて、治療を継続することも大切です。

ADHD(注意欠如・多動症)の治療では、生活環境の調整や支援、薬物療法、心理療法など、様々な方法があります。

どのような治療や支援を行うかは、症状や困りごとの程度、生活環境などを踏まえて医師が判断します。

ここでは、代表的な2つの治療法について整理します。

薬物療法

薬物療法では、ADHD(注意欠如・多動症)による不注意や衝動性、多動性などの特性による困りごとの軽減を目的としています。

薬の効果や副作用の現れ方には個人差があるため、合う薬や量を医師と相談しながら調整していきます。

自己判断で中断したり量を変えたりせず、気になることがあれば必ず主治医に相談しましょう。

カウンセリング・心理療法の活用

薬物療法とあわせて、カウンセリングや心理療法も治療の選択肢になります。これらは、考え方や行動の癖を見つめ直し、ADHD(注意欠如・多動症)の特性による困りごとへの対処法を身につけるための支援です。

カウンセリングや心理療法では、忘れ物や時間管理の難しさ、人間関係の悩みなどを整理しながら、自分に合った対処法を学んでいきます。失敗体験の積み重ねによって自己否定感や不安が強くなっている場合には、考え方のパターンを見直し、ストレスへの対処方法を身につけることも期待できます。

内容や効果には個人差があるため、主治医やカウンセラーと相談しながら、自分に合った治療や対処方法を見つけていくことが大切です。

ADHD(注意欠如・多動症)の休職から復職するまでの流れ

この章のポイント
  • 復職のタイミングは、自己判断ではなく主治医や会社と相談して決めます。
  • 復職前には、会社と働き方や受けられる配慮について確認しておきましょう。
  • 復職後も体調に合わせて働き方を調整しながら、治療を継続することが大切です。

体調が回復し、働ける状態が整ってくると、復職を検討する段階に入ります。

ここでは、復職までの流れを4つのステップで紹介します。

主治医と復職のタイミングを相談する

復職に向けた最初のステップは、主治医と復職の時期を相談することです。

主治医は、体調や生活リズム、日中の活動状況などを踏まえ、復職できる状態かどうかを判断します。

復職には「復職可能」と記載された診断書が必要になる場合もあるため、早めに相談しておきましょう。

会社へ復職の意向を伝える

主治医から復職可能と判断されたら、会社へ復職の意向を伝えます。

多くの場合、人事担当者や上司に連絡し、復職に必要な手続きや提出書類を確認します。

会社によっては、産業医との面談や復職判断の手続きが必要な場合もあります。就業規則や会社からの案内を確認しながら進めましょう。

復職前に会社と働き方を確認する

復職後も無理なく働き続けるためには、必要な配慮や働き方について会社と相談しておくことが大切です。

例えば、以下のような調整が考えられます。

困りごと 相談内容の例
口頭だけの指示だと忘れやすい指示をメールやチャットなど文章でも共有してもらえないか相談する
複数の仕事を同時に進めるのが難しい業務の優先順位を確認しながら進められるよう相談する
締め切りが重なると混乱しやすい業務量や納期について調整できないか相談する
周囲の音や人の動きで集中しにくい座席配置や作業環境について相談する
復職直後から通常勤務が不安勤務時間や業務内容について相談できるか確認する

対応の可否は会社の制度や業務状況によって異なります。働き続けるために必要な内容を整理し、相談することが大切です。

復職後も治療を続け、無理をしすぎない

復職後も通院や服薬などの治療を継続しながら、体調に合わせて働き方を調整していきましょう。

復職直後は、体力や集中力が十分に戻っていない場合もあります。無理に以前の状態へ戻そうとせず、少しずつ仕事のペースを取り戻すことが大切です。

体調に変化を感じた場合は、早めに主治医や会社へ相談しましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)の休職、復職以外の選択肢

この章のポイント
  • 今の会社で働き続ける場合は、業務内容や働き方を見直す方法があります。
  • 職場環境が合わない場合は、転職を検討することもできます。
  • 就労移行支援は、働き方を見直したいときの相談先になります。

体調が回復してくると、「これからどう働くか」を考える時期になります。

ここでは、今後の働き方を考える際の主な選択肢を3つ紹介します。

同じ会社で働き方を変える

今の会社で働き続けたい場合は、働き方や業務内容を見直すことも選択肢の一つです。

例えば、業務量の調整や担当業務の見直し、部署異動の相談などが考えられます。会社と相談しながら働き方を調整することで、自分に合った環境で仕事を続けられる場合があります。

異動や業務変更がすぐに実現するとは限りませんが、まずは人事や上司へ希望を伝えてみましょう。

転職を検討する

今の職場の環境や仕事内容が自分の特性に合わないと感じる場合は、転職を検討する方法もあります。

ADHD(注意欠如・多動症)の特性は、職種や働き方との相性によって、困りごとになる場合もあれば、強みとして活かせる場合もあります。ADHD(注意欠如・多動症)の特性に合った仕事や働き方については、ADHDに向いている仕事とは?で詳しく解説しています。

休職中の不安定な状態で焦って転職するミスマッチにつながる可能性があるため、体調が回復してから働き方を具体的に考え始めることが大切です。

就労移行支援事業所を活用する

「次の働き方をどう考えればよいか分からない」「一人で就職活動を進めることに不安がある」という場合は、就労移行支援事業所を活用する方法があります。

就労移行支援では、生活リズムを整える支援や仕事に必要なスキルの習得、自分の特性の整理、職場探し、就職後の定着支援まで、一人ひとりの状況に合わせたサポートを受けられます。

自分の特性や希望する働き方を整理しながら、無理のないペースで就職に向けた準備を進められることが特徴です。

ADHD(注意欠如・多動症)の休職に関するよくある質問

ADHD(注意欠如・多動症)の休職について、診断書の必要性や休職期間、復職時の配慮など、よくある疑問をまとめました。

ADHD(注意欠如・多動症)で休職するには診断書が必要ですか?

休職は会社の就業規則にもとづく制度のため、休職の可否を判断するために診断書の提出を求められるのが一般的です。

診断書には、病名や療養が必要な期間の目安などが記載されます。まずは精神科や心療内科を受診し、医師に休職の意向を伝えて相談してみましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)で休職できる期間はどれくらいですか?

休職期間は会社の就業規則によって異なり、一律の決まりはありません。診断書の内容や会社の規定をもとに決まります。

数ヶ月から1年以上と会社によって幅があるため、勤務先の就業規則を確認することが大切です。

休職を繰り返すとどうなりますか?

休職を繰り返した場合でも、すぐに退職になるわけではありません。

ただし、会社によっては休職できる期間に上限があり、休職期間の合計が上限に達した場合は、就業規則にもとづいて退職扱いになることがあります。

休職できる期間や期間の数え方は会社によって異なるため、事前に就業規則を確認しておきましょう。

休職中に傷病手当金は受け取れますか?

一定の要件を満たし、保険者が支給を認めた場合は受け取ることができます。

主な支給要件

  • 業務外の病気やけがで療養している
  • 療養のため、それまで従事していた仕事に就くことができない状態である
  • 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
  • 休業期間中に給与の支払いがない、または減額されている

短時間勤務など、復職時に配慮を求めることはできますか?

復職時に、必要に応じて会社へ配慮について相談できます。配慮の内容は、本人と会社が話し合い、業務内容や会社の状況などを踏まえて個別に検討されます。

ADHD(注意欠如・多動症)で休職を考えたら、まずは手順と利用できる制度を確認しよう

ADHD(注意欠如・多動症)で働き続けることが難しいと感じたとき、休職は心身の状態を整え、今後の働き方を見直すための選択肢の一つです。

休職を考えたら、まずは医療機関へ相談し、現在の状態に合った対応を検討しましょう。休職中は、傷病手当金や自立支援医療制度などを活用しながら治療や療養に専念し、回復に向けた時間を確保できます。

そのうえで、体調が整ってきたら、復職だけでなく、職場での働き方を調整する、転職する、支援機関を利用するなど、自分に合った働き方を改めて考えることができます。

無理をして今の環境に合わせ続けるのではなく、利用できる制度や支援を活用しながら、長く働き続けられる方法を探していきましょう。

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加藤 美遥

社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士
福祉系専門学校を卒業後、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士を取得。現在は北海道の精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務し、うつ病や発達障害、依存症などの支援に従事。医療と福祉の両面から得た経験を活かし、メンタルヘルスや福祉制度に関する情報発信・監修を行っている。

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