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HSPでも就労移行支援は使える?費用・期間・利用の流れをわかりやすく解説

目次
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この記事は 2 分で読めます。

「職場の音や人の空気に疲れ切ってしまう」「電話対応や急な依頼が重なると頭が真っ白になる」

そんな働きづらさを抱えていませんか?

HSP傾向の方の中には、毎日気を張り続けることで心身が限界に近づき、帰宅後に動けなくなったり、出勤前から強い不安を感じたりする方も少なくありません。

「仕事を辞めたいけれど、次も同じことになりそうで怖い」「自分に合う働き方を探したい」と感じたとき、選択肢の一つになるのが就労移行支援です。

ただし、HSP傾向があるというだけで利用できるのか、費用はかかるのか、どんな支援が受けられるのか分からず、不安を感じている方も多いでしょう。

この記事では、HSP傾向の方が就労移行支援を利用できる条件や、費用・利用期間・利用までの流れをわかりやすく解説します。

米澤駿
監修 米澤 駿 (臨床心理士/公認心理師)
この記事は、2016年に臨床心理士指定大学院を修了後、精神科病院で心理カウンセラーとして勤務し、発達相談やスクールカウンセリング、就労支援など幅広い現場に携わってきた専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • HSPは医学的な診断名ではなく、それだけでは就労移行支援の対象になりにくい
    ただし、仕事や生活に支障が出ている場合は、医師の診断や自治体の判断によって利用につながることがあります。
  • 就労移行支援は、65歳未満で就職を目指す方を対象とした障害福祉サービス
    障害者手帳がなくても、医師の診断書などをもとに利用できる場合があります。最終的な利用の可否は自治体が判断します。
  • 就労移行支援の利用料金は世帯収入に応じて決まり、利用期間は原則2年間
    多くの方が自己負担なしで利用しています。利用中は、就職に向けた準備を段階的に進めていきます。
  • HSP傾向の方には、静かな環境や一人で進めやすい仕事が向いている
    事業所を選ぶ際は、職場環境や個別対応のしやすさを確認することが大切です。見学や体験利用を通して、無理なく通えそうか確かめてみましょう。
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就労移行支援manabyの実績

利用者数 3,106 ※2024年2月時点
職場定着率 85.7% ※6ヶ月定着の実績
在宅就労率 20.4% ※就職者に対する割合
どんなことを相談できるの?
  • 「自分に合った仕事や働き方を見つけたい」
  • 「体調やメンタルに波があり、長く働けるか不安」
  • 「障害への理解がある職場に就職・転職したい」
  • 「まずは生活リズムを整えるところから始めたい」

HSP傾向の方は就労移行支援を利用できるの?

この章のポイント
  • HSPは医学的な診断名ではないため、それだけで就労移行支援の対象になるとは限りません。
  • 仕事や生活に支障が出ている場合は、医師の診断書や意見書などをもとに、利用につながることがあります。
  • 利用できるかどうかは、現在の状態や困りごとを踏まえて判断されるので、迷ったらまず相談してみましょう。

HSP傾向の方でも、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、就労移行支援を利用できる可能性があります。

ただし、HSP(Highly Sensitive Person/ハイリー・センシティブ・パーソン)は医学的な診断名ではないため、「HSPであること」だけで利用対象になるわけではありません。

一方で、強い不安感や疲労感、人間関係のストレスなどによって働くことに困りごとが出ている場合は、医師の診断書や意見書をもとに利用につながるケースもあります。

就労移行支援の利用の可否は、現在の状態や困りごとなどを踏まえて判断されます。

詳しい利用条件については、「HSP傾向の方が就労移行支援を利用できる条件」の章で解説します。

HSP傾向の方が仕事でつまずきやすい理由

この章のポイント
  • HSP傾向の方がつまずきやすいのは、頑張りが足りないからではなく、刺激や人間関係の影響を受けやすい特性が関係していることがあります。
  • 周囲への気配りや小さな刺激の積み重ねで、気づかないうちに心身へ負担がかかってしまいます。
  • 就労移行支援では、負担を感じやすい場面を整理したり、刺激を減らす工夫を一緒に考えたりすることができます。

HSP傾向の方が仕事でつまずきやすいのは、「頑張りが足りないから」ではなく、刺激や人間関係の影響を強く受けやすい特性が関係していることがあります。

周囲に気を配りすぎたり、小さな刺激でも疲れが少しずつ積み重なったりして、気づかないうちに心身へ負担がかかってしまうためです。

ここでは、HSP傾向の方が仕事で負担を感じやすい代表的な理由と、就労移行支援でできる対策を紹介します。

周囲の感情や空気の変化に敏感で疲れやすいから

職場の空気や周囲の感情を細かく感じ取りやすいと、それだけで強い疲労につながることがあります。

例えば、上司の表情や声のトーンが少し変わっただけで、「自分が何か悪いことをしたのでは」と不安になったり、職場の空気が張り詰めているだけで緊張してしまったりすることがあります。

こうした状態が続くと、仕事そのものよりも「周囲に気を使い続けること」で疲れ切ってしまい、集中力が落ちたり、出勤自体がつらくなったりすることもあります。

就労移行支援で取り組めること

就労移行支援では、支援員との面談や振り返りを通して、「どんな場面で疲れやすいのか」を整理していきます。

「どんな人間関係で負担を感じやすいか」「どんな場面で気を使いすぎてしまうか」を一緒に振り返ることで、自分の傾向を少しずつ言語化できます。

また、落ち着いた環境での訓練を通して人との距離感や関わり方を無理のない形で調整していくこともできます。

音やにおい、視線などの刺激を受けやすいから

電話の音や周囲の話し声、人の動きなどが気になりやすいと、仕事に集中するまでに多くのエネルギーを使ってしまいます。

例えば、電話が何度も鳴るだけで落ち着かなくなったり、周囲の視線や物音が気になって作業が止まってしまったりすることがあります。

その結果、仕事を進めることよりも、「刺激に耐えること」で疲れてしまい、帰宅後に何もできないほど消耗してしまう方も少なくありません。

就労移行支援で取り組めること

就労移行支援では、自分に合う環境を整理しながら働き方を考えていくことができます。

例えば、事業所によっては静かなスペースで訓練できたり、在宅に近い形で利用できたりする場合もあります。

また、次のような負担を減らす工夫を、支援員と一緒に整理していくこともできます。

  • 耳栓やイヤーマフを使う
  • 人の出入りが少ない席を選ぶ
  • こまめに休憩を入れる

急な依頼やマルチタスクに負担を感じやすいから

複数の作業を同時に進める場面では、頭の切り替えが追いつかず、強い負担になりやすい傾向があります。

例えば、作業中に電話対応が入ったり、途中で別の仕事を頼まれたりすると、「何から手をつければいいのか分からない」と混乱してしまう方も少なくありません。

そうした状態が続くと、焦りや疲労感が積み重なり、「自分は仕事ができないのでは」と自信をなくしてしまうこともあります。

就労移行支援で取り組めること

就労移行支援では、支援員と一緒に「負担が少ない作業の進め方」を整理していくことができます。

  • 作業を一つずつ整理する
  • 優先順位を見える化する
  • 急な対応が少ない仕事を選ぶ

など、自分に合う方法を試しながら調整していきます。

また、「マルチタスクが少ない仕事」「急な変更が少ない環境」など、自分が働きやすい条件を整理することで、就職活動でも環境選びに活かしやすくなります。

HSP傾向の方が働きやすい仕事・職場環境の特徴

この章のポイント
  • HSP傾向の方は、仕事内容そのものよりも「どんな環境で働くか」によって疲れやすさが大きく変わります。
  • 一人で進めやすい仕事や、刺激の少ない静かな環境が向いている傾向があります。
  • 「向いていると言われる仕事」よりも、自分が無理なく続けられるかどうかを基準に選びましょう。

HSP傾向の方は、仕事の内容そのものよりも「どのような環境で働くか」によって、疲れやすさが大きく変わることがあります。

例えば同じ事務職でも、電話が頻繁に鳴る職場や急な依頼が多い環境ではストレスを感じやすい一方で、静かな環境で自分のペースで進められる仕事では落ち着いて働けるケースもあります。

そのため、職種や条件だけで判断するのではなく、自分が無理なく続けられる環境かどうかを重視することが大切です。

HSP傾向の方は以下のような特徴がある仕事や職場で働きやすさを感じやすい傾向があります。

  • 一人で進める時間が多い仕事
  • 急な対応やマルチタスクが少ない仕事
  • ノルマや強いプレッシャーが少ない仕事
  • 人間関係の距離感が近すぎない環境
  • 静かな環境で集中しやすい職場
  • 在宅勤務や勤務時間の調整がしやすい職場

具体的には、次のような仕事は比較的自分のペースで進めやすい仕事として挙げられます。

仕事の例
データ入力
決まった手順でコツコツ進めやすく、一人で集中しやすい仕事です。
Webライティング
自分のペースで作業でき、在宅でも進めやすいのが特徴です。
動画編集
一人で黙々と作業する時間が長く、静かな環境で取り組みやすい仕事です。
プログラミング
手順に沿って進める作業が多く、集中しやすい環境で力を発揮しやすい仕事です。
事務作業
定型的な業務が多く、落ち着いた環境で取り組みやすい仕事です。
軽作業
単純な作業を一定のペースで進められ、人との関わりが少なめな職場が多い傾向があります。

一方で、常に電話対応が発生する仕事や接客中心の仕事のように、その場で判断や対応を求められる環境では、気疲れや緊張が積み重なりやすい傾向があります。

ただし、HSP傾向の方全員に同じ仕事が合うわけではありません。

人によって「落ち着く環境」や「負担を感じやすいポイント」は異なるため、「周りに向いていると言われた仕事」よりも、「自分が無理なく続けられるか」を基準に考えることが大切です。

就労移行支援はHSP傾向の方にどう役立つ?

この章のポイント
  • 就労移行支援は、障害や病気のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスで、訓練から就職後のサポートまで一貫して受けられます。
  • 生活リズムを整えるところから、自分に合う環境・職種探し、企業への伝え方まで、段階的にサポートしてもらえます。
  • 就職後も「定着支援」があるため、働き始めてからの悩みを相談しながら働き続けやすくなります。

就労移行支援は、障害や病気のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。働くために必要な訓練、職場探し、就職後のサポートまで、一貫して支援を受けられる制度となっています。

ここでは、実際にどのような支援が受けられるのかを解説します。

生活リズムを整えるところから段階的に始められる

HSP傾向の方の中には、心身の疲労が積み重なり、「働く以前に毎日をこなすだけで精一杯」という状態になっている方もいます。

就労移行支援では、そうした状態でも、いきなり就職を目指すのではなく、まずは生活リズムを整えるところから始められます。

例えば、最初は週2日程度の通所から始めたり、短時間の利用から慣れていったりと、体調や負担に合わせて通うペースを調整できます。

また、支援員と相談しながら、疲れをため込みにくい過ごし方やストレスとの付き合い方を整理していくこともできます。

「朝起きて外に出る」「決まった時間に休憩する」といった基本的な習慣も、無理のないペースで整えていくことができるのも特徴です。

自分に合った環境と職種を一緒に探せる

HSP傾向の方にとっては、「どんな仕事をするか」だけでなく「どんな環境で働くか」もとても重要です。

就労移行支援では、支援員との面談や訓練を通して、「どんな場面で疲れやすいのか」「どんな環境なら安心しやすいのか」を整理しながら自分に合う働き方を探していきます。

例えば、次のような負担が少ない働き方を一緒に考えていきます。

  • 電話対応が少ない仕事
  • 静かな環境で進めやすい仕事
  • 急な対応が比較的少ない仕事

また、実際に訓練を受ける中で、「一人で集中する作業が向いていた」「対面よりチャットのやり取りの方が落ち着く」といった自分でも気づいていなかった適性が見えてくることもあります。

企業への伝え方や配慮の求め方を学べる

HSP傾向の方の中には、「つらくても我慢しないといけない」と考えて、無理を続けてしまう方も少なくありません。

就労移行支援では、自分の苦手さや必要な配慮を企業へどう伝えるかもサポートしてもらえます。

例えば、「音に敏感で騒がしい環境が苦手」と伝えるだけではなく、「静かな環境の方が集中しやすく、安定して作業できます」というように、働きやすさにつながる形で説明する練習を行います。

自分一人では伝えづらい場合は支援員が企業との間に入り、説明をサポートしてくれることもあります。

就職後も安心して働き続けられる(定着支援)

就労移行支援では、就職したあとも「定着支援」というサポートを受けることができます。

例えば、「職場の人間関係に気を使いすぎて疲れてしまう」「周囲の音が気になって集中できない」といった悩みを、支援員へ相談できます。

必要に応じて支援員が企業と連携し、働き方や配慮について調整をサポートしてくれる場合もあります。

就職後も一人で抱え込まずに相談できる環境があることで不安を整理しながら働き続けやすくなります。

HSP傾向の方が就労移行支援を利用できる条件

この章のポイント
  • 就労移行支援は、就職を目指す65歳未満で、精神障害・発達障害・知的障害・身体障害・難病などにより働くことに困りごとがある方が対象です。
  • うつ病や発達障害などの診断があると対象として判断されやすくなりますが、診断の有無だけで決まるわけではありません。
  • 実際に利用できるかどうかは自治体が総合的に判断するため、迷ったらまず事業所に相談してみましょう。

就労移行支援は、障害や病気によって「働きづらさ」がある方を対象にした福祉サービスです。

HSP傾向の方でも、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、現在の状態や医師の意見などをもとに、就労移行支援の利用対象となることがあります。

ここでは、就労移行支援の利用条件について解説します。

対象は就職を目指す65歳未満の障害のある方

就労移行支援は、一般企業への就職を目指している65歳未満の方を対象としたサービスです。

また、障害者総合支援法にもとづく制度のため、精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、難病などによって、働くことに困りごとがある方が利用対象になります。

うつ病・発達障害などの診断があると利用しやすい

HSP傾向の特性によるストレスが積み重なることで、適応障害やうつ病、不安障害などの状態につながる場合があります。

また、刺激への敏感さや疲れやすさといった特徴が、発達障害の特性と重なるケースもあります。

こうした診断があると、利用の対象として判断されやすくなることがあります。ただし、診断の有無だけで決まるわけではありません。

最終的に利用できるかどうかの判断は自治体による

実際に利用できるかどうかは、自治体が現在の体調や生活状況、困りごとの内容などを踏まえて判断します。

そのため、「診断があるから必ず利用できる」「HSPだから利用できない」と一概には言い切れません。

また、就労移行支援事業所によっては申請前の相談や手続きのサポートを行っている場合もあります。

「自分が対象になるか分からない」という段階でも、まずは相談してみることで状況を整理しやすくなります。

障害者手帳がなくても利用できる?

この章のポイント
  • 就労移行支援の利用対象は「障害者手帳を持っている方」だけに限定されていません。
  • 手帳がなくても、医師の診断書や意見書をもとに自治体が必要性を認めれば利用できます。

就労移行支援は「障害者総合支援法」に基づく制度ですが、利用対象は「障害者手帳を持っている方だけ」に限定されていません。

そのため、障害者手帳がなくても、医師の診断書や意見書をもとに自治体が支援の必要性を判断すれば利用することが可能です。

就労移行支援の費用・利用期間・利用までの流れ

この章のポイント
  • 利用料金は世帯収入に応じて決まり、多くの方が自己負担なし、または低額で利用できます。
  • 利用期間は原則として最長2年間で、この中で生活リズムの改善や職業訓練、就職活動などを進めます。
  • 利用開始までは相談・見学から契約まで複数のステップがあり、申請から利用開始まで1〜2か月程度かかることが多いです。

就労移行支援を利用するにあたって、「費用はかかるのか」「どのくらい利用できるのか」「どうやって利用を始めるのか」といった点は、特に気になるポイントです。

ここでは、利用前に知っておきたい費用・期間・利用開始までの流れをわかりやすく解説します。

利用費用は多くの方が自己負担なし

就労移行支援の利用料は、世帯収入に応じて自己負担額が決まります。具体的には、本人と配偶者の収入をもとに判定されます。

自己負担額の目安は以下の通りです。

所得区分 年収の目安 負担額
生活保護受給世帯 0円
市町村民税非課税世帯 おおむね300万円以下 0円
市町村民税課税世帯 おおむね600万円以下 9,300円
上記以外の世帯 37,200円

多くの方が無料、または低額で利用しています。実際に、就労移行支援manaby(マナビー)では、約8割の方が自己負担なしで利用しています。

利用期間は原則2年

就労移行支援の利用期間は、原則として最長2年間です。

この期間の中で、生活リズムの改善、体調管理、ビジネスマナー、パソコン訓練、就職活動などを進めていきます。

利用までの流れ

就労移行支援を利用するまでの流れは、以下のステップで進みます。

STEP1
相談・見学申し込み

まずは、気になる事業所へ相談や見学を申し込みます。電話やWebサイトから申し込める場合が多く、「自分でも利用できるか分からない」という段階でも相談可能です。

STEP2
相談・見学

実際に事業所へ行き、雰囲気や支援内容を確認します。支援員へ悩みを相談したり、通いやすさを確認したりできます。

STEP3
体験利用

実際の訓練へ参加し、「無理なく通えそうか」を判断します。HSP傾向の方は、環境との相性が重要なため、「静かに過ごせるか」「疲れすぎないか」も確認しておくことが大切です。

STEP4
利用先決定

体験後、「ここなら通えそう」と感じたら利用先を決定します。

STEP5
障害福祉サービス受給者証の申請

就労移行支援を利用するには、「障害福祉サービス受給者証」が必要です。自治体で申請を行い、必要書類の準備は事業所がサポートしてくれる場合もあります。

STEP6
サービス等利用計画の作成

相談支援事業所の相談員と一緒に、「どのような支援を利用するか」をまとめた計画書を作成します。その後、自治体で受給者証が発行されます。

STEP7
利用契約・利用開始

受給者証の発行後、事業所と契約を行い、利用開始となります。申請から利用開始までは、1〜2か月程度かかることが多いため、気になる場合は早めに相談しておくと安心です。

就労移行支援を利用するメリット・デメリット

就労移行支援を利用する前に、メリットとデメリットを理解しておくことで自分に合うかどうかを判断しやすくなります。

ここでは、就労移行支援の利用によって得られるメリットと事前に知っておきたいデメリットを解説します。

メリット

就労移行支援の大きなメリットは「自分に合う働き方」を整理しながら就職準備ができることです。一人では気づきにくい苦手や得意を、支援員と一緒に整理できる点が特徴です。

例えば、以下のような悩みに対して、それぞれ段階的な対策や訓練を行うことができます。

悩み・特性 対策・訓練の例
電話対応が苦手 メール対応中心の業務に近い仕事を想定した訓練や、段階的な練習を行う
人が多い環境で疲れやすい 座席配置や静かな環境のある事業所を選び、刺激を減らした状態で作業に慣れていく
急な対応があると混乱しやすい 作業手順を細分化し、優先順位を整理しながら落ち着いて対応できる練習を行う

また、生活リズムを整えながら段階的に通所できるため、いきなりフルタイム勤務に戻ることが不安な方でも取り組みやすい点も特徴です。

さらに、事業所によっては静かな環境や在宅訓練に対応している場合もあり、光や音などの刺激で疲れやすい方でも負担を抑えながら準備を進められます。

デメリット

一方で、いくつか注意しておきたい点もあります。

まず、就労移行支援は原則として最長2年間という利用期間に限りがあります。この期間内で自分に合った働き方を見つけて就職につなげていく形になるため、ある程度計画的に進めていく必要があります。

また、就労に向けた訓練を行う支援のため、利用することで収入を得ることはできません。原則としてアルバイトも制限されるため、生活費の確保や家族の支援など、経済的な見通しが立っているかどうかが重要になります。

さらに、就労移行支援を利用したからといって、必ず希望通りの仕事に就けるわけではありません。就職先や働き方は、本人の体調・スキル・求人状況など複数の要素によって決まるため、「利用=就職」ではない点には注意が必要です。

就労移行支援が向いている方・向いていない方

この章のポイント
  • 就労移行支援は、働くことに不安があり、就職に向けた準備を少しずつ進めたい方に向いています。
  • 体調が大きく不安定な場合や、すぐに収入を得る必要がある場合は、休養や他の支援が適していることもあります。
  • 現在の状態や生活状況を踏まえ、自分に合った支援を選ぶことが大切です。

就労移行支援は、働くことに不安がある方をサポートするサービスですが、すべての方に合うわけではありません。状態によっては、他の支援や休養の方が適している場合もあります。

「働く準備を少しずつ進められる状態かどうか」が一つの判断の目安になります。

就労移行支援が向いている方

就労移行支援は、「働きたい気持ちはあるものの、今のままでは不安が大きい」という方に向いています。

例えば、以下のような状況の方です。

  • 人間関係や職場環境のストレスで働くことに不安がある
  • 自分に合う仕事や働き方を整理したい
  • 一人での就職活動に不安がある
  • 生活リズムを整えながら準備を進めたい
  • すぐに収入を得る必要がない、または生活の見通しが立っている
  • 焦らず段階的に就職準備を進めたい

就労移行支援が向いていない方

一方で、現在の状態によっては、まず他の支援や休養を優先した方がよい場合もあります。

例えば、以下のようなケースです。

  • 強い不眠や食欲低下が続いている
  • 外出自体が難しいほど体調が不安定
  • 今すぐ収入を増やす必要があり、就職準備の時間が取れない
  • 人との関わり自体が強い負担になっている

HSP傾向の方が自分に合う就労移行支援を選ぶポイント

この章のポイント
  • 「有名だから」「近いから」だけで選ぶと、通所自体が負担になることがあります。
  • 静かさ、個別相談のしやすさ、通所頻度の柔軟さなど、環境面を基準に選ぶことが大切です。
  • 実際に見学・体験利用をして、自分の感覚で「無理なく通えそうか」を確かめましょう。

就労移行支援は事業所ごとに雰囲気や支援内容が大きく異なります。「有名だから」「家から近いから」といった理由だけで選ぶと、通所自体が負担になってしまう場合もあります。

特にHSP傾向の方は、音や人間関係、空気感などの環境要因の影響を受けやすいため、見学や体験利用を通して「安心して続けられるかどうか」を基準に選ぶことが大切です。

ここでは、選ぶ際に確認しておきたいポイントを4つ紹介します。

静かで落ち着いた環境か

HSP傾向の方は、周囲の音や人の気配によって疲れやすい傾向があります。そのため、まず確認したいのは「環境の刺激が強すぎないかどうか」です。

また、単に静かというだけでなく、「長時間いても緊張し続けないか」という視点も大切です。

判断のポイント

  • 利用者の人数が多すぎないか
  • 話し声や物音が気になりすぎないか
  • 休憩できるスペースがあるか
  • 落ち着いた雰囲気で過ごせるか

個別対応が中心で相談しやすいか

HSP傾向の方は、困りごとを抱えていても我慢してしまい、負担が大きくなりやすい傾向があります。

そのため、安心して相談できる環境かどうかが重要になります。

また、「話をきちんと受け止めてもらえるか」という点も見ておきたいポイントです。

判断のポイント

  • 支援員へ質問しやすい雰囲気か
  • 個別面談の時間があるか
  • 利用者の話を丁寧に聞いているか

在宅訓練や通所頻度の調整ができるか

無理なく通える仕組みがあるかどうかも大切です。

HSP傾向の方は日によって疲労感が変わることもあるため、柔軟に利用できるかどうかが継続のしやすさにつながります。

判断のポイント

  • 在宅訓練に対応しているか
  • 通所日数や時間を調整できるか
  • 体調不良時の相談がしやすいか
  • 自分のペースを尊重してくれるか

実際に自分の目で「無理なく通えそうか」を確認しよう

ホームページだけでは、実際の雰囲気までは分かりません。

そのため、気になる事業所が見つかった場合は見学や体験利用を通して実際の雰囲気を確認することが大切です。

特にHSP傾向の方は、「なんとなく落ち着かない」「空気が合わない」といった感覚も判断材料になります。

悩みに合った相談先を知っておこう

この章のポイント
  • 不調が続く場合は医療機関、就職活動に悩む場合はハローワーク・サポステが相談先になります。
  • 就職に向けた準備から整えたい場合は、就労移行支援が選択肢になります。
  • 状況によって適した相談先は異なるため、早めに知っておくことが大切です。

状況によって適した相談先は異なるため、早めに知っておくことが大切です。

ここでは、代表的な相談先を3つに分けて紹介します。

不調が続く時は医療機関に相談

不調が続く時は医療機関に相談

睡眠の乱れや強い疲労感、気分の落ち込みなどが続いている場合は、医療機関への相談が優先されます。心療内科や精神科では、症状に応じて診断や治療が行われます。

相談を検討したい状態

  • 出勤前に強い不安や動悸が出る
  • 仕事のことを考えると体が動かない
  • 帰宅後に長時間何もできない状態が続く

こうした状態が続く場合は、無理に我慢せず早めに相談することが大切です。

相談先の目安
心療内科
主に「体の症状」
ストレスが原因で体に症状が出るケースを扱います。
胃痛、頭痛、動悸、めまい、吐き気、不眠、食欲不振 など
精神科
主に「こころの症状」
気分や不安、考え方などこころの症状を中心に診ます。
落ち込み、不安、パニック、イライラ、希死念慮、集中力低下 など

心療内科は主にストレスによる「体の症状」を、精神科は「こころの症状」を扱うとされていますが、実際にはそこまで厳密に分けられていないケースも多くあります。

また、「メンタルクリニック」「こころのクリニック」といった名称の医療機関も増えています。そのため、名称にとらわれすぎず、相談しやすい医療機関を選ぶことが大切です。

就職活動に悩む時はハローワーク・サポステへ

「どんな仕事が向いているか分からない」「就職活動の進め方が分からない」といった段階では、ハローワークやサポステが相談先になります。

ハローワークでは求人紹介や職業相談、サポステでは就労経験が少ない方やブランクがある方に向けた支援が行われています。

主な支援内容は以下の通りです。

  • 職業相談や適職の整理
  • 応募書類や面接対策
  • 就職活動の進め方の整理

長く働く準備をしたいなら就労移行支援へ

「次の仕事はできるだけ長く続けたい」「働く準備から整えたい」という場合は、就労移行支援が選択肢になります。

就労移行支援では、生活リズムの安定や職業訓練、自己理解の整理などを通して、働き続けるための準備を段階的に行います。

働くための準備から就職までを一貫して支える支援です。

就労移行支援manabyでも相談・見学ができます

就労移行支援manaby(マナビー)は、音や人間関係などの刺激に敏感で疲れやすい特性がある方でも、自分のペースで就職準備を進めやすい就労移行支援です。

就労移行支援manaby(マナビー)の特徴として、次のようなサポートがあります。

就労移行支援マナビーのサポート
体調管理やストレス対処のサポート
毎日を安定して過ごすためのサポートを行います。
自分のペースで学べる eラーニング「マナe
PC・ITスキルを無理なく習得することができます。
外出が不安なときも安心の在宅支援
※ 在宅訓練の利用可否は、お住まいの自治体によって異なります。
就職支援(履歴書・面接・求人探し)
履歴書の作成・面接練習・求人探しのアドバイスなどを行います。
働き始めた後も定着サポート
職場との連携・フォローがあり、就職後も安心の体制です。

就労移行支援に関するよくある質問

就労移行支援を検討する際は、「自分の状態で利用できるのか」「費用はどのくらいかかるのか」など、様々な疑問が出てきます。

ここでは、特にHSP傾向の方が気になりやすいポイントを中心にお答えします。

HSPだけで就労移行支援を利用できますか?

HSPは医学的な診断名ではないため、HSPという特性そのものだけで利用対象になるわけではありません。

ただし、強い疲労感や不安、人間関係のストレスなどにより、日常生活や就労に支障が出ている場合は、医師の診断や自治体の判断によって利用できる可能性があります。

診断がなくても相談できますか?

診断がなくても、就労移行支援事業所へ相談や見学をすることは可能です。「利用できるかどうか分からない段階」でも、事前に話を聞くことができます。

就労移行支援を利用するには障害者手帳が必要ですか?

就労移行支援は、障害者手帳の有無で判断される制度ではなく、医師の診断書や自治体の判断によって利用可否が決まります。

そのため、手帳がない場合でも医療機関の診断や意見書があれば利用につながるケースがあります。

利用費用について教えてください。

就労移行支援の利用費用は、前年度の世帯収入に応じて自己負担額が決まる仕組みです。

多くの場合、無料または少ない負担額で利用できます。

実際の自己負担額は収入の区分によって異なるため、詳細はお住まいの自治体や事業所への確認が必要です。

利用期間は決まっていますか?

就労移行支援の利用期間は、原則として最長2年間とされています。

この期間の中で、生活リズムの安定、職業訓練、就職活動の準備などを段階的に進めていきます。

なお、体調や状況によっては延長が認められる場合もあります。

迷ったら、まずは相談や見学で「自分に合うか」を確かめてみよう

HSP傾向の方が就労移行支援を検討する際、「自分は対象外かもしれない」と感じてしまうことは少なくありません。

確かにHSPは医学的な診断名ではないため、それだけで利用対象になるわけではありませんが、実際に働くことや日常生活に支障が出ている場合は、医師の意見や自治体の判断を通じて利用できる可能性があります。

ただし、利用できるかどうかとは別に、実際に通う「環境の相性」も重要なポイントです。

就労移行支援は事業所ごとに環境や支援の進め方が大きく異なり、静かで落ち着いた環境で個別支援が受けられる場所もあれば、人が多く刺激の強い環境のところもあります。

そのため、「利用できるかどうか」だけで判断するのではなく、「自分が無理なく続けられる環境かどうか」という視点で見ることが大切です。

もし就労移行支援の利用に迷ったら、まずは相談や見学を通して実際の雰囲気を確かめてみましょう。

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米澤 駿

臨床心理士/公認心理師
2016年に臨床心理士指定大学院を修了後、精神科病院にて心理カウンセラーとして勤務。発達相談やスクールカウンセリング、就労支援など多様な現場を経験。2025年よりフリーランスとして独立し、現在は心理職としての実務経験を活かし、Webライターとしても活動している。

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