グレーゾーンの方が転職で失敗しないためには?向いている仕事・進め方・相談先を解説
- 発達障害のグレーゾーンとは?
- 発達障害のグレーゾーンと境界知能との違い
- 発達障害のグレーゾーンの方が転職で悩みやすいこと
- 自分に合う仕事がわからない
- 働きづらさを周囲に理解してもらいにくい
- 診断がないため、どこに相談すればよいかわからない
- 発達障害のグレーゾーンの方が転職前に整理したいこと
- 好きなこと・苦手なことを整理する
- 仕事でつまずきやすい場面を書き出す
- 苦手な職場環境を書き出す
- 今の仕事が合わないのか、職場が合わないのかを整理する
- 発達障害のグレーゾーンの転職のポイント・コツ
- 給与や知名度より、長く続けられる環境を優先する
- できれば応募前に相談できる先を持っておく
- 仕事名だけでなく、苦手を避けやすい条件から考える
- 今すぐ転職だけに絞らず、働き方の選択肢を広げて考える
- 発達障害のグレーゾーンの方が自分に合う仕事を考える時のポイント
- ADHD傾向とASD傾向では、働きやすい条件が異なることがある
- 診断がないグレーゾーンの方でも相談できる主な窓口
- ハローワーク
- 若者サポートステーション
- 心身の不調を感じた時は医療機関に相談する
- 就労移行支援
- 就労移行支援manaby(マナビー)の特徴
- グレーゾーンの方が支援を活用して就職した事例
- この体験談からわかること
- こんな場合は転職を急がないほうがよいかもしれません
- 心身の不調が強い
- 退職したい気持ちだけが先に大きくなっている
- 転職理由や次に求める条件がまだ整理できていない
- 発達障害のグレーゾーンの方の転職に関するよくある質問
- 診断がなくても相談できる支援はありますか?
- 障害者雇用で働くには手帳が必要ですか?
- 病院を受診したほうがよいのはどんな時ですか?
- 転職せず、今の職場で工夫できることはありますか?
- 発達障害のグレーゾーンの方の転職は、「合う環境探し」が大切
- 山元 真紀 (社会福祉士/公認心理師/保育士)
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「仕事でうまくいかないことが続くけれど、病院での診断には至っていない」「発達障害かもしれないと感じるものの、はっきりしないまま転職を考えている」
そうした思いを抱える方は少なくありません。発達障害のグレーゾーンと呼ばれる状態は、特性による働きづらさを感じながらも診断がないため、支援につながりにくく、一人で悩みを抱え込みやすいのが特徴です。
転職で失敗しないために最も大切なのは、焦って職場を変えることよりも、自分に「合う環境」を見極めることです。
この記事では、グレーゾーンの方が転職前に整理しておきたいこと、自分に合う仕事の考え方、診断がなくても利用できる相談窓口までを分かりやすく解説します。
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発達障害のグレーゾーンとは?
- 発達障害のグレーゾーンは、特性が見られるものの診断基準には至らない状態を指す通称です。
- 診断の有無と困りごとの大きさは、必ずしも一致するとは限りません。
- 境界知能とは異なる概念ですが、重なって困りごとが現れることもあります。
発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の特性が一部見られるものの、医療機関での診断基準には当てはまらず、正式な診断には至らない状態を指す通称です。
医学的な正式名称ではありません。
発達障害とは、発達障害者支援法において、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
生まれつきの脳機能の違いにより、注意の向け方やコミュニケーションのとり方など、行動面や情緒面に特徴がありますが、特性の現れ方は人によって異なります。発達障害は外見からは分かりにくいため、周りの環境とのミスマッチから、日常生活で生きづらさや、仕事などの社会生活で困りごとを抱えやすいです。
グレーゾーンは「診断には至ってないのだから困りごとも軽い」と受け取られがちですが、実際には診断の有無と困りごとの大きさは必ずしも一致しません。
「診断がないから問題がない」ということではなく、「診断はないものの、生活や仕事で困りごとが起きている状態」と考えると分かりやすくなります。
参考:文部科学省「発達障害者支援法(平成十六年十二月十日法律第百六十七号)」
発達障害のグレーゾーンと境界知能との違い
発達障害のグレーゾーンと混同されやすい言葉に「境界知能」がありますが、指している内容は異なります。
発達障害のグレーゾーンは発達特性の有無や強さに関するものです。一方で境界知能とは、知能指数(IQ)が平均的な範囲と知的障害の範囲のあいだにある状態を指します。
つまり、グレーゾーンは「発達特性の現れ方」を指す言葉であり、境界知能は「知的な発達の状態」を指す言葉です。
両者は別の考え方ですが、重なることもあります。その場合、「仕事の手順が覚えにくい」「段取りを組むのが苦手」といった困りごとが、いくつか重なって現れることがあります。
発達障害のグレーゾーンの方が転職で悩みやすいこと
- 自分に合う仕事がわからず、判断基準を持ちにくくなります。
- 外見からは分かりにくいため、働きづらさを周囲に理解してもらえないこともあります。
- 診断がないことで相談先が分からず、一人で抱え込みやすい傾向があります。
発達障害のグレーゾーンの方は、特性による困りごとを抱えながらも「診断がない」という立場ゆえに、特有の悩みを抱えやすい傾向があります。
この章では、転職を考える際につまずきやすい3つのポイントを整理します。
自分に合う仕事がわからない
グレーゾーンの方が最初につまずきやすいのが、「自分にどんな仕事が合うのか分からない」という悩みです。
発達障害の特性が見られる一方で、診断がつくほど明確ではないため、ネットなどで調べて出てくる「ADHD(注意欠如・多動症)はこういう特徴」「ASD(自閉スペクトラム症)はこういう傾向」といった一般的な説明を、そのまま自分に当てはめにくいことがあります。
そのため、「自分はどれに当てはまるのか」がはっきりせず、仕事選びの判断がしにくくなります。
参考:厚生労働省「発達障害の特性(代表例)」
働きづらさを周囲に理解してもらいにくい
2つ目の悩みは、働きづらさを周囲に理解してもらいにくいことです。
発達障害は外見から分かりにくく、困りごとが「努力不足」や「やる気の問題」と受け取られてしまうことがあります。
診断があれば説明の手がかりになりますが、グレーゾーンの場合は裏付けがないため、自分でも「甘えているだけかもしれない」と感じ、相談しづらくなってしまうことも珍しくありません。
その結果、環境を少し調整すれば働きやすくなる場合でも、配慮を求められないまま無理を続け、心身の不調につながることがあります。
「説明しても分かってもらえないのではないか」という不安が相談のハードルを上げてしまいます。
診断がないため、どこに相談すればよいかわからない
3つ目は、診断がないことで相談先が分からず、一人で抱え込みやすいことです。
「病院に行くほどではない気がする」「診断がないと支援は受けられないのでは」と考え、相談するタイミングを逃してしまう方も少なくありません。

発達障害のグレーゾーンの方が転職前に整理したいこと

- 好き・得意なことと苦手なことを書き出し、自分の傾向を整理しましょう。
- 過去につまずいた場面を具体的に振り返ることで、環境との相性が見えてきます。
- 仕事内容と職場環境のどちらが合わないのかを切り分けて考えることが大切です。
転職で失敗を減らすために最も効果的なのは、求人を探し始める前に「自分のこと」を整理しておくことです。
ここでは、転職前に整理しておきたい4つの視点を紹介します。
好きなこと・苦手なことを整理する
まずは、自分がどんなことに向いているのかを大まかに把握します。
頭の中だけで考えていると曖昧なままになりやすいため、紙やメモに書き出して整理してみましょう。
| 好き・得意 | 苦手 |
|---|---|
| 一つの作業に集中して取り組む | 複数の作業を同時に進める |
| 黙々と手を動かす作業 | 急かされながらの作業 |
| 文章でのやりとり | 電話対応 |
こうして整理することで、自分の傾向が少しずつ見えてきます。
仕事でつまずきやすい場面を書き出す
次に、過去の仕事でうまくいかなかった場面を思い出します。
例えば、以下のような具体的な場面です。
- 電話を受けながらメモを取ると内容が抜けてしまう
- 急な予定変更があると対応が追いつかない
- 口頭だけの指示だと後で抜けてしまう
このように「状況」で切り分けることで、単なる能力の問題ではなく「環境との相性」として整理しやすくなります。
苦手な職場環境を書き出す
仕事内容だけでなく、働く環境との相性も大切です。
例えば次のような要素です。
- 音や人の多さ:常に電話が鳴る、周囲が騒がしい
- 人との距離感:雑談が多い、常に誰かと一緒に作業する
- 仕事の進め方:マルチタスクが多い、予定変更が頻繁
- 感覚的な負担:照明が強い、音や匂いが気になる
環境面の苦手を整理しておくと、面接や職場見学のときに判断しやすくなります。仕事内容が合っていても、環境が合わないことで続かないケースは少なくありません。
今の仕事が合わないのか、職場が合わないのかを整理する
最後に、「仕事そのものが合わないのか」「職場環境が合わないのか」を整理します。
| 状況 | 考えられる傾向 |
|---|---|
| 仕事内容自体は嫌いではない | 職場環境の影響が大きい可能性 |
| 別の会社でも同じ仕事がつらい | 仕事内容との相性の可能性 |
| 人間関係だけが強いストレス | 職場環境の影響が大きい可能性 |
| 業務内容そのものが負担 | 仕事内容との相性の可能性 |
この整理ができると、転職が必要なのか、それとも今の環境で調整できるのかが見えやすくなります。
発達障害のグレーゾーンの転職のポイント・コツ
- 給与や知名度よりも、無理なく続けられる環境を優先しましょう。
- 応募前に相談できる相手や機関を持っておくと安心につながります。
- 職種名だけでなく、苦手を避けやすい条件から求人を見比べることがポイントです。
- 転職以外にも、部署異動や勤務形態の見直しなど選択肢は広げて考えられます。
グレーゾーンの方の転職では、「自分にとって無理の少ない働き方や環境を選ぶ視点」がミスマッチを減らすポイントになります。
ここでは、転職活動をするうえでの4つのポイントを紹介します。
給与や知名度より、長く続けられる環境を優先する
転職活動では、給与の高さや会社の知名度に目が向きがちですが、グレーゾーンの方の場合、まず優先したいのは「無理なく続けられるかどうか」です。
どれだけ条件が良く見える職場でも、特性と環境が合わないまま働き続けると、心身に負担がかかり、短期間で離職につながってしまうことがあります。
だからこそ「高給与・高知名度といった一般的に良い条件」よりも「自分にとって続けやすい条件」を軸に考えることが長く働くうえで重要になります。
できれば応募前に相談できる先を持っておく
転職活動は、一人で進めると判断に迷いやすくなることがあるため、事前に相談できる相手や機関があると安心につながります。
家族や友人など身近な人でもよいですし、専門機関を活用する方法もあります。
グレーゾーンの方が利用できる相談先については「診断がないグレーゾーンの方でも相談できる主な窓口」の章で詳しく解説します。
仕事名だけでなく、苦手を避けやすい条件から考える
求人を見るときに職種名だけで判断すると、実際の業務内容とのギャップが生じることがあります。
例えば同じ事務職でも、電話対応が多い職場と、データ入力が中心の職場では働きやすさが大きく変わります。
そのため職種だけではなく、次のような条件から整理すると、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
- 指示が口頭中心か、文書やマニュアルで残るか
- マルチタスクが前提か、一つの作業に集中できるか
- 人と関わる場面が多いか、少ないか
- 勤務時間や出社時間に融通がきくか
- 静かな環境か、騒がしい環境か
今すぐ転職だけに絞らず、働き方の選択肢を広げて考える
働き方には、転職以外にもいくつかの選択肢があります。
今の職場で業務の調整や部署異動を相談する、勤務時間を見直す、雇用形態を変えるといった工夫だけでも、働きやすさが変わることもあります。
「今の職場を辞めて別の会社へ行く」という一つの考え方に限らず、働き方そのものを広く捉えると、選択肢が整理しやすくなります。
発達障害のグレーゾーンの方が自分に合う仕事を考える時のポイント
- ADHD傾向とASD傾向では、働きやすい条件が異なることがあります。
- 表の内容はあくまで一般的な傾向であり、両方の特性を併せ持つ方もいます。
- まずは自分にどのような特性があるかを把握することが仕事選びの第一歩です。
自分に合う仕事を考えるとき、知っておくと役立つのが「同じ発達障害でも、特性の傾向によって働きやすい条件が違う」という点です。
自分がどちらの傾向に近いか、どのような特性を持っているかを意識すると仕事選びの方向性が見えやすくなります。
ADHD傾向とASD傾向では、働きやすい条件が異なることがある
発達障害には様々な現れ方がありますが、代表的なものとしてADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)があります。
具体的にどう違うのか、まずは大まかな傾向を知っておくと仕事選びの参考になります。
| 項目 | ADHD傾向 | ASD傾向 |
|---|---|---|
| 得意なこと | 興味のある分野での発想・行動力 | 決まった手順を正確にこなす |
| つまずきやすい場面 | 単調な作業、細かいミスの管理 | 急な予定変更、あいまいな指示 |
| 働きやすい条件の例 | 変化や刺激がある、裁量がある仕事 | 手順が明確で、見通しの立つ仕事 |
| 配慮があると助かる点 | 締め切りやタスクの見える化 | 指示の文書化、予定の事前共有 |
ただし、表はあくまで一般的な傾向です。実際にはADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の両方の傾向を併せ持つ方もおり、特性の現れ方は一人ひとり異なります。
まずは「自分にどのような特性があるのか」を把握することが、仕事選びの第一歩です。
向いている仕事を詳しく知りたい方には、特性別にまとめた記事も参考になります。
診断がないグレーゾーンの方でも相談できる主な窓口
- ハローワークは、障害の有無に関わらず無料で職業相談ができる窓口です。
- 若者サポートステーションは、働くための準備を支援することに重点を置いています。
- 心身の不調を感じたときは、心療内科や精神科への相談も選択肢の一つです。
- 就労移行支援は、手帳がなくても自治体の判断で利用できる場合があります。
「診断がないと支援は受けられない」と相談をためらう方は少なくありません。しかし、診断や障害者手帳がなくても相談できる公的な窓口はあります。
グレーゾーンの方が利用できる主な相談先を4つ紹介します。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が運営する職業紹介の窓口です。求人紹介や就職相談を障害の有無に関わらず無料で利用できます。
「まだ診断はないけれど、働き方に不安がある」という段階でも相談ができます。まずは仕事探しについて相談したい方におすすめの窓口です。
参考:厚生労働省「ハローワークにおける障害者の就労支援」
若者サポートステーション
地域若者サポートステーションは働くことに悩みを抱える若者を支援する、厚生労働省委託の支援機関です。
15歳から49歳までの、現在仕事をしていない方や就学中でない方を対象に、キャリア相談や職場体験、コミュニケーション講座などを提供しています。
サポステは求人を紹介することよりも、「働くための準備」を支援することに重点を置いているため、「いきなり就職活動を始めるのは不安」「まずは生活リズムや働く自信を整えたい」という方に向いている窓口です。
参考:厚生労働省「地域若者サポートステーション」
心身の不調を感じた時は医療機関に相談する
働きづらさの背景に、心身の不調が関係していることもあります。眠れない日が続く、気分の落ち込みが強い、不安が続くといった場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
大人の発達特性については、心療内科や精神科、メンタルクリニックなどで相談できます。受診することで、困りごとの背景に発達特性があるのか、それ以外の要因があるのかを整理する手がかりが得られます。
また、どの医療機関を受診すればよいか分からない場合は、発達障害者支援センターに相談する方法もあります。地域の医療機関や利用できる支援制度について案内してもらえることがあります。
受診は診断を受けるためだけのものではありません。今のつらさを整理したり、自分の状態を知ったりするきっかけにもなります。
参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方が、必要なスキルや知識を身につけるための福祉サービスです。職業訓練や就職活動のサポートに加え、就職後の定着支援も受けられます。
対象は「一般就労等を希望し、適性に合った職場への就労が見込まれる65歳未満の方」です。障害者手帳がなくても、主治医の意見書などをもとに自治体が必要と認め、障害福祉サービス受給者証が発行されれば利用できます。
利用できるかどうかは自治体が判断するため、発達障害のグレーゾーンの段階では、まだ対象とならないこともあります。
そのため、利用を考える場合は医療機関や自治体の障害福祉窓口に相談し、自分が対象になるかを確認するところから始めると安心です。
参考:厚生労働省「就労移行支援」
就労移行支援manaby(マナビー)の特徴
就労移行支援に興味はあるものの、「毎日通所する自信がない」「体調の波があり外出が負担になる」と感じる方もいるのではないでしょうか。
就労移行支援manaby(マナビー)では、在宅訓練(※)に対応しており、自宅から自分のペースで就職に向けた準備を進めることができます。独自開発のeラーニングシステムを活用し、WordやExcelなどの事務スキルから、WebデザインやプログラミングなどのITスキルまで幅広く学べます。
また、就職活動のサポートだけでなく、就職後の定着支援も行っています。そのため、「長く働き続けられるか不安」という場合にも相談しながら就職を目指せます。
※在宅訓練の利用にはお住まいの自治体の許可が必要です
グレーゾーンの方が支援を活用して就職した事例
大学院で体調を崩し、うつと不眠の治療の中でADHDの傾向を指摘されたBさん。数年の休養の後、社会復帰を考えたときにカウンセラーから就労移行支援を紹介され、在宅訓練に強い就労移行支援manaby(マナビー)の利用を始めました。
療養で体力が落ち、フルタイムは難しいと感じていたものの、「テレワークなら始められるかもしれない」と考えて週3回の在宅訓練からスタート。支援員や家族の協力を得ながら生活リズムを整え、eラーニングで事務スキルやプログラミングを学び直しました。
就職活動では「障害者雇用でテレワーク」という働き方を選び、現在は事務職としてデータ管理の仕事に就いています。Bさんは、一人で就活するのとは違い、支援員が強みや弱みの整理から面接同行までしてくれた点が大きかったと振り返ります。
この体験談からわかること
Bさんは発達障害の傾向を指摘された後、就労移行支援を利用しながら就職にたどり着きました。
就労移行支援を使えるかどうかは自治体の判断によりますが、発達障害の診断がはっきりしない場合でも、うつ病などほかの不調の併発や医師の意見書などをもとに利用が認められることがあります。
働きづらさを感じたときは一人で抱え込まず、支援機関に相談しながら自分に合った働き方や職場環境を探していくことが転職や就職への第一歩になります。
こんな場合は転職を急がないほうがよいかもしれません
- 心身の不調が強いときは、判断力が落ちやすく無理は禁物です。
- 「とにかく辞めたい」気持ちだけが先行しているときも要注意です。
- 転職理由や希望条件が曖昧なまま探すと、ミスマッチにつながることがあります。
この章では、転職を急がず、まず体調や状況の整理を優先したほうがよいケースを紹介します。
心身の不調が強い
眠れない日が続いている、気分の落ち込みが取れない、強い不安や疲労感が抜けないといった状態が続いているときは、転職活動より先に体調を整えることが大切です。
心身の不調が強い状態では、冷静な判断が難しくなります。本来なら合っている求人を「無理そうだ」と感じたり、逆に負担の大きい仕事を勢いで選んでしまったりと、判断が偏りやすくなります。不調を抱えたまま転職しても、新しい環境に適応する余力が残っていないことも多く、早期離職につながりかねません。
つらさが続くときは、一人で抱え込まず医療機関に相談してみましょう。
退職したい気持ちだけが先に大きくなっている
「とにかく辞めたい」という気持ちが強いときは、転職を急がないほうがよい場合があります。
職場で強いストレスを感じていると、今の環境から離れることが最優先になりがちです。しかし、その状態で転職先を決めると、仕事内容や働き方を十分に検討できず、入社後に後悔する可能性があります。
まずは休息を取ったり、信頼できる人に相談したりしながら、気持ちを落ち着かせることが大切です。
転職理由や次に求める条件がまだ整理できていない
「なぜ転職したいのか」「どのような職場で働きたいのか」が曖昧なまま求人を探すと、給与や知名度など一部の条件だけで判断してしまい、ミスマッチにつながることがあります。
転職活動を始める前に働きやすい環境や譲れない条件を整理しておくと、自分に合う職場を選びやすくなります。
発達障害のグレーゾーンの方の転職に関するよくある質問
グレーゾーンの方が転職を考えるとき、よく寄せられる疑問をまとめました。
診断がなくても相談できる支援はありますか?
ハローワークや地域若者サポートステーション、発達障害者支援センターなどでは、診断がなくても相談できる場合があります。働き方や就職に不安があるときは、一人で悩まず相談してみましょう。
障害者雇用で働くには手帳が必要ですか?
障害者雇用枠で働くには、原則として障害者手帳が必要です。
病院を受診したほうがよいのはどんな時ですか?
仕事や日常生活で困りごとが続いているときは、受診を検討する目安になります。受診は診断を受けるためだけでなく、自分の状態を整理し、今後の対応を考えるための相談先としても利用できます。
転職せず、今の職場で工夫できることはありますか?
職場環境が原因の場合は、業務内容の調整や働き方の見直しで改善することがあります。まずは、仕事そのものが合わないのか、今の職場環境が合わないのかを整理してみましょう。
発達障害のグレーゾーンの方の転職は、「合う環境探し」が大切
発達障害のグレーゾーンの方にとって、転職で大切なのは「条件のよい会社を探すこと」だけではなく、「自分が無理なく働き続けられる環境を見つけること」です。
そのためには、自分の特性や働きづらさを整理し、どのような環境なら力を発揮しやすいのかを知ることが大切です。つまずきやすい場面や苦手な環境を言葉にしておくことで、転職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
また、一人で悩まず、ハローワークや支援機関、医療機関などの相談先を活用することも大切です。自分に合った働き方や職場環境を見つけるために、焦らず一歩ずつ準備を進めていきましょう。
山元 真紀 (社会福祉士/公認心理師/保育士)
転職活動でのつまずきやミスマッチが失敗経験として積み重なることによって、自己肯定感や自尊心の低下を招き、心身の不調から転職活動がさらに難航する場合もあります。
そのため、転職活動を進める前の自己理解や相談先を利用することはとても大切です。