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就労移行支援を利用しても就職できないことはある?利用前に知っておきたい実態と対処法

目次
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この記事は 6 分で読めます。

就労移行支援を利用すれば就職できるのか、「もし就職できなかったらどうなるのか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。

就労移行支援は一般企業への就職を目指すためのサービスですが、利用した方全員が就職できるわけではありません。一方で、利用期間が終了した後も状況に応じて選べる支援があります。

この記事では、就労移行支援を利用する前に知っておきたい制度の仕組みや、就職に至らなかった場合の選択肢についてわかりやすく解説します。

加藤 美遥
監修 加藤 美遥 (社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士)
この記事は、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の資格を持ち、精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして、うつ病や発達障害、依存症などの支援に携わる専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • 就労移行支援は一般企業への就職を目指すサービスだが、利用した全員が就職できるわけではない。
    令和6年度の一般就労への移行率は60.2%で、就労継続支援A型・B型より高い水準です。
  • 就職に至らない主な理由は、事業所とのミスマッチ、体調や生活リズムの不安定さ、自己理解不足の3つ。
    訓練内容や通所状況、自己理解の深まり具合が、就職活動の進めやすさに影響します。
  • 利用期間は原則2年間で、期間内に就職が決まらなければ基本的に利用は終了となる。
    市町村審査会の個別審査で必要性が認められれば、最大1年間の更新も可能です。
  • 就職に至らなかった場合も、就労継続支援A型・B型や自立訓練(生活訓練)など選べる制度がある。
    ハローワークなどの公的な支援機関や、生活を支える経済的な制度もあわせて活用できます。
  • 就職につなげるには、事業所選びの段階で見学や体験利用を通して確かめておくことが大切。
    プログラム内容や就職実績、定着支援の有無を、複数の事業所で見比べることをおすすめします。
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就労移行支援manabyの実績

利用者数 3,106名 ※2024年2月時点
職場定着率 85.7% ※6ヶ月定着の実績
在宅就労率 20.4% ※就職者に対する割合
どんなことを相談できるの?
  • 「自分に合った仕事や働き方を見つけたい」
  • 「体調やメンタルに波があり、長く働けるか不安」
  • 「障害への理解がある職場に就職・転職したい」
  • 「まずは生活リズムを整えるところから始めたい」

就労移行支援を利用しても就職できないことはある?

この章のポイント
  • 就労移行支援を利用した方が全員就職できるわけではありません。
  • 一般就労への移行率は60.2%で、就労継続支援A型・B型より高い水準です。
  • 一般就労に至らない方が一定数いることも、あらかじめ知っておきましょう。

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方が利用する福祉サービスですが、利用した方が全員就職できるわけではありません。

まずは公的機関のデータから、実際の一般就労への移行率を確認してみましょう。

就労移行支援の一般就労への移行率(就職率)はどのくらい?

厚生労働省の令和6年度のデータによると、就労系障害福祉サービスから一般企業へ就職した割合は、就労移行支援が60.2%となっています。

つまり、就労移行支援を利用しても一般就労に至らない方が一定数いることがわかります。

サービスの種類一般就労への移行率
就労移行支援60.2%
就労継続支援A型29.2%
就労継続支援B型11.8%

60.2%という数字を低いと感じる方もいるかもしれません。しかし、就労継続支援A型は29.2%、B型は11.8%であり、就労移行支援はこれらと比べて一般就労への移行率が高くなっています。

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を対象に就職に必要な知識やスキルの習得、就職活動などを支援するサービスです。一般就労への移行率が比較的高いことからも、一般企業への就職を目指すための支援に重点を置いたサービスといえます。

就労移行支援を利用しても就職に至らない主な理由

就労移行支援を利用しても就職に至らない主な理由
この章のポイント
  • 就職に至らない主な理由は、事業所とのミスマッチ、体調や生活リズムの不安定さ、自己理解不足の3つです。
  • 訓練内容や通所状況、自己理解の深まり具合が、就職活動の進めやすさに影響します。
  • それぞれの理由を知っておくと、利用前後の対策を考えやすくなります。

就労移行支援を利用しても就職に至らないケースには、いくつかの理由があります。

ここでは、代表的な理由を3つ紹介します。

事業所とのミスマッチ

就労移行支援事業所ごとに、得意とする職種やプログラムの内容、支援体制には違いがあります。

希望する働き方や習得したいスキルと事業所の特色が合わないまま通所を続けると、訓練内容が実際の就職活動に結びつきにくくなりがちです。

例

事務職を目指しているのにパソコン訓練の機会が少ない
対人関係の練習を重視したいのに黙々と作業する訓練が中心

体調や生活リズムが安定しない

就労移行支援では、就職に向けた訓練や就職活動を進めるために継続して通所することが大切です。

体調や生活リズムが安定していないと予定どおりに通所できず、訓練や就職活動が思うように進まないケースもあります。

また、就職活動では通所状況や出席率を確認される場合があり、企業によっては、継続して勤務できる状態かどうかを確認する際の参考にすることがあります。

自己理解が深まらないまま就職活動に入ってしまう

自分の障害特性や得意・不得意、働くうえで必要な配慮を十分に整理できないまま就職活動に進むと、自分に合った仕事や働き方を判断することが難しくなります。

例えば、次のようなことにつながります。

人とのやり取りが負担になりやすいのに、電話対応や接客が多い仕事を選んでしまうなどの自分の特性に合っていない求人を選んでしまう
面接で「どのような場面で困りやすいか」「どのような工夫があれば働きやすいか」を具体的に説明できない

就労移行支援を利用しても就職できなかったらどうなる?

この章のポイント
  • 利用期間は原則2年間で、期間内に就職が決まらない場合は基本的に利用が終了となります。
  • 市町村審査会の個別審査で必要性が認められれば、最大1年間の更新が可能です。
  • 延長を希望する場合は、期間終了を待たず早めに支援員へ相談しましょう。

就労移行支援の利用期間には限りがあるため、「就職できず、期限が来たらどうなるのか」という不安を持つ方は少なくありません。

就労移行支援を利用できる期間中に就職できなかった場合、どうなるのかを解説します。

2年で就職できなかったら利用終了になる?

就労移行支援の利用期間は、原則2年間です。

2年の期間内に就職が決まらなかった場合、基本的にはその時点で就労移行支援の利用は終了となります。

利用期間を延長できる場合がある

就労移行支援の利用期間の流れ

2年間の利用期間を超えてさらに就労移行支援の利用が必要な場合は、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新が可能とされています。

延長が認められるかどうかは、個別の事情を踏まえて判断されます。

例

就職活動が最終段階にあり、もう少し支援を受けることで就職につながる可能性がある場合
体調不良などの事情により、十分な訓練期間を確保できなかった場合

延長を希望する場合は期間終了を待たず、早めに事業所の支援員へ相談することが大切です。

就労移行支援で就職できなかった場合に選べる選択肢

この章のポイント
  • 就職に至らなかった場合は、就労継続支援A型・B型や自立訓練(生活訓練)などの選択肢があります。
  • 目的や働き方がそれぞれ異なるため、体調や希望に合わせて選ぶことが大切です。
  • 判断に迷う場合は、市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談しましょう。

ここでは、就労移行支援で就職に至らなかった場合や、一般就労以外の働き方を検討したい場合に選べる制度を紹介します。

就労継続支援A型

就労継続支援A型は、障害や難病のある方が事業所と雇用契約を結び、支援を受けながら最低賃金以上の給料で働くことができる障害福祉サービスです。

一般企業で働くことに不安があるものの、雇用契約を結んで働きたい方の選択肢となります。

就労継続支援B型

就労継続支援B型は、一般企業での雇用契約を結んで働くことが難しい方が、自分のペースで生産活動や軽作業を行いながら、工賃を受け取れる障害福祉サービスです。

体調や生活リズムに合わせて働きたい方や、まずは無理のない範囲で働く経験をしたい方の選択肢となります。

自立訓練(生活訓練)

自立訓練(生活訓練)は、就労そのものよりも、生活リズムや対人関係など日常生活の基盤を整えることに重点を置いた福祉サービスです。

就職を目指す前に、まず生活の土台を整えたい場合には、自立訓練(生活訓練)が選択肢となります。

それぞれの制度には、目的や働き方に違いがあります。

体調や希望する働き方によって適した制度は異なるため、一人で判断が難しい場合は、市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談してみましょう。

就労移行支援とあわせて活用できる支援機関

この章のポイント
  • 就労移行支援を利用している場合でも、必要に応じて他の公的な支援機関に相談できます。
  • ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、精神保健福祉センターの4つを紹介します。
  • どこに相談すればよいか迷う場合は、支援員や市区町村の障害福祉窓口に相談しましょう。

就労移行支援を利用している場合でも、必要に応じて他の公的な支援機関に相談できます。

ここでは、就職や生活に関する相談ができる4つの公的な支援機関を紹介します。

就職活動や生活に関する主な相談窓口
全国のハローワークには、障害のある方向けの専門援助部門が設けられています。障害特性に配慮した求人の紹介や就職相談、応募書類の作成支援、面接に向けたサポートなどを受けられることが特徴です。
地域障害者職業センターでは、職業評価や職業準備支援、ジョブコーチ支援など、就職や職場定着に向けた専門的な支援を受けられます。
通称「なかぽつ」
障害者就業・生活支援センターは、仕事と生活の両面について相談できる地域の窓口です。
仕事に関する相談だけでなく、生活リズムや金銭管理、住居など、生活上の困りごとについても相談できます。
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法に基づいて都道府県や政令指定都市に設置されている機関です。こころの健康に関する幅広い相談に対応しています。

どの機関に相談すればよいか迷う場合は、就労移行支援事業所の支援員や市区町村の障害福祉窓口に相談してみましょう。状況に応じて、利用できる支援機関を案内してもらえる場合があります。

就労移行支援利用中の生活を支える経済的な制度

この章のポイント
  • 就職活動が長引いたときに備えて、生活を支える公的な制度を知っておくと安心です。
  • 障害年金、傷病手当金、自立支援医療制度、生活保護の4つを紹介します。
  • 制度ごとに利用条件や申請先が異なるため、早めに窓口へ確認しましょう。

就職活動が長引くと、経済的な不安を感じる方は少なくありません。

この章では、就労移行支援の利用中に知っておきたい、生活を支える公的な制度を紹介します。

就労移行支援利用中に知っておきたい経済的な支援制度
※障害の状態など一定の条件を満たす場合
病気やけがによって生活や仕事に支障がある場合に受け取れる公的年金です。原則として初診日から1年6か月を経過した後、障害の状態が一定の基準に該当すると請求できます。
※勤務先の健康保険に加入している方が対象
病気やけがで働けない期間の生活を支える給付金です。支給額は概ね給与の3分の2程度で、支給開始日から通算して最長1年6か月受け取れます。
※継続的な通院が必要な場合
精神科や心療内科などへの通院にかかる医療費の自己負担を軽減する制度です。通常は3割の自己負担が原則1割となり、通院にかかる医療費の負担を抑えられます。
※生活に困窮している場合
収入や資産などを活用しても生活が難しい場合に、最低限度の生活を保障する制度です。利用を検討する場合は、お住まいの地域の福祉事務所に相談できます。

これらの制度は、それぞれ利用できる条件や申請先が異なります。

利用できる制度があるか気になる場合は、早めに自治体の窓口や年金事務所、勤務先などに確認してみましょう。

就労移行支援の支援員に相談すれば、利用できる制度や相談先について案内してもらえる場合もあります。

就職に結びつけるために事業所選びの段階でできること

この章のポイント
  • 事業所選びの段階では、見学や体験利用、プログラム内容、就職実績と定着支援の3点を確認しましょう。
  • 2か所以上を見学して比較すると、事業所ごとの違いがわかりやすくなります。
  • 数字だけで判断せず、どのような職種や働き方で就職しているかもあわせて確認することが大切です。

ここまでは就職できなかった場合に選べる制度や相談先を紹介してきましたが、就労移行支援を利用する前に事業所の特徴や支援内容を確認しておくことも大切です。

ここでは、就職に結びつけるために事業所選びの段階でできることを3つ紹介します。

見学や体験利用で事業所を見極める

就労移行支援事業所は、ホームページなどの情報だけでは分からない部分もあります。

見学や体験利用を通して、事業所の雰囲気やスタッフの対応、訓練の進め方などを実際に確認してみましょう。

また、事業所は最初から1つに絞らず、2か所以上を見学して比較するのがおすすめです。複数を見比べることで特徴の違いがわかり、自分に合う環境を整理しやすくなります。

プログラム内容が自分の特性に合うか確認する

事業所ごとに、プログラムの内容や得意分野は異なります。

パソコンスキルの習得に力を入れている事業所もあれば、対人関係やコミュニケーションの練習を重視する事業所もあります。

自分が身につけたい力を学べるか、見学や体験利用の際に確認しておきましょう。

座学中心か実践中心か、グループワークが多いか個別作業が中心かといった違いも、事業所を選ぶうえでのポイントです。

就職実績や定着支援の有無を確認する

就職者数や職場定着率を公開している事業所もあります。実際にどのくらいの方が就職しているのかを知るうえで、参考になる情報です。

ただし、数字だけで判断するのではなく、どのような職種や働き方で就職しているのか、就職に向けてどのような支援を受けられるのかも確認しておきましょう。

あわせて、就職後の相談や職場定着に向けたフォロー体制についても確認しておくと安心です。

例えば就労移行支援manaby(マナビー)では就職先の約7割が特例子会社や障害者雇用枠での就職となっており、約7割の方が事務職、約2割の方がIT・クリエイティブ系の職種に就いています。

このように、事業所ごとの就職実績などを具体的に確認することで、自分の希望する働き方と合っているかを判断しやすくなります。

就労移行支援の利用に関するよくある質問

就労移行支援の利用に関するよくある質問をまとめました。

2年間利用して就職できなかったらどうなる?

2年間で就職に至らなかった場合、原則として就労移行支援の利用は終了となります。ただし、市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められれば最大1年間の延長が可能です。

延長が認められなかった場合や、延長後も就職に至らなかった場合は、主に次のような選択肢があります。

就労継続支援A型・B型など、他の障害福祉サービスを利用する
ハローワークなどの公的な支援機関に相談しながら就職活動を続ける
支援機関を利用せず、自分で就職活動を進める

就労移行支援の支援員が、次に利用するサービスの紹介や手続きなどをサポートしてくれる場合もあります。

就労移行支援は一生に一度しか利用できない?

就労移行支援は一度しか利用できない制度ではなく、複数回利用できる場合があります。ただし、過去の利用期間や現在の状況などを踏まえて自治体が支給決定を行うため、再利用を希望する場合は自治体や事業所へ確認しましょう。

アルバイトをしながら利用できる?

就労移行支援は一般就労を目指す方を対象としたサービスのため、原則としてアルバイトをしながら利用することは想定されていません。

ただし、就労時間や状況によっては例外的に認められるケースもあります。

アルバイトをしながら利用したい場合は自己判断で始めるのではなく、事業所や自治体に事前に相談して、利用できるか確認しましょう。

利用してみて合わないと感じたら途中でやめられる?

就労移行支援は、利用途中で終了することも可能です。体調が安定しない場合や支援内容などが合わない場合は、退所を含めて今後の利用について事業所の支援員に相談できます。

別の事業所への変更や、他の障害福祉サービスへの切り替えが適している場合もあるため、無理に利用を続けるのではなく、現在の状況に合った方法を検討しましょう。

就労移行支援で就職できなくても、次の選択肢を考えられる

就労移行支援を利用しても、必ず就職できるとは限りません。一般就労への移行率は6割程度で、利用しても就職に至らない方が一定数いるのが実情です。

ただし、就職できなかった場合でも、その後の状況に応じて利用できる制度や支援があります。

また、これから就労移行支援を利用する場合は、事業所選びも重要です。見学や体験利用を通してプログラムとの相性を確認し、就職実績や就職後のフォロー体制なども比較してみましょう。

就労移行支援利用中に併用できる支援や利用後の選択肢まで知っておくことで、就職に向けた準備を進めやすくなります。自分の状況に合った支援を活用しながら、無理のない形で就職を目指していきましょう。

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加藤 美遥

社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士
福祉系専門学校を卒業後、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士を取得。現在は北海道の精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務し、うつ病や発達障害、依存症などの支援に従事。医療と福祉の両面から得た経験を活かし、メンタルヘルスや福祉制度に関する情報発信・監修を行っている。

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