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発達障害の方に向いている仕事とは?働きやすい環境・仕事選びのポイントを解説

目次

「仕事が続かない」「人間関係でうまくいかない」「自分だけ、なぜかうまくいかない気がする」という違和感や生きづらさから、発達障害の可能性に気づいた方もいるかもしれません。
発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)などがあり、それぞれの特性によって仕事の中でつまずきやすいポイントも異なります。
この記事では、発達障害のある方が仕事で直面しやすい困りごとや避けたほうがよい職場環境、無理なく働ける環境・働き方、向いている仕事の見つけ方やポイントを紹介します。

この記事のまとめ

  • 発達障害とは?
    ADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)などがあり、生まれつきの脳の働き方に違いによって、日常生活や仕事の場面で困りごとを感じやすい
  • 発達障害の方に向いている仕事は?
    特性によって異なるが、ADHD(注意欠如・多動性障害)は行動力や好奇心を活かした仕事、ASD(自閉症スペクトラム)は正確さや集中力が活きる作業、LD(学習障害)なは視覚的理解や手作業中心の仕事が向いている

発達障害とは

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の説明

発達障害とは、生まれつき脳の働き方に違いがあり、コミュニケーションや対人関係、注意力、感覚の受け取り方などに特性が見られる状態を指します。周囲との違いから日常生活や仕事の場面で困りごとを感じることが多く、「努力不足」や「わがまま」と誤解されることも少なくありません。
代表的な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)・ASD(自閉症スペクトラム)・LD(学習障害)があります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が仕事で直面しやすい困りごと

ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が仕事で直面しやすい困りごとを紹介

ADHD(注意欠如・多動性障害)の方は、「うっかりミスが多い」「集中が続かない」「先走って行動してしまう」といった特性から、仕事の中で思わぬ壁にぶつかることがあります。

自分にとっては自然な行動であっても、周囲とのすれ違いや誤解に繋がってしまうことも少なくありません。

【ADHD(注意欠如・多動性障害)の代表的な困りごと】
  • 一度で指示を理解できず、何度も聞き返してしまう
  • 周りの音や考え事が気になって集中が途切れてしまう
  • ケアレスミスやうっかり忘れが頻繁に起きる
  • スケジュールや期限の管理が苦手

ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が職場で感じやすい困りごとや注意すべきポイントについては、「ADHD(注意欠如・多動症)に合う仕事とは?向いてる働き方も解説」でより詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

ASD(自閉症スペクトラム)の方が仕事で直面しやすい困りごと

ASD(自閉症スペクトラム)の方が仕事で直面しやすい困りごとを紹介

ASD(自閉症スペクトラム)の方は、「人との距離感がつかみにくい」「言葉の裏を読むのが苦手」「こだわりが強い」などの特性から、仕事の場面で戸惑いやすいことがあります。

周囲の人とのやりとりや、あいまいな指示・急な変更などに強いストレスを感じることが多く、本人は一生懸命やっているのに、うまくいかないと感じやすい傾向があります。

【ASD(自閉症スペクトラム)の代表的な困りごと】
  • 曖昧な指示やルールに混乱してしまう
  • 雑談やちょっとした会話に強い負担を感じる
  • 音や光、においなどに敏感で集中しづらい
  • 些細な注意でも強く落ち込んでしまう
  • 急な予定変更やマルチタスクが苦手

ASD(自閉症スペクトラム)の方が職場で抱えやすい悩みや注意点については、「【体験談あり】ASD(自閉スペクトラム症)の方に向いている仕事とは?働きやすい環境・職種などを紹介!」でも詳しくご紹介しています。

LD(学習障害)の方が仕事で直面しやすい困りごと

LD(学習障害)の方が仕事で直面しやすい困りごとを紹介

LD(学習障害)は、全体的な知的発達には問題がない一方で、「読む」「書く」「計算する」といった特定の分野に極端な困難を感じることです。

本人の努力や意欲とは関係なく、特定の作業に時間がかかったり、うまく処理できなかったりすることで、仕事の場面でつまずきを感じやすくなることがあります。

周囲からは「なぜこれができないの?」と思われやすい反面、本人は「やりたくてもできない」「何度も注意されてつらい」と感じているケースも多く、理解不足からストレスや自己否定に繋がりやすいのが特徴です。

ここでは、LDの方が仕事の中で直面しやすい困りごとについて具体的に紹介していきます。

読み書きが苦手で、業務の処理に時間がかかる

LD(学習障害)のある方の中には、文字を読むことや書くことに強い苦手意識を抱えている方がいます。

例えば、メールやマニュアルの文章を理解するのに時間がかかったり、書類の作成や記録業務に手間取ってしまい、仕事全体の進みが遅くなることがあります。

文字情報を読み取ったり書き表したりするのに人より多くのエネルギーを使うため、同じ作業でも疲れやすくなるのが特徴です。

そうした姿を見て、「なぜこんな簡単なことができないのか」「仕事が遅い」と誤解されてしまうことも少なくありません。

こうした環境が続くと、プレッシャーや自己否定感が積み重なり、心身の負担が大きくなってしまいます。次第に「働くこと自体がつらい」と感じるようになることがあります。

計算や数字の処理が苦手で、繰り返しミスをしてしまう

LDの特性のひとつに、数字や計算に対して強い苦手を感じる「算数障害」があります。

例えば、簡単な足し算や引き算で桁を間違えたり、数字を読み違えてしまうといったミスが繰り返されることがあります。

請求書の金額を入力し間違える、在庫数を正しく記録できない、時間の感覚がつかめないなど、数字が関わる業務でつまずきやすく、「確認が足りない」「注意していない」と誤解されることも少なくありません。

自分なりに丁寧に確認しているつもりでもミスを防げず、うまくいかないことが続くと、焦りや不安が募ってしまいます。

その結果、仕事への自信をなくしてしまったり、「また間違えるかもしれない」と不安を抱えたまま働くことになるケースもあります。

口頭での指示を記憶・処理するのが苦手

LDの方の中には、「言われたことを一時的に覚えておく」力(ワーキングメモリ)が弱く、口頭での指示をすぐに忘れてしまったり、順序通りに処理するのが難しいと感じることがあります。

特に、複数の口頭指示を一度に受けると、情報を整理しきれず混乱してしまうことも少なくありません。

例えば、「〇〇のデータを整理したら、△△さんに提出して、次に□□の確認をしておいて」といった一連の指示を受けた際、途中で抜けてしまったり、順番を間違えてしまうことがあります。

自分では真剣に聞いていたつもりでも、「ちゃんと聞いてなかったの?」と誤解されることもあり、やる気や自信を失ってしまう原因になってしまいます。

文章の要点を整理するのが苦手で、伝え方に苦労する

LDの方の中には、伝えたいことを整理して、わかりやすく文章にまとめるのが苦手な方がいます。

頭の中では伝えたい内容があっても、要点がまとまらなかったり、言葉の選び方に迷ってしまい、結果としてうまく伝わらないことがあります。

例えば、メールや報告書で必要な情報を抜かしてしまったり、逆に内容がまとまらず、「何を伝えたいのか分かりにくい」と言われてしまいます。

「説明が下手」「言いたいことが伝わらない」と評価されることで、自信をなくしたり、人に何かを伝えることそのものに苦手意識を持つようになるケースもあります。

発達障害の方が避けるべき環境・働き方

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)が避けるべき環境・働き方

前の章では、発達障害のある方が仕事中に直面しやすい困りごとについて紹介しました。

実はその多くは、「特性に合っていない職場環境や働き方」が原因となっていることも少なくありません。

「なぜか仕事がうまくいかない」「続けるのがつらい」と感じるとき、決して性格や努力が足りないわけではなく、職場との相性が合っていない可能性があります。

ここでは、発達障害のある方が働きづらさを感じやすい職場の特徴をまとめました。

これから仕事を探す際、「避けたほうがいいかもしれない条件」として、参考にしてみてください。


こんな環境・働き方は要注意!
内容
指示が曖昧なことが多い「いい感じで」「臨機応変に対応して」など、具体性のない指示が多く、何をすればよいのか分かりづらい。
業務ルールがよく変更される上司や日によって指示が変わることがあり、やり方が安定せず混乱しやすい。
音や人の動きが気になるオフィスが騒がしい、話し声や物音が絶えないなど、周囲の刺激が多く集中が妨げられる。
同時にいろいろな作業を求められるマルチタスクが多く、頭の中が整理しきれず、ミスや抜け漏れが起きやすくなる。
接客や電話など人との対応が多い初対面の人と頻繁に関わる業務があり、臨機応変な対応や会話のやり取りに強い負担を感じやすい。

発達障害の方が働きやすい環境・働き方

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)が働きやすい環境・働き方

避けたほうがよい環境を理解した上で、次に大切なのは、自分にとって「働きやすい」と感じられる環境や働き方を知ることです。

発達障害のある方が無理なく働くためには、特性に合った職場や仕事のスタイルを選ぶことがポイントになります。

「努力」や「気合い」で困りごとを乗り越えようとするのではなく、環境を工夫したり、配慮を受けることで力を発揮できる場面はたくさんあります。

自分の得意なこと・苦手なことを整理し、それに合った職場や働き方を選ぶことが、安心して長く働き続けるための第一歩になります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が働きやすい環境・働き方

【ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が働きやすい環境・働き方】
  • 1つの作業に集中できるシンプルな業務内容
  • スケジュールや手順が明確で、見通しが立てやすい仕事
  • 静かで落ち着いて作業に取り組める環境
  • 発達障害への理解があり、配慮のある職場
ADHD(注意欠如・多動性障害)の方が働きやすい環境や働き方については、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

ASD(自閉症スペクトラム)の方が働きやすい環境・働き方

【ASD(自閉症スペクトラム)の方が働きやすい環境・働き方】
  • 業務内容や手順が明確に決まっている
  • 静かで落ち着いた環境
  • 1人で集中して取り組める
  • 予定外の対応が少なく、見通しを立てやすい
  • 特性への理解があり、配慮をしてくれる環境
ASD(自閉症スペクトラム)の方に合った具体的な働き方や環境については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

発達障害の方に向いている仕事

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)が向いている仕事の紹介

発達障害の方のあり・なしに関わらず、「自分に向いている仕事って何だろう?」と悩む方は少なくありません。

特に発達障害のある方は、過去の経験や特性ゆえに「仕事が続かない」「どこで働けばいいか分からない」と感じていることもあるでしょう。

特性を理解し、自分に合った働き方を見つけることで無理なく安定して働くことができます。

ここでは、発達障害のある方が比較的向いているとされる職種や、得意を活かしやすい仕事の特徴について紹介します。

ADHD(注意欠如・多動性障害)に向いている仕事

ADHD(注意欠如・多動性障害)の方は、「集中が続きにくい」「ケアレスミスが多い」「じっとしているのが苦手」といった困りごとがある一方で、好奇心旺盛・エネルギッシュ・行動力があるといった強みを活かせる場面も多くあります。

そのため、変化があった方が飽きずに取り組める仕事や、体を動かす仕事、スピード感を活かせる環境がおすすめです。

特徴向いている仕事の例
発想力やアイデアを活かせるクリエイティブな仕事グラフィックデザイナー
イラストレーター
コピーライター
広告・マーケティングプランナー
商品企画・開発
映像クリエイターなど
体を動かしながら働けるアクティブな仕事倉庫内作業(ピッキング・梱包など)
清掃スタッフ
軽作業スタッフ
調理補助
介護補助など
人と関わることが中心の接客・サービス業販売スタッフ(アパレル・雑貨など)
カフェ・飲食店スタッフ
ホテル・受付スタッフ
イベントスタッフ
介護・福祉スタッフ(デイサービスなど)
1人でコツコツ取り組めるルーティンワークデータ入力
郵送・仕分け作業
清掃スタッフ
軽作業(シール貼り・梱包など)
工場でのライン作業
興味のある分野を深掘りできる専門職プログラマー・エンジニア
Webデザイナー
研究職・技術職
図書館司書・図書館スタッフ
カウンセラー・心理士

ASD(自閉症スペクトラム)に向いている仕事

ASD(自閉症スペクトラム)の方は、「人との距離感がつかみにくい」「曖昧な指示が苦手」「環境の変化に弱い」などの困りごとがある一方で、集中力が高い・正確さを大切にする・決められた手順を丁寧に守るといった強みを持つ方も多くいます。

そのため、静かで見通しの立てやすい環境で、決まった手順に沿って正確に進める仕事や、得意分野に集中できる業務が向いている傾向があります。

特徴向いている仕事の例
手順が決まっているルーティンワークデータ入力
工場での製品検品
書類のスキャン・仕分け
郵便物の封入・発送準備
倉庫内での商品ピッキング
食品工場での盛り付け作業
コピー・印刷業務の補助
商品ラベルの貼付
書類のファイリング・分類
デジタルファイルの整理・保存
一人で黙々と作業できる仕事倉庫でのピッキング
図書館の本整理
Webライター
清掃スタッフ(オフィス・店舗)
工場内の製造ライン作業
商品撮影の補助や画像加工
アノテーション作業(データのタグ付け)
翻訳作業(クラウドワークス等)
ECサイトの商品登録
データチェックや校正作業
興味を深く追求できる専門的な仕事プログラマー
イラストレーター
動画編集者
研究補助・実験サポート
プラモデル製作・模型作成
データサイエンティスト
アーカイブ整理(歴史資料・写真等)
図鑑や辞書などの校閲作業
音響・録音関連の技術職

LD(学習障害)に向いている仕事

LD(学習障害)のある方は、「読み書きが苦手」「計算が難しい」「口頭の指示を覚えづらい」など、特定の分野に苦手さを感じることがあります。

ただし、全ての作業が苦手というわけではなく、視覚的な理解が得意だったり、手を動かす作業に集中できるなど、人それぞれに強みがあります。

特徴向いている仕事の例
口頭や文字のやりとりが少なく、体を動かして覚えられる清掃
軽作業
製造
倉庫内作業
施設管理など
視覚的な情報処理や空間認識を活かせるデザイン補助
イラスト制作
レイアウト作業
装飾関連の仕事など
複雑なやりとりを避けられ、チームで分業できる工場ライン作業
調理補助
検品・梱包など
マニュアルや手順書に沿って繰り返し取り組める機械操作
シール貼り
仕分け
清掃業務など

発達障害の方の仕事選びのポイント

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の方の仕事選びポイントを紹介

「自分に合う仕事って何だろう?」「これまでうまくいかなかったのは、仕事選びを間違えたからかも…」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

発達障害のある方が安心して働き続けるためには、仕事内容だけでなく、職場環境や働き方のスタイルまで含めて、自分に合っているかを見極めることが大切です。

仕事を選ぶとき、「興味があるかどうか」で判断したくなることもありますが、実際には「働いてみたら思っていたよりも負担が大きかった」ということも少なくありません。

だからこそ、「やってみたい」気持ちに加えて、「自分にとって無理なく続けられる環境かどうか?」という視点も持つことが重要です。こうしたポイントを事前にチェックすることで、「働いてみたら思っていたのと違った」というミスマッチを防ぐことにも繋がります。

この章では、発達障害のある方が仕事を選ぶ際に意識したいポイントを、具体的にご紹介していきます。

仕事内容は自分に合っているか?

チェックポイント
やることが決まっているか毎日ほぼ同じ作業がある、手順が明確
苦手な作業が少ないか電話応対・対人対応・マルチタスクなど

仕事内容は、ただ「興味がある」だけでなく、「自分が無理なく取り組める内容かどうか」も大切なポイントです。

例えば、決まった手順を繰り返すような作業は集中しやすい一方で、電話対応やマルチタスクが多い仕事は、負担を感じやすいこともあります。

事前に仕事内容の具体的な内容を確認しながら、「これは自分にとってやりやすいか?」と考えてみましょう。

職場の環境が自分に合っているか?

チェックポイント
指示の出し方マニュアルや手順書がある、メモやチャットで確認できる
職場の雰囲気静かで落ち着いている
人との関わり方一人で進める作業が中心、雑談や会話が多すぎない
臨機応変さルールややることが頻繁に変わらない

発達障害のある方にとって、周囲の音や人の多さ、指示の出し方、会話の量など、職場環境のちょっとした違いが「働きやすさ」に大きく影響します。

無理に周囲に合わせ続けることで、気づかないうちに疲れがたまり、「頑張っているのにうまくいかない」と感じてしまうことも少なくありません。

だからこそ、「どんな環境なら落ち着いて働けそうか?」という視点を持つことが大切です。

自分のペースで働けるか?

チェックポイント
働く時間フレックスタイムや時短勤務、在宅ワークがある
休憩が取りやすいか自分のタイミングで休憩できる
作業ペースの自由度急かされず、自分のペースで仕事が進められる

発達障害のある方にとって、「その日のコンディションに合わせて働けるかどうか」は、長く仕事を続けるうえでとても重要な視点です。

例えば、いつも同じ時間・同じ方法で働くのが難しい日がある場合も、「少し遅れて出勤できる」「短時間勤務ができる」といった選択肢があれば、無理なく続けられる可能性が広がります。

また、作業の進め方に裁量があり、自分の集中しやすいタイミングで取り組める仕事や、在宅勤務など物理的な環境に左右されにくい働き方もおすすめです。

「頑張って合わせる」ではなく、「自然に力を出せる働き方ができるか?」という視点を持ってみましょう。

発達障害の方が仕事を探す前にやっておくとよいこと

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の方が仕事を探す前にやっておくとよいこと

「何から始めればいいのか分からない」「自分に向いている仕事ってなんだろう?」と仕事探しを始める前に、そんな不安や戸惑いを感じる方も多いと思います。

特に発達障害のある方の場合は、自分の得意・不得意を整理したり、働きやすい条件をあらかじめ把握しておくことが、仕事選びのミスマッチを防ぐための大切な準備になります。

無理に急いで就職先を決めるよりも、自分の特性や希望を明確にすることが、安心して働ける職場に出会う第一歩です。

ここでは、仕事を探し始める前にやっておきたいことを、2つの視点からご紹介します。

自分の得意・苦手を整理する

仕事を探す前に、まずは「自分は何が得意で、何が苦手なのか」を整理しておくことが大切です。

例えば、以下のような自分の傾向を具体的に書き出してみましょう。

  • 一人でコツコツ作業するのは好きだけど、人と話すのは疲れる
  • 決まった手順のある作業はできるけど、臨機応変な対応は苦手
  • 細かい作業やミスチェックは得意だけど、同時進行で複数のことをするのは難しい

このように自分の傾向を具体的に書き出してみると、どんな仕事や環境が向いているかのヒントが見えてきます。

「得意なこと」「苦手なこと」だけでなく、「できるけどしんどい」「好きだけど疲れる」なども含めて、整理することがポイントです。

自分に合った働き方を整理する

仕事を選ぶ時は、「どんな働き方なら自分が安心して働けるか?」もあらかじめ整理しておくことが大切です。

  • 毎日フルタイムだと続けられないかもしれないから、短時間や週3日の勤務がいい
  • 通勤が負担に感じるから、在宅勤務やリモートワークができると安心
  • 午前より午後のほうが集中しやすい
  • 急な予定変更が少ない、決まったスケジュールのほうが落ち着く

このように自分にとって無理のない働き方の条件を明確にしておくことで、求人を選ぶときの軸ができ、働き始めてからのギャップも少なくなります。

「こうじゃないと働けない」と決めつけすぎずに、「この方が楽」「こうだと落ち着く」と感じる働き方を洗い出しておくのがポイントです。

発達障害の方が仕事を探す時に利用できるサポート

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自あ閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の方が仕事を探す時に利用できるサポート

ハローワーク(障害者専用窓口)

ハローワークとは、国が運営する公共の就職支援機関で、誰でも無料で利用することができます。全国各地に窓口があり、就職に関する幅広いサポートを行っています。

例えば、障害者雇用の求人の紹介や、自分に合った仕事についてのキャリア相談、履歴書や職務経歴書の作成サポートなどを受けることができます。

その中でも、障害のある方向けに「専門窓口」や「専門の相談員」が配置されているハローワークもあり、発達障害を含むさまざまな障害のある方が安心して就職活動を進められるよう、個別の相談や支援を受けることが可能です。

また、就職後も職場に定着できるように、継続的なアドバイスやサポートが提供される場合もあります。

「自分にどんな仕事が合っているか分からない」「就職活動に自信が持てない」と感じたときは、まずはお住まいの地域のハローワークに相談してみるのがおすすめです。

障害者雇用専門転職エージェント

障害者雇用専門の転職エージェントとは、発達障害を含む障害のある方を対象に、就職や転職をサポートしてくれる民間のサービスです。

登録すると、障害に理解のあるキャリアアドバイザーが担当につき、希望や特性に合わせた就職活動を一緒に進めてくれます。

転職エージェントでは、自分に合った求人の紹介を受けられるだけでなく、履歴書や職務経歴書の作成サポート、面接対策、企業とのやり取りや条件交渉の代行まで幅広い支援が受けられます。

ハローワークとの違いとしては、「発達障害に理解のある企業」を紹介してもらえる点や、事前に「どんなサポートが必要か」「どんな働き方が合っているか」等 を企業に伝えたうえで応募できる仕組みがあるため、自分が働きやすい職場と出会いやすくなります。

サービスは基本的に無料で利用でき、在宅勤務や短時間勤務といった柔軟な働き方についても相談できるため、自分に合った働き方を見つけたい方にとって、心強い選択肢のひとつです。

就労移行支援

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。

発達障害のある方も多く利用しており、働くために必要なスキルや生活リズムを身につけることができ、就職のサポートまでをしています。

manabyの就労移行支援について

就労移行支援manaby(マナビー)では、発達障害をはじめ、精神障害や知的障害、難病のある方が自分らしく働くための支援を行っています。

1人ひとりの特性や不安に合わせた個別支援を大切にしており、「自分に合った働き方」を一緒に見つけていくことを重視しています。

例えば、以下のような支援を通じて、今の辛さを整理しながら、これからの働き方を一緒に考えていけます。

manabyで受けられる主な支援

  • 毎日を安定して過ごすための体調管理やストレス対処のサポート
  • 自分のペースで学べるeラーニング「マナe」でPC・ITスキルを習得
  • 外出が不安な時も安心の在宅支援(自宅からの利用OK)
    ※在宅訓練の利用可否ついてはお住いの自治体によって異なります
  • 就活に向けた履歴書の作成・面接の練習・求人の探し方のアドバイス
  • 働き始めた後も安心の定着サポート

「仕事がうまくいかず、今は働けていない」「この先どうすればいいのか分からない」とそんなお気持ちを抱えている方は、、自分に合った働き方を探すきっかけとして、ぜひ一度ご相談ください。

発達障害のある方が安心して働くために

発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)、ASD(自あ閉症スペクトラム)、LD(学習障害)の方が安心して働くために

発達障害のある方が働くうえで感じる困りごとは、人によって様々です。

仕事のミスや人間関係で悩んだり、「このまま働いていけるのか…」と不安になることもあるかもしれません。

ですが、そうしたつまずきは、決して努力が足りないからではなく、「向いていない仕事」や「自分に合わない働き方・環境」が原因になっている場合も少なくありません。

大切なのは、自分の特性に合った職場や働き方を見つけ、無理なく力を発揮できる場所を選ぶことです。

この記事では、発達障害のある方が仕事で直面しやすい困りごとや避けた方がよい環境、自分に合った仕事や働き方を見つけるための視点、そして利用できる支援の方法までをまとめてご紹介しました。

「自分に合う仕事が分からない」と感じた時は、ひとりで抱え込まずに、就労移行支援など頼れる場所に気軽に相談してみてください。

仕事が続かない…体調が不安… お気軽にご相談ください!

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0120-649-150

受付時間:月〜金 9:00〜18:00

狩野 淳

臨床心理士/公認心理師
2013年に心理学部を卒業後、大学院で発達・臨床心理学を学び、臨床心理士・公認心理師を取得。福祉事業所に勤務し、子どもと保護者を対象に心理支援を行っている。ABAやCBT、ブリーフセラピーを用いた実践的な支援を提供している。

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