法定雇用率とは?2026年7月の引き上げで、障害のある方の就職はどう変わる?
- 法定雇用率とは?
- なぜ企業は障害のある方を雇う義務があるの?
- 2026年7月から障害者雇用の法定雇用率は2.7%へ引き上げ
- 民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%に
- 従業員37.5人以上の企業が対象に
- 国・地方公共団体等の法定雇用率も引き上げられる
- 【manabyアンケート】法定雇用率2.7%への引き上げを知っていた人は13.2%
- 法定雇用率の引き上げは障害のある方の就職にどう影響する?
- 障害者雇用の求人や採用枠が増える可能性がある
- これまで雇用義務の対象外だった企業も就職先の選択肢になる可能性がある
- 「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」から見る現状
- 法定雇用率はどのように計算する?
- 法定雇用率の基本的な計算式
- 短時間労働者や重度障害者は算定方法が異なる
- 法定雇用率が未達成の場合、ペナルティはある?
- 障害者雇用納付金の徴収
- 行政指導
- 企業名の公表
- 法定雇用率の達成に役立つ関連制度
- 除外率制度
- 特例子会社制度
- 企業グループ算定特例・事業協同組合等算定特例
- 法定雇用率を達成するための具体的な取り組み
- ハローワークの活用
- 障害者トライアル雇用制度の活用
- 就労移行支援事業所との連携
- 就労移行支援manaby(マナビー)について
- もにす認定制度の活用
- アンケートから見る、障害のある方が障害者雇用に求めていること
- 障害者雇用枠で働くとはどういうこと?
- 障害者雇用枠と一般枠の違い
- 障害者雇用枠で働くメリット・注意点
- 障害者雇用枠で働くメリット
- 障害者雇用枠で働く際の注意点
- 障害者雇用枠に就職するために利用できる支援機関
- ハローワーク(障害者専門窓口)
- 障害者専門の転職エージェント
- 就労移行支援
- 実際に障害者雇用枠で働いている方の体験談
- 法定雇用率・障害者雇用に関するよくある質問
- 法定雇用率が未達成だと必ず罰則がありますか?
- 法定雇用率は今後また変わる予定がありますか?
- 障害者雇用の求人が増えやすいのはいつ頃ですか?
- 法定雇用率の引き上げに向けて、自分に合った形で準備を進めよう
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法定雇用率という言葉を、ニュースやインターネットなどで見かけて気になっている方は多いのではないでしょうか。
2026年7月から、この法定雇用率が2.7%へ引き上げられました。単に制度上の数字が変わるだけのように見えますが、実は障害のある方の就職活動や働き方にも関わりのある変化です。
この記事では、法定雇用率とは何か、2026年7月の引き上げで具体的に何が変わるのか、そして障害のある方の就職にどのような影響があるのかを、分かりやすく解説します。
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法定雇用率とは?
- 企業や国・地方公共団体などに、一定の割合で障害者の雇用を求める基準です。
- 障害者雇用促進法に基づく制度です。
- 障害者の働く機会を確保し、職業の安定を図ることなどを目的としています。
法定雇用率とは、企業や国・地方公共団体などに対して一定の割合で障害者を雇用することを求める制度上の基準です。
この制度は「障害者雇用促進法」に基づいており、障害者の職業の安定を図り、働く機会を確保することなどを目的としています。
なぜ企業は障害のある方を雇う義務があるの?
障害の種類や程度、職場環境などによって、就職や職場への定着に困難が生じる場合があります。
そこで、国は企業に一定の割合で障害者の雇用を義務づけることで働く機会を確保し、職業生活の安定につなげる仕組みを設けています。
法定雇用率による障害者雇用は、企業の自主的な取り組みではなく、法律に基づく義務です。
参考:厚生労働省「障害者雇用率制度の概要」
2026年7月から障害者雇用の法定雇用率は2.7%へ引き上げ
- 2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%に引き上げられました。
- 雇用義務の対象となる企業は、従業員37.5人以上に変わります。
- 国・地方公共団体等は3.0%、都道府県等の教育委員会は2.9%です。
- manabyのアンケートでは、引き上げを「知っていた」と答えた方は13.2%でした。
2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられました。また、法定雇用率の引き上げに伴い、障害のある方の雇用義務が生じる企業の範囲も広がります。
ここでは、法定雇用率や対象となる企業の範囲について、変更点を詳しく見ていきましょう。
民間企業の法定雇用率は2.5%から2.7%に
| 区分 | 令和5年度 | 令和6年4月〜 | 令和8年7月〜 |
|---|---|---|---|
| 民間企業の法定雇用率 | 2.3% | 2.5% | 2.7% |
民間企業の法定雇用率は、2024年4月に2.3%から2.5%へ引き上げられ、2026年7月からさらに2.7%へ引き上げられました。 この改正は障害者雇用促進法の見直しに基づくもので、段階的な引き上げの一環として実施されるものです。
0.2ポイントの引き上げは小さく見えるかもしれませんが、企業にとっては法定雇用率を満たすために必要な障害のある方の雇用人数が増えることを意味します。
従業員37.5人以上の企業が対象に
| 区分 | 令和5年度 | 令和6年4月〜 | 令和8年7月〜 |
|---|---|---|---|
| 対象事業主の範囲(従業員数) | 43.5人以上 | 40.0人以上 | 37.5人以上 |
法定雇用率の引き上げにあわせて、雇用義務の対象となる企業の従業員規模も変わります。
これまで常時雇用する労働者が40人以上の企業が対象でしたが、2026年7月からは37.5人以上の企業も対象となります。
これにより、これまで対象外だった37.5人以上40人未満の企業にも、障害のある方を雇用する義務が生じます。
参考:厚生労働省 福岡労働局「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
国・地方公共団体等の法定雇用率も引き上げられる
| 事業主区分 | 令和6年4月~ | 令和8年7月~ |
|---|---|---|
| 国・地方公共団体等 | 2.8% | 3.0% |
| 都道府県等の教育委員会 | 2.7% | 2.9% |
法定雇用率の引き上げは民間企業だけにとどまりません。
国・地方公共団体の法定雇用率は3.0%に、都道府県等の教育委員会は2.9%に、それぞれ引き上げられます。
雇用義務の対象となる職員数の基準も、国・地方公共団体は33.5人以上、教育委員会は34.5人以上に広がります。
国や地方公共団体などでも法定雇用率が引き上げられるため、民間企業だけでなく、公的機関における障害者雇用にも関わる変更です。
参考:千葉県「障害者の法定雇用率の引き上げについて」
【manabyアンケート】法定雇用率2.7%への引き上げを知っていた人は13.2%
法定雇用率の引き上げは、障害のある方にどれだけ知られているのでしょうか。manabyが実施した、障害のある151名を対象としたアンケートの結果を紹介します。
「【障害のある151名にアンケート】法定雇用率2.7%引き上げ、企業に一番求めることは?」によると、法定雇用率が2.7%に引き上げられたことを「知っていた」と回答した方は13.2%(20票)でした。
一方、「知らなかった」と回答した方は41.7%(63票)で、「法定雇用率という言葉自体を知らなかった」6.0%(9票)を合わせると、回答者の47.7%が引き上げについて知らなかったことが分かりました。
法定雇用率の引き上げを知っておくことは、企業の障害者雇用に関する動きを把握するなど、就職活動の情報収集に役立ちます。
法定雇用率の引き上げは障害のある方の就職にどう影響する?
- 引き上げによって、障害者雇用の求人や採用枠が増える可能性があります。
- これまで対象外だった企業も、就職先の選択肢になる可能性があります。
- ただし、すべての企業で求人が増えるとは限りません。
法定雇用率の引き上げは、企業にとって対応が必要な制度変更ですが、障害のある方の就職活動にも影響する可能性があります。
ここでは、法定雇用率の引き上げによって考えられる変化について、具体的に見ていきます。
障害者雇用の求人や採用枠が増える可能性がある
法定雇用率が引き上げられると、企業が雇用する必要のある障害のある方の人数も増えます。
そのため、企業によっては、これまでより多くの障害のある方を募集する必要が生じ、障害者雇用の求人が増える可能性があります。
求人が増えれば、仕事を探す際の選択肢も広がります。これまで応募先が限られていた地域や業種でも、新たな求人を見つけられるかもしれません。ただし、求人数は企業の採用計画や欠員状況などによって異なり、すべての企業で求人が増えるとは限りません。
これまで雇用義務の対象外だった企業も就職先の選択肢になる可能性がある
2026年7月からは、法定雇用率の対象となる企業が、常時雇用する労働者37.5人以上の企業まで広がります。
これまで対象外だった37.5人以上40人未満の企業にも障害のある方の雇用義務が生じるため、今後はこうした企業からも障害者雇用の求人が出る可能性があります。
これまで障害者雇用の求人を探す際に候補に入らなかった企業も、就職先の選択肢の一つになる可能性があります。
「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」から見る現状
- 民間企業で雇用されている障害のある方は704,610.0人で、22年連続で過去最高です。
- 精神障害のある方の増加率は11.8%で、最も大きくなっています。
- 法定雇用率を達成している企業は46.0%で、企業ごとに取り組み状況に差があります。
| 障害種別 | 雇用障害者数(雇用率算定上のカウント) | 対前年比 |
|---|---|---|
| 全体(民間企業) | 704,610.0人 | 4.0%増 |
| 身体障害 | 373,914.5人 | 1.3%増 |
| 知的障害 | 162,153.5人 | 2.8%増 |
| 精神障害 | 168,542.0人 | 11.8%増 |
※短時間労働者や重度障害のある方については、0.5人・2人などのカウントルールが適用されるため、実際の雇用者数とは一致しない場合があります。
制度の変更を理解するうえで、障害者雇用の現状を知っておくことも大切です。ここでは、厚生労働省が公表している最新の集計結果から、現状を見ていきます。
厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業で雇用されている障害のある方は704,610.0人で、前年より27,148.5人増加しました(前年比4.0%増)。雇用されている障害のある方の数は、22年連続で過去最高を更新しています。
障害種別に見ると、身体障害のある方は373,914.5人(1.3%増)、知的障害のある方は162,153.5人(2.8%増)、精神障害のある方は168,542.0人(11.8%増)でした。特に精神障害のある方の増加率が大きくなっています。
一方、法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%にとどまり、前年と同じ水準でした。未達成企業のうち57.3%は、障害のある方を1人も雇用していないことも分かっています。
このように、障害のある方の雇用は着実に増えている一方で、企業によって取り組み状況には差があります。
法定雇用率の引き上げによって、今後さらに障害者雇用に取り組む企業が増える可能性があります。
参考:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」
法定雇用率はどのように計算する?
- 雇用義務人数は、対象となる労働者数などをもとに算定します。
- 短時間労働者や重度障害者などは、労働時間や障害の程度によってカウント方法が異なります。
- 細かな算定方法は、ハローワークや厚生労働省の資料で確認しましょう。
法定雇用率は、企業に求められる障害のある方の雇用割合を定めたものです。
ここでは、法定雇用率に基づく雇用義務人数の基本的な計算方法と、労働時間や障害の程度によるカウント方法について解説します。
法定雇用率の基本的な計算式
法定雇用率に基づく雇用義務人数は、対象となる労働者数などをもとに算定します。
例えば、対象となる労働者が1,000人いる企業で、法定雇用率が2.7%の場合、単純計算では「1,000人×2.7%=27人」となります。
ただし、実際の算定では、短時間労働者や障害の種類・程度などによってカウント方法が異なります。
短時間労働者や重度障害者は算定方法が異なる
法定雇用率の算定では、すべての労働者が同じようにカウントされるわけではありません。労働時間や障害の程度によって、次のようにカウント方法が異なります。
| 週の勤務時間 | 対象となる方 | カウント |
|---|---|---|
| 30時間以上 | 重度身体障害者・重度知的障害者 | 2人分 |
| 30時間以上 | 上記以外 | 1人分 |
| 20時間以上30時間未満 | 原則(身体障害者・知的障害者) | 0.5人分 |
| 20時間以上30時間未満 | 重度身体障害者・重度知的障害者 | 1人分 |
| 20時間以上30時間未満 | 精神障害者 | 1人分※1 |
| 10時間以上20時間未満 | 重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者 | 0.5人分※2 |
※1 精神障害者の1人分カウントは当分の間の特例です。
※2 10時間以上20時間未満のカウントは、令和6年4月からの特例です。
雇用形態や障害の程度によってカウント方法が細かく分かれているため、ハローワークや厚生労働省の資料を確認することをおすすめします。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「障害者雇用率制度」
参考:厚生労働省「令和4年障害者雇用促進法の改正等について」
法定雇用率が未達成の場合、ペナルティはある?
- 法定雇用率を達成していないこと自体を理由に、刑事罰や罰金が科されるわけではありません。
- 常用雇用労働者数が100人を超える企業は、障害者雇用納付金の納付が求められます。
- 一定の要件に該当する場合は、行政指導や企業名の公表につながることがあります。
法定雇用率を達成できなかった企業には、どのような対応が求められるのでしょうか。ここでは、未達成企業に関する主な仕組みを紹介します。
障害者雇用納付金の徴収
常用雇用労働者数が100人を超える企業で、法定雇用率を満たしていない場合、企業は障害者雇用納付金を納める必要があります。
不足している障害のある方1人につき、月額5万円が納付金として徴収されます。なお、障害者雇用納付金は、障害のある方の雇用に伴う企業間の経済的な負担を調整するための制度であり、罰金とは異なります。
一方、法定雇用率を上回って障害のある方を雇用している企業には、超過している人数に応じて障害者雇用調整金や報奨金が支給される仕組みがあります。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「障害者雇用納付金制度の概要」
行政指導
障害者雇用納付金を納めていれば、それだけでよいわけではありません。
法定雇用率を大きく下回る状態が続くなど、一定の要件に該当する企業に対しては、ハローワークから雇入れ計画の作成を命じられることがあります。
計画どおりに改善が進まない場合には、さらに勧告などの行政指導が行われることもあります。
このように、法定雇用率の未達成に対しては、納付金だけでなく、行政による指導や改善を促す仕組みも設けられています。
企業名の公表
行政指導を受けても改善が見られない企業については、最終的に企業名が公表される場合があります。
企業名の公表は、社会的な信用にも関わるため、企業にとって大きな影響があります。
参考:厚生労働省「障害者雇用率達成指導の流れ」
法定雇用率の達成に役立つ関連制度

- 除外率制度は、業種によって算定対象となる労働者数を減らせる制度です。
- 特例子会社制度では、親会社と子会社の雇用人数を合算して算定できます。
- 企業グループ算定特例などは、要件を満たして認定を受けた場合に利用できます。
法定雇用率の達成に向けて、企業が活用できる関連制度もいくつか用意されています。
ここでは、主な制度について紹介します。
除外率制度
除外率制度とは、業務の性質上、障害のある方の就業が難しいとされる一部の業種について、法定雇用率を算定するときの対象となる労働者数を一定割合減らせる制度です。
対象となる業種では、除外率に応じて算定対象となる労働者数が少なくなるため、法定雇用率の計算にも影響します。
ただし、除外率は業種によって異なり、2025年4月からは一律10ポイント引き下げられています。除外率が適用される企業では、自社の業種にどの程度の除外率が設定されているかを確認しておくことが大切です。
参考:厚生労働省「除外率制度について」
特例子会社制度
特例子会社制度とは、障害のある方の雇用に特別な配慮をした子会社を設立し、一定の条件を満たした場合に、親会社と子会社の雇用人数を合算して法定雇用率を算定できる制度です。
障害のある方の雇用に必要な設備や支援体制を整えた子会社を設けることで、企業グループとして障害者雇用を進めやすくなる点が特徴です。
参考:厚生労働省「「特例子会社」制度の概要」
企業グループ算定特例・事業協同組合等算定特例
企業グループ算定特例とは、グループ会社全体で、雇用している障害のある方の人数を合算して雇用率を算定できる制度です。ただし、グループ会社であればどこでも利用できるわけではなく、要件を満たしたうえで厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。
単独の企業では障害者雇用の体制を整えにくい場合でも、グループ全体で協力して取り組める点が特徴です。
事業協同組合等算定特例も、複数の企業が連携して雇用率を算定できる仕組みです。中小企業が集まる事業協同組合などが対象となり、参加する企業全体で障害者雇用に取り組めるようになっています。ただし、事業協同組合などに参加しているだけで利用できるわけではなく、一定の要件を満たしたうえで、厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。
どちらも、企業が単独では対応しにくい場合に複数の企業が協力して障害者雇用を進めるための制度です。
参考:厚生労働省「「企業グループ算定特例」(関係子会社特例)の概要」
参考:厚生労働省「「事業協同組合等算定特例」(特定事業主特例)の概要」
法定雇用率を達成するための具体的な取り組み

- ハローワークは、求人の申し込みから職場定着までを相談できる窓口です。
- トライアル雇用では、一定期間の試行雇用を通して適性や職場との相性を確認できます。
- 就労移行支援事業所との連携や、もにす認定制度も選択肢の一つです。
企業が法定雇用率を達成するためには、どのような取り組みができるのでしょうか。
ここでは、企業が活用できる代表的な制度や支援を4つ紹介します。
ハローワークの活用
ハローワークでは、障害のある方を対象とした求人の申し込みや、障害者雇用に関する企業からの相談を受け付けています。
企業向けの相談窓口では、求人の出し方や採用に関する相談のほか、採用後の職場定着に向けた支援についても相談できます。
障害者雇用を始めたい企業にとって、ハローワークは求人の申し込みから採用後の職場定着まで相談できる身近な窓口の一つです。
参考:ハローワークインターネットサービス「障害者の方の雇用に向けて」
障害者トライアル雇用制度の活用
障害者トライアル雇用制度とは、企業が障害のある方を一定期間試行的に雇用し、仕事への適性や職場との相性などを確認したうえで、継続雇用につなげる制度です。
企業にとっては、一定期間の就労を通して、本人の特性や仕事の進め方を確認できるため、採用後のミスマッチを防ぎながら、継続雇用を検討できる点が特徴です。
また、トライアル雇用を通して、必要な業務上の配慮や職場環境について考えるきっかけにもなります。
参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」
就労移行支援事業所との連携
企業の中には、就労移行支援事業所と連携しながら、障害のある方の採用や職場定着を進めているところもあります。
就労移行支援事業所では、利用者の就職に向けた準備だけでなく、就職後の職場定着に向けた支援も行っています。そのため、障害者雇用の経験が少ない企業でも、採用前から採用後まで相談しながら進めやすくなります。
障害者雇用の進め方や、障害のある方が働きやすい環境づくりについて悩んでいる企業にとって、就労移行支援事業所との連携も選択肢の一つです。
就労移行支援manaby(マナビー)について
就労移行支援manaby(マナビー)では、利用者の就職準備だけでなく、障害のある方の採用を検討する企業へのサポートも行っています。
障害者雇用の求人募集や、採用後の職場で必要となる配慮、定着支援などについて、企業担当者からの相談を受け付けています。
もにす認定制度の活用
もにす認定制度とは、障害者雇用に関して優れた取り組みを行っている中小企業を、厚生労働大臣が認定する制度です。
認定を受けた企業は、認定マークを名刺や広告などに使用できるほか、厚生労働省や都道府県労働局による周知・広報の対象となります。また、日本政策金融公庫による低利融資の対象となる場合もあります。
障害者雇用への取り組みを社外に発信したい企業にとっても、活用を検討できる制度です。
参考:厚生労働省「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」
アンケートから見る、障害のある方が障害者雇用に求めていること
ここでは、法定雇用率の仕組みや企業側の取り組みについて見てきました。では、実際に障害のある方は、企業にどのようなことを求めているのでしょうか。
- 体調に合わせた働き方 30.5%(46票)
- 障害や特性への理解 28.5%(43票)
- 相談しやすい環境 18.5%(28票)
- 在宅勤務や時短勤務などの柔軟さ 10.6%(16票)
- 長く働けるサポート 7.9%(12票)
- 給料や待遇の改善 2.6%(4票)
- 分からない 1.3%(2票)
※小数点第2位以下は四捨五入
manaby(マナビー)が実施した、障害のある151名を対象としたアンケートでは、「体調に合わせた働き方」が30.5%(46票)で最も多く、次いで「障害や特性への理解」が28.5%(43票)となりました。
一方、「給料や待遇の改善」は2.6%(4票)にとどまりました。
今回のアンケートでは、給与や待遇よりも、無理なく働ける環境や障害・特性への理解を求める回答が多く見られました。
障害者雇用枠で働くとはどういうこと?
- 障害者雇用枠とは、障害があることを企業に伝えたうえで採用される働き方です。
- 応募条件は求人ごとに定められているため、応募前に確認することが大切です。
- 一般枠とは、求人の幅や障害の開示の考え方が異なります。
障害者雇用枠とは、障害のある方を対象とした求人に応募し、障害があることを企業に伝えたうえで採用される働き方です。求人ごとに応募条件が定められているため、応募前に確認することが大切です。
ここでは、障害者雇用枠の特徴や、一般枠との違いを整理していきます。
障害者雇用枠と一般枠の違い
| 障害者雇用枠 | 一般枠 | |
|---|---|---|
| 応募条件 | 原則、障害者手帳を所持している方が対象(応募条件は求人ごとに異なるため、求人票で確認が必要) | 障害の有無にかかわらず応募できる |
| 求人の幅 | 一般枠と比べて限られる | 幅広い求人から探せる |
| 障害の開示 | 障害があることを企業に伝えて応募する | 開示するかどうかは本人が判断する |
障害者雇用枠は、障害のある方を対象とした求人に応募するため、一般枠よりも求人の選択肢は限られます。一方で、一般枠は障害の有無を問わず応募できるため、幅広い求人から仕事を探せます。
また、障害者雇用枠では、応募時点で企業に障害があることを伝えることになります。一般枠では、障害を開示して応募する「オープン」と、開示せずに応募する「クローズ」のどちらも選択できます。
どちらの枠で働くかは、求人の数だけでなく、障害を企業に伝えるか、必要な配慮について相談したいかなども踏まえて考えることが大切です。
障害者雇用枠で働くメリット・注意点
- メリットは、合理的配慮について企業に相談しやすいことです。
- 一方で、職種や勤務地などの選択肢が限られる場合があります。
- 配慮の内容は企業や職場によって異なるため、応募前の確認が欠かせません。
障害者雇用枠で働くことには、障害の特性や体調に合わせた配慮を相談しやすい一方で、求人の選択肢や待遇などで確認しておきたい点もあります。
ここでは、障害者雇用枠で働くメリットと注意点を紹介します。
| 障害者雇用枠 | 一般枠 | |
|---|---|---|
| 応募できる人 | 原則、障害者手帳を所持している方(応募条件は求人ごとに異なる) | 障害の有無を問わず応募できる |
| 障害の伝え方 | 障害があることを企業に伝えて応募する | 伝えるかどうかは本人が判断 |
| 配慮の相談 | 障害の特性を踏まえて相談しやすい | 必要に応じて企業に相談する |
障害者雇用枠と一般枠にはそれぞれ特徴があります。どちらを選ぶかは、自分の障害や特性、必要な配慮、希望する仕事内容や勤務条件などを踏まえて考えることが大切です。
障害者雇用枠で働くメリット
障害者雇用枠で働くメリットは、障害の特性や体調に応じた合理的配慮について、企業に相談しやすいことです。
合理的配慮とは、障害のある方が働くうえでの支障を改善するために、企業が個々の状況に応じて行う調整や変更のことです。例えば、通院のための休暇取得や勤務時間の調整、業務内容の変更など、仕事を続けるために必要な配慮を企業に相談できる場合があります。具体的な内容は、本人の状況や業務内容、職場の事情などを踏まえて個別に調整されるため、一律ではありません。
また、企業に障害があることを伝えたうえで働くため、必要な配慮について周囲に理解してもらいやすいこともあります。相談しやすい体制が整っていれば、働き続けやすい環境づくりにもつながります。
障害者雇用枠で働く際の注意点
一方で、障害者雇用枠の求人は、一般枠と比べて職種や勤務地などの選択肢が限られる場合があります。
また、企業によって仕事内容や勤務条件、受けられる配慮の内容は異なります。そのため、応募前に求人票を確認し、職場見学や面談などで具体的な仕事内容や配慮の内容を確認しておくことが大切です。
障害者雇用枠に就職するために利用できる支援機関

- 代表的な支援機関は、ハローワーク、障害者専門の転職エージェント、就労移行支援の3つです。
- サポート内容や特徴は、機関ごとに異なります。
- 自分の状況や必要なサポートに合った機関を選びましょう。
障害者雇用枠での就職活動では、求人を探したり応募の準備をしたりする際に、支援機関を活用できます。
支援機関によってサポート内容や特徴が異なるため、自分の状況や必要なサポートに合った機関を選ぶことが大切です。ここでは、代表的な支援機関を3つ紹介します。
ハローワーク(障害者専門窓口)
ハローワークには、障害のある方の就職を専門にサポートする窓口があります。専門の相談員に、求人紹介だけでなく、応募書類の作成や面接対策などについて相談できます。
地域の求人情報を幅広く確認できるため、障害者雇用枠の求人を探したい方にとって身近な相談先の一つです。
参考:厚生労働省「ハローワーク障害者専門窓口のご案内」
障害者専門の転職エージェント
障害者専門の転職エージェントは、障害のある方の就職・転職に特化した民間サービスです。
希望する仕事内容や勤務条件などを確認し、条件に合った求人を紹介してくれます。応募書類の作成や面接対策、企業とのやり取りまで、転職活動を一貫してサポートしてくれるのが特徴です。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象とした福祉サービスです。
就職に必要なスキルの習得や職業訓練を行い、求人探し、応募書類の作成、面接対策など、就職に向けた準備をサポートします。
就職後も職場への定着を目指した支援を受けられるため、就職に向けた準備から就職後まで継続してサポートを受けたい方におすすめです。
参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
実際に障害者雇用枠で働いている方の体験談
制度や支援機関について知るだけでは、実際の働き方や職場での悩みをイメージしにくいかもしれません。
ここでは、実際に障害者雇用枠で働いた経験のある方の体験談を紹介します。
Bさんの体験談
Bさんは中学生の頃に交通事故で高次脳機能障害を負い、卒業後に一般企業へ障害者雇用枠で就職しました。しかし、Bさんによると、職場には障害のある方やジョブコーチがおらず、孤立した状態が続いたといいます。やがて体調を崩し、約1年で退職することになりました。
その後は、高次脳機能障害に特化した作業所に約3年間通いながら、自分の障害や得意・不得意について理解を深めました。のちに清掃業に就き、8年間働き続けるなかでリーダーも任されるようになりました。
しかし、コロナ禍で2か月間の自宅待機を経験したことをきっかけに、自分の得意なことや今後の働き方について改めて考えるようになり、就労移行支援の利用を決意しました。
就労移行支援manaby(マナビー)では事務スキルの向上に取り組みながら就職活動を進め、希望に合った職場で働くことにつながりました。
新しい職場では身体障害や精神障害のある方も一緒に働いており、Bさんは自分にできることを率先して行うようになったと振り返っています。
Bさんの経験からは、障害者雇用枠であっても、職場の環境や周囲のサポートによって働きやすさが大きく変わる場合があることがうかがえます。
法定雇用率・障害者雇用に関するよくある質問
ここでは、法定雇用率や障害者雇用について、よく寄せられる質問に回答します。
法定雇用率が未達成だと必ず罰則がありますか?
法定雇用率を達成していないこと自体を理由に、刑事罰や罰金が科されるわけではありません。ただし、未達成の場合には、次のような制度上の対応が行われることがあります。
常用雇用労働者数が100人を超える企業では、まず障害者雇用納付金の納付が求められます。納付金は、企業間の経済的な負担を調整するための制度で、罰金とは異なります。
さらに、法定雇用率を大きく下回るなど一定の要件に該当する場合には、ハローワークから行政指導を受けることがあります。それでも改善が見られない場合には、最終的に企業名が公表されることがあります。
法定雇用率は今後また変わる予定がありますか?
現時点で、次の引き上げ時期は決まっていません。
ただし、法定雇用率は障害のある方の雇用状況などを踏まえて見直されるため、今後も変更される可能性はあります。
障害者雇用の求人が増えやすいのはいつ頃ですか?
障害者雇用の求人は、企業の採用計画や欠員状況などによって変動するため、「この時期に必ず増える」とは言い切れません。
ただし、法定雇用率の引き上げに伴って企業が採用計画を見直す時期には、障害者雇用の採用活動が活発になることがあります。
求人を探す際は時期を限定せず、ハローワークや転職エージェントなどを活用して、継続的に求人情報を確認することが大切です。
法定雇用率の引き上げに向けて、自分に合った形で準備を進めよう
2026年7月の法定雇用率の引き上げによって、企業にはこれまで以上に障害のある方の雇用が求められるようになりました。障害のある方にとっても、求人や就職先の選択肢が広がる可能性があります。
一方で、法定雇用率が引き上げられたからといって、すべての企業で求人が増えるとは限りません。
制度の変化だけに期待するのではなく、自分の得意・不得意や希望する仕事内容、必要な配慮などを整理しておくことが大切です。