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マルチタスクが苦手なのはなぜ?仕事のパニックを防ぐ明日からできる4つの対策

目次
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電話が鳴る中で来客対応をし、さらに別の業務の依頼が届く。そんな状況で頭が真っ白になった経験はないでしょうか。

職場では、複数の業務を同時に進める「マルチタスク」が求められる場面も少なくありません。タスクが重なると優先順位が分からなくなり、ミスや抜け漏れが増えてしまうこともあります。

この記事では、マルチタスクが苦手な方の特徴や考えられる原因を整理しながら、明日から実践できる具体的な対策を紹介します。

この記事のまとめ
  • マルチタスクが苦手なのは珍しいことではない
    脳の情報処理の仕組みやストレス・疲労などが影響し、誰にでも起こり得る特性の一つ
  • 原因は優先順位づけ・切り替え・記憶の負荷など
    ワーキングメモリや完璧主義、スケジュール管理の難しさが重なるとパニックやミスにつながる
  • 対策は「負担を減らす工夫」がポイント
    シングルタスク化・タスクの可視化・余裕ある計画・その場でのメモで仕事が進めやすくなる
  • 環境や働き方を変えることも有効
    ルーティン業務・優先順位が明確・中断が少ない職場は負担を軽減しやすい
  • 一人で抱え込まず相談することも大切
    業務量や進め方は周囲と調整できるため、早めに共有することでミスや負担を防げる

仕事のマルチタスクとは

この章のポイント
  • マルチタスクとは、複数の業務を同時進行・切り替えながら進める働き方
  • 得意・不得意には個人差があり、誰にでも負担になる可能性がある
  • 無理にこなそうとせず、自分に合った進め方や工夫が重要

仕事におけるマルチタスクとは、複数の業務を同時に進めたり、短い時間で次々と別の作業へ切り替えたりする働き方を指します。

マルチタスクは多くの職場で求められる働き方の一つですが、得意・不得意には個人差があります。作業の切り替えが多い環境では負担を感じやすい方もいるため、自分に合った仕事の進め方やタスク管理の方法を工夫することが重要です。

監修者からのメッセージ

狩野淳(臨床心理士・公認心理師)

「マルチタスクの苦手さ」は、多くの方に見られるごく自然な特性の一つです。特別な問題ではなく、脳の情報処理の仕組みや状況によって誰にでも起こり得ます。

適切な工夫や環境調整によって負担を軽減することができるため、「できない自分」を責めるのではなく、対応方法を知り、上手に対処していきましょう。

マルチタスクが苦手な方の特徴

マルチタスクが苦手な人の特徴。優先順位、スケジュール管理、完璧主義、ワーキングメモリの影響を解説
この章のポイント
  • 複数の業務が重なると、優先順位をつけるのが難しくなりやすい
  • 作業時間の見積もりやスケジュール管理が苦手な傾向がある
  • 完璧主義やこだわりにより、作業の切り替えが遅れやすい
  • ワーキングメモリの影響で、同時に複数の情報を扱う負担が大きくなる

マルチタスクが苦手と感じる背景には、仕事への姿勢や考え方、脳の働き方など様々な要因が関係しています。

ここでは、マルチタスクが苦手な方に見られやすい主な特徴を4つ紹介します。

優先順位を決めるのが苦手

マルチタスクが苦手な方は複数の仕事が同時に発生したとき、どの業務から手をつけるべきか判断するのが難しい傾向があります。

例えば、パソコンで資料を作成している最中に電話が鳴り、上司から急ぎのコピーを頼まれたとします。

優先順位をつけるのが得意な方なら、「まず電話を取り、用件をメモしてから上司のコピー依頼を先に済ませ、資料作成に戻ろう」と素早く優先順位をつけることができますが、マルチタスクが苦手な方には3つの仕事が全て同じくらい重要に見えてしまいます。

「電話に出ないと失礼かも」「コピーを後回しにしたら怒られる?」「でも資料の締め切りも迫っているし…」 と複数の不安が重なり、結果として思考や行動が止まってしまうのです。

スケジュール管理がうまくいかない

ひとつの仕事を終わらせるために必要な時間を正しく見積もれない傾向もマルチタスクを難しくする原因の一つです。

「資料作成に1時間、メールの返信に30分」と予定を立てても、途中で来客対応などの想定外の仕事が入るケースは決して珍しくありません。

スケジュール管理がうまくいかない方は、予定外の割り込み時間を想定せず、ギリギリのスケジュールを組んでしまう傾向が見られます。

ゆとりのない計画は、想定外の出来事がひとつ入るだけで予定通りに進まなくなり、焦りやミスにつながります。

完璧主義・こだわりで切り替えが難しい

「ひとつの仕事をしっかり仕上げてから次に進みたい」という真面目な姿勢がかえって負担になることもあります。

完璧主義の方は「作業を中途半端なまま中断すること」への抵抗感が強いため、別の業務への切り替えが遅れがちです。結果としてどちらにも集中できず、対応待ちの仕事だけが積み上がってしまいます。

ワーキングメモリの容量が少ない傾向

人間の脳には、見たり聞いたりした情報を一時的に保ちながら処理を進める「ワーキングメモリ」という機能が備わっています。容量には個人差があり、少ない人ほど複数の情報を同時に扱うことへの負荷が大きくなります。

書類の入力作業をしている最中に電話が入り、用件を聞きながら担当者の名前を思い出そうとする場面をイメージすると分かりやすいです。

ワーキングメモリに余裕がある場合は問題なく対応できますが、容量が不足している場合は、新しい情報が入るたびに直前の内容を忘れやすくなります。

電話を切って作業に戻ったときに「どこまでやっていたか分からない」と感じるのは、この影響によるものです。意識や努力の問題ではなく、脳が一度に処理できる情報量を超えたことで起こります。

マルチタスクになると出やすい仕事での困りごと

仕事のマルチタスクで起こる困りごと(頭が真っ白になる、ミス・期限遅れの増加、焦りと疲労)
この章のポイント
  • タスクが重なると情報整理が追いつかず、頭が真っ白になりやすい
  • 作業の中断と再開が増え、抜け漏れ・ミス・期限遅れが起こりやすくなる
  • 焦りや不安が続くことで疲労が蓄積し、集中力の低下につながる
  • 疲れとミスが重なることで、さらにパフォーマンスが落ちる悪循環に陥りやすい

タスクが重なる場面では、業務の進め方だけでなく、心身の状態にも大きな影響を及ぼします。ここでは、マルチタスクによって陥りやすい代表的な3つの困りごとを紹介します。

タスクが重なると頭が真っ白になる

人間の脳が一度に処理できる情報量には限界があります。そのため、許容量を超えた複数の業務が一気に押し寄せると、情報をうまく整理できなくなってしまいます。

結果として、思考が止まって頭が真っ白になり、何から手をつけるべきか判断が難しくなってしまうのです。

抜け漏れ・ミス・期限遅れが増える

マルチタスクでは、業務内容が次々と切り替わります。

業務の中断と再開の繰り返しが積み重なると、そのたびに脳が「どこまで進めたか」を確認する作業にエネルギーが削られるため、メールの送り先の間違いや提出期限をうっかり忘れるなど、普段なら起きないようなミスが増えていきます。

焦りが続き、疲れが取れない

マルチタスクが続くと、焦りが抜けず疲れが取れにくくなります。

未完了のタスクや「あの対応で良かったのか」という不安があると、帰宅後も仕事のことが気になり、寝る直前まで一人で反省を繰り返す状態に陥りがちです。

そうして身体が十分に休めないまま翌朝を迎えると、回復が追いつかずに集中力が落ち、また新たなミスを引き起こすという悪循環につながってしまいます。

「私って病気?」マルチタスクができない原因と発達障害の関係性

この章のポイント
  • マルチタスクが苦手でも、それだけで発達障害とは限らない
  • 一方で、ADHDやASDの特性が影響し、苦手さにつながるケースもある
  • ストレスや疲労など一時的な要因で難しくなることもある
  • 困りごとが続く場合は医療機関への相談も選択肢の一つ

「タスクが重なるたびにパニックになってしまう」「同僚は普通にこなしているのに、自分だけできない」

こんな状況が続くと、「もしかして私って病気かも…」と不安になりますよね。ここでは、マルチタスクの苦手さと発達障害の関係性について整理します。

マルチタスクが苦手なこと=発達障害ではない

まず知っておいてほしいのは、マルチタスクが苦手だからといって必ずしも発達障害ではないということです。

苦手さの背景には、心身の不調や環境の変化、新しい業務への慣れの途中といった要因が関係している場合もあります。状況によっては、一時的にパフォーマンスが落ちることも珍しくありません。

発達障害がマルチタスクの苦手さに影響するケース

一方で、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害の特性が、マルチタスクの苦手さに関わっている場合もあります。

ADHD(注意欠如・多動症)の場合

「意識の切り替え」や「優先順位をつけること」が苦手な傾向にあります。そのため、複数のタスクが重なるとパニックや混乱が起きやすくなります。

ASD(自閉スペクトラム症)の場合

「決まった手順」へのこだわりが強い傾向にあるため、予定外の割り込み作業が発生すると、強いストレスを感じてしまいます。

ただし、発達障害の特性はあくまで「マルチタスクを難しくする要因のひとつ」です。発達障害がなくてもマルチタスクを苦手に感じる方はいますし、特性があっても工夫によって対応しているケースも少なくありません。

監修者からのメッセージ

狩野淳(臨床心理士・公認心理師)

マルチタスクの苦手さを考えるときは、「できる・できない」だけで判断するのではなく、「どんな状況だとうまくいかなくなるのか」に目を向けることが大切です。

例えば、仕事が重なったときや急な変更があったときだけ難しさを感じる場合は、注意の使い方や切り替えの特性が関係している可能性があります。

ただし、同じような状態はストレスや疲れによっても起こるため、ひとつの原因だけで決めつけずに考えることが重要です。

「もしかして発達障害」と思ったときの考え方

マルチタスクへの苦手意識に加えて以下のような状態が続く場合は、発達障害を対象とした精神科や心療内科への相談も選択肢の一つです。

受診の目安
  • 複数の指示を聞いても、すぐに一部を忘れてしまう
  • 一つの作業に過度に集中しすぎて、周囲の状況に気づけない
  • 予定外の出来事に対して、他の人より強いパニックや混乱が生じる

精神科や心療内科では、発達障害の診断だけでなく日々の困りごとの相談や自分に合った対処法のアドバイスも受けられます。自分を理解するための第一歩として一度相談してみるのもおすすめです。

ストレスや疲労も原因に?一時的にマルチタスクが困難になるケース

この章のポイント
  • マルチタスクの苦手さは、生まれつきの特性だけが原因とは限らない
  • 新しい環境や人間関係のストレスで、一時的に対応が難しくなることがある
  • 睡眠不足や疲労により、判断力や記憶力が低下しやすくなる
  • 一時的な不調によるケースも多く、回復によって改善する可能性がある

マルチタスクへの苦手意識は、生まれつきの特性だけが原因とは限りません。

職場環境の変化によるストレスや、睡眠不足・疲労の蓄積によって一時的にマルチタスクが難しくなるケースも見られます。

新しい業務や人間関係によるストレス

慣れない業務環境では、仕事の内容を覚えるだけでも脳に大きな負担がかかります。そこに人間関係への気遣いや「早く仕事を覚えなければ」というプレッシャーが加わると、考える余裕がさらに少なくなります。余裕のない状態でタスクが重なると、普段なら対処できる場面でもパニックになりやすいです。

睡眠不足や極度の疲労による脳の機能低下

十分に休めていない状態では、脳の情報処理能力が全体的に低下します。判断のスピードが落ちるだけでなく、物事を記憶する力や優先順位をつける力も普段よりうまく働かなくなるため、マルチタスクへの対応が難しくなります。

疲労が慢性化すると、「自分はもともとマルチタスクが苦手なのかもしれない」と感じてしまうかもしれません。しかし実際には、脳が十分に回復できていない状態で負担が重なっているだけというケースも多いのです。

今すぐできる!マルチタスクへの対策4選

ルチタスクの対策4選。シングルタスク化、可視化、スケジュール設計、メモの習慣化
この章のポイント
  • 一度にひとつの作業に集中する「シングルタスク化」で負担を減らす
  • タスクを書き出して可視化し、優先順位を整理する
  • 見積もりの1.2〜1.5倍の時間を確保し、余裕のあるスケジュールを組む
  • 依頼はその場でメモし、「誰・何・いつまで」を記録する

マルチタスクへの苦手意識はちょっとした工夫でぐっと楽になります。

ここでは、明日から試せる対策を4つ紹介します。

マルチタスクをシングルタスク化する

複数の仕事を同時に進めようとすると、それだけで負担は大きくなりがちです。まずは「一度にひとつだけやる」と決めてしまうだけでも、作業が進めやすくなります。

具体的には、まず「取引先へのメール」「資料の1〜2ページ目作成」など、15〜30分で完了できる単位にタスクを細分化します。

その中から優先順位を考えて取り組んでみましょう。「今やること」がはっきりするだけで、手が止まりにくくなります。

タスクを可視化する

頭の中で複数のタスクを抱えたままだと、「あれもやらなければ」「これも忘れてはいけない」と意識が分散し、目の前の作業に集中しづらくなります。そのため、一度すべて書き出して、目に見える形にしておくことが大切です。

やり方はシンプルで、朝の業務開始前や、タスクが重なってきたと感じたタイミングで、思いつく仕事をそのまま書き出します。

「取引先へのメール返信」「会議室の予約確認」「備品の在庫確認」など、小さなものも含めて書き出すのがポイントです。

書き出したあとは、優先順位をつけて上から順に進めていきます。どこから手をつけるか迷う時間が減るだけで作業がしやすくなります。

余裕を持ったスケジュールを設計する

予定をぴったり詰めてしまうと少し予定がズレただけで全体が崩れてしまいがちです。

だからこそ、あえて少し余白を残しておくことがポイントになります。

目安は「見積もりの1.2〜1.5倍」。例えば30分の作業なら、45分くらい確保しておくイメージです。

この余白があるだけで、急な対応が入っても慌てにくくなります。また、1日の中に「何も入れない時間」を少し作っておくだけでも、気持ちの余裕につながります。

依頼されたらその場でメモを取る

「あとで書こう」と思っても、別の作業が入ると抜けてしまうことは意外と多いものです。

だからこそ、その場でメモを取る習慣が役立ちます。

ポイントは、「誰から・何を・いつまでに」の3つ。例えば「田中さん/会議室予約/今日15時まで」といった形で十分です。

完璧に書こうとする必要はありません。あとで見返して思い出せる程度に残せていれば、それだけでもしっかり役に立ちます。

監修者からのメッセージ

狩野淳(臨床心理士・公認心理師)

対策を考えるときは、「頑張って同時にこなそうとする」よりも、「負担を減らす工夫」を意識することがポイントです。

人は一度にたくさんのことを頭の中で処理し続けるのが得意ではありません。そのため、ここで紹介されているように、メモに書き出したり、作業を細かく分けたりすることで、頭の中をすっきりさせることができます。

こうした工夫を取り入れることで、無理なく仕事を進めやすくなりますよ。

自分での対策だけでは対応できない時は?

この章のポイント
  • 自分の工夫だけで難しい場合は、一人で抱え込まないことが大切
  • 困りごとは限界を迎える前に、上司や同僚へ早めに共有する
  • 相談や依頼は「どんな場面で・何に困っているか」を具体的に伝える
  • 業務量の調整や手伝いは、内容を明確にすることで協力を得やすくなる

自分なりに工夫してみても、「どうしても仕事が回らない…」とパンクしそうになることもありますよね。

業務量が多すぎたり、急な対応が続いたりすれば一人の努力だけでカバーするにはどうしても限界があります。

そうしたときは、無理に抱え込まず、周囲に状況を伝えることも選択肢の一つです。

限界を迎える前に、上司や同僚へ「今の困りごと」を相談

「相談すると評価が下がるのでは」と不安になり、ギリギリまで一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。ただ、限界を超えてからでは取れる対応が限られてしまうため、困りごとは早めに共有したほうが、結果的にスムーズに解決しやすくなります。

相談の例文

異動してから、複数の業務が同時に発生したときに優先順位の判断が追いつかず、対応が遅れてしまうことが増えています。
業務の進め方について、少しアドバイスをいただけますか?

電話対応中に別の依頼が重なると、どちらも中途半端になってしまうことがあります。
対応の順番について、何か基準を教えていただけると助かります。

相談する際は、「仕事ができない」といった漠然とした伝え方ではなく、「どんな場面で・何に困っているのか」を具体的に伝えるのがポイントです。

状況を整理して伝えることで、上司や同僚も対応を考えやすくなります。

業務量の調整や手伝いをお願いしやすい伝え方のコツ

手伝いや業務量の調整をお願いする際は、「助けてほしい」といった曖昧な表現ではなく、「何をお願いしたいのか」を具体的に伝えることが大切です。

相手にとっても何をすればよいかが分かりやすくなり、結果として、協力してもらいやすくなります。

依頼の例文
業務量の調整

現在、電話対応・来客・各部署からの依頼が同じ時間帯に重なることが多く、対応漏れが出てしまっています。業務の優先順位や担当の割り振りについて、相談させていただけますか?

手伝いのお願い

今日の午後、備品発注の対応と会議資料の準備が重なってしまっています。備品発注の入力作業だけ、少し手伝っていただくことは可能でしょうか?

締め切りの調整

現在対応中の業務が重なっており、ご依頼いただいた資料を本日中に仕上げることが難しい状況です。明日の午前中までお時間をいただくことは可能でしょうか?

一人で抱え込もうとするほど、ミスや遅延のリスクは高まります。だからこそ、状況が厳しくなる前に周囲に共有しておくことが大切です。

マルチタスクが苦手でも働きやすい仕事・職場の特徴

マルチタスクが苦手でも働きやすい仕事・職場の特徴(ルーティン作業、明確な優先順位、中断の少なさ)
この章のポイント
  • 仕事の種類や職場環境によって、マルチタスクの負担は大きく変わる
  • ルーティン作業が多い仕事は、判断の負担が少なく働きやすい
  • 締切や優先順位が明確な環境は、迷いが減り業務を進めやすい
  • 急な対応が少なく中断されにくい職場は、集中力を保ちやすい

マルチタスクへの苦手意識は、仕事の種類や職場環境によって大きく軽減できます。

ここでは、マルチタスクが苦手な方に向いている職場・仕事の特徴を3つ紹介します。

ルーティン作業が多い

毎日の業務内容や手順がある程度決まっている仕事は、「次に何をすべきか」を都度判断する必要が少なく、マルチタスクが苦手な方でも安定して働きやすい環境です。

作業の流れに慣れてくると、判断に使うエネルギーが減り、自然とミスも起きにくくなります。

向いている仕事の例
データ入力・事務処理

決められた書式に沿って情報を入力する作業が中心で、手順が明確

経理・会計補助

伝票の整理や帳簿の入力など、毎月繰り返す処理が多い

製造・検品

同じ工程を繰り返すライン作業や、製品の品質を確認する検品業務

図書館司書・資料整理

資料の分類・整理・貸し出し管理など、決まった手順で進める業務

締切と優先順位が明確

「何をいつまでに終わらせるべきか」があらかじめ決まっている仕事は、自分で優先順位を判断する場面が少ないため、マルチタスクが苦手な方でも仕事の見通しを立てやすくなります。突発的な判断を求められる頻度が低いほど、落ち着いて業務に集中できる環境と言えます。

向いている仕事の例
経理・財務
月末の締め処理や確定申告など、締切とやることが明確に決まっている
編集・校正
納品期日と作業範囲が契約で決まっており、優先順位が明確
研究・調査補助
指定されたテーマや範囲の中でデータ収集・整理を進める業務

急な対応が少なく、作業が中断されにくい

電話や来客、急な割り込み依頼が少ない職場環境では、一つの作業を最初から最後まで集中して取り組みやすくなります。作業の中断が少ないほど「どこまでやったか分からなくなる」「やり直しが発生する」といった問題も起きにくく、仕事の精度が安定します。

向いている仕事の例
在宅ワーク中心
周囲からの割り込みが少なく、自分のペースで集中できる環境
ライター・デザイナー
納品物単位で仕事が区切られており、作業中に中断が入りにくい
倉庫内作業・ピッキング
指示書に沿って商品を揃える作業が中心で、急な対応が発生しにくい
バックオフィス系事務
窓口対応がなく、内部処理に集中できるポジション

マルチタスクが苦手に関するよくある質問

マルチタスクが苦手な方が感じやすい疑問にお答えします。

マルチタスクが苦手なのは甘えですか?

「自分の努力が足りないのでは」と感じてしまう方もいますが、決して甘えではありません。

マルチタスクの得意・不得意は、意識の問題というよりも、脳の情報処理の仕組みや特性による影響が大きいとされています。

ただ、対策をしたり、自分に合った仕事や職場環境を選んだりすることで無理なく付き合っていくことは十分に可能です。

マルチタスクができないのは病気ですか?

マルチタスクが苦手だからといって、それだけで病気に当てはまるわけではありません。

ただし、マルチタスクへの困難さの背景に、発達障害の特性が関係しているケースもあります。

代表的なものとして、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)が挙げられます。

マルチタスクの苦手は「自分のせい」ではなく仕組みで乗り越えよう

マルチタスクが苦手なのは、性格や努力不足が原因ではありません。脳の処理能力には限界があり、複数の仕事が重なれば混乱が起きるのは自然なことです。ストレスや睡眠不足が重なると、その影響はさらに大きくなります。

とはいえ、少し工夫するだけで負担を軽くすることはできます。例えば次のような方法があります。

シングルタスク化
一度にひとつの作業に集中する
タスクの可視化
頭の中を書き出し、優先順位を整理する
余裕のあるスケジュール
見積もり時間の1.2〜1.5倍を確保する
その場でメモ
「誰から・何を・いつまでに」をすぐ記録する

すべてを完璧にやろうとしなくても大丈夫です。できそうなものから少しずつ取り入れていくだけでも、仕事の進めやすさは変わってきます。

また、自分ひとりの工夫だけでは難しいと感じたときは無理に抱え込まず、上司や同僚に相談することも大切です。無理に克服しようとするよりもやり方や仕組みを工夫することが、安定して働くためのポイントになります。

監修者からのメッセージ

狩野淳(臨床心理士・公認心理師)

マルチタスクへの苦手さに向き合う際には、「なぜできないのか」と原因を追い続けるだけでなく、「どうすれば無理なくできるか」という視点で工夫を重ねていくことが重要です。

実際には、一度でうまくいく方法が見つかるとは限らないため、試してみて、振り返り、調整するという流れを繰り返していくことが現実的な対応となります。

また、周囲と同じやり方が合わないことで、自分だけがうまくできていないように感じる場面もあるかもしれません。しかし、得意・不得意の現れ方には個人差があり、誰にとっても同じ方法が最適とは限りません。

自分に合った進め方や力を発揮しやすい環境を見つけていくことも、安定して働くための大切な視点なのではないでしょうか。
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狩野 淳

臨床心理士/公認心理師
2013年に心理学部を卒業後、大学院で発達・臨床心理学を学び、臨床心理士・公認心理師を取得。福祉事業所に勤務し、子どもと保護者を対象に心理支援を行っている。ABAやCBT、ブリーフセラピーを用いた実践的な支援を提供している。

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