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軽度知的障害のある方の仕事探し|向いている仕事・働き方・支援機関を解説

目次
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この記事は 2 分で読めます。

「軽度知的障害があるけれど、自分に向いている仕事が分からない」「仕事を探したいけれど、どのような支援を利用できるのか分からない」

このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、軽度知的障害のある方が仕事を探す際に知っておきたい、向いている仕事の特徴、働き方の違い、利用できる支援機関について、わかりやすく解説します。

加藤 美遥
監修 加藤 美遥 (社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士)
この記事は、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の資格を持ち、精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして、うつ病や発達障害、依存症などの支援に携わる専門家が監修しています。
この記事のまとめ
  • 軽度知的障害のある方の仕事探しには、「一般雇用・障害者雇用・福祉的就労」の3つの選択肢がある
    どれが優れているかではなく、体調や必要な配慮に合わせて、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。
  • 向いている仕事には、「手順が明確」「同じ作業の繰り返し」「相談しやすい職場」といった共通点がある
    厚生労働省の実態調査でも、サービス職・清掃・販売・生産工程など、様々な職種で働いている方がいます。
  • 仕事探しは一人で進めず、支援機関へ相談しながら進めることが大切
    2025年10月から始まった「就労選択支援」など、障害者手帳がない場合でも利用できる可能性がある支援があります。
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就労移行支援manabyの実績

利用者数 3,106 ※2024年2月時点
職場定着率 85.7% ※6ヶ月定着の実績
在宅就労率 20.4% ※就職者に対する割合
どんなことを相談できるの?
  • 「自分に合った仕事や働き方を見つけたい」
  • 「体調やメンタルに波があり、長く働けるか不安」
  • 「障害への理解がある職場に就職・転職したい」
  • 「まずは生活リズムを整えるところから始めたい」

知的障害とは?

この章のポイント
  • 知的障害は発達期にあらわれる知的機能の障害で、日常生活に何らかの支援を必要とする状態です。
  • 程度は知能水準だけでなく、日常生活の様子なども踏まえて総合的に判断されます。
  • 無理を重ねると、うつ病などの二次的な不調につながることもあります。

知的障害とは、発達期(おおむね18歳まで)にあらわれる知的機能の障害と、日常生活や社会生活を送るための力に制限がある状態を指します。

知的障害のあらわれ方や必要な支援は、人によって大きく異なります。知的機能の程度だけでなく、生活環境や得意・苦手なことによっても困りごとは変わってきます。

知的障害の定義と4つの程度

知的障害の程度は、知的機能の状態や日常生活での適応状況などを総合的に判断されます。一般的な目安として、次の4つの程度に分けられます。

程度IQ(知能指数)の目安
軽度51~70
中等度36~50
重度21~35
最重度20以下

IQ(知能指数)だけで知的障害の程度が決まるわけではありません。コミュニケーションや生活能力などの日常生活を送るための力も含めて判断されます。

そのため、同じ程度と判定された方でも、必要な支援や職場で必要となる配慮は一人ひとり異なります。

周囲から理解されにくい困りごとを一人で抱えたまま無理を続けると、ストレスが少しずつ積み重なり、結果としてうつ病や適応障害などの不調につながることがあります。これを「二次的な不調」と呼びます。もともとの障害が直接の原因ではなく、困りごとへの対応や周囲の環境が整わないことで、後から重なって生じる不調という意味です。

特に仕事では、「何度も注意される」「仕事の手順を覚えられない」「周囲とのコミュニケーションがうまくいかない」といった経験から、自信を失ってしまう方も少なくありません。気分の落ち込みや不眠などの症状が続く場合は、無理をせず主治医や心療内科へ相談してみましょう。

軽度知的障害のある方が仕事で困りやすいこと

この章のポイント
  • 困りごとの多くは「情報処理の速さ」「抽象的な言葉の理解」「複数作業の並行」に関わります。
  • 困りごとは本人の努力だけで解決できるものではなく、仕事内容や指示の出し方、職場環境によって大きく変わります。
  • 自分の苦手な場面を把握することで、必要な配慮や仕事選びにつなげられます。

軽度知的障害のある方は、仕事の手順理解や状況判断で難しさを感じることがあります。ここでは、仕事で困りやすい代表的な場面を紹介します。

仕事の手順を覚えるのに時間がかかる

軽度知的障害のある方の中には、仕事の流れや作業手順を理解するまでに時間を要する方がいます。一度説明を聞いただけでは作業の順番や注意点を整理することが難しく、何度か確認しながら覚えていくケースも少なくありません。

  • 作業の手順が複数に分かれている業務
  • 状況に応じて対応方法を変える必要がある仕事
  • 一度に複数の指示を受ける場面

職場のルール・マナーが覚えられない

軽度知的障害のある方の中には、職場ごとのルールやマナーを理解し、場面に応じて実践することに難しさを感じる方もいます。特に、暗黙のルールや「周りに合わせること」が求められる場面では、どのように行動すればよいか迷ってしまうことがあります。

  • 上司や同僚へのあいさつや声のかけ方
  • 報告・連絡・相談の方法
  • 休憩時間や始業・終業時のルール
  • 席を外すときの声かけ

抽象的な指示やあいまいな言い方が分かりにくい

抽象的な指示は、軽度知的障害のある方にとって特に困りやすい言い方です。基準がはっきりしないまま作業を進めると、結果として指示と違うものが出来上がってしまうことがあります。

  • 完成イメージが言葉だけで説明される場面
  • 「後で」「そのうち」など期限があいまいな依頼
  • 複数の意味に取れる指示

複数の作業や急な変更に混乱しやすい

同時に複数の作業を進める「マルチタスク」や、予定していた作業が急に変わる「イレギュラー対応」は、軽度知的障害のある方が難しさを感じやすい場面です。

  • 複数の業務を同時に依頼される場面
  • 急な予定変更や飛び込みの対応
  • 前の作業が終わる前に次の指示が入る状況

報告・連絡・相談が苦手

報連相のタイミングや粒度の判断は、難しい場面の一つです。結果として、問題が大きくなってから発覚することもあります。

  • 困っているのに、いつ相談すればよいか分からない
  • 失敗を報告するタイミングを逃してしまう
  • 何をどこまで伝えればよいか判断しづらい

スケジュール管理が難しい

複数の予定が重なると、優先順位をつけたり、逆算して段取りを組んだりするのが難しくなりやすいものです。「明日までにこれをやる」と分かっていても、今日何をすべきかが考えづらくなることがあります。

  • 複数の締め切りが重なったときの優先順位づけ
  • 逆算して段取りを組む場面
  • 急な予定変更への対応

人間関係や注意されることが大きなストレスになる

軽度知的障害のある方は、失敗経験の積み重ねから自己肯定感が下がりやすい傾向があります。上司や同僚から注意されると、そのショックが必要以上に大きくなり、出社がつらくなってしまうこともあります。

軽度知的障害のある方に向いている仕事・働き方の特徴

この章のポイント
  • 向いている仕事の共通点は「手順が明確」「同じ作業の繰り返し」「集中できる環境」です。
  • 指示が具体的で、質問しやすい職場かどうかも重要な判断軸になります。
  • いきなりフルタイムを目指さず、短時間から始められる働き方も選択肢に入ります。

軽度知的障害のある方に向いている仕事は、障害の程度だけで決まるものではありません。同じ職種でも、業務内容や職場環境によって働きやすさは大きく変わります。大切なのは、自分の得意なことや苦手なことを踏まえて、働きやすい環境を選ぶことです。

手順が決まっている仕事

作業内容や進め方が決まっている仕事は、業務の見通しを立てやすいことが特徴です。何をどの順番で行うのかが明確であれば覚えた手順に沿って作業を進めやすく、安心して取り組めます。

同じ作業を繰り返す仕事

決められた作業を繰り返す仕事は、一度作業の流れを覚えると取り組みやすくなります。経験を積むことで作業に慣れ、安定して仕事を続けられる方も少なくありません。

一人または少人数で集中できる仕事

周囲からの声掛けや急な依頼が少ない環境では、作業に集中しやすくなることがあります。一人または少人数で働く仕事は、自分のペースを保ちながら業務を進めやすい働き方の一つです。

指示が具体的で、質問しやすい職場

仕事内容だけでなく、職場の雰囲気も大切なポイントです。指示が具体的で分からないことを気軽に質問できる環境であれば、安心して業務を進めやすくなります。

短時間勤務や段階的な勤務から始められる働き方

軽度知的障害のある方の中には、勤務時間や日数を調整することで安定して働き続けられる方もいます。最初から長時間勤務を目指すのではなく、自分の体調や生活状況に合わせて少しずつ勤務時間を増やしていく方法も選択肢の一つです。

「最初から週5日フルタイム」と決めつけず、まずは週3日・1日4時間から、といった始め方も検討してみましょう。

軽度知的障害のある方に向いている仕事の例

軽度知的障害のある方に向いている仕事の例
この章のポイント
  • 厚生労働省の実態調査では、サービス職・運搬・清掃・包装等・販売・生産工程で働く方が多くを占めています。
  • 知的障害のある方は、サービス業や製造業、販売業など幅広い職種で活躍しています。
  • 職種だけでなく、仕事内容や職場環境、自分の得意・苦手との相性を踏まえて選ぶことが大切です。

軽度知的障害のある方に向いている仕事は、手順が決まっている業務や、作業内容が明確な仕事だけではありません。実際には、様々な職種で知的障害のある方が働いています。

厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、知的障害のある方が就いている職業の割合は次のとおりです。

  • サービスの職業:23.2%
  • 運搬・清掃・包装等の職業:22.9%
  • 販売の職業:16.8%
  • 生産工程の職業:16.6%
  • 事務的職業:5.0%

これらの職種では、次のような仕事があります。

サービス職
飲食店の調理補助
ホテルの客室清掃
介護施設の補助業務
クリーニング店の軽作業
運搬・清掃・包装などの仕事
オフィスや施設の清掃
商品の梱包
倉庫内での仕分け
郵便物の配布
商品の運搬補助
販売の仕事
レジ補助
商品整理
値札付け
バックヤード作業
生産工程の仕事
部品の組み立て
製品の検品
食品加工
工場内での軽作業
事務補助の仕事
データ入力
書類の整理
郵便物の仕分け
書類のスキャン作業

ただし、割合が多い職種だからといって、すべての方に向いているとは限りません。仕事を選ぶ際は、職種だけで判断するのではなく、仕事内容や職場環境、自分の得意・苦手との相性も踏まえて検討することが大切です。

軽度知的障害のある方が負担を感じやすい可能性がある仕事

この章のポイント
  • 臨機応変な判断や複雑な計算が多い仕事は、負担が大きくなりがちです。
  • 同時並行の作業や、指導が少ない職場では働きにくさを感じることがあります。
  • 大切なのは「避けること」ではなく、自分に合った仕事内容や職場環境を選ぶことです。

軽度知的障害のある方の場合、仕事内容によっては負担が大きくなりやすいものがあります。ただし、これらの仕事がすべての方に向いていないわけではありません。仕事内容やサポート体制によって働きやすさは変わるため、自分に合った環境を選ぶことが大切です。

ここでは、特に負担を感じやすい傾向がある仕事の特徴を紹介します。

臨機応変な対応が多い仕事

状況に応じて対応を変える必要がある仕事では、その場で判断する場面が多くなります。あらかじめ決められた手順通りに進めることよりも、相手や状況に合わせた対応が必要になるため判断に迷う場面が増え、精神的な負担につながることも少なくありません。

  • 営業職
  • クレーム対応が多い業務
  • その場で判断することが多い仕事

複雑な計算やお金の管理が必要な仕事

数字を扱う仕事の中には、正確さや処理速度が求められるものがあります。複数の数字を確認したり、間違いがないか細かく確認したりする作業は、ミスへの不安や負担を感じやすくなることがあります。

  • 経理業務
  • 金銭管理を中心とした仕事
  • 数字入力が大量に発生する業務

同時に複数の作業を進める仕事

複数の仕事を並行して進める必要がある職場では、作業の切り替えや優先順位の判断が求められます。一つの作業に集中して取り組むことが得意な方の場合、同時進行の業務が続くと作業の優先順位が分からなくなり、混乱してしまうことがあります。

  • 電話対応をしながら事務作業を行う仕事
  • 来客対応と書類作成を並行する仕事
  • 複数の依頼を同時に受ける仕事

指導が少なく、見て覚えることを求められる仕事

「見て覚える」ことが前提の職場では、仕事の流れをつかむまでに時間がかかる場合があります。また、質問しやすい環境が整っていないと困ったときに相談できず、不安を抱えながら働き続けることにもつながります。

  • マニュアルが整備されていない仕事
  • 個人の経験や判断に任される仕事
  • 先輩の仕事を見ながら覚える文化の職場

知的障害のある方が知っておきたい一般雇用・障害者雇用・福祉的就労の違い

この章のポイント
  • 一般雇用は、障害の有無を問わず応募できる採用枠で、求人の選択肢が豊富です。
  • 障害者雇用は、障害への配慮を受けながら働きやすい雇用枠です。
  • 福祉的就労には、雇用契約を結ぶA型と結ばないB型があります。

知的障害のある方が仕事を探す場合、主な選択肢として「一般雇用」「障害者雇用」「福祉的就労」があります。それぞれ応募方法や受けられる配慮、働き方が異なるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。

一般雇用とは?

一般雇用とは、障害の有無を問わず応募できる通常の採用枠です。求人の選択肢が豊富で、幅広い職種や業界から仕事を探せます。一方で、障害への配慮は企業ごとに異なるため、必要な配慮がある場合は事前に確認しておくことが大切です。

障害者雇用とは?

障害者雇用とは、障害のある方を対象とした採用枠です。仕事内容や勤務時間などについて配慮を受けながら働きやすい一方で、一般雇用に比べて求人の数や職種が限られる場合があります。障害者雇用枠で働くには、原則として障害者手帳の取得が必要です。

福祉的就労とは?

福祉的就労とは、障害福祉サービスを利用しながら働く方法です。就労継続支援A型とB型があり、雇用契約の有無や働き方が異なります。

項目就労継続支援A型就労継続支援B型
対象一般企業で働くことは難しいものの、雇用契約に基づく就労が可能な方一般企業や雇用契約に基づく就労が難しい方
雇用契約結ぶ結ばない
支払われるお金最低賃金以上の給与作業に応じた工賃
働き方一般就労に近い働き方体調や体力に合わせて利用しやすい働き方

3つの働き方、どれを選べばいい?

一般雇用・障害者雇用・福祉的就労には、それぞれ異なる特徴があります。選ぶときは自分が安定して続けられる環境かどうかを考えることが大切です。目安としては、次のように考えられます。

  • 配慮がなくても働けそう 一般雇用
  • 障害への理解や配慮を受けながら働きたい 障害者雇用
  • まずは働く準備や生活リズムを整えたい 就労継続支援A型・B型

迷った場合は一人で決めようとせず、就労移行支援やハローワークなどの支援機関へ相談しながら、自分に合った働き方を探していきましょう。

軽度知的障害のある方が仕事探しで知っておきたい雇用形態

この章のポイント
  • 雇用形態によって、契約期間や勤務時間、働き方に違いがあります。
  • 契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど、正社員以外の選択肢もあります。
  • 短時間勤務は雇用形態ではありませんが、体調に合わせた重要な働き方の一つです。

働き方を考える際は、「一般雇用か障害者雇用か」だけでなく、どのような雇用形態で働くかも重要なポイントです。ここでは、代表的な雇用形態や働き方について紹介します。

正社員

正社員とは、一般的に雇用期間の定めがない働き方です。収入や福利厚生が安定しやすい一方で、フルタイム勤務や責任のある業務を任されやすい傾向があります。

契約社員・嘱託社員

契約社員や嘱託社員は、あらかじめ契約期間を設けて雇用される働き方です。契約更新を前提としている求人もあれば、一定期間のみ働く求人もあります。

派遣社員

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、別の企業へ派遣されて働く形態です。業務内容や勤務時間が明確に決められている求人も多く、自分に合った仕事を探しやすい特徴があります。一方で、派遣先が変わる可能性があるため、職場環境の変化が負担になる方には注意が必要です。

パート・アルバイト

パート・アルバイトは、勤務時間や日数を調整しやすい働き方です。短時間から始められる求人も多く、体調や生活リズムに合わせて働きやすいことが特徴です。

短時間勤務という選択肢

短時間勤務は雇用形態ではありませんが、働き始める際に知っておきたい働き方の一つです。最初からフルタイムで働くことに不安がある場合は、勤務時間を短く設定し、少しずつ仕事や職場環境に慣れていく方法もあります。体調や生活リズムに合わせて働きたい方にとって、無理なく仕事を続けるための選択肢の一つになります。

雇用形態や勤務時間に正解はありません。自分の体調や生活とのバランスを考え、継続しやすい働き方を選びましょう。

軽度知的障害のある方が仕事探しを始める流れ

軽度知的障害のある方が仕事探しを始める流れ
この章のポイント
  • 最初にすべきは、体調と生活リズムを確認することです。
  • 過去の経験から得意・苦手を整理してから、支援機関に相談するのが近道です。
  • 一人で抱え込まず、専門家と一緒に進めることが長続きの秘訣です。

「働きたい」と思っても何から始めればよいのか分からず、行動に移せない方もいるのではないでしょうか。仕事探しではいきなり求人へ応募するのではなく、自分の状況や希望を整理しながら、一つずつ準備を進めることが大切です。

ここでは、仕事探しを始める際の基本的な流れを紹介します。

まずは体調や生活リズムを確認する

仕事を続けるためには、安定して通勤や勤務ができる状態を整えておくことが大切です。睡眠や食事のリズム、日中に活動できる時間などを振り返り、働く準備ができているか確認しましょう。体調が安定していない場合は、就職活動よりも生活リズムを整えることを優先する必要があるかもしれません。

確認ポイント

  • 決まった時間に起きられるか
  • 外出する習慣があるか
  • 継続して活動できる時間がどの程度あるか

これまでの経験から得意・苦手を整理する

仕事を探す前に、これまでの学校生活や仕事、実習などを振り返ってみましょう。取り組みやすかったことや苦手だったことを整理すると、自分に合う仕事を見つけやすくなります。

振り返るポイント具体例
得意だった作業同じ作業を繰り返す仕事、清掃、商品の品出し、データ入力、手順通りに進める作業など
苦手だった業務電話対応、接客、複数の作業を同時に進める仕事、急な予定変更への対応など
ミスが起きやすかった場面指示があいまいだったとき、複数の指示を一度に受けたとき、時間に追われていたときなど
周囲から評価されたこと丁寧に作業できる、時間を守れる、コツコツ取り組める、真面目に仕事へ取り組めるなど

得意なことや苦手なことを整理しておくと自分に合った仕事を探しやすくなるだけでなく、面接で仕事内容の希望や必要な配慮を伝える際にも役立ちます。

働き方や希望条件を考える

得意・苦手を整理したら、どのような働き方を希望するのか考えます。仕事内容だけでなく、勤務時間や職場環境についても確認することが大切です。

  • 週に何日働きたいか
  • 1日に何時間程度働けそうか
  • 通勤可能な範囲
  • 興味のある仕事

「できる仕事」だけでなく、「無理なく続けられる仕事」という視点でも考えてみましょう。

支援機関に相談する

仕事探しは、一人で進める必要はありません。就労移行支援やハローワーク、障害者就業・生活支援センターなどでは、求人探しや応募書類の作成、面接対策などの支援を受けられます。初めて就職する方や、以前仕事が長続きしなかった経験がある方は、専門機関と相談しながら進めることで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。

求人を探して応募する

働き方や希望条件が整理できたら、求人を探して応募します。障害者雇用で応募する場合は、働くうえで必要な配慮をあらかじめ整理し、企業へ伝えておくことが大切です。

困りごと・不安相談・配慮の例
仕事の手順が覚えにくい作業手順書やマニュアルを用意してもらう
指示が分かりにくい指示を具体的に伝えてもらう、メモで共有してもらう
複数の作業を同時に進めるのが苦手優先順位を明確にしてもらう、一度に複数の指示を出さないよう相談する
分からないことを質問するタイミングが難しい質問できる担当者や確認する時間を決めてもらう
長時間働くことに不安がある勤務時間や勤務日数を相談する
急な予定変更が苦手できるだけ事前に共有してもらう、変更時は優先順位を教えてもらう
一人で悩みを抱え込みやすい定期的な面談や相談の機会を設けてもらう

希望する配慮が必ず受けられるとは限りませんが、必要な配慮を伝えておくことで入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。仕事探しで大切なのは、就職することだけではありません。自分に合った環境を見つけ、無理なく働き続けられる職場を選ぶことが重要です。

仕事を長続きさせるために確認したい職場のポイント

この章のポイント
  • 仕事内容の具体性やマニュアルの有無は、応募前に確認しておきたいポイントです。
  • 勤務時間や相談しやすい環境かどうかも、長く働くための重要な判断材料になります。
  • 就職後も支援制度を活用することで、働き続けやすくなる場合があります。

安定して働き続けるためには、自分に合った職場環境を選ぶことが大切です。ここでは、応募前や入社前に確認しておきたいポイントを5つ紹介します。

仕事内容が具体的に決まっているか確認する

担当する業務内容が明確な職場は、仕事の見通しを持ちやすくなります。一方で、「補助業務」「事務作業全般」のように仕事内容が幅広く書かれている求人では、入社後に想定していなかった業務を担当することもあります。求人票だけでは分からない場合もあるため、職場見学や面接で「実際に担当する仕事」や「1日の流れ」を確認しておくと安心です。

マニュアルや手順書が用意されているか確認する

仕事の進め方が文章や写真などでまとめられている職場では、業務を覚えやすい傾向があります。分からないことがあったときに見返せる資料があれば、不安を減らしながら仕事に取り組めます。

無理のない勤務時間や日数か確認する

長く働くためには、現在の体力や生活リズムに合った勤務条件を選ぶことも大切です。無理な勤務時間で働き始めると疲労が積み重なり、継続が難しくなることがあります。

確認したいこと
勤務日数週に何日働くか
勤務時間1日に何時間働くか
通勤無理なく通勤できる距離・時間か

困ったときに相談できる環境があるか確認する

安心して働き続けるためには、困ったときに相談できる環境があることも重要です。相談相手やサポート体制が整っている職場であれば、不安を抱え込まずに仕事へ取り組みやすくなります。

確認ポイント

  • 質問や相談をする相手が決まっているか
  • 定期的な面談の機会があるか
  • 業務の振り返りやフォローを受けられるか

入社前に職場の雰囲気やサポート体制を確認しておくことで、働き始めてからの不安を減らせます。

就職後の支援制度を活用する

就職した後も、必要に応じて支援を利用できます。就職後に困りごとが生じても、一人で抱え込む必要はありません。働き続けるための支援制度も活用しながら、自分に合った働き方を続けていきましょう。

支援制度特徴
就労定着支援就職後の悩みや困りごとを相談できる障害福祉サービス。支援員が本人と企業の間に入り、職場に定着できるよう支援する。
ジョブコーチ支援地域障害者職業センターなどが実施する支援。ジョブコーチが職場を訪問し、仕事の進め方やコミュニケーションについて本人・企業の双方をサポートする。

軽度知的障害のある方が利用できる仕事探しの相談先

この章のポイント
  • 診断・治療の相談は主治医、求人相談はハローワークが基本の窓口です。
  • 働く準備から整えたい方は就労移行支援、生活面も含めて相談したい方は障害者就業・生活支援センターが選択肢です。
  • 2025年10月から始まった「就労選択支援」で、自分に合う働き方を専門家と整理できます。

仕事探しを進める際は、求人を探すだけでなく、自分に合った働き方や必要な支援について相談することも大切です。知的障害のある方が利用できる相談先には、就職活動を支援する機関や、働く準備を整えるための支援機関があります。まずは、それぞれの相談先で受けられる支援や利用条件を確認してみましょう。

診断・治療のことを相談したい:主治医

体調や服薬、通院ペースに関する相談は、まず主治医に相談しましょう。仕事探しを始めるタイミングや働くうえでの注意点について助言を受けられます。

求人探しや応募について相談したい:ハローワーク

ハローワークは、仕事を探している方が利用できる公的な職業紹介機関です。障害のある方向けの専門窓口もあり、求人紹介だけでなく、応募書類の作成や面接対策などの支援も受けられます。

相談できること

  • 障害者雇用の求人紹介
  • 履歴書・職務経歴書の作成支援
  • 面接対策
  • 障害者雇用と一般雇用の相談

働く準備から始めたい:就労移行支援

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方を対象とした障害福祉サービスです。生活リズムを整えながら、就職に必要な知識やスキルを身につけられます。

受けられる支援

  • 生活リズムの改善
  • パソコンなどの職業訓練
  • ビジネスマナー
  • 応募書類・面接練習
  • 就職後の定着支援

仕事と生活の両方を相談したい:障害者就業・生活支援センター

仕事だけでなく、生活面も含めて相談できる支援機関です。就職前から就職後まで継続して相談できるため、働き続けるうえでの不安も相談できます。

自分に合う働き方を整理したい:就労選択支援(2025年10月開始)

就労選択支援では、本人の希望や能力、特性を確認しながら、就労先や利用する障害福祉サービスの選択を支援します。一般雇用・障害者雇用・就労継続支援A型・B型など、複数の選択肢を比較しながら検討できます。

支援機関のサポートを受けて就職につながった事例

実際に知的障害のある方が支援機関のサポートを受けながら障害者雇用で就職し、働き続けている事例があります。

男性は作業所などで経験を積んだ後、生活支援ワーカーの勧めでハローワークを利用し、大手アパレル企業へ応募しました。面談や職場実習を経て採用となり、就職後も地域障害者職業センターのジョブコーチによる支援を受けています。

現在は、清掃や商品整理、値札の付け替えなどを担当。職場ではトランシーバーを活用して相談しやすい環境を整えるなど、本人が安心して働ける工夫も行われています。

この事例のように、仕事探しでは一人で悩まず、支援機関と相談しながら進めることで、自分に合った仕事内容や働きやすい環境を見つけることにつながります。

軽度知的障害の方が知っておきたい福祉制度

この章のポイント
  • 療育手帳は、障害を証明する手帳で、障害者雇用への応募や各種制度の利用に役立ちます。
  • 自立支援医療は、精神疾患で継続的に通院している場合に医療費の自己負担を原則1割へ軽減する制度です。
  • 障害年金は、障害の状態などをもとに審査されます。

知的障害のある方が利用できる福祉制度には、生活を支える様々な制度があります。ここでは、代表的な3つの制度を紹介します。

療育手帳とは?

療育手帳は、知的障害があると判定された方に自治体が交付する手帳です。障害があることを証明する手帳として、障害者雇用への応募や各種制度・サービスを利用する際に活用されます。取得するには、児童相談所や知的障害者更生相談所などで判定を受ける必要があります。

※18歳未満は児童相談所、18歳以上は更生相談所への相談になります。

療育手帳を活用できる場面の例

  • 障害者雇用枠への応募
  • 税金の控除・減免
  • 公共料金や交通機関などの割引

※利用できる制度や内容は自治体や本人の状況によって異なります。詳しくは、お住まいの自治体へ確認しましょう。

自立支援医療とは?

自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の治療で継続的に通院している方を対象に、医療費の自己負担を軽減する制度です。利用すると、医療費の自己負担は原則3割から1割になります。知的障害そのものは対象ではありませんが、うつ病や不安障害などの精神疾患を併発し、継続して通院している場合は対象になることがあります。

障害年金とは?

障害年金は、障害によって日常生活や仕事に支障がある場合に支給される公的年金制度です。

障害年金のポイント

  • 療育手帳の有無とは別の基準で審査される
  • 障害の状態に応じて1級または2級に認定される

受給できるかどうかは、日常生活能力や就労状況などをもとに総合的に判断されます。申請を検討している場合は、年金事務所や社会保険労務士などへ相談すると安心です。

ここで紹介した制度はいずれも、自動的に利用できるものではありません。制度ごとに申請や審査が必要で、利用条件も異なります。

自分が対象になるか分からない場合は、市区町村の障害福祉窓口や主治医、支援機関へ相談しながら手続きを進めましょう。

軽度知的障害のある方の仕事探しでよくある質問

ここでは、知的障害のある方が仕事探しをする際に感じやすい疑問や不安についてお答えします。

軽度知的障害があると正社員になるのは難しいですか?

軽度知的障害があっても、正社員として働くことは可能です。厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、知的障害のある方の20.3%が実際に正社員として働いています。

軽度知的障害でも障害者雇用で働けますか?

障害者雇用枠で働くには、原則として障害者手帳の所持が必要です。障害名や障害の程度ではなく、障害者手帳を取得しているかどうかが応募条件の基準になります。そのため、軽度知的障害の場合でも、療育手帳を取得していれば障害者雇用枠へ応募できます。

就労移行支援とハローワークはどちらを利用すればよいですか?

どちらが適しているかは、現在の状況によって異なります。

  • すぐに求人を探して応募したい ハローワーク
  • 働く準備から始めたい 就労移行支援

必要に応じて、ハローワークと就労移行支援を併用することも可能です。

療育手帳がない場合でも支援は受けられますか?

療育手帳がなくても、利用できる支援はあります。

  • 就労移行支援:医師の診断書や意見書などにより利用できる場合がある(最終的な利用の可否は市区町村が判断)
  • 障害者就業・生活支援センター:療育手帳がなくても相談できる
  • ハローワーク:療育手帳がなくても利用できる。ただし、障害者雇用求人へ応募する場合は、原則として障害者手帳が必要

利用できる支援は状況によって異なるため、まずは市区町村の障害福祉窓口や支援機関へ相談してみましょう。

仕事探しを始める前に何を準備すればよいですか?

まずは生活リズムや体調を確認し、得意なこと・苦手なこと、希望する働き方を整理しましょう。そのうえで、ハローワークや就労移行支援などの支援機関へ相談すると、仕事探しをスムーズに進めやすくなります。

軽度知的障害があることは会社へ伝えたほうがよいですか?

障害者雇用で働く場合は、障害者手帳を所持していることを前提に応募するため、障害の状況を開示して働くことになります。一般雇用では、障害を開示するかどうかは本人が選択できます。開示すると必要な配慮を受けやすくなる一方で、どのような働き方が自分に合っているかを考えたうえで判断することが大切です。

開示するか迷った場合は、以下のような点を整理してみましょう。

確認したいポイント
必要な配慮があるか指示の出し方を工夫してほしい、業務内容を明確にしてほしい
困りごとを共有したいか苦手な作業や仕事で困りやすい場面を伝えたい
サポートを受けながら働きたいか定期的な面談や職場でのフォローを受けたい
職場環境を確認できているか障害について相談しやすい雰囲気があるか

開示するかどうかは、仕事内容や必要な配慮によって判断することが大切です。

軽度知的障害のある方の仕事探しは、支援を使いながら自分に合う働き方を見つけよう

軽度知的障害のある方の仕事探しでは、「どんな仕事ができるか」だけでなく、「どのような環境なら無理なく続けられるか」を考えることが大切です。

仕事の手順が明確であること、具体的な指示を受けられること、困ったときに相談できる環境があることは、長く働き続けるための重要なポイントになります。

そのため、仕事を探す際は、仕事内容だけでなく、自分に合った働き方や必要なサポートについても考えることが大切です。

また、仕事探しは一人で進める必要はありません。ハローワークや就労移行支援、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関では、求人探しから就職後の定着まで相談できます。

「自分には何ができないのか」ではなく、「どのような環境なら力を発揮できるのか」という視点で、自分に合った働き方を探していきましょう。

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加藤 美遥

社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士
福祉系専門学校を卒業後、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士を取得。現在は北海道の精神科病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務し、うつ病や発達障害、依存症などの支援に従事。医療と福祉の両面から得た経験を活かし、メンタルヘルスや福祉制度に関する情報発信・監修を行っている。

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