精神障害者保健福祉手帳の等級一覧|判断基準と受けられる支援を解説
- 精神障害者保健福祉手帳の等級は生活や社会参加への支障の大きさで決まる
- 精神障害者保健福祉手帳の等級区分
- 精神障害者保健福祉手帳1級
- 精神障害者保健福祉手帳2級
- 精神障害者保健福祉手帳3級
- 精神障害者保健福祉手帳を取得すると受けられる支援
- 重度心身障害者医療費助成制度
- 税金の控除・減免
- 所得税・住民税の障害者控除
- 相続税・贈与税の特例
- 公共料金・交通などの割引
- 就労・雇用面での支援
- 支援・制度利用のポイント
- 精神障害者保健福祉手帳の申請に費用はかかる?
- 精神障害者保健福祉手帳の申請手続きの流れ
- 必要なもの
- 申請手続きの流れ
- 精神障害者保健福祉手帳は2年更新制
- 精神障害者保健福祉手帳に関するよくある質問
- 精神障害者保健福祉手帳を取得したことは、周囲に知られますか?
- 精神障害者保健福祉手帳の申請にはどのくらい時間がかかりますか?
- 精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者雇用で働かなければいけませんか?
- 障害者手帳の基本が分かる|無料ガイドブック配布中!
- 精神障害者保健福祉手帳の等級は「日常生活や働くことへの影響」をもとに考えられる
精神障害者保健福祉手帳の等級は、診断名だけで決まるものではありません。日常生活や社会参加、働くことにどの程度支障があるかという「生活への影響の大きさ」をもとに、1級・2級・3級に区分されます。
この記事では、精神障害者保健福祉手帳の等級の基準や特徴、取得によって受けられる支援、申請手続きの流れ、よくある質問までをわかりやすく解説します。
精神障害者保健福祉手帳の等級は生活や社会参加への支障の大きさで決まる
- 精神障害者保健福祉手帳の等級は、生活や社会参加への支障の大きさで判断される
- 食事・清潔・金銭管理などの生活面と、対人関係や就労状況が評価される
- 1級〜3級に区分され、数字が小さいほど支援の必要性が高い
精神障害者保健福祉手帳の等級は、日常生活や社会参加への影響の大きさをもとに判断されます。
審査では、食事や入浴などの身の回りのことが一人でできるか、部屋の片づけや清潔を保てているか、金銭管理が適切に行えるかなどが確認されます。また、家族以外の人との交流や、仕事・通学など社会との関わりの維持状況も評価のポイントです。
等級は1級から3級まで分かれており、数字が小さいほど生活における制限が大きく、他者の援助が多く必要とされる状態と判断されます。反対に、一定の配慮があれば日常生活や就労が可能な場合は、3級に該当することが多くなります。
参考:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」
精神障害者保健福祉手帳の等級区分

- 精神障害者保健福祉手帳の等級は、生活や社会参加への支障の大きさで1級〜3級に区分される
- 1級は日常生活が困難で常に支援が必要、2級は著しい制限があり継続的な配慮が必要
- 3級は一定の制限はあるが、配慮があれば生活や就労を続けやすい状態
等級の判定は、精神保健福祉センターによって行われます。ここでは、各等級の目安となる状態を具体的に紹介します。
精神障害者保健福祉手帳1級
1級は、日常生活を維持することが非常に難しく、常に他者の援助が必要とされる状態です。
食事や着替え、入浴といった基本的な身の回りのことを一人で行うことが困難な場合が想定されます。体調の波が大きく、一日中横になって過ごす日が続くこともあります。安全を保つために見守りが必要になる場面も少なくありません。
社会生活への参加は、支援があっても極めて難しい状態と考えられています。安定した生活を送るためには、継続した手厚い支えが欠かせない状態といえます。
精神障害者保健福祉手帳2級
2級は、日常生活に著しい制限がある、または制限を加える必要がある状態です。
常に誰かの助けが必要というわけではありませんが、強いストレスがかかる場面や複雑な状況では判断力が低下しやすく、援助がなければ生活が成り立ちにくい場面が見られます。
家事や買い物などを行える日もありますが、体調の変動により安定して続けることが難しい場合があります。対人関係や就労の場面では大きな負担を感じやすく、長期間働き続けることが難しくなるケースもあります。社会生活を送るうえで、継続した支援や配慮が必要とされる状態です。
精神障害者保健福祉手帳3級
3級は、日常生活や社会生活に一定の制限がある状態です。身の回りのことはおおむね一人で行える場合が多いとされています。
一方で、精神疾患の影響により、特定の環境や状況で強い不安や混乱が生じることがあります。職場の人間関係や業務の変化にうまく対応できず、不適応を起こしやすい場合もあります。ストレスへの耐性が低く、体調を崩しやすい傾向が見られることもあります。
社会復帰や就労を安定して続けるためには、勤務時間の調整や業務内容の配慮など、一定の支援が役立つ段階です。
精神障害者保健福祉手帳を取得すると受けられる支援

- 手帳を取得すると、医療費助成・税金控除・割引・就労支援など幅広い支援が受けられる
- 医療費助成や税制優遇により、通院や生活の経済的負担を軽減できる
- 交通機関や公共料金の割引で、日常生活や社会参加のハードルを下げられる
- 障害者雇用枠を利用することで、配慮を受けながら働きやすい環境を選べる
精神障害者保健福祉手帳を取得することで、経済的な負担の軽減や福祉サービスの利用が可能になります。ここでは、大きく4つに分けて主な支援内容を解説します。
重度心身障害者医療費助成制度
精神疾患の治療は長期にわたることが多く、通院や薬代の負担が続きます。そのため国や自治体では、医療機関での自己負担額の一部を助成する制度を設けています。継続した治療を受けやすくなる点が大きなメリットです。
- 診療費
- 薬局での自己負担分
- 訪問看護利用料 など
- 精神障害者保健福祉手帳1級の交付を受けた方
多くの自治体では所得制限が設けられているため、等級に該当していても所得が基準を超える場合は助成を受けられないことがあります。
参考:東京福祉局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」
大阪市「重度障がい者医療費の助成」
税金の控除・減免
精神障害者保健福祉手帳を持っていると、税金の負担を軽くする制度を利用できます。所得税や住民税の控除などが代表的です。
所得税・住民税の障害者控除
納税者本人や扶養親族が障害者に該当する場合、「障害者控除」を受けられます。
障害者控除は、税金を計算する前の所得から一定額を差し引く仕組みです。差し引いた分だけ課税対象が減るため、結果として税額が軽くなります。
障害者控除の金額
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 一般障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
同居特別障害者とは特別障害者に該当する配偶者や扶養親族のうち、納税者と常に同居している人を指します。
参考:国税庁「障害者控除」
相続税・贈与税の特例
相続や贈与の場面でも、障害のある方を支えるための特例があります。
相続税の障害者控除
障害のある方が財産を相続する際、85歳に達するまでの年数に応じて税金が控除されます。
- 一般障害者: 1年につき 10万円
- 特別障害者: 1年につき 20万円
例えば、50歳の一般障害者の場合、85歳までの35年分が対象になります。10万円×35年で350万円が控除額となります。
贈与税の非課税特例(特定障害者扶養信託契約)
将来の生活費を確保する目的で、信託銀行などを通じて財産を贈る制度があります。特別障害者の場合、6,000万円まで贈与税が非課税となります。
精神障害者保健福祉手帳1級に該当する方
精神障害者保健福祉手帳2・3級に該当する方
参考:国税庁「障害者と税」
公共料金・交通などの割引
外出や社会参加を後押しするため、交通機関や公共料金の割引制度も用意されています。社会参加のハードルを下げるだけでなく、日々の固定費を抑える助けにもなります。
割引の内容は自治体や事業者によって異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
交通機関
鉄道(JR・私鉄)、バス、タクシー、航空機、有料道路(ETC)などの割引が受けられます。旅客運賃の割引制度では、1種と2種という区分があり、1種の場合は本人と介護者の両方が割引を受けられます。移動の機会が多い方にとって交通費の負担軽減につながります。
公共料金
- NHK受信料の全額または半額免除
- 水道料金や下水道料金の減免
その他
- 携帯電話料金
- 映画館や美術館、動物園などの入館料
就労・雇用面での支援
精神障害者保健福祉手帳を持つことで、障害者雇用枠の求人に応募できるようになります。障害者雇用枠は、障害のある方が安定して働けるように企業に雇用の機会を提供することを義務づけた制度です。
| 項目 | 障害者雇用 | 一般雇用 |
|---|---|---|
| 対象 | 原則として障害者手帳の所持が必要 | 誰でも応募可能 |
| 働き方 | 体調や特性に合わせて調整しやすい | 求人票に記載された働き方に従う |
| 配慮 | 通院や業務量などの配慮を受けやすい | 原則なし(企業による) |
障害者雇用では、勤務時間の調整や業務内容の配慮が受けやすくなります。体調に合わせた働き方が可能になるため、長く仕事を続けやすい環境が整っています。
障害者雇用とは何か?対象・仕組み・安心して働けるサポート制度まで徹底解説
支援・制度利用のポイント
精神障害者保健福祉手帳を持っているだけで、すべての支援が自動的に受けられるわけではありません。医療費助成や税金の控除など、多くの制度は申請が必要です。
また、自治体や等級によって受けられる支援の内容や条件は異なるため、詳細な条件は各市区町村の窓口で確認が必要です。
精神障害者保健福祉手帳の申請に費用はかかる?
- 精神障害者保健福祉手帳の申請手続き自体は無料
- 診断書の作成費用として3,000円〜5,000円程度かかる場合がある
- 写真代や交通費なども含め、数千円程度の実費が必要になる
結論から言うと、精神障害者保健福祉手帳の申請手続きそのものにお金はかかりません。
ただし、実際の手続きではいくつか自己負担が発生します。代表的なのが医師による診断書の作成費用です。医療機関によって金額は異なりますが、3,000円から5,000円程度が目安となります。さらに、手帳に貼る顔写真の撮影費用や窓口までの交通費なども必要です。合計すると数千円ほどかかる場合があります。
申請自体は無料ですが、こうした実費が必要になる点は事前に把握しておくと安心です。
精神障害者保健福祉手帳の申請手続きの流れ
- 申請は診断書か障害年金かで方法が分かれる
- 必要書類を揃えて窓口に提出し、審査後に交付される
- 手帳の受け取りまでは1〜2か月程度が目安
ここでは、精神障害者保健福祉手帳の申請手続きの流れを、必要なものとあわせて紹介します。
必要なもの
精神障害者保健福祉手帳の申請には、診断書による申請と障害年金を受給している場合の申請の2種類があります。
| 必要書類 | 診断書による申請 | 障害年金を受給している場合 |
|---|---|---|
| 精神障害者保健福祉手帳申請書 | 〇 | 〇 |
| 診断書または意見書 | 〇 | × |
| 年金関係書類 | × | 〇 |
| 同意書(年金照会用) | × | 〇 |
| 顔写真 | 〇 | 〇 |
| マイナンバーがわかる書類 | 〇 | 〇 |
参考:こころの情報サイト「障害者手帳・障害年金」
障害年金を受給している場合は、診断書や意見書は不要です。さらにマイナンバーから受給状況が確認できる場合は、一部書類の提出が省略できることがあります。
申請書や診断書・意見書は、市区町村の障害福祉課で受け取れます。自治体によって必要書類が異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
申請手続きの流れ

精神障害者保健福祉手帳の申請は、次のような流れで行います。
市区町村の障害福祉課で申請書や診断書の用紙を受け取ります。自治体によっては公式サイトからダウンロードできる場合もあります。
指定医に診察を受け診断書を作成してもらいます。申請日前3か月以内のものが必要なため、事前に確認しましょう。年金受給中の場合は年金証書等で代用可能な場合もあります。
必要な書類を全て揃えて、障害福祉課に提出します。審査後に交付が決まると「交付通知書」が自宅に郵送されます。
通知書に記載された持ち物を持って指定の窓口で受け取ります。交付までには通常1〜2か月かかりますが、地域によって前後することもあります。
精神障害者保健福祉手帳の申請は必要書類を揃え、自治体の窓口で手続きを進めることで行えます。診断書による申請か障害年金受給者による申請かで準備する書類は少し異なるため、事前に確認して準備しておくとスムーズに手続きが進みます。
精神障害者保健福祉手帳は2年更新制
- 精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに更新が必要
- 更新申請は有効期限の3か月前から行える
- 更新を忘れると支援が受けられなくなるため、期限確認が重要
精神障害者保健福祉手帳には有効期限があり、2年ごとに更新手続きが必要です。
期限の3か月前から申請できるため、継続して利用したい方は早めに主治医へ相談し、診断書の準備を進めておきましょう。
更新を忘れると支援が受けられなくなるため、手帳に記載された有効期限を定期的に確認する習慣をつけておくと安心です。
参考:こころの情報サイト「障害者手帳・障害年金」
精神障害者保健福祉手帳に関するよくある質問
精神障害者保健福祉手帳に関するよくある質問に回答しました。
精神障害者保健福祉手帳を取得したことは、周囲に知られますか?
原則として、自分から伝えない限り知られることはありません。ただし、以下の点には注意が必要です。
精神障害者保健福祉手帳の申請にはどのくらい時間がかかりますか?
精神障害者保健福祉手帳の申請から交付まで通常は1〜2か月程度です。診断書の内容や自治体によっては、2〜3か月かかる場合もあります。
精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者雇用で働かなければいけませんか?
精神障害者保健福祉手帳を取得したからといって、障害者雇用で働く義務はありません。一般雇用・障害者雇用のどちらを選ぶかは自由です。
障害者手帳の基本が分かる|無料ガイドブック配布中!
精神障害者保健福祉手帳について気になっても「結局、何を準備すればいいの?」「自分の手帳は更新が必要?」と不安を感じている方に向けて就労移行支援manaby(マナビー)では、障害者手帳について以下の内容をまとめた「障害者手帳ガイドブック(PDF)」を無料で配布しています。
精神障害者保健福祉手帳の等級は「日常生活や働くことへの影響」をもとに考えられる
精神障害者保健福祉手帳の等級は診断名だけで決まるものではなく、日常生活や働くことへの影響の大きさをもとに判断されます。
生活のなかでどのくらい困難があるか、どの程度他者の助けが必要かが、等級を決める重要なポイントです。
等級によって受けられる支援の内容も変わるため、自分の状態や困りごとをできるだけ正確に主治医に伝えることが、適切な等級につながる第一歩になります。
手続きに不安を感じる場合は、市区町村の障害福祉課や就労支援機関に相談しながら進めていくのがおすすめです。

