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大人の愛着障害の特徴や原因、対処法を分かりやすく解説

目次
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「人との距離感がうまくつかめない」「相手の反応に過敏に落ち込んでしまう」「人間関係を築くのが苦手」という悩みを抱える方の中には、大人の愛着障害が関係している場合があります。

大人の愛着障害とは、幼少期の人との関わり(愛着形成)の経験が、大人になってからの人間関係や気持ちの安定・不安の感じ方に影響を及ぼす状態のことです。

この記事では、

  • 大人の愛着障害とはどのような状態なのか
  • どんな特徴や原因があるのか
  • どのように向き合っていけばよいのか

を分かりやすく解説します。

この記事のまとめ
  • 大人の愛着障害は、対人関係のしんどさを理解するヒントになる
  • 愛着スタイルを知ることで、自分の傾向を客観視しやすくなる
  • 一人で抱え込まず、安心できる環境や相談先を活用することが大切

大人の愛着障害とは?

大人の愛着障害とはどんな状態かを説明
この章のポイント
  • 愛着障害は、幼少期の愛着関係が対人関係に影響し、不安や緊張が強くなりやすい状態
  • 本来は子どもの発達で使われる概念ですが、大人の生きづらさを説明する際にも使われる
  • 大人では、人を信じにくい・依存と回避を繰り返すといった形で表れることがある
愛着障害とは、主に幼少期において、特定の人との情緒的な繋がり(愛着)を十分に築けなかったことで、その後の人間関係で不安や緊張を感じやすくなる状態を指します。

もともとは、子どもの発達段階で用いられる診断名です。

ただ近年では、人を信じにくい、相手に依存しすぎる、孤独がつらいのに距離を取ってしまうなど、大人の対人関係の生きづらさを説明する言葉としても使われています。

大人の愛着障害の主な特徴と症状

大人の愛着障害の主な特徴と症状

大人の愛着障害は、対人関係の築き方や気持ちの安定の仕方に影響が出やすいとされています。

ここでは、大人の愛着障害でみられやすい主な特徴や症状について分かりやすく紹介します。

人に依存しすぎる・距離を置きすぎる

人との距離感が極端になりやすく、相手に強く依存してしまうこともあれば、反対に必要以上に距離を置いてしまいます。

例えば、親しい相手からの返信がいつもより少し遅れただけで、「嫌われたのではないか」「もう必要とされていないのではないか」と強い不安に襲われることがあります。

その不安から、何度も連絡を取りたくなったり、相手の言動に過敏になったりしやすくなります。

一方で、人と近づくほど傷つくことへの怖さが強くなり、自分から壁を作ってしまうことがあります。

例えば、相手が気にかけてくれていても素直に頼れなかったり、関係が深まりそうになると急に連絡を減らしたり、誘いを断ったりして距離を取ってしまいます。

このように、大人の愛着障害では人とのちょうどよい距離感を保つことが難しく、対人関係が不安定になりやすい傾向があります。

自己肯定感が低い

自己肯定感が低く、「自分には愛される価値がない」「どうせ受け入れてもらえない」と感じてしまうことがあります。

例えば、相手の何気ない言葉や表情の変化に対しても、「嫌われたのではないか」「迷惑をかけているのではないか」と受け取りやすく、必要以上に落ち込んでしまうことがあります。

褒められても素直に受け取れず、「気を遣っているだけではないか」と考えてしまうことも少なくありません。

そうした受け止め方が続くと、「やはり自分は大切にされない」「自分には価値がない」と感じやすくなり、自己肯定感がさらに低下しやすくなります。

その結果、人と一緒にいても安心できなかったり、相手に気を遣いすぎて疲れてしまったりして、生きづらさにつながることがあります。

感情のコントロールが難しい

相手の言動に不安を感じやすく、気持ちの波が大きくなってしまうことがあります。

例えば、予定の変更や返信の遅れなど、ささいな出来事をきっかけに「嫌われたのではないか」「見捨てられたのではないか」と強い不安に襲われてしまいます。

その結果、相手にきつい言い方をしてしまったり、反対に思っていることを何も言えず、一人で抱え込んでしまったりすることも少なくありません。

また、その場では何とかやり過ごしていても、あとから何度もやり取りを思い返して落ち込んだり、イライラや不安が長く続いたりすることもあります。

こうした状態が続くと、人間関係ですれ違いが生じやすくなるだけでなく、仕事や日常生活の中でも疲れやすさやしんどさに繋がってしまいます。

「試し行動」をしてしまう

試し行動とは、相手の愛情や関心を確かめたくて取ってしまう言動のことです。

大人の愛着障害のある方は、相手に嫌われることや見捨てられることへの不安が強く、相手の気持ちを確かめようとする行動に出てしまうことがあります。

例えば、わざと冷たい態度を取ったり、突き放すような言葉を言ったりして、「それでも自分から離れずにいてくれるか」を確認しようとすることがあります。

一見すると相手を拒んでいるように見えても、実際には「本当に大切にされているか知りたい」という不安の表れでもあるのです。

しかし、このような行動は相手を戸惑わせやすく、「なぜ急に冷たくされるのか分からない」「どう接すればよいのか分からない」と感じさせてしまい、その結果、関係にすれ違いが生まれ、かえって不安が強まる悪循環につながることも少なくありません。

大人になっても生きづらさが続く背景

大人の愛着障害による生きづらさは、性格の問題や本人の努力不足だけで起こるものではありません。

幼少期の愛着形成や家庭環境の影響に加え、不安障害や発達障害など、ほかの要因が重なっている場合もあります。

ここでは、大人になってからも対人関係のしんどさや生きづらさが続く背景について見ていきましょう。

幼少期の愛着形成や養育環境の影響

愛着(アタッチメント)とは、乳幼児が養育者との関わりの中で育てていく「安心できるつながり」のことです。

幼少期に、気持ちを受け止めてもらえなかったり、安心して頼れる関係を築きにくかったりすると、「人は信じられない」「自分は大切にされない」といった感覚が身につきやすくなることがあります。

こうした対人関係の土台は大人になってからも影響を残すことがあり、人との距離感の取り方や不安の感じやすさ、生きづらさにつながる場合があります。

不安障害や発達障害など別の要因が重なることもある

大人の生きづらさは、愛着の問題だけで説明できるとは限りません。

不安障害やうつ状態、発達障害など、ほかの要因が重なっていることで、対人関係のしんどさや感情のコントロールの難しさが強く出ている場合もあります。

そのため、「自分は愛着障害だから」と一つの言葉だけで決めつけるのではなく、背景にどのような要因があるのかを丁寧に整理することが大切です。

愛着障害の種類

愛着障害の種類は、反応性アタッチメント障害と反応性アタッチメント障害

この章のポイント

  • 愛着障害は医学的には「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型愛着障害」の2つに分類される
  • 反応性アタッチメント障害は、人との距離を過度に取りやすく、不信感や警戒心が強く表れやすいタイプ
  • 脱抑制型愛着障害は、人との距離を詰めすぎてしまい、誰にでも過剰に近づこうとする傾向が見られる

愛着障害の医学的な分類では次の2つのタイプが定義されています。

愛着障害の種類をチェック▼

反応性アタッチメント障害

反応性アタッチメント障害は、乳幼児期に、親や養育者などの身近な大人との間で安定した関係を築けなかった場合に見られるタイプです。

人に対して強い警戒心を抱きやすく、他人を信頼したり頼ったりすることが難しい傾向があります。

そのため、周囲からは「心を開いてくれない」「冷たい人」と誤解されることもあります。

【特徴とよく見られる場面】

特徴と行動例
特徴 よく見られる場面・行動例
他人を信用できない 人から褒められても「裏があるのでは」と感じたり、相談しても結局一人で抱え込んでしまう。
恐怖心や警戒心が強い 注意を受けると「嫌われた」と感じ、強い緊張や不安に襲われる。
人の言葉に深く傷つく 何気ない一言を「拒絶」と捉え、長く落ち込んでしまう。
自傷行為がみられることがある 強い孤独感や自己否定から、自分を傷つける行動に走る場合がある。
嘘をつきやすい 本音を知られるのが怖く、防衛的にごまかしたり嘘をついてしまう。
体調不良を起こしやすい ストレスで頭痛・腹痛・倦怠感などの身体症状が出やすい。
ちょっとしたことでひどく落ち込む 相手の反応を過敏に受け取り、拒絶されたと感じて強く落ち込む。
自己肯定感が低い 「自分には価値がない」「どうせ嫌われる」といった思考に陥りやすい。
感情の起伏が少ない 喜びや悲しみを表現することが苦手で、感情が乏しく見える。
謝れない 「自分が悪い」と認めるのが怖く、謝ることで相手に支配されると感じてしまう。

脱抑制型愛着障害

脱抑制型愛着障害は、人との距離感を適切に取ることが難しく、警戒心が極端に薄いタイプです。

反応性アタッチメント障害が「過度に距離を取る傾向」だとすれば、脱抑制型愛着障害はその反対で「距離を詰めすぎてしまう傾向」が見られます。

【特徴とよく見られる場面】

特徴と行動例
特徴 よく見られる場面・行動例
人に対して過度になれなれしい 初対面の人にもすぐに話しかけたり、ボディタッチが多くなるなど、親密な距離を急にとろうとする。
誰にでもかまわず甘える・抱きつく 親しくない相手にも過剰に甘えたり、スキンシップを求める行動が見られる。
周囲の注意を引こうとする 話を遮ったり大声を出すなど、注目されることで安心しようとする。
人によって態度を変えない 相手が大人でも子どもでも同じように接し、状況に応じた距離感をとることが苦手。
落ち着きがない 集中が続かず、場面に応じた行動の切り替えが難しい。
強い自己主張・わがままな言動 思い通りにならないと癇癪を起こしたり、感情をコントロールしにくい。
乱暴な言葉や行動が出ることがある 感情が高ぶると攻撃的な言葉を使ったり、物に当たってしまうことがある。
嘘をつきやすい 叱られる不安や拒絶される怖さから、咄嗟にごまかしたり嘘をついてしまうことがある。

大人と子供の愛着障害の違い

大人と子供の愛着障害の違い

この章のポイント

  • 子どもの愛着障害は、乳幼児期を対象とした医学的な診断名であり、医療の場で診断・治療が行われる
  • 「大人の愛着障害」は正式な診断名ではなく、幼少期の愛着体験の影響が現在の人間関係や感情に表れている状態を指す一般的な表現
  • どちらも幼少期の経験がベースにあり、大人の場合は心理的課題としてカウンセリングなどで扱われることが多い

「愛着障害」は本来、子どもを対象とした医学的な診断名であり、乳幼児期に親や養育者との安定した関係づくりが難しかった場合に診断されます。

一方で、「大人の愛着障害」という言葉は正式な診断名ではなく、幼少期の愛着形成や養育環境の影響が、大人になってからも強く影響し、人間関係や感情の傾向に表れている状態を指す一般的な表現です。

子どもの愛着障害
大人の愛着障害
対象
主に乳幼児期
(6歳前後まで)
成人・青年期以降
診断分類
反応性愛着障害(RAD)
脱抑制型対人交流障害(DSED) ※医学的診断
医学的な診断名ではない ※心理的傾向を指す一般的な用語
主な原因
養育者との関係不足・虐待・ネグレクトなど
幼少期の愛着体験の影響、過去の人間関係のトラウマなど
特徴・傾向
  • 人に心を開けない
  • 警戒心が強い
  • 距離感が取れない など
  • 対人関係がうまくいかない
  • 情緒面が不安定
  • 自分に自信が持てない
  • 「自分らしさ」が分からない など
医学的扱い
精神科・児童精神科で診断・治療対象となる
診断名ではなく、心理的な課題としてカウンセリングなどで扱われる
関係性
幼少期の愛着形成の課題が、後の人間関係に影響を及ぼす場合がある
子どもの頃の経験がベースにあり、現在の対人関係に表れやすい

4つの愛着スタイル

4つの愛着スタイル(安定型・不安型・回避型・恐れ・回避型)を紹介

この章のポイント

  • 愛着スタイルとは、対人関係における信頼のしやすさや距離の取り方の傾向を示す心理学的な枠組み
  • 医学的な診断名ではないが、自分の人間関係のパターンを理解する手がかりとして役立つ
  • 愛着スタイルは「安定型・不安型・回避型・恐れ・回避型」の4つに分けて考えられる

先ほども紹介した通り、幼少期の体験は大人の対人関係にも影響を及ぼします。

皆さんのなかにはご自身がどのような対人関係の築き方を行っているかよく分からないという人もいるかもしれませんね。

そこで役に立つのが「愛着スタイル」と呼ばれる枠組みです。

愛着スタイルとは、人との関わり方や信頼のしやすさ、距離の取り方など、対人関係の傾向を示す心理学的な分類です。

医学的な診断名ではありませんが、自分がどのように他者と関わる傾向があるのかを理解するための手がかりになります。

ここでは、代表的な4つのタイプを紹介します。

気になる愛着スタイルをチェック▼

安定型

人との関係を安心して築けるタイプです。

相手の反応に過敏になりすぎず、必要以上に距離を取ることもありません。

お互いを信頼しながら、落ち着いた関係を続けることができます。

例えば、相手からの連絡が少し途切れてもすぐに「嫌われた」と思い込まず、気になることがあれば率直に話し合うことができます。

また、困った時は素直に助けを求め、相手を支えることも自然にできるため、人間関係が安定しやすい傾向があります。

不安型

相手からの反応や愛情にとても敏感で、少し距離を感じるだけでも「嫌われたのではないか」と不安になりやすいタイプです。

一度関係が深まると、相手の言葉や態度に強く影響され、感情の浮き沈みが大きくなります。例えば、メッセージの返信が少し遅れただけで心配になったり、相手の機嫌が悪いと「自分のせいかもしれない」と感じてしまうことも。

相手からの安心が得られないと不安が大きくなり、その不安が原因で関係がすれ違ってしまうといった悪循環に陥りやすい傾向があります。

回避型

自分の弱さや感情を見せるのが苦手で、他人に頼ることに抵抗を感じるタイプです。

一見すると冷静で自立しており、「一人でも大丈夫」「人に頼るのは甘え」と感じることもあります。

しかし、心の奥では「人に頼ったら裏切られるかもしれない」「迷惑をかけたくない」という不安を抱えていることがあります。

悩みがあっても、「自分でなんとかしなきゃ」と抱え込み、誰かに相談するよりも、感情を押し殺して淡々とこなそうとする傾向があります。

その結果、表面的には問題がないように見えても、心の中では孤独を感じやすく、「本音を話せる相手がいない」と感じてしまうことがあります。

恐れ・回避型

「本当は人と親しくなりたいのに、傷つくのが怖い」と感じやすいタイプです。

人に近づきたい気持ちと、距離を置きたい気持ちが同時に存在し、その間で強い葛藤を抱えやすい傾向があります。

例えば、仲良くなりかけた相手ができても、「嫌われたらどうしよう」「期待されるのが怖い」と感じ、自分から距離を取ってしまったり、急に冷たくしてしまうことがあります。

恐れ・回避型は、過去のトラウマや人間関係での裏切り経験が影響していることが多く、「もう傷つきたくない」という気持ちから、自分の心を守るように距離を取ろうとします。

狩野淳
監修者からのメッセージ
狩野淳 (臨床心理士・公認心理師)
今回紹介されている4つの愛着スタイルは、生まれつき固定されたものではなく、大人になってからも変化し得るとされています。

例えば回避型の人でも、「弱さを見せても受け止めてもらえた」「他者に頼っても大丈夫だった」という経験を重ねることで、人との関わり方が柔軟になり、安定型に近づくことがあります。

愛着スタイルと向き合う大切な視点
  • 愛着スタイルは大人になってからでも変化し得る
  • 「安定型ではない自分はダメだ」と考える必要はない
  • 他者との安心できる経験を通して、安定型に近づいていける

愛着スタイルをチェックリストで確認してみましょう

愛着スタイルセルフ診断
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以下の項目の中から、自分に当てはまると感じるものにチェックを入れてください。

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大人の愛着障害を引き起こす可能性がある障害

この章のポイント
  • 大人の愛着障害による対人不安や孤独感が続くと、心身の不調につながることがある
  • 代表的なものとして、うつ病・不安障害・社会不安障害などの精神的な不調があらわれる場合がある
  • 感情を抑え込みやすい状態が続くと、頭痛や胃痛などの心身症として体に症状が出ることもある

大人の愛着障害があると、「人とうまく関われない」「自分なんて必要とされていない」と感じることが増え、人間関係に対して不安を感じやすくなります。

そうした状態が続くと、気持ちが落ち込みやすくなったり、眠れない・体調を崩すなど、うつ病や不安障害といった心の不調に繋がることもあります。

愛着障害が引き起こす障害▼

うつ病・抑うつ状態

うつ病は、強いストレスや疲れなどがきっかけで、気分や意欲が著しく低下し、日常生活に支障が出る心の病気です。

人とうまく話せなかったり、頼ることができずに一人で悩みを抱え込んでしまうと、「自分だけがうまくいっていない」「誰も分かってくれない」と感じる日が増えていきます。

そのような状態が続くと、気持ちが沈み、次第に「何をしても楽しくない」「体を動かすのも辛い」と感じるようになることがあります。

結果として、何をするにも意欲がわかず、好きだったことにも興味を持てなくなるなど、抑うつの症状があらわれることがあります。

不安障害

不安障害とは、日常生活に支障が出るほど強い不安や緊張が続く状態を指します。

特別な理由がなくても不安が止まらなかったり、人前に出ると強い緊張を感じるなど、心と体の両方に負担がかかることがあります。

人間関係の中では、「嫌われたらどうしよう」「失敗したらどうしよう」と考えすぎてしまい、動悸や息苦しさ、手足の震え、胃の不快感といった体の症状が出ることもあります。

また、愛着障害のある方は「人に頼るのが怖い」「安心できる相手がいない」と感じやすく、その孤独感がさらに不安を強め、悪循環に陥ることもあります。

心身症

心身症は、心理的ストレスが原因となって身体の不調として現れる状態です。

愛着障害の方は、感情を我慢したり、人に気を使いすぎたりしてストレスをため込みやすい傾向があります。

その結果、慢性的な頭痛や胃痛、下痢、吐き気、肩こり、倦怠感など、原因がはっきりしない体調不良が続くことがあります。

「気のせい」「休めば治る」と放置してしまうと、心身のバランスがさらに崩れ、不安や抑うつといった他の症状を併発することもあります。

大人の愛着障害だと思ったら…

この章のポイント
  • 愛着の問題は一人で抱え込まず、専門家に相談することで整理しやすくなる
  • 気分の落ち込みや不安が続く場合は、心療内科や精神科での治療を検討する
  • 病院選びでは、対人関係の悩みやカウンセリングに対応しているかを確認する

愛着の問題は、過去の経験や人との関わり方に深く関係しているため、自分一人で整理するのは難しいことがあります。

気持ちが整理できないまま悩み続けると、さらに不安や疲れが強くなってしまうこともあります。

心療内科や精神科、臨床心理士などの専門家に相談することで、今の状態を客観的に理解し、適切なサポートや治療を受けることができます。

医療機関での治療を検討する

もし次のような状態が続いている場合は、医療機関や専門家への相談を検討してみましょう。

  • 気分の落ち込みや不安が長引いている
  • 人間関係のストレスで眠れない、食欲がない
  • 仕事や日常生活に支障が出ている
  • 「自分が悪い」と責め続けてしまう
  • 過去の出来事を思い出して苦しくなる

こうした状態は、「うつ病」「不安障害」「心身症」など、別の病気が関係している場合もあります。

まずは心療内科や精神科を受診し、今の状態を客観的に見てもらうことが大切です。

どんな病院に相談すればいいの?

心療内科や精神科を受診しましょう。心療内科・精神科はどちらも両方とも「心の不調」を扱う診療科ですが、少しだけ役割が異なります。

診療科の比較(オレンジデザイン)
診療科 特徴 向いている症状
心療内科 心のストレスが体にあらわれる不調を中心に診る科。
内科的な検査も行いながら、体と心の両面からサポートしてくれる。
胃痛・頭痛・めまい・倦怠感・食欲不振など
「体の不調が続いている」方
精神科 うつ病・不安障害・パニック障害・PTSD・発達障害など、精神的な症状を幅広く診る科。
薬物療法やカウンセリングを併用するケースが多い。
気分の落ち込み・不安・涙もろさ・人間関係のストレスなど
「心の症状が強い」方

どちらを選んでも問題はなく、病院によっては「心療内科・精神科」や「メンタルクリニック」と併記されているところも多くあります。

病院選びのチェックポイント

以下のような表記がある病院は、愛着の問題や人間関係の悩みにも理解のある医師・心理士がいる可能性が高いです。

  • ストレス・人間関係の悩み
  • 気分の落ち込み・不安・不眠」
  • 発達特性・対人関係の困りごと
  • カウンセリング・心理療法に対応
  • 臨床心理士/公認心理師が在籍
狩野淳
監修者からのメッセージ
狩野淳 (臨床心理士・公認心理師)
過去の出来事、体験について一人で向き合うことは非常に難しく、辛いことです。まずは今生じている症状や問題を解決することを意識していきましょう。

そのためには家族や友人、職場、医療機関などに相談し、時には薬の力を借りることも重要です。そして症状や問題が落ち着いてから、医師や心理師といった専門家と一緒に過去と向き合っていくステップに入ります。

回復に向けた大切なプロセス
  • 過去の辛い体験に、一人で無理に向き合おうとしない
  • まずは今の症状を落ち着かせるため、周囲や医療機関を頼る
  • 心身が安定してから、専門家と一緒に少しずつ過去と向き合う

大人の愛着障害と向き合うための対処法

この章のポイント
  • 安心できる人や居場所を持ち、孤立せずに気持ちを逃がせる環境をつくることが大切
  • 相手に過度な期待をせず、一方的に我慢を強いられる関係からは距離を取る意識を持つ
  • 不安や限界を感じた時は、早めに医療機関やカウンセラーに相談することで二次障害を防ぎやすくなる

大人の愛着障害は、「人との関係に疲れやすい」「不安や孤独を感じやすい」といった特徴を持つため、放っておくと抑うつや不安症、心身の不調といった二次障害を防ぐための対策を紹介します。

安心できる人や居場所を持つ

安心して話せる人や場所を持つことは、ストレスや不安をため込みにくくするためにとても重要です。

人は孤立していると、悩みを抱え込んだまま考えが堂々巡りになり、気づかないうちに気分の落ち込みや体調不良を引き起こすことがあります。

「この人の前では無理をしなくていい」「ここにいると落ち着く」と感じられる関係や場所があることで、安心感が得られ、心身の緊張がやわらぎやすくなります。

それは家族や友人に限らず、同じ悩みを持つ人が集まるコミュニティや、オンライン上のつながりでも構いません。

無理に人と関わる必要はありませんが、一人で抱え込まない「逃げ場」があることは、二次障害を防ぐ大切なポイントになります。

相手に過度の期待をしない

相手に完璧を求めすぎないことは、人間関係のストレスを減らし、自分を傷つけないために大切です。

「理解してほしい」「愛されたい」という気持ちは誰にでもありますが、その思いが強すぎると、相手の反応ひとつで心が大きく揺れてしまいます。

人はそれぞれに事情があり、いつも期待通りに応えてくれるわけではありません。

「相手にもできること・できないことがある」と考えるだけで、すれ違いを受け止めやすくなり、気持ちが少し楽になります。

一方的な関係を強いられる環境から距離を取る

自分ばかりが気をつかったり、我慢を続けている関係は、ストレスを蓄積させ、心身の不調に繋がりやすくなります。

どちらか一方だけが努力を続けている状態では、心のバランスが崩れやすく、そのストレスが長く続くと、うつや体調不良などの二次的な問題に繋がってしまいます。

思い切って距離を置いたり、会う頻度を減らし、無理に関係を続けるよりも、「自分を大切にできる環境」を選ぶことを意識しましょう。

気持ちを書き出して不安を整理する

感情を頭の中だけで抱え込むと、不安や怒りが膨らみ、考えが堂々巡りしやすくなります。

紙やスマホのメモに、思いついたままの言葉で気持ちを書き出すことで、頭の中が整理され、「自分は何に反応していたのか」が見えやすくなります。

その日にあった出来事や感じたことを、短い言葉で残すだけでも十分です。

気持ちを書き出して整理することで、自分の不安や反応のパターンを冷静に把握しやすくなります。

限界を感じたら早めに医療機関やカウンセラーに相談する

心身の不調を感じた時は、できるだけ早い段階で専門機関に相談することが大切です。

不眠や食欲の低下、気分の落ち込みなどの状態が続く場合、自分で対処しようとしても改善が難しく、症状が悪化するおそれがあります。

「病気かどうかを診断してもらう」というより、「今の状態を整理し、必要なサポートを受ける」ことを目的に相談するとよいでしょう。

大人の愛着障害と向き合うには

大人の愛着障害は、幼少期の養育環境や過去の対人関係の影響が、現在のコミュニケーションの傾向や感情の不安定さとして表れるものです。

自分でも気づかないうちに、人との距離感が極端になったり、相手の反応に過敏に反応してしまうなど、日常生活や仕事に影響を与えることも少なくありません。

放置すると、うつ病や不安障害、心身症といった二次的な不調に繋がることもあるため、心身の疲労や生活への支障を感じた時点で、医療機関やカウンセラーなどの専門機関に相談することが重要です。

また、安心できる人や居場所を持ち、過度な期待や我慢を減らすことも、心身の負担を軽くし、再発を防ぐための有効な方法です。

愛着の問題は「努力不足」ではありません。専門家の支援を取り入れて生活環境を整えることで、少しずつ改善することができます。

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狩野 淳

臨床心理士/公認心理師
2013年に心理学部を卒業後、大学院で発達・臨床心理学を学び、臨床心理士・公認心理師を取得。福祉事業所に勤務し、子どもと保護者を対象に心理支援を行っている。ABAやCBT、ブリーフセラピーを用いた実践的な支援を提供している。

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