双極症(双極性障害)の方に向いている仕事とは?働き続けるポイントを解説
- 双極症(双極性障害・躁うつ病)とは
- 渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
- 双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が仕事で感じる困りごとは?
- 気分の波によって仕事のパフォーマンスに影響が出ることがある
- スケジュールやタスク管理が難しい
- 上司や同僚などとの人間関係トラブルが起こりやすい
- 仕事が休みがちになる・長く続かない
- 渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
- 双極症(双極性障害)の方が仕事を始めるタイミングは?
- 躁状態・軽躁状態の時に大きな判断を急がない
- 働き始める前に確認したいこと
- 主治医や支援機関と相談しながら判断する
- 渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
- 双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が働きやすい環境・おすすめの働き方って?
- 障害や症状について相談しやすい職場
- 定期的に相談できるサポート体制がある
- 勤務時間や働き方を調整しやすい
- 急な予定変更や業務の増減が少ない
- 決まった流れで進められるルーティンワークが中心
- 刺激が少なく落ち着いて働きやすい環境
- 双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が向いている仕事とは?
- 事務補助・データ入力など手順が決まっている仕事
- 軽作業・清掃など業務内容の変化が少ない仕事
- 一人で集中して進めやすい仕事
- 在宅勤務を取り入れやすい仕事
- 職種名だけでなく仕事内容や職場環境も確認する
- 双極症(双極性障害)の方が利用できる支援制度
- 自立支援医療(精神通院医療)
- 障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
- 障害年金
- 双極症(双極性障害)の方が仕事について相談できる機関
- 現在働いている場合は上司・人事・産業医などに相談する
- ハローワーク(障害者専門窓口)
- 障害者雇用専門の転職エージェント
- 就労移行支援
- 就労移行支援manaby(マナビー)について
- 双極症(双極性障害)と仕事に関するよくある質問
- 双極症(双極性障害)があっても仕事を続けることはできますか?
- 双極症(双極性障害)の方に向いている仕事はありますか?
- 双極性障害でも障害者雇用枠で働けますか?
- 双極症(双極性障害)と付き合いながら、自分らしく仕事をするには
- 渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
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双極症(双極性障害・躁うつ病)があると、気分の波が大きくなりやすく、仕事を安定して続けられるか不安に感じる方も少なくありません。
「職場で迷惑をかけてしまうのでは」「自分に合った仕事ってあるの?」と悩みながらも、双極症(双極性障害)があってもできるだけ自分らしく仕事をしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、双極症(双極性障害・躁うつ病)の基本的な特性や仕事で直面しやすい困りごと、働きやすい環境の特徴、利用できる支援制度や相談機関について分かりやすく解説しています。
仕事に対する不安を少しでも減らしたい方、双極症(双極性障害・躁うつ病)と向き合いながら自分に合った働き方を見つけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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双極症(双極性障害・躁うつ病)とは
双極症(双極性障害・躁うつ病)は、気分や活動性が大きく変化する精神疾患です。主な特徴は、気分が高揚して活動性が高まる「躁状態」または「軽躁状態」と、気分が落ち込み意欲や活動性が低下する「うつ状態」が現れることです。
例えば、躁の時には「なんでもできそう」「寝なくても平気」と感じて、仕事や買い物、人との会話も止まらなくなることがあります。
一方、うつ状態の時には「何もやる気が起きない」「自分には価値がない」と感じて、日常生活すら辛くなることがあります。
症状の現れ方や程度には個人差があり、Ⅰ型・Ⅱ型によっても特徴が異なります。
双極症(双極性障害・躁うつ病)について詳しく知りたい方は、双極性障害(双極症/躁うつ病)とは?うつ病との違いや症状・原因・治療までを解説をご覧ください。
参考:厚生労働省「令和元年版厚生労働白書 第1部 全世代型社会保障に向けて」、日本うつ病学会「(参考:厚生労働省「令和元年版厚生労働白書 第1部 全世代型社会保障に向けて」、日本うつ病学会「双極性障害(双極症)2023 診療ガイドライン」
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が仕事で感じる困りごとは?

- 双極性障害による仕事への影響は、症状の現れ方やその時の体調によって異なる。
- 躁状態・軽躁状態とうつ状態では、仕事で感じる困りごとが異なる場合がある。
- 自分に現れやすい症状と仕事への影響を整理することが、自分に合った働き方を考える手がかりになる。
双極症(双極性障害・躁うつ病)のある方の中には、「どんな仕事が自分に合っているのか分からない」「仕事が続かないのは自分のせいかも…」と悩んでいる方も少なくありません。
双極性障害は、躁状態・軽躁状態とうつ状態など、その時の症状によって活動量や集中力、コミュニケーションなどに変化が現れる場合があります。ただし、症状の現れ方や仕事への影響には個人差があります。
ここでは、双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が仕事をする中で感じることのある困りごとを整理して紹介します。
気分の波によって仕事のパフォーマンスに影響が出ることがある
双極症(双極性障害・躁うつ病)では、その時の症状によって集中力や活動量などが変化し、仕事の進め方に影響が出る場合があります。
特に、躁状態・軽躁状態とうつ状態では、仕事で現れる困りごとが異なることがあります。
| 状態 | 仕事で起こることのある困りごと |
|---|---|
| 躁状態・軽躁状態 | 活動的になり、必要以上に多くの仕事を引き受けてしまう |
| 自分の判断で仕事を進めすぎて、周囲との認識にずれが生じる | |
| 会話が増えたり、人との距離が普段より近くなったりする | |
| うつ状態 | 仕事に取りかかりにくくなったり、集中が続きにくくなったりする |
| 注意力が低下し、普段よりミスが増える | |
| 朝起きることや出勤に負担を感じる |
こうした変化がすべての方に現れるわけではありません。
自分の場合はどのような時に仕事へ影響が出やすいのかを振り返っておくと、業務量の調整や職場への相談など、必要な対応を考えやすくなります。
スケジュールやタスク管理が難しい
双極症(双極性障害・躁うつ病)では、気分の波によって「できること」と「できないこと」の幅が大きく変わるため、スケジュールやタスクの管理が難しくなることがあります。
その結果、「計画通りに進められない」「やるべきことが頭で分かっていても行動に移せない」といった悩みを抱えてしまいます。
| 状態 | 困りごと |
|---|---|
| 躁状態 | 予定を詰め込みすぎ、結局すべて中途半端になる |
| 新しい仕事や予定を次々と増やしてしまう | |
| 十分に計画を立てる前に行動を始めてしまう | |
| うつ状態 | タスクに取りかかるまでに時間がかかる |
| やるべきことが分かっていても、行動に移しにくくなる | |
| 起床や出勤準備など、日常的な予定をこなすことに負担を感じる |
気分や体調によって予定通りに進めにくい時がある場合は、自分に現れやすい変化を把握し、タスク量やスケジュールを調整しやすい環境を考えることも大切です。
上司や同僚などとの人間関係トラブルが起こりやすい
双極症(双極性障害・躁うつ病)では、症状によって話し方や活動性、人との関わり方に変化が現れ、職場でのコミュニケーションに影響する場合があります。
例えば、躁状態・軽躁状態では普段より会話が増えたり、自信が強く表れたりすることがあります。一方、うつ状態では返事や会話に時間がかかったり、人との関わりを負担に感じたりすることがあります。
| 状態 | 困りごと |
|---|---|
| 躁状態 | 相手の反応や表情に気づかないまま一方的に話し続けてしまう |
| テンションが高すぎて、場の空気に合わなくなる | |
| 自信過剰に見られ、「偉そう」と誤解される | |
| 初対面や親しくない相手にもフレンドリーに話しかけすぎたり、プライベートな話をしてしまう | |
| うつ状態 | 話しかけられても反応できず、「無愛想」と思われる |
| 表情や反応が少なくなり、「やる気がない」と誤解される | |
| 返事や対応が遅れ、注意されることが増える | |
| 人との関わりを避けてしまい、孤立しやすい |
仕事が休みがちになる・長く続かない
双極症(双極性障害)の症状によって、出勤や仕事を続けることが難しくなる場合があります。
特にうつ状態では、朝起きることや出勤、仕事に取り組むこと自体に負担を感じ、欠勤や遅刻が増えることがあります。また、躁状態や軽躁状態の時に仕事を抱えすぎると、その後に負担が大きくなり、働き続けることが難しくなる場合もあります。
こうした状態が続くと、欠勤が増えたり、退職や転職を繰り返したりして、「仕事が長く続かない」と感じることがあります。
ただし、仕事が続きにくいことは本人の意欲や努力だけが原因ではありません。双極性障害の症状や業務量、勤務時間、職場環境など様々な要因が関係します。
安定して働き続けるためには、自分に現れやすい症状や負担になりやすい状況を整理し、自分に合った働き方や職場環境を考えることが大切です。

渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
双極Ⅰ型に比べて仕事を続けられやすい双極Ⅱ型は、元の性格部分と症状の区別がつきにくいとされています。これは周囲の理解を得にくいだけではなく、当事者である本人にも病識を持つことへの困難さに繋がるでしょう。場合によっては躁状態を本人が「調子が良い」と受け取ってしまうこともあるので、しっかりと症状について確認していきましょう。

双極症(双極性障害)の方が仕事を始めるタイミングは?
- 仕事を始めるタイミングは、気分だけでなく生活リズムや体調の安定も含めて考えることが大切。
- 躁状態・軽躁状態では「今なら働ける」と感じやすいため、大きな判断を急がないようにする。
- 主治医や支援機関と相談しながら、自分に合った働き方や仕事量を考える。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方の中には、「今の状態で働き始めても大丈夫なのか」「また体調を崩さないか」と、仕事を始めるタイミングに悩む方もいます。
うつ状態が落ち着いてくると、「早く社会復帰しなければ」と焦ったり、躁状態の時には「なんでもできそう」と勢いで動き出したくなることもあります。
しかし、体調が安定していないまま無理に働き始めてしまうと、途中で疲れてしまったり、再発することがあります。だからこそ、仕事を始めるタイミングは慎重に見極めることが大切です。
躁状態・軽躁状態の時に大きな判断を急がない
躁状態・軽躁状態では、気分が高揚し、普段より活動的になったり、自信が高まったりして、「すぐに働ける」「もっと多く働ける」と感じることがあります。またアイデアが次々と浮かんだり、エネルギーにあふれて積極的に動きたくなるのもこの時期の特徴です。
しかし、躁状態・軽躁状態では、自分の活動量や負担を客観的に判断しにくくなることがあります。仕事を始める時期や勤務時間などを大きく変える際は、その時の勢いだけで決めず、少し時間を置いて考えることも大切です。
働き始める前に確認したいこと
仕事を始める時期を考える際は、気分の良し悪しだけではなく、日常生活がどの程度安定しているかも確認してみましょう。
例えば、以下のような点を振り返ると、主治医や支援機関へ相談する際にも状況を伝えやすくなります。
- 起床時間や就寝時間が大きく乱れていないか
- 日中に一定時間活動しても、強い負担が残らないか
- 通院や服薬など、治療を継続できているか
- 自分に現れやすい躁状態・軽躁状態、うつ状態のサインを整理できているか
- どの程度の勤務時間や業務量なら取り組めそうか
すべての項目が整っていなければ働けないという意味ではありません。症状や生活状況には個人差があるため、自分の状態を整理するための目安として活用してください。
主治医や支援機関と相談しながら判断する
仕事を始めるタイミングや働き方に迷った時は、一人で判断せず、主治医や支援機関に相談することも大切です。
自分では「大丈夫」と感じていても、躁状態や回復期の判断は偏りやすく、第三者の視点が入ることで、より客観的に無理のない判断ができるようになります。
主治医には、現在の症状や生活リズム、治療状況などを踏まえて、働き始める時期や働き方について相談できます。
また、就労移行支援などの支援機関では、生活リズムを整えながら働く準備を進めたり、自分に合った勤務時間や仕事内容を整理したりすることができます。
仕事を始める時期だけでなく、「最初はどの程度の勤務時間から始めるか」「どのような職場環境が合っているか」まで含めて相談することで、無理のない働き方を考えやすくなります。
不安や迷いを一人で抱え込まず、相談しながら少しずつ準備を進めることが、長く安定して働き続けることに繋がります。

渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
双極性障害の方は少しでもうつ状態が改善すると、ついつい無理をして軽躁状態になって過活動となってしまう場合があります。すると無意識の内に疲労は蓄積し、再びうつ状態が再燃してしまう悪循環に陥りやすくなるかもしれません。焦りの気持ちがあったとしても、“急いては事を仕損じる”ことがないよう慎重な判断が必要となります。主治医や支援機関とよく相談し、適切な介入を受け入れるべきでしょう。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が働きやすい環境・おすすめの働き方って?

- 双極性障害の方が働きやすい環境は、症状や負担に感じることによって異なる。
- 勤務時間や業務量が安定し、体調について相談しやすい職場は、無理のない働き方につながる。
- 職種だけでなく、仕事内容や勤務条件、相談体制などを確認して職場を選ぶことが大切。
双極症(双極性障害・躁うつ病)のある方にとって、「調子がいい時」と「上手くいかない時」の波があるのはごく自然なことです。
症状の現れ方や負担に感じることには個人差があるため、「双極性障害ならこの働き方が合う」と一律に決めることはできません。
自分にとって負担になりやすい状況を整理し、どのような環境であれば働きやすいかを考えてみましょう。
障害や症状について相談しやすい職場
双極症(双極性障害・躁うつ病)は、外見だけでは体調の変化が分かりにくい場合があります。また、本人も気分や活動量の変化にすぐ気づけるとは限りません。
本人も予期せぬタイミングで変わることがあるため、同じ仕事であってもパフォーマンスに差が出ることは良くある特徴です。
そのため、体調や仕事上の困りごとについて、上司や人事などに相談しやすい職場であることは大切なポイントです。
例えば、次のような環境があると、困りごとを早めに共有しやすくなります。
- 体調について相談できる担当者が決まっている
- 定期的に上司や人事と面談する機会がある
- 業務量や勤務時間について相談できる
- 通院のための休暇や勤務時間について相談できる
このような配慮を前提にした職場として、障害者雇用制度や特例子会社があります。
- 障害者雇用:企業が一定割合で障害のある方を雇用する制度で、業務内容や勤務時間に配慮がされていることが多く、通院や体調の波に対する理解も得やすい傾向があります。
- 特例子会社:親会社の支援を受けて運営されているため、障害のある方が働きやすい環境が整っている企業です。障害に理解のあるスタッフや支援体制が充実しており、静かで落ち着いた職場環境であることが多いのも特徴です。
特に、体調や気分の波が予測しにくい方や、人間関係・職場環境の変化に敏感な方にとっては、こうした配慮のある職場は、無理なく働き続けるための大きな安心材料になります。
障害者雇用の対象や仕組み、働くうえで利用できるサポートについて詳しく知りたい方は、障害者雇用とは何か?対象・仕組み・安心して働けるサポート制度まで徹底解説をご覧ください。
また、特例子会社の特徴や一般企業との違い、働き方について詳しく知りたい方は、特例子会社とは?一般企業との違い・メリットデメリット・働き方をわかりやすく解説をご覧ください。
定期的に相談できるサポート体制がある
双極症(双極性障害・躁うつ病)のある方が無理なく働き続けるためには、一人で抱え込まずに相談できる環境があることがとても大切です。
気分や体調の変化は、自分では気づきにくい場合があります。また、「何をどこまで相談すればよいのか分からない」と感じる方もいます。
そのため、必要な時だけ相談するのではなく、定期的に体調や働き方について振り返る機会があると、小さな変化や困りごとを共有しやすくなります。
例えば、以下のような体制があります。
- 上司や人事との定期面談がある
- 産業医や保健師に相談できる機会がある
- 業務量や勤務時間について定期的に確認できる
- 困った時に相談する担当者が決まっている
定期的に相談する機会がある職場であれば、体調や仕事上の負担について早めに共有し、必要に応じて働き方を見直しやすくなります。
勤務時間や働き方を調整しやすい
双極症(双極性障害・躁うつ病)のある方は、気分の波によって集中力や体力にばらつきが出ることがあるため、決まった時間に毎日同じペースで働くことが難しい場合もあります。
そのため、通院や体調に合わせて勤務時間を相談できるなど、働き方を調整しやすい職場は選択肢の一つです。
例えば、以下のような制度があると心と身体の負担を抑えながら、自分のペースで働きやすくなります。
| 働き方 | 内容 |
|---|---|
| 時差出勤 | 始業・終業時間をずらして勤務できる |
| 短時間勤務 | 1日の勤務時間を短くして働ける |
| フレックスタイム制度 | 一定のルールの範囲内で始業・終業時間を調整できる |
| リモートワーク(在宅勤務) | 通勤による負担を減らし、自宅で働ける場合がある |
ただし、勤務時間を自由に変えられることが、必ずしも働きやすさにつながるとは限りません。
例えば、勤務時間が日によって大きく変わる働き方や、夜勤を含む不規則なシフトでは、睡眠や生活リズムを保ちにくくなる場合があります。
そのため、制度の多さだけで判断するのではなく、自分にとって無理のない勤務時間を維持できるか、必要な時に調整について相談できるかを確認することが大切です。
急な予定変更や業務の増減が少ない
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が働きやすい環境を考えるうえでは、予定や業務量の見通しを立てやすいことも大切です。
急な予定変更や業務量の増減が多い職場では、その都度対応が必要になり、心身の負担が大きくなる場合があります。また、時間外労働や休日勤務が少なく、勤務時間が安定していることもポイントの1つです。
例えば、以下のような環境であれば、仕事のペースを保ちやすくなります。
- 1日の業務内容や優先順位がある程度決まっている
- 急な仕事の追加や予定変更が少ない
- 繁忙期と通常時で業務量の差が大きすぎない
- 残業や休日出勤の頻度が高くない
勤務時間や業務量が安定していれば、翌日の予定や休息の時間も確保しやすく、無理のないペースで仕事に取り組みやすくなります。
また、「急に仕事が増えるかもしれない」「残業になるかもしれない」といった不安が少ない職場であれば、仕事の見通しを持ちやすくなるでしょう。
決まった流れで進められるルーティンワークが中心
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方の中には、その都度判断が必要な仕事や、急な対応が多い仕事に負担を感じる方もいます。
そのような場合は、作業手順や業務の流れがある程度決まっている仕事の方が、見通しを持って取り組みやすくなります。
例えば、以下のような特徴がある仕事です。
- 作業手順や進め方が決まっている
- 1日の業務内容が大きく変わりにくい
- 急な判断や臨機応変な対応が頻繁に求められない
- 1つひとつの作業を自分のペースで進めやすい
こうしたルーティンワーク中心の仕事は、次に何をするかが分かりやすく、仕事の見通しを立てやすい点が特徴です。
ただし、働きやすい仕事内容は人によって異なります。ルーティンワークかどうかだけでなく、業務量や勤務時間、職場環境などもあわせて確認することが大切です。
刺激が少なく落ち着いて働きやすい環境
双極性障害(双極性障害・躁うつ病)の方の中には、周囲の音や人の出入り、慌ただしい雰囲気などに負担を感じる方も少なくありません。
特に体調が不安定な時や気分が落ち込んでいる時は、騒がしい職場や慌ただしい雰囲気は大きなストレスです。
そのため、刺激が少なく、自分のペースで作業しやすい環境かどうかも、職場選びのポイントの1つです。
例えば、以下の環境であると自分のペースを保ちやすく、環境の影響を受けにくくなることで、無理なく安定した働き方に繋がりやすいでしょう。
- 周囲の会話や電話の音が少ない
- 一人で集中して作業できるスペースがある
- 人の出入りや急な声かけが多すぎない
- 落ち着いた雰囲気で仕事を進めやすい
仕事内容だけでなく、どのような場所や雰囲気であれば集中しやすいか、負担を感じにくいかも確認してみましょう。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が向いている仕事とは?

- 向いている仕事は職種名だけでなく、業務量や勤務時間、職場環境も含めて考えることが大切。
- 手順や業務の流れが決まっており、仕事の見通しを立てやすい業務は選択肢の1つ。
- 同じ職種でも仕事内容や働き方は異なるため、実際の勤務条件まで確認する。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が無理なく働き続けるためには、仕事内容だけでなく、勤務時間や業務量、職場環境なども含めて、自分に合っているかどうかを見極めることが大切です。
例えば、前章で紹介したような「業務の流れがある程度決まっている」「急な予定変更が少ない」「自分のペースで進めやすい」といった条件を満たす仕事は、選択肢になりやすいでしょう。
もちろん、「向いている仕事」は人それぞれ異なります。大切なのは、自分に合った働き方を見つけて、無理なく続けていけることです。
例えば、以下のような仕事があります。
事務補助・データ入力など手順が決まっている仕事
事務補助やデータ入力、書類のスキャンなどは、担当する業務や作業手順がある程度決まっている場合があります。
仕事の進め方を把握しやすく、急な判断や対応が少ない業務であれば、見通しを持って取り組みやすいでしょう。
ただし、同じ事務職でも電話対応や来客対応、複数の業務を同時に進めることが多い職場もあります。
もちろん、「向いている仕事」は人それぞれ異なります。大切なのは、自分に合った働き方を見つけて、無理なく続けていけることです。
軽作業・清掃など業務内容の変化が少ない仕事
商品の仕分けや検品、清掃などの仕事も、作業内容や担当範囲が明確であれば選択肢の1つです。
決められた手順に沿って進める業務は、その都度複雑な判断を求められる仕事と比べて、仕事の流れを把握しやすい場合があります。
一方で、立ち仕事の時間や作業スピード、勤務時間帯などによって負担は異なります。仕事内容だけでなく、体力面や勤務条件もあわせて確認しましょう。
一人で集中して進めやすい仕事
周囲とのコミュニケーションや頻繁な割り込みに負担を感じる場合は、一人で集中する時間を確保しやすい仕事も選択肢になります。
例えば、データ入力や書類整理、制作業務など、担当する範囲が明確で、自分のペースで進めやすい業務があります。
ただし、人との関わりが少ない仕事がすべての方に合うわけではありません。相談しやすい環境がある方が安心して働ける場合もあるため、自分に合う仕事の進め方を考えることが大切です。
在宅勤務を取り入れやすい仕事
通勤や職場環境に負担を感じる場合は、在宅勤務を取り入れられる仕事も選択肢の1つです。
例えば、ライティングやWeb制作、データ入力など、パソコンを使って進められる業務には在宅勤務が可能なものもあります。
在宅勤務には通勤による負担を減らせるメリットがありますが、仕事と休息の切り替えや勤務時間の管理が必要になる場合もあります。
「在宅勤務だから働きやすい」と決めるのではなく、業務量や勤務時間、相談体制なども含めて確認しましょう。
職種名だけでなく仕事内容や職場環境も確認する
双極症(双極性障害)の方に向いている仕事は、一人ひとりの症状や得意・不得意、希望する働き方によって異なります。
そのため、「事務職だから向いている」「在宅勤務だから続けやすい」と職種や働き方だけで判断するのではなく、次のような条件も確認することが大切です。
- 勤務時間や業務量が大きく変わらないか
- 急な予定変更や対応が頻繁にないか
- 自分のペースで仕事を進めやすいか
- 困った時に相談できる人や体制があるか
- 必要な配慮について相談できるか
自分だけで仕事選びの条件を整理することが難しい場合は、就労移行支援などを活用し、体調や希望を整理しながら自分に合った仕事を探す方法もあります。
そのためにも、就労移行支援などを活用しながら、自分の体調や希望に合わせた仕事を一緒に探していくという方法も、1つの選択肢です。

双極症(双極性障害)の方が利用できる支援制度

- 通院にかかる医療費の負担を軽減できる制度として、自立支援医療(精神通院医療)がある。
- 精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者雇用枠での就職や様々な支援につながる。
- 生活や仕事への影響が大きい場合は、一定の要件を満たすことで障害年金の対象となる可能性がある。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が治療を続けながら仕事を探したり、働き続けたりするうえで、経済的な負担や就職活動を支える制度を利用できる場合があります。
ここでは、双極症(双極性障害)の方が利用を検討できる代表的な3つの制度を紹介します。
自立支援医療(精神通院医療)
自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患の治療のため継続的な通院が必要な方を対象に、通院医療にかかる自己負担を軽減する制度です。利用した場合、対象となる医療費の自己負担は原則1割となります。また、所得などに応じて月ごとの自己負担上限額が設定される場合があります。
対象には、診察や薬の処方、精神科デイケアなど、精神疾患の通院治療に関する医療が含まれます。
通院を続けながら仕事や就職活動に取り組む方にとって、医療費の負担を抑えるために活用できる制度の1つです。
自立支援医療の対象となる方や申請方法、自己負担額について詳しく知りたい方は、自立支援医療とは?仕組みと対象者についてをご覧ください。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)は、精神障害によって日常生活や社会生活に一定の制限がある方を対象とした手帳です。障害の状態に応じて1級・2級・3級に区分されます。
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害によって日常生活や社会生活に一定の制限がある方を対象とした手帳です。
障害の状態に応じて1級・2級・3級に区分されます。
手帳を取得すると、例えば以下のような支援を利用できる場合があります。
- 税金の控除や軽減
- 公共交通機関や施設などの割引
- 障害者雇用枠への応募
特に仕事を探している方にとっては、障害者雇用枠での就職を検討できるようになる点が大きなポイントです。
ただし、利用できる割引やサービスは、住んでいる地域や事業者によって異なります。詳しい内容は、お住まいの自治体や利用するサービスの公式情報を確認しましょう。
精神障害者保健福祉手帳の申請条件や手続き、利用できる支援について詳しく知りたい方は、精神障害者保健福祉手帳とは?取得の条件・支援内容・申請手続きまで解説をご覧ください。
障害年金
障害年金は、病気やけがにより働くことや日常生活に支障がある方を対象に、一定の条件を満たすと支給される公的な年金制度です。双極症(双極性障害・躁うつ病)も対象となる場合があります。ただし、診断を受けているだけで受給できるわけではなく、症状の状態や日常生活・仕事への影響などをもとに判断されます。
年金は原則2か月ごとに支給され、生活費の補助や、治療や働く準備に専念する期間の経済的な支えとなります。
申請する際は、主に以下のような点が確認されます。
- 初めて医療機関を受診した日(初診日)
- 日常生活や仕事にどの程度の支障があるか
- 年金保険料を一定期間納めているか
「双極性障害で仕事を続けることが難しい」「生活への影響が大きい」と感じている方は、障害年金を利用できるか確認してみるのも選択肢の1つです。
障害年金の対象となる方や申請条件、働きながら受給できるかなどについて詳しく知りたい方は、障害年金とは?初心者向けにやさしく解説をご覧ください。
双極症(双極性障害)の方が仕事について相談できる機関

- 仕事探しや働き方に悩んだ時は、一人で抱え込まず専門機関に相談できる。
- 求人探しだけでなく、自分に合った働き方や必要な配慮について相談できる窓口もある。
- 現在の状況や相談したい内容に合わせて、利用する機関を選びましょう。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方の中には、「自分に合う仕事が分からない」「働き始めても長く続けられるか不安」「今の働き方を見直したい」と悩む方もいます。
仕事に関する悩みは、一人で整理することが難しい場合もあります。そのような時は、就職活動や働き方について相談できる専門機関を活用することも選択肢の1つです。
ここでは、双極症(双極性障害・躁うつ病)の方が仕事について相談できる主な機関を紹介します。
現在働いている場合は上司・人事・産業医などに相談する
現在働いていて、「最近休みが増えている」「業務量が負担になっている」「このまま仕事を続けられるか不安」と感じている場合は、まず職場内で相談できる相手がいないか確認してみましょう。
例えば、以下のような相談先があります。
- 上司
- 人事・労務担当者
- 産業医
- 保健師
- 社内の相談窓口
職場によって利用できる制度や相談体制は異なるため、就業規則や社内制度も確認してみましょう。
また、職場だけで整理することが難しい場合は、主治医や外部の就労支援機関に相談しながら、どのような働き方が合っているか考えることもできます。
ハローワーク(障害者専門窓口)
ハローワークには、障害のある方の就職について専門的に相談できる窓口(障害者専門窓口)があります。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方も利用でき、障害の状態や希望する働き方などを相談しながら、就職活動を進めることができます。
例えば、障害者専門窓口では、以下のようなサポートを受けることができます。
- 障害者雇用枠を含む求人について相談する
- 自分に合った仕事内容や働き方を整理する
- 履歴書や職務経歴書など応募書類について相談する
- 面接や就職活動の進め方について相談する
- 就職後の職場定着について相談する
「どんな仕事を探せばよいか分からない」という段階でも利用できます。
最寄りの窓口については、厚生労働省「ハローワーク」から、お住まいの地域にあるハローワークを探すことが可能です。
まずは最寄りのハローワークに問い合わせてみることをおすすめします。
障害者雇用専門の転職エージェント
障害者雇用に特化した転職エージェントは、一般の転職サイトやエージェントと違い、障害者雇用専門のエージェントは、障害のある方の就職・転職について相談しながら、求人を探すことができます。
双極症(双極性障害・躁うつ病)の方も、体調や希望する働き方、必要な配慮などを伝えたうえで、自分に合う求人について相談できます。
サービスによって異なりますが、例えば以下のようなサポートがあります。
- 希望する仕事内容や働き方についての相談
- 障害者雇用枠の求人紹介
- 履歴書や職務経歴書など応募書類の添削
- 面接の準備や練習
- 企業へ伝える配慮事項についての相談
- 入社後の働き方に関する相談
「どのような求人があるのか知りたい」「自分に合う職場を一人で探すのが難しい」と感じる場合に、活用できる選択肢の1つです。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、働くための準備から就職活動、就職後の定着までをサポートする福祉サービスです。
障害者雇用に対応した転職支援サービスとの大きな違いは、就職活動を始める前の準備から支援を受けられることです。
障害者雇用に対応した転職支援サービスは、求人紹介や応募、面接など、就職・転職活動のサポートが中心です。一方、就労移行支援では、生活リズムを整えたり、仕事に必要なスキルを身につけたり、自分に合う働き方や必要な配慮を整理したりしながら、就職に向けた準備を進められます。
そのため、「すぐに求人を探したい」という方は転職支援サービス、「まずは働くための準備から始めたい」という方は就労移行支援が選択肢になります。
就労移行支援manaby(マナビー)について
就労移行支援manaby(マナビー)では、双極症(双極性障害・躁うつ病)だけでなく、精神障害や発達障害、難病のある方が自分らしく働くための支援を行う場所です。
一人ひとりの体調や希望に合わせた個別支援を大切にしており、「どのような仕事が自分に合っているか」「どのような働き方なら続けやすいか」といったことも、支援員と一緒に整理できます。
例えば、以下のような支援を受けられます。
「調子の波があるから働くのが不安」「今の自分にできる仕事があるか分からない」と働くことへお悩みがある方はぜひ、お気軽にご相談ください。
双極症(双極性障害)と仕事に関するよくある質問
双極症(双極性障害)と仕事に関するよくある質問をまとめました。
双極症(双極性障害)があっても仕事を続けることはできますか?
双極症(双極性障害)があっても、自分に合った仕事内容や勤務時間、職場環境を選びながら働いている方はいます。
長く働き続けるためには、気分や体調の変化を把握し、無理のない業務量を意識することが大切です。また、必要に応じて職場や主治医、支援機関などに相談する方法もあります。
双極症(双極性障害)の方に向いている仕事はありますか?
一律に「この仕事が向いている」と決まっているわけではありません。
例えば、作業手順が決まっている仕事や、急な予定変更が少ない仕事、自分のペースで進めやすい仕事などが選択肢になる場合があります。
職種名だけでなく、勤務時間や業務量、職場の相談体制なども含めて、自分に合っているか確認することが大切です。
双極性障害でも障害者雇用枠で働けますか?
精神障害者保健福祉手帳を取得している場合は、障害者雇用枠への応募を検討できます。
障害者雇用枠では、障害の特性や必要な配慮について企業と相談したうえで働くことができます。
ただし、仕事内容や受けられる配慮は企業によって異なるため、応募前に確認することが大切です。
双極症(双極性障害)と付き合いながら、自分らしく仕事をするには
双極症(双極性障害・躁うつ病)があると、気分や体調の変化によって仕事への取り組みやすさが変わり、「このまま働き続けられるだろうか」と不安を感じることもあります。
そのような時は、職種だけでなく、勤務時間や業務量、職場環境、相談体制なども含めて、自分に合った働き方を考えることが大切です。
また、睡眠や生活リズムを整えたり、自分に現れやすい体調の変化を把握したり、困りごとを早めに相談したりすることも、仕事を続けるうえでの工夫になります。
一人で働き方を整理することが難しい場合は、主治医や職場、ハローワーク、就労移行支援などに相談する方法もあります。
双極性障害があるからといって、働き方が一つに決まるわけではありません。自分にとって負担になりにくい条件や必要な配慮を整理しながら、続けやすい仕事や働き方を少しずつ見つけていきましょう。

渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
私たちは誰でも気分の良い日もあれば、そうでない日もあります。双極性障害はそんな当たり前の垣根を越えて、自分ではコントロールできずに振り回されて、生活に支障をきたしてしまう疾患です。
うつ病とよく似た症状を持つこともあり、病院で正しい診断がなされない場合や、周囲に正しく理解が得られずに孤独感を募らせることもあります。自分でも本当に良くなっているのか分かりにくい疾患のため、この記事を読むことで症状の把握の手助けになるでしょう。
双極性障害はⅠ型・Ⅱ型、共に抑うつ症状を伴う期間が長く、悲観的な考えに至りやすくなります。「双極性障害があるから働けない」と決めつけず、仕事の相談ができる機関を活用し、続けやすい方法を見つけることが、自分らしい働き方への第一歩になるでしょう。


渡部 和樹 (臨床心理士/公認心理師)
日本人には“うつ”よりも馴染みが少ない“躁”ですが、実は本人だけではなく周囲にも強い影響を及ぼす恐れのある症状です。双極性障害はその“躁”の症状の強さによってタイプが区別され、治療や予後なども異なります。日本を代表する双極性障害の研究者である加藤忠史先生は「双極Ⅰ型障害というのは、入院が必要になるほど激しく、放っておいたら本人の人生が台無しになってしまうようなひどい躁状態、そしてうつ状態を繰り返すもので(中略)双極Ⅱ型障害というのは本人も困らない程度の軽い躁状態である軽躁状態と、うつ状態を繰り返す(2009)」との説明です。