就労移行支援事業所の選び方！5つのポイントと探し方を分かりやすく解説

就労移行支援を利用したいと思っても、「どんな事業所を選べばいいのか分からない」と迷ってしまう方は少なくありません。

就労移行支援の選び方によって、通所のしやすさや続けやすさ、そして就職のしやすさまで大きく変わります。

この記事では、自分に合った就労移行支援の選び方を丁寧に解説しながら、実際にサービスを利用した方へのアンケートをもとに、どんなポイントを重視して選んだのかをご紹介します。

就労移行支援とは？

就労移行支援とは、障害や疾患を持つ方が、一般企業への就職を目指すためのサポートを受けられる福祉サービスです。

具体的には、職業訓練やスキルアップのためのプログラム、就職活動のサポート、就職後のフォローなど、就職に向けた様々な支援が受けられます。

原則として利用期間は最長2年間ですが、就職までの期間は人によって様々です。

自分のペースに合わせて少しずつ就職準備を進めることができ、早ければ1年〜1年半ほどで就職に繋がるケースも多く見られます。

就労移行支援を選ぶ前に大切にしたい視点

就労移行支援を選ぶうえで、まず前提として大切なのは「ストレスが少なく、無理なく通所を続けられるかどうか」です。

どれだけプログラムの内容が魅力的でも、通所自体が負担になってしまうと継続は難しくなります。

毎日通うことで生活リズムが整い、体力や集中力も少しずつ身についていきます。こうした習慣は、働き始めた後にも役立つ基盤となります。

特に障害者雇用では、「安定して通えている＝職場でも継続して働ける」と評価されることもあるため、まずは「無理なく通い続けられるかどうか」を基準に就労移行支援を選ぶことが重要です。

就労移行支援の選び方：5つのポイントを徹底解説

就労移行支援は、事業所ごとに支援の内容や方針、雰囲気が異なります。

そのため、自分に合った場所を見つけることが、無理なく通所を続けるためにも、就職に向けたステップとしてもとても大切です。

ここでは、就労移行支援の事業所を選ぶ際に確認しておきたい5つのポイントを分かりやすく解説します。

支援内容や環境、実績などを幅広い視点で見ながら、自分に合った事業所を見つけていきましょう。

自分の特性や困りごとに合った支援があるか

自分が抱えている困りごとに合ったサポートが受けられるかどうかは、就労移行支援を選ぶうえで重要なポイントのひとつです。

例えば「人と話すのが苦手」「体調に波がある」などのお悩みを持つ方も多く、それに対してどのような支援が用意されているかは、通所の継続や就職のしやすさにも大きく関わってきます。

事業所によっては、発達障害や精神疾患などに詳しいスタッフが在籍しており、それぞれの特性に合わせた支援や、無理のないペースで安心して通えるような工夫がされているところもあります。

以下のような点を目安に、自分に合った支援があるかをチェックしてみるのもおすすめです。

まずは、「どんなサポートが必要か」「何に困っているか」を整理しておくと、見学や説明を受けるときにもスムーズです。

見学時には、「こういうことが不安なのですが、配慮していただけますか？」と聞いてみてください。

不安な気持ちがあるのは自然なことですので、遠慮せずに相談しながら、安心して通えそうかを少しずつ確認していきましょう。

カリキュラムやプログラム内容は自分に合っているか

カリキュラムやプログラムは事業所ごとに力を入れている訓練内容には違いがあります。

例えば、パソコンや事務職向けのスキル習得に特化している事業所もあれば、清掃や軽作業など、体を動かす仕事を想定した実践的な訓練を行っている事業所もあります。

体力に自信がない方や在宅勤務を目指したい方にとっては、デスクワーク中心の訓練が合っているかもしれません。

一方で、人と話すことに慣れたい方には、接客の練習が含まれているプログラムが向いている場合もあります。

また、事業所によっては、パソコンスキルの習得だけでなく、簿記や会計などの専門資格の取得をサポートしているところも。

「なんとなく内容が良さそう」で選んでしまうのではなく、「自分にとって無理なく続けられそうか」「就職したときにどう活かせそうか」といった、どんな働き方をしたいかをイメージしながら、自分に合ったプログラムを選ぶようにしてみてください。

家から通いやすい立地か

就労移行支援は、基本的に週5日通所することが多いため、無理なく通える距離にあるかどうかはとても重要です。

家から事業所までの距離が遠すぎると、通うだけで疲れてしまい、体調を崩してしまうこともあります。

そうなると、通所が続かなくなってしまい、最悪の場合には中断するケースも少なくはありません。

だからこそ、できるだけ負担の少ない通いやすいエリアを選ぶことは、通所の継続だけでなく、就職にも繋がる重要な判断材料となります。

まずは「どのくらいの距離なら無理なく週5日通えるか」を、通勤時間や交通手段を考えながらシミュレーションしてみるのもおすすめです。

就職実績や就職後の支援までチェックしよう

就労移行支援を選ぶときは、「どのくらいの人が実際に就職できているか」という就職実績も大切です。

自分が目指したい業種や職種での就職例があるかどうか、どんな企業に就職しているのかなど、具体的に聞いてみるのもおすすめです。

また、就職先の名前だけでなく、「どんな働き方をしているか」「どんなサポートを受けていたか」といった体験談や利用者の声が聞けると、よりイメージしやすくなります。

さらに注目したいのが、就職後のサポート体制です。就職した後も定期的に相談できる面談があるか、企業との間に入ってくれるスタッフがいるかどうかなど、働き続けるための支援があるかも大切です。

長く安心して働くためには、就職だけでなく、その後までしっかりサポートしてくれる事業所を選ぶことがポイントになります。

事業所の雰囲気と支援員との相性

事業所の雰囲気や支援員との相性は、実はとても大事なポイントです。

支援内容がどんなに整っていても、「なんとなく居心地が悪い」「相談しにくい」と感じる環境では、事業所に通所すること自体がストレスになってしまうこともあります。

例えば、静かで落ち着いた雰囲気が合う人もいれば、明るく活気のある場所の方が安心できるという人もいます。スタッフの接し方や他の利用者との距離感も、事業所によって様々です。

自分にとって安心できる空気感かどうかを知るには、実際に見学してみるのが1番です。

ミスマッチを防ぐには「見学＋体験」がカギ！

家からのアクセスやホームページでの情報だけでは、実際の雰囲気がよく分からない…という方も多いと思います。

事業所選びでよくあるのが、「思っていた雰囲気と違った」「続けるのが大変だった」といったミスマッチ。これを防ぐには、まず見学してみるのが一番です。

ホームページでは分かりにくいスタッフの接し方や事業所の空気感、利用者さんの様子などは、実際に足を運ぶことでしかわかりません。

「ここなら通えそう」「ちょっと安心できそう」など、感覚的な相性も大切な判断材料です。

見学では、不安なことを直接質問することもできます。事前に聞きたいことをメモしておくと、当日もスムーズです。

「まだ迷っている段階です」と伝えても大丈夫。無理に決める必要はありません。

少しでも気になったら「見学してみたい」と伝えてみてください。事業所が日程を調整してくれます。

見学をしたからといってすぐ訓練が始まるわけではないので、緊張せず、気軽に雰囲気を見に行くつもりでOKです。

体験通所ができるかも確認しよう

事業所によっては、見学だけでなく「体験通所」ができるところもあります。

実際に通所してプログラムを体験することで、支援の進め方や事業所の雰囲気、自分との相性をよりリアルに感じることができます。

「見学ではわからなかったけれど、実際に通ってみたら続けやすそうだった」とということもあるため、迷っている方には特におすすめです。

体験通所は1日〜数日で設定されていることが多く、無理なく参加できるよう配慮されています。

見学時や問い合わせの際に、「体験通所もできますか？」と一言聞いてみると安心です。

見学は最低2か所以上がおすすめ

「最強のミスマッチ予防方法は見学」とお伝えしましたが、1つの事業所だけを見て決めてしまうのは、あまりおすすめできません。

その理由は、比較対象がないと「この事業所が自分に合っているのかどうか」が判断しづらくなるからです。

1か所だけでは、その事業所の良さや特徴がはっきり見えてこないこともあります。

例えば、「家から通いやすい大手の事業所を1つ」と「訓練内容に興味がある事業所を1つ」など、最低でも2か所は見学してみるのが理想です。

複数の事業所を見ることで、違いがよく分かり、自分に合った場所が見つけやすくなります。

ただし、比較対象が多すぎると迷いが増えて「結局どこがいいのか分からなくなってしまった…」というケースも。

見学する事業所は、多くても3か所程度にとどめておくと、スムーズに決断しやすくなりますよ。

就労移行支援の3つの探し方

「自分に合った事業所を選ぶことが大事なのはわかったけど、実際どうやって探せばいいの？」と感じている方もいるかもしれません。

ここでは、就労移行支援事業所を探し方をご紹介します。

インターネット検索サイトを活用する

家にいながら、手軽に多くの就労移行支援事業所を調べられるのが、インターネット検索のメリットです。

「就労移行支援　地域名」などで検索すると、自宅や通いやすいエリアにある事業所が一覧で表示されます。

気になる事業所があれば、口コミや公式サイト、掲載情報を確認をしてみましょう。

検索したあとは、アクセスや通いやすさを確認しておくのも大切です。

地図アプリなどを使って、家からの所要時間や通所ルートを事前に調べておくと、「無理なく通える距離かどうか」を判断するのに役立ちます。

見学の時も、落ち着いて行動できるので安心です。

主治医に相談する

自分の特性や体調についてよく理解してくれている主治医に相談することで、自分に合った就労移行支援事業所を紹介してもらえる場合があります。

中には、実際に利用者を紹介したことのある医師が、いくつか事業所を提案してくれることもあります。

ただし、全ての先生が就労移行支援について詳しいとは限りません。

支援内容や事業所の特徴までは十分に把握されていない場合もあります。そのため、紹介される事業所が限られることもあるかもしれません。

そのような場合は、「自分にはどんな特性があって、どんな環境だと通いやすいのか」を主治医と一緒に整理してみるのがおすすめです。

「人が多い場所は苦手」「静かな環境だと集中できる」「ゆっくりペースで通えると安心」など、自分自身の希望や不安も伝えることで、より自分に合った選択がしやすくなります。

市町村・自治体への相談窓口で教えてもらう

お住まいの市町村や自治体にも、就労移行支援に関する相談ができる窓口があります。

役所の中では「福祉課」「障害福祉課」「障害者支援窓口」などの名称で設置されていることが多く、支援サービスの案内や、近くの事業所の情報を教えてもらえます。

「どこに相談すればいいのかわからない」「何から始めればいいのか不安」という方は、まずは役所の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

また、利用条件の確認や、見学・体験の申し込み方法についても丁寧に教えてくれることが多いので、1人で調べるのが難しいと感じている方にもおすすめです。

就労移行支援の利用までの流れ：見学・相談から契約まで

「就労移行支援を利用してみたい」と思っても、実際にどんなステップを踏めばいいのか分からない方も多いと思います。

ここでは、見学から利用開始までのおおまかな流れを簡単に紹介します。

通っていた人たちの選び方とは？就労移行支援を選ぶ時の判断基準

就労移行支援を選ぶ際、「どこを見て選べばいいのかわからない…」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

そこで今回、実際に就労移行支援を利用したことのある方に、「事業所を選ぶ際に何を一番重視したか？」というアンケートを実施しました。

その結果、1位は「訓練内容（どんなことが学べるか、どんな形式で学ぶのかなど）」でした。

同率2位には「アクセスの良さ（家からの距離や通いやすさ）」、「スタッフの対応（親身に話を聞いてくれるかどうか）」が挙がりました。

では、なぜこれらのポイントを重視していたのでしょうか？

実際に利用された方々の声をご紹介します。

1位「訓練内容」

訓練内容を重視していたと答えた人の多くは、「未経験だけどスキルを身につけたい」と考え、それに合った事業所を選んでいたようです。

生活や体調の相談、就職活動のサポートについては、どの事業所でも大きな差はないと感じている人が多く、むしろ「何を学べるか」「どんなスキルが身につくか」といった訓練内容に違いがあることに注目していました。

例えば、事務系・軽作業系・IT系に特化したカリキュラムなど、事業所ごとに特徴があります。

自分のやりたいことや興味がはっきりしている方は、「その内容が学べるかどうか」を基準に選ぶと、納得感のある選択に繋がりやすいでしょう。

2位「アクセス」

「車がなく、行動が制限されていたから」「体調を考えると、無理なく通える範囲にしたかった」などの理由で、アクセスの良さを重視していた方が多く見られました。

中でも印象的だったのは、「もし続けられなかったら、それが失敗体験になって、働くこと自体が怖くなってしまうのが嫌だった」からこそ、自分にとって無理のない距離にある事業所を選んだそうです。

「続けられなかった…」と自分を責めないためにも、まずは通所しやすい場所を選ぶことがポイントの1つです。

精神的な負担を減らすという意味でも、アクセスのしやすさは大切です。

同率2位「スタッフの対応」

「自分が安心して通えるか」「困ったときにすぐ相談できるか」といった理由から、スタッフの雰囲気を重視している方も多くいました。

特にコミュニケーションに苦手意識がある方や、不安を感じやすく1人で抱え込みがちな方にとっては、スタッフとのやりとりが安心感につながる大事な要素になります。

就労移行支援を相談する練習の場として活用しながら、小さな成功体験を積み重ねていくのもおすすめの使い方です。

ただスタッフの雰囲気はホームページだけではわかりにくいため、問い合わせ時の電話対応や、見学・相談時の接し方などから、「ちゃんと話を聞いてくれるか」「こちらの気持ちに向き合ってくれるか」を感じ取りながら、自分に合いそうかを見極めていきましょう。

7割以上が「満足」と答えた理由とは

アンケートでは、全体の7割以上の方が「選んだ事業所に満足している」と回答しました。

中でも、自分が重視していたポイントと事業所の特徴が一致していた方は、特に納得感が高かったようです。

「訓練内容」「アクセス」「スタッフ対応」など、自分にとって必要だと思ったことを軸に選んだ人が、結果的に満足していたという傾向が見えてきました。

この結果をふまえると、事業所を探すときは「自分が何を重視したいのか」を明確にすることが、後悔のない選択に繋がると言えるでしょう。

就労移行支援選びで後悔しないための3つのポイント

就労移行支援は、自分に合った場所を選べるかどうかで、通いやすさや就職への近道が大きく変わります。

「なんとなく」で選んでしまって後悔しないように、事前にチェックしておきたい大切なポイントを3つに絞ってご紹介します。

「どこに注目すればいいの？」「失敗しないために何を意識すればいい？」と迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

口コミだけで判断しないようにしよう

インターネットやSNSにはたくさんの情報がありますが、すべてをそのまま信じるのではなく、参考程度に見るのがおすすめです。

中には、偏った見方や実際とは異なる内容が含まれていることもあります。

口コミも同様で、人によって感じ方や背景が違うため、自分にそのまま当てはまるとは限りません。

「こういう考え方もあるんだな」と受け止めつつ、最終的には自分の目で見て感じたことを大切にしながら判断していきましょう。

ホームページでは分からないこともある

事業所のホームページには、訓練内容や就職実績などの基本的な情報が掲載されています。

事前に確認しておくのは大切なことですが、それだけでは分からないこともあります。

例えば、スタッフの雰囲気や事業所の空気感、利用者さんの様子などは、実際に足を運ばなければ感じられません。

「なんとなく落ち着く」「ここなら無理なく通えそう」といった感覚も、見学して初めて分かることです。

迷っている時こそ、見学や相談に行って、自分の目で確かめてみることが、納得できる選択に繋がります。

周囲のアドバイスを参考にしながら、自分に合う選択をする

親や主治医など、周囲のアドバイスを参考にすることはとても大切です。

特に主治医は、自分の体調や特性を理解したうえで、無理のない環境や支援内容について助言してくれることも多いのではないでしょうか。

ただし、最終的にどの事業所を選ぶかは、自分自身で決めることが大切です。

「言われたから選ぶ」のではなく、「自分が納得できるか」「ここなら続けられそうか」といった感覚を大切にしましょう。

アドバイスを受けつつも、自分の気持ちや希望を優先することで、後悔の少ない選択に繋がります。

自分に合った就労移行支援事業所を選ぼう

就労移行支援は、一般就労を目指す障害のある方に向けた支援サービスです。

このサービスを利用するうえで大切なのは、「どこが一番良いか」ではなく、「自分にとって合っているかどうか」という視点です。

就職のしやすさや通所の続けやすさは、どの事業所を選ぶかによって大きく変わることもあります。だからこそ、「自分に合った場所」を選ぶことがとても重要です。

事業所を選ぶ時は、「自分の困りごとに合った支援があるか」「訓練内容や就職実績」「通いやすさ」「スタッフとの相性」など、いくつかのポイントから比較してみましょう。

ネットや口コミだけで判断するのではなく、実際に見学して、雰囲気や対応の仕方を自分の目で確かめてみることも大切です。

「ここでなら頑張れそう」と思える場所を、自分のペースでじっくり選んでいきましょう。