発達障害113名に聞いた!感覚過敏はありますか?【最後に対処法も公開】

『感覚過敏』は発達障害の人が持っていることが多い特性です。
「掃除機の音が苦手…」
「服の繊維が気になって着ているとストレス」
など感覚過敏に関する困りごとや悩み事を抱えている人は多いのではないでしょうか。
今回は【発達障害の方113名】を対象に、感覚過敏についての困りごとや対策方法などを調査しました。
アンケート概要

■アンケート概要
調査対象:発達障害(ADHD・ASD・LD)の方
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年1月12日~2024年1月26日
調査人数:113名
1. 年齢を選択してください
2. 性別を選択してください
3. 感覚過敏だと感じることはありますか?
4. 最も困っているものはなんですか?
5. 感覚過敏で困った具体的なエピソードを教えてください
6. 年齢とともに過敏さに変化はありましたか?
7. 感覚過敏に対しておすすめの対策があれば教えてください
アンケート属性は次の通り。
・性別
男性 54名(47.8%)
女性 59名(52.2%)
・年代
20代 27名(23.9%)
30代 49名(43.4%)
40代 29名(25.7%)
50代 8名(7.1%)
約8割が感覚過敏があると回答!

・はい 97票(85.8%)
・いいえ 16票(14.2%)
※少数点第2位以下は四捨五入
約8割の方が感覚過敏だと感じていると答えました。発達障害で感覚過敏の特性を感じながら生活している人が多いようですね。
最も困っている感覚過敏 第1位「聴覚」

1位:聴覚(特定の音やにぎやかな場所が苦手)49票(43.4%)
2位:触覚(特定の感触が触られるのが苦手)10票(8.8%)
2位:嗅覚(特定の匂いが苦手)10票(8.8%)
3位:視覚(強い光や特定の色が苦手)9票(8.0%)
4位:平行感覚(乗り物酔いしやすい)8票(7.1%)
5位:温度(極端に暑がり・寒がり、寒暖差に弱い)6票(5.3%)
6位:味覚(特定の味や食感が苦手・偏食)2票(1.8%)
7位:痛み(極端に痛みを感じやすい・気づかない)2票(1.8%)
感覚過敏はない 15票(13.3%)
その他 2票(1.8%)
※少数点第2位以下は四捨五入
「聴覚」の過敏が困っている感覚過敏1位という結果に。続いて「感覚過敏はない」が13.3%、「触覚」と「嗅覚」の過敏が8.8%でした。「聴覚」の過敏で困っている方が圧倒的に多いですね。具体的にどんな困りごとがあったのか見ていきましょう。
1位:聴覚
コロナ禍以降感染防止のため職場の窓を少し開けているが、近所のビルで改築工事をしている音が仕事中気になってしまいイライラ・貧乏ゆすりなどの行動を自分の意思で制御できなくなった。
ダンプや大型トラックなどの交通量の多い道が自宅から近いのですが、そんな大型の車が通る際の音の大きさが地響きのように聞こえてくるので、その際には酷いと頭痛になってしまうので困っています。
職場での環境音や話し声が苦手と感じる方が特に多かったです。中には仕事に支障をきたす方も。その他にも工事の音やショッピングセンターなどの人が多く集まる場所で周りの音が苦手と感じる方がいました。ひどい時には頭痛や吐き気など体調不良になってしまうことがあるようです。
2位:触覚
自分は触覚に関して感覚過敏で、服などのタグが身体に当たるだけで、肌がヒリヒリしてきて痛くなります。そのため、購入した服はまずタグを切ってから着るようにしています。
実習中や仕事中の何気ない場面で体に触れた時に大きく反応してしまい、迷惑になってしまった街中で誰かに会ったりぶつかった時に大きな声が出てしまうのでいつも警戒してしまい疲れる
洋服のタグや素材の中に苦手なものがあると答えた方が多数。ひどいと痛みやかゆみを感じることもあるようです。他には人に体に触れられることに抵抗があるという方がいました。この過敏によって人間関係がギスギスしてしまうことがあるようです。
2位:嗅覚
人の肌のにおいが苦手です。その匂いは街で前を歩く人、電車内の周りの人、人が密室(待合室など)の距離で敏感に察知します。先日急を要してタクシーに乗ることになり、車内で過呼吸になりかけましたが寒い雨の中、窓を全開してもらい事なきを得ました。
電車の中や地下鉄の中の密集している時にいろんな臭いが混ざっているのが気持ち悪くなります。空いている時は大丈夫だったりしますが、混んでいる時は本当に具合が悪くなるのでなるべく車で移動するようにしています。
「嗅覚」の過敏で困っていると答えた方のうちほとんどの方が特に密室だと苦手なにおいが充満してる感覚になり、密室で過ごすことができない、苦手と答えました。吐き気がしてしまう方もいるようです。
3位:視覚
街灯や夜のネオンの光がとても苦手で頭が痛くなったり吐き気が起きたりするので夜出歩くことが苦痛。
強い光や白い電灯の光が苦手なので、散歩やウォーキングの時に照り返しで目が痛くなってしまったり、蛍光灯が点いている場所(リビング・教室・公共交通機関など)に長時間いると目がかなり疲れてしまうので困っている。
強い光や真っ白い光が苦手というコメントが多数。点滅する光が苦手だというコメントもありました。
4位:平行感覚
車に乗ったらすぐに吐き気に襲われるほど敏感。また修学旅行で新幹線に乗ったときはきつすぎて早退になってしまったことが一番困った。
だから、公共機関の乗り物はほぼ乗れないしタクシーも乗れない。移動するのが本当に大変
新幹線や車に乗っているだけでも酔ってしまい吐き気を催してしまいます。その為車酔いの薬は必須です。ただどの薬も眠気が出る為、クライアント様と同乗する時は意識を保つことが難しくとても辛いです。
ほとんどのコメントが「乗り物酔いしやすい」というものでした。乗り物酔いしやすいことによってその後に控えているイベントが楽しめなかったというコメントが。
5位:温度
真夏でも肌寒いときがあり長袖で着ていたら、周りから見るだけで暑いからやめてくれと言われて辛かったです。
特に寒がりで少しでも寒くなると体調不良になったり、寒くて寝れないことも。季節の変わり目や寒暖差も苦手でひどい時は湿疹が出てしまうほど。
ほとんどの方が寒さを感じやすいというコメントでした。そのせいか体調を崩しやすいというコメントが多かったです。他にも「室温の感じ方が周囲と合わないことが多い。暑い、寒いと言うと妙な対応をされることがある。」という方がいました。
6位:味覚
冷めたものを食べられないので、お弁当を食べることができません。人との会食やあらゆる場面で非常に困ります。
「味覚」が過敏なことで冷めたものが食べられないというコメントが。お弁当が食べられないことや人とご飯を食べる場面などで困ることがあるようです。
7位:痛み
軽く足をぶつけただけでも酷く痛く感じる事があり、実際には痛みもあまりなくぶつけた箇所も何ともないので、極端に反応しやすくて困っています。
歯科治療をするときに、少しでも針が触れたり削られると痛みを感じてしまうのでなかなか治療が進まなくて先生を怒らせてしまった
痛みを感じやすいことやそのことによってケガなどの治療が思うように進まないことで困っている方がいました。
その他
周りにいる人の行動が目に入ってきてしまう。
暗い場所や狭い場所だと体調が悪くなる
その他にも
「周囲の行動が目に入ってしまう」
「暗い場所や狭い場所だと体調が悪くなる」
というコメントがありました。
見たくなくても周りの行動を見てしまうという過敏や暗い場所や狭い場所にたいする過敏があるようです。
年齢とともに過敏さに変化は?

軽くなった 7票(6.2%)
やや軽くなった 23票(20.4%)
変わらない 31票(27.4%)
やや重くなった 26票(23.0%)
重くなった 12票(10.6%)
感覚過敏はない 14票(12.4%)
※少数点第2位以下は四捨五入
「変わらない」が27.4%、「やや重くなった」が23.0%、「やや軽くなった」が20.4%という結果に。あまり大きな差はありませんね。年齢とともに過敏さに変化があるかどうかは個人差があるようです。
実際にしている対策方法を聞いてみた!

感覚過敏とうまく付き合うために実際にしている対策方法を聞いてみました!
聴覚
片方だけBluetoothイヤホンをつけておく。別に音を鳴らさなくても良い。両耳ふさがるのは、プリウスのような車のわずかな音に気づかない可能性があり危険なので片耳がおすすめ。
感覚過敏で掃除機の音の対策としては静音の掃除機で自分自身にイヤーマフをしながらすることで軽減されることがあります。普通の掃除機は音を聞くだけで嫌になりますが、イヤーマフをしながら静音の掃除機をすると自分で掃除をすることが可能になりました。
「聴覚」の過敏がある方は、イヤホンで音楽を聴いて気を紛らわしている方やイヤホンを耳栓代わりに音楽を流さずつけている方、耳栓やイヤーマフをつけている方がいました。
触覚
手袋をする、なるべく意識をしないようにすることを繰り返す。
自分は触覚に関して感覚過敏なので、肌に当たる服は気を付けています。購入した服のタグは切ったり、肌に優しい素材が使われている服を着たりしています。
「触覚」の過敏がある方は、洋服の素材に気を付けている方や手袋をすることで苦手な感触でも触ることができるように対策をしているようです。
嗅覚
空気のいれかえができる環境で作業する。マスクする。
マスクに自分が好きな香りのスプレーなどをして、それを身につけるようにしています。
「嗅覚」の過敏では、空気の入れ替えをこまめにおこなうことや、マスクをすることで対策をしているようです。他にも自分の服の香りを嗅いで落ち着かせているというコメントがありました。
視覚
日差しが強い日は外出時にサングラスを着用する。部屋の照明の明るさを下げたり、色を電球色(オレンジ系の色)に変える。
光をカットするメガネをしています。
「視覚」の過敏がある方のほとんどは対策で光をカットする眼鏡やサングラスを付けることで対策をしていました。他にも照明を工夫するというコメントが。
平行感覚
酔いやすさに対しては、酔い止めを飲む、空腹すぎない、満腹すぎない、ゆったりとした服装にする、暑いよりは寒い方が酔いにくい、上を向く、前日に十分に睡眠を取るなどをしています。
酔いそうだと思ったらすぐに薬を飲むことです。また、『内関』という手首から指三本分下にあるツボを押すことで、吐き気を軽減できるのでおすすめです。
「平行感覚」の過敏では、乗り物酔いの症状が軽くなるように好きな音楽を聴くようにしている、前日から体調を整えている、満腹や空腹になりすぎないようにちょうどいいおなかの状態になるようにしているというコメントが。他にはツボを押すことで吐き気が軽減されるという意見がありました。
その他
その他にも
「病院で先生に相談する」
「前もって起きることを予測して下準備をしておく」
「過敏を抑えるために日頃から精神面・体調面を安定した状態に保つようにする」
というコメントがありました。どの過敏にたいしても、前もって起きることを想定して準備をしておくのは大切かもしれませんね。あまりにも症状がひどすぎる場合は病院の先生に相談することでなにか改善策が見つかるかも。
まとめ

発達障害(ADHD・ASD・LD)の方113名に、感覚過敏について聞いた結果、
①発達障害の方の約8割が感覚過敏を感じている
②最も困っている方が多いのは「聴覚過敏」
③年齢による症状の変化は個人差あり
という結果に。
このことから感覚過敏で困りごとや悩みはあるけれど試行錯誤をしながら対策方法を考えて症状とうまく付き合っていけるように工夫をしている方が多いようです。
中には年齢とともに症状への対処の仕方が分かってきたというコメントがありました。
「ずっと症状が重いままなのでは…」
「どんどん酷くなっていく一方かも」
と不安になる必要はないのかも。感覚過敏とうまく付き合うために色々な方法を試して自分に合う対策方法が見つかるといいですね。